ローマでの”アフリカ教会サミット”閉幕「アフリカのカトリック新世代」へ(Crux)

  • (2017.3.26 Crux Editor  John L. Allen Jr.)3月22日から25日までローマで開かれたアフリカのカトリック教会指導者たちの会議は、成果を取りまとめるにはあまりにも込み入った内容となったが、おそらく最も適切な表現は‶アフリカにおけるカトリック2.0(新世代)″-より普遍的な、より自らに正直な、そしRome summit marks launch of ‘African Catholicism 2.0’て‶他″を判断する際によりバランスのとれた教会-の始まりが告げられた、ということだろう。

      会議は、「アフリカのカトリック神学-記憶と21世紀の使命」をテーマに、ノートルダム大学倫理・文化センターの支援を受け、ローマの同大学“Global Gateway”センターを会場に開かれ、アフリカのカトリック教会の四人の枢機卿をはじめ、多くの司教、司祭、修道士、神学者や一般信徒の活動家、学生が参加した。

  四日間にわたる会議で46の報告、14の意見交換セッション、多くの長々とした話合いが行われたが、これを総括しようというのは無駄骨を折るようなものだが、会議を通しての印象は、「アフリカ・カトリック2.0」とも言うべきものの出現、である。

 アフリカのカトリック教会は、欧米による植民地支配が終わってから大部分の期間を、二つの重い課題を負ってきた。一つは、天文学的な成長の早さにどう追いついていくか。もう一つは、武力紛争、慢性的な貧困、環境悪化、民族と部族の紛争、HIV /エイズなど、大陸の憂慮すべき社会問題にどう対処するか、である。これらは今に至るまで、いずれも軽くはなっていない。だが、注目されるのは、意識の成熟-アフリカのカトリックが子供から青年の時期を終えて、成人し、新たな段階に入る用意が整ったという確信-が会議を通じて生まれてきた、ということだ。

 「アフリカ・カトリック2.0」を定義する特徴は何だろうか。今回の会議をもとにすると、少なくとも三つ挙げることができる。

 

 アフリカ独自の課題に対処しつつ、世界の教会に貢献

 成人したアフリカのカトリック教会の特徴の一つは、アフリカ域内だけでなく、全世界、普遍教会に貢献しようという意識だ。コンゴ民主共和国のタルチス・シバン司教はアフリカのカトリック神学は世界的な対話の一部となる必要がある、とし、「それは単に、アフリカ人のためのアフリカの神学の問題ではありません」「1人と全体のために有効な神学なのです」と強調した。

 バチカンで長い間、重きをなし、今は現役を退いているナイジェリアのアリンゼ枢機卿は、Cruxとのインタビューで、アフリカの高位聖職者たちが、先の二回にわたるシノドスで果たした役割も含めて世界の教会における主人公として登場してきたのは、アフリカ教会の成長の自然な結果、であるとし、「枢機卿や司教たちは教会が何かについて経験を積んだから、もっと貢献する義務がある、それは神の摂理の正常な進化の結果にすぎません」と語った。

 その表れの一つは、数多くのアフリカ人司祭、聖職者が世界中で奉仕しており、世界の教会がアフリカを必要としている、という意識が存在している、もう一つは、アフリカのカトリックの教えが神学への影響と司牧活動において深い香りを醸し出している、ということだろう。

  いずれにしても、ローマには、カトリック教会は‶アフリカの時代″を迎えた、という強い意識が生まれている。アフリカの教会は、自分たちの抱える課題から逃れず、世界の舞台で指導的役割を演じる用意を一段と整えてきているのだ。

 誠実さと自己批判

  かつて、アフリカのカトリック指導者は、機能不全と未成熟という自分たちの教会に対する見方を強めさせたくないために、批判に対して自己防衛的になることがしばしばだった。だが現在では、自信を強め、自分たちの失敗や短所を率直に認めるようになってきている。嵐を治めるだけの強さがある、と認識しているのだ。この会議を準備したポーリナス・オドゾール神父は、この点を強調し、「皆が見えるところで、汚れた麻布を洗う用意がなければなりません。アフリカが演技者として大事にされたいのなら、自分自身について正直であることが必要です」「私たちは、自分たちがしている素晴らしいことを、皆さんに聴いてほしいのではない。自分たちがしている酷いこと、うまくできていないことを、聴いてほしいのです」と語る。

 会議を通して強調されたことの幾つかは次のようなものだ。

 ・ナイジェリアのゴッドフリー・オナ司教は、このように言って嘆いた-古代アフリカの教会は偉大な教父たちを生んだが、今日では、有名なのは心霊治療師と‶奇跡センター″だーと。

