(2026.2.9 カトリック・あい)
聖職者による性的虐待で深い傷を負った女性信者が、所属(当時)修道会・神言会に損害賠償を求める裁判が3年目に入り、第13回が2月9日、東京地方裁判所で、原告支援者など約40人が傍聴する中で開かれた。
この日の裁判では、まず裁判長から、先に述べていた「4月異動」がなくなり、次の異動まで自身が審理を続ける旨の説明があった。また原告弁護人から、「訊問を聞いた裁判長に判決文を書いてもらいたい」と要望があったのに対して裁判長は、「訊問を行い、それが終結すれば、その後裁判長が異動になっても、訊問した裁判長が(判決文を)書くと思う」と述べた。
これまで裁判長から4月異動の可能性が示唆され、2年間の審理でカトリック教会や修道会である神言会の事情などに理解を深めた裁判長が異動した場合、次期裁判長の下での裁判指揮に不安を持つ関係者もいたが、当面、そのような懸念はなくなり、6月以降に想定される被告の神言会の責任者の証人訊問も現裁判長が取り仕切る方向で進むことになった。
続いて、原告、被告双方が事前に提出した準備書面をもとに審理がされた。原告側から「当方の質問に対し、これまで、はっきりしない回答が続いている」とし、例として、原告被害者は最初に、加害司祭(当時)が所属していた教会を管轄す長崎教区の性的被害者のための)人権相談窓口に訴えているが、それに対する加害司祭が属していた神言会の対応を挙げ、「被告弁護人は『神言会は何も知らない』『対応はちゃんとやった。教区の相談窓口は組織として会と関係が無い』など、答えになっていない」とし、このような不誠実な対応の繰り返しは「最高裁の判決で決まっている『信義則』に反するものだ」と批判が述べられた。
被告・神言会の代理人弁護士は、「人権相談窓口は長崎教区にある。司祭は、神言会から長崎教区に派遣されたもの。長崎教区は神言会とは別法人で、形式的には関係が無い」などと反論。
これに対して原告側は、カトリック教会は、一つで、修道会もその中にある、というのが一般の見方であり、法人が別だから‥ 修道会と教区の関係をあたかも”派遣会社”と”受け入れ先”の関係だから(無関係)、というのは理解できない、とし、「神言会もバチカンからOKを取って活動しているのではないか」と疑問を呈したのには、明確な説明はなく、ただ、「(バチカンと神言会?は)まったく無関係ではない」とだけ述べた。「使用者責任は否定しないのか」と裁判長から尋ねられたことには、否定しないことを認めた。
裁判長から、こうしたやり取りを引き取る形で、「原告は、分からないとし、分かるような答えを検討するよう求めている。被告側は、改めて書面にして回答するように」と指示された。
裁判後、青山外苑弁護士事務所で開かれた支援者集会には、原告被害者の田中時枝さんが所属する東京教区をはじめ横浜教区、さいたま教区などの一般信徒、司祭、シスターなど30人以上が参加。田中さんへの激励の声の一方で、「なぜ、神言会は、被害者の訴えを認めず、組織を守ろうとし続けるのか、理解できない」「被告弁護人の対応は、余りにも不誠実で、お粗末」「司祭を信じる気持ちを使っての性的虐待は最悪」「カトリックの雑誌を編集している私のところにも、他の被害者からの訴えが寄せられているが、修道会などの対応は皆同じだ。日本の教会、特に高位聖職者には問題意識が感じられない」と修道会や日本の教会の聖職者の性的虐待への対応に批判が続出。「知人のシスターから、修道会司祭から虐待を受けたが、声を上げられずにいる、という苦しみを訴えられた。”事なかれ主義がいまだに横行している」と訴える声も出された。
次回は3月11日午後2時半から同裁判所615法廷、次々回は6月3日午後3時から開く予定だ。