(読者投稿)第二バチカン公会議から約60年が経って…教会は変われるのか?

 教会は変われるのか-以下に記した事柄は、その一端を簡潔に示したものだ。従って、お読みになる方はこの事を心に留めていただきたい。

 第二バチカン公会議から約60年の歳月が過ぎた。日本のカトリック教会は、何が変わったのであろうか。私の記憶の中にあるのは、ラテン語のミサが日本語に変わったくらいである。本質的に何も変わっていないと思う。何故だろうか?

 カトリック教会の教理・信条等は、大まかに言えば、アウグスティヌス(416~443)とトマス・アクイナス(1225~1274)の影響下で作られた、と明言しても誤りではないであろう。トマス・アクイナスはアウグスティヌス神学を取り入れ、同時にギリシャの哲学者アリストテレスの方法論に依拠し、膨大な「神学大全」を著した。この神学大全が第二バチカン公会議まで、神学校はもとより、教会の「聖教」として君臨してきたが、この公会議の頃から「神学大全」を以前の様に「教会の宝」とはしなくなった。

 今の時代、多様化はもちろん、物事の変化のスピードは物凄く早く、あらゆる事柄が様変わりしている。この変化の時代は、人間の心にも大きな影響を与えている。

 日本のカトリック教会は、こうした激しく変遷する時、今なお、「13世紀のトマス・アクイナス」を拠り所にしているのではなかろうか。彼の神学にはもはや新しい地平を開くものは何もない。スイス生まれの高名なカトリック神学者、ハンス・キュンクは大作『キリスト教、本質と歴史』(日本語版は福田誠二訳、教文館刊)で語っている—「この時代の地平を開いた神学者はカール・バルトであり、今、私たちはその地平の入り口に立っている」と。

(東京教区信徒 纐纈康兵)

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編注

*ハンス・キュンク=カトリックの改革派神学者。教皇庁立グレゴリアン大学で神学や哲学を学び、その後もパリソルボンヌ大学で学び続けた。1960年に独テュービンゲンのエバーハルト・カール大学テュービンゲンの神学教授に。1970年ローマ教皇無謬論に異論を唱え論争を巻き起こし、この影響でカトリック神学を教える資格を剥奪されたたが、第二バチカン公会議後、司祭の独身制が強制されていること、教会が信頼を喪失していること、女性司祭が禁止されていること、そしてバチカンが”クレムリンのような状態”になっているとして批判を続けた。カトリック司祭、テュービンゲン大学教授であり続け、エキュメニズム神学を担当した。

*カール・バルト(1886-1968)=20世紀のキリスト教神学に革命的な変化をもたらしたスイスのプロテスタントの改革派神学者。その思想は、弁証法神学、危機神学新正統主義などと呼ばれ、世界のキリスト教関係者に多大な影響を与えた。ナチス台頭時には告白教会(ナチスが強要するユダヤ人追放政策への抵抗運動の中心となった教会組織)の理論的指導者として政治的にも大きな役割を果たした。影響は、世界中の神学界に及び、ブルトマン、ティリッヒと共に20世紀を代表する神学者として評価されている。ハイデッガー、西田幾多郎、滝沢克己などにも影響を与えた。

 

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2025年12月11日