  • 象牙海岸からきたイエズス会士、ルドヴィッチ・ラド神父は、アフリカのカトリック司祭の中に、魔法を実践するだけでなく、実際には他の人に呪文を唱える者がいる、としている。

  • ガーナのマーマリファ・ポレク修道女は、アフリカの女性たちは多くの場合、教会の汚れ物の洗濯以上のことを任されていないのに、この会議は、そのようなことが変わる希望を与えてくれなかった、と批判した。

  このような指摘はあっても、「このようなことを話すことが事態を根本的に変えることにはならない」という認識は多くの参加者が共有したようだ。

 

  ”他”宗教に対する平衡感覚

 アフリカにカトリックが初めて根づいた時、福音の伝道がぜい弱だという意識、そして時として、信徒の群れを脅かすと思われる行為や人々に対する強い敵意が存在した。そうした流れの中で、一般的に‶他″と表現する宗教-イスラム教とキリスト教のペンテコステ派―との間での激しい対抗意識へと変わっていった。多くのカトリック信徒が今でも、この二つの‶他″に嫌悪感を持ち続け、双方の善を認識する能力の強まりと共に高まり、心と理性で競うことは健全だと不承不承認めるようにさえなってきている。

 イスラム教徒が人口の圧倒的割合を占めているナイジェリア北部、ソコトのマシュー・クカ司教は、アフリカのカトリックとイスラム教の対話を主導している一人だが、「平和共存が実際のアフリカ人の平均的な姿であり、暴力的な対立は例外だ」と指摘し、「どのような人々が『キリスト教徒とイスラム教徒の紛争』と言っているのでしょうか。紛争について避けがたいものは何もありません。西側のメディアが作り出し、人気を博しているのです」とCruxに語った。「ナイジェリアでキリスト教徒とイスラム教徒の間で起きている暴力対立と呼んでいるものは、(宗教対立ではなく)法と秩序の失敗の結果起きている。暴力を引き起こしている多くの問題と宗教には極めてわずかな関係しかありません」と強調する。

 ペンタコステ派との関係では、この会議で、雇用の提供、結婚相手の紹介、神学生や司祭の勧誘など、カトリック教会と融和する方策が話し合われた。その一方で、会議参加者の中には、ペンタコステ派の問題は、カトリックを‶覚醒″させる役割を果たしている、と積極的な側面を指摘する声もあった。「彼らは、人々を軽視してはならない、と言うことを私たちに理解させてくれます」とナイジェリアのアブジャで人材紹介のコンサルタントをしている一般信徒のオビアゲリ・ヌゼンワ女史は言う。「ペンテコステ派の信徒の増加は、女性を組織化し支援することの重要性にもっと気を配る必要があることを、カトリックの人たちに教えているのです。女性はアフリカのカトリック教会の屋台骨なのですから」。

  「アフリカ・カトリック2.0」は、より強い自信、自身についてのより正直な気持ち、そして‶他″について厳しくさばく態度を控える、ことを特徴とすることになるだろう。その「1.0」版が、世界のどこにおいても活発で生気のあふれたカトリックの教会共同体を形成することも含めて、達成されたとしたら、「2.0」版がどのように展開していくかをたどるのは、本当に素晴らしいことになるだろう。

アフリカの教会、増大する痛みに直面ーローマで司教らが会議( Crux)

  •  アフリカのカトリック教会の指導者会議が3月22日から25日にかけてローマで開かれたが、アフリカにおける爆発的な教会の成長を受けて、神学から女性の典礼における役割、政治問題に至る幅広い課題を再考する必要が出てきたことが開催の背景にある。

     現在、アフリカのカトリック教会では、人口の急増、礼拝の形態面での大きな動き、神学的なものを反映した組織の拡大などの現象が起きており、教育、健康・衛生、慈善活動など、カトリック人口が少ない地域でさえも社会資本を増大させている。そして、何人もの高位聖職者が、世界のカトリック教会の議論の舞台にスーパースターとして登場している。彼らはもはや、カトリック株式会社の格下の共同経営者ではない。主役たちなのだ。だが、多くの若者と同様、アフリカのカトリック教会は、少なくとも、この会議への参加者によれば、これからの人生をどう生きるかを少し考える必要があるかもしれない。

  •  「アフリカでカトリック教会は十分に育った」とナイジェリアのポーリナス・オドゾール神父は言う。「そして、今、その人生を振り返る必要がある」。アフリカのカトリック教徒の人口は、今世紀半ばまでに4億5000万人に達し、世界の大陸の中で最大となると予想されている。今後の在り方を深く考えることはアフリカにとってだけでなく、カトリック教会全体にとって重要なこと。アフリカがくしゃみをしたら、カトリック教会全体が風邪をひくのだ。

    (南條俊二訳)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

 

 

 

 

 

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2017年3月27日