
(2025.11.27 Vatican News Francesca Merlo)
初の海外使徒的訪問で、教皇レオ14世はトルコ訪問初日、首都アンカラの当局者に対し、トルコが文化・信仰・大陸間の架け橋としての使命を受け入れるよう促され、世界に対し「分断を拒み対話を追求するように」と呼びかけられた。
27日正午過ぎ、トルコの地を踏まれ教皇は、11月27日から12月3日にかけて行われる初の使徒的訪問の第一段階を開始された。
行程はイスタンブールからイズニクへ。教会はここで第1ニカイア公会議1700周年を記念する。その後、11月30日(日)にベイルートの首都レバノンへ向かう。
初日の27日は、トルコ大統領府でエルドアン大統領を会われ、続いて国立図書館で、政府関係者、市民社会、外交団の歓迎会合に出席され、講話をされた。
「人類に兄弟愛を呼びかける地」
エルドアン大統領との会見では、教皇はトルコの温かい歓迎への感謝を表明。教皇は、トルコを「キリスト教の起源と不可分な地」とされ、「アブラハムの子孫であるイスラム教徒・キリスト教徒・ユダヤ教徒を呼び集め、差異を分裂ではなく兄弟愛への道と認識させる地」と讃えられた。
ま歓迎会合での講話では、トルコの自然美と豊かな文化的多様性に思いを巡らせ、「これらが世代・思想・伝統が出会う場所で人類文明が花開くことを示す証し」と述べられ、「こうした多様性は脅威ではなく、社会の活力を守る盾です… 画一性は貧困をもたらす。真の市民社会を支えるのは、実体と象徴を繋ぐ『橋』です」と強調された。
トルコの使命を象徴する橋
教皇の訪問に選ばれたエンブレムは、ダーダネルス海峡に架かる橋を描いている。教皇は、「これは、トルコの独自のアイデンティティを象徴するもの。すなわち、貴国は、物理的にアジアとヨーロッパを結ぶ国であると同時に、より深く、自らを東から西へ、伝統から現代へ、差異から統一へと繋ぐ国であるということです」と語られた。
そして、「分極化と極端な立場に苦しむ世界では、社会が分断される危険がありますが、トルコのキリスト教徒は、この国の統一に積極的に貢献する用意がある」とされ、カトリック教徒に、孤立を拒み、『出会いの文化』を受け入れるように促された聖ヨハネ23世の愛情を思い起こしながら、「この言葉が今日なお、驚くほど適切です」と指摘された。
「神は天と地の間にかけ橋を築かれた」
また教皇は、「神が自らを現すことで天と地の間に通路を創り、人々の心が神の慈しみを映し出すことを学べるようにした」、という福音書の言葉に言及し、「正義と慈悲こそ、支配の論理に挑むべきです。発展の真の尺度となるのは力ではなく、思いやりと連帯でなければなりません」と訴えられた。
さらに、倫理から切り離された技術進歩の危険性を警告し、「人工知能でさえ、最終的には人間の選択を増幅させるに過ぎない。プロセスは機械の業ではなく、人類自身の業です」とされ、政治指導者たちに「人類家族の結束に与えられた損害を修復するために協力するように」と促された。
トルコ社会の核心に家族がある
続けて教皇は、多くのトルコ人の心に響くテーマに移り、家族について、「社会生活の最初の核」と表現され、「そこでは誰もが、他者なくして私は存在しない、という本質的な真理を学ぶ空間です」と言明。 家族の役割強化に向けたトルコの取り組みを称賛しつつ、「家族が孤立したり、構成員の声を抑圧したりすれば直面するリスクがあること」も指摘され、「幸福は個人主義からも、結婚の絆や生命への開放性を軽んじることからも、生まれません」と注意された。
そして、「孤独を商品化する消費主義文化」を戒め、代わりに「愛情と人的つながりを尊ぶ文化」を促され、「そこでは夫婦愛と女性の不可欠な貢献が共に称えられるのです」と語られた。
また、女性について、「学問・職業生活・公共サービス・文化的リーダーシップを通じて、ますますこの国を豊かにしています」と強調された。
トルコが平和の源となるように
続けて教皇は、「トルコが、安定と民族間の和解の源であり続けることを望みます」とされ、パウロ6世、ヨハネ・パウロ2世、ベネディクト16世、フランシスコと歴代の教皇の訪問を振り返られた。
ニカイア公会議(初期キリスト教徒が信仰の統一を求めて集まった)の記念日に合わせた今回の訪問は、対話と出会いの永遠の必要性を物語っていること、世界が再び紛争の高まりに彩られる中、教皇フランシスコが「断片的に繰り広げられる第三次世界大戦」と呼んだ事態への警戒を呼びかけられたこと、などを挙げたうえで、教皇は、「世界の国々は、平和の共有課題、飢餓対策、創造物の保護、万人の教育と健康の確保ではなく、破壊的な力学にエネルギーを注いでいます」と嘆かれた。
真実と友情をもって共に歩む
講話の最後に教皇は、「バチカンが持っているのは霊的・道徳的力だけですが、あらゆる人々の総合的な発展に取り組む全ての国々と協力する強い意志があります」と強調され、「神の助けを謙虚に信頼しながら、真実と友情をもって共に歩みましょう」と呼びかけられた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)