☩「性的虐待事件への対応で、真実、正義、慈愛を守るように」ー教皇、バチカンの教理省総会参加者に指示

(2026.1.30 Crux   Nicole Winfield, Associated Press)

 ローマ 発— 教皇レオ14世は1月29日、バチカン教理省の総会での挨拶で、「聖職者による性的虐待事件を裁決する際には、真実、正義、慈愛を堅持するように」と求められた。これは、世界中でカトリック教会の信頼性を傷つけたスキャンダルに対処するための慎重なアプローチを確認するものだ。

 教皇は挨拶で、虐待問題についてごく一部にしか触れなかったが、言わなかったことは、彼が言ったことよりも重要だった。被害者に全く言及せず、教理省は”司牧事務所”ではなく、”教会裁判所”として機能すべきだと考えていることを示唆した。

 バチカンの未成年者・弱者保護委員会は、性的虐待被害者の主な相談窓口となっている。前任のフランシスコ教皇はこの委員会を教理省の一部としたが、レオ14世は両者を機能的に分離させる意向のようだ。29日の教皇と教理省幹部・職員の会見には、同委員会の関係者は誰も参加しなかった。

 教皇は29日の挨拶で、若年者に性的虐待・暴行をした司祭に対して教会法に基づく調査・処罰責任を負う宗教上の上長を歓迎し、支援すべきだ、とし、「これは非常に繊細な司牧領域であり、正義・真実・慈愛の要件が常に尊重されることが不可欠です」と言明した。

 教会法専門家のレオ14世が今週初め、ローマ法廷(ローマ・ロタ)と呼ばれるバチカン裁判所と会談した際にも、同様の点を指摘し、「真実の探求において正義と慈善のバランスを取る必要性」を訴えた。

 教皇の母国米国で聖職者による虐待スキャンダルがマスコミに暴かれてから20年が経った今、教皇は虐待事件への対応で概して慎重な姿勢を示しているように見える。「教会指導者は被害者の声にもっと耳を傾けるべきだ」と主張する一方、「司祭の権利がより適切に保護されること」にも関心を示している。

 だが、世界各国の枢機卿を招集しての1月7,8日の臨時枢機卿会議で、教皇は「虐待危機は決して終わっていない」と述べ、「教会指導者は被害者に真に積極的に耳を傾け、寄り添う努力を強化すべきだ… 私たちは、目も心も閉ざしてはならない」と語った。「被害者の苦痛は、受け入れられず、声を聞いてもらえないと感じたために、しばしばより大きなものとなっている」とも。

 

*性的虐待と隠蔽で問題を起こした修道会の関連信徒団体と会見した教皇は…

 偶然かもしれないが、教皇は29日のバチカン教理省の総会参加者への挨拶の後、修道会Legion of Christ religious orderの関連の信徒団体、Regnum Christiの総会参加者たちとの会見に臨んだ。

 メキシコを拠点とするこの修道会は、20世紀のカトリック教会における聖職者による性的虐待と隠蔽の最も悪質な事例となった。バチカンは2006年、創設者マルシャル・マシエル神父に終身の悔い改めと祈りを命じたが、その決定は、マシエルが小児性愛者、詐欺師、薬物依存者、宗教的詐欺師であるという50年にわたる信頼できる報告を無視した後のことだった。

 教皇は総会参加者たちへの挨拶で、Legion of Christ religious orderには触れず、創設者で2008年に死去したマシエルについても言及しなかったが、マシエルの犯罪が発覚した2010年にバチカンが命じた改革が、依然として進行中であることを示唆した。「Regnum Christiは、その存在を正当化する独自の霊的霊感(教会用語でカリスマと呼ばれるもの)をより明確に定義し、新たな統治様式を見出す必要がある」と指摘した。

 バチカンによるLegion of Christ religious orderとRegnum Christiの調査では、権威の乱用や上層部による権力行使の方法など、カルト的組織に根深い問題が確認され、「浄化」のプロセスが必要だ、とされている。

 教皇は「真に福音的な統治は、常に奉仕に向けられている。それは各メンバーを支え、伴走し、救い主に日々近づくよう助けるものだ」と述べ、「新たな統治モデルを試みることを恐れるべきではない。むしろ、権力行使の独自の様式を共同で模索することは、社会と個人を豊かにし、共通の使命への帰属意識と参加意識を強める道を開くのだと心に留めておくのが良い」と強調している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2026年1月31日