・「欧州やアジアとの連携が日本における自立外交の鍵」-言論NPO 世論調査結果から:松田邦紀・前駐ウクライナ大使

(2025.12.9  言論 NPO)

 米国は信頼できない。しかし、核を考えると他に選択肢はない。この二つの問いに現在、日本が置かれた難しい状況が表れていると思う。

 これは、私がこれまで付き合ってきたウクライナ、ヨーロッパのいくつもの国も同様で、多くの国が現在、この矛盾に直面している。

 日本国民は、トランプ大統領の関税の一方的な引き上げなどの行動に6割を超える人が反対している。この意識が同盟国である米国への信頼の揺らぎや米国に過度に依存する日本外交の在り方への疑問にまで広がっている。これは今後の日本外交の在り方を考えた場合、軽視できない国民の意識だと考える。

 日本外交はこれから米国とどのように向き合うべきかでは、「米国は同盟国であり、今後も協力していくべき」は20.9%にとどまり、「米国との関係は今後も大事だが、過度に依存しないように外交上の自立を模索すべき」が、60%にまで拡大している。

 ただ、「米国とはむしろ一定の距離を置いてアジアや世界の様々な国との関係も多角的に構築する」は6.9%と、国民は米国との関係まで否定しているわけではない。

 今回の世論調査で示された日本の民意は、日本と米国との関係はこれからも大事だが、米国の行動をただ受け入れるのではなく、米国ともしっかりと話をしなくてはならないということ、そして、米国に頼れない部分は日本が自前で行うか、それ以外の他の国との関係を強化して、それを補っていく。そういう行動を今の日本国民は求めているということである。

 

今回の世論調査結果は、日本外交の今後に対する問題提起だ

 私は、米国に付いていくということと、米国以外の国とも仲良くすることは、本来、両立は可能だと考えている。

 ヨーロッパの場合はEUという枠組みがある。この不安定な世界の局面で、これまで以上に、EUの自立的な発展を強化し、その上で米国に主張することはしっかり説明する、それをEUが目指すことは可能だが、日本の場合はそういう枠組みがアジアにあるわけではないため、他に友達もなく、日米関係だけの話を続けていくと上下のシンプルな関係になりやすい。

 この状況への根本的な問いかけが、日本の中で始まっているのだと思う。

 私が、この世界の状況を日本の立場になって考えると、米国との関係を大事にするだけではなく、日本はEUやNATOの国にもアジアに関心を持ってもらい、また韓国などアジアの国とも連携を深めることで、米国一辺倒ではない日本外交の在り方を模索する余地が広がるように考える。

 そして、米国の核抑止にこれからも頼らざるを得ないのであれば、通常兵器でこれまでやっていないことに取り組むと同時に、米国の核抑止への信頼を高めるために、日米間の議論は今後、さらに増やしていく必要もあると考える。

 今回の世論調査は、日本外交の今後について問題を提起したのは、私が見ても間違いがないと思う。

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2025年12月11日