
教皇レオ14世は17日、世界食料デーおよび国連食糧農業機関(FAO)創設80周年を記念してローマのFAO本部を訪問。演説の中で、バチカンが同機関と緊密な関係にあることを再確認し、飢餓と栄養不良を終わらせるための世界的な共同の取り組みを呼びかけられた。
あらゆる人間の尊厳を守りつつ、持続可能な方法で飢餓・食料不安・栄養不良を克服するというFAOの使命は、紛争・気候危機・強制移住・貧富の格差拡大が蔓延する現代において、正義と平和の名のもとに「人間を利益より優先させる」という国際社会の善意に疑問が投げかけられる世界で、強く共鳴する。
FAO本部の会場に集まった国連や世界の指導者、大使たちを前に、まさにこの点を強調。「価値観を宣言するだけでは不十分です。体現しなければならない… スローガンは人々を貧困から救いません。人間を利益より優先し、食料安全保障、資源へのアクセス、持続可能な農村開発を保証する必要があります」と述べられた。
1970年のパウロ6世以来、歴代教皇が歩んだ足跡をたどる今回の訪問は、バチカンが長年支援してきた国連機関への支持を改めて表明する機会となった。
同時に教皇は、飢餓・栄養失調・食料不安という「人類全体を苦しめる道徳的傷」を根絶すべく、国際社会が努力を倍加するよう求め、「飢餓との闘いは、単なる政治的・経済的課題ではなく、人間的かつ道徳的な義務です… 飢えに苦しむ者は見知らぬ人ではありません。彼は私たちの兄弟であり、私たちは遅滞なく彼らを助けねばならない」と訴えられた。
さらに、FAO創設から80年を経た今もなお、数多くの人々が十分な食糧と栄養を欠いていることを指摘され、「こうした悪を終わらせるには、政府、機関、市民社会、そして一人ひとりの貢献が必要です」と強調された。世界で6億7300万人以上が空腹のまま就寝し、23億人が栄養価の高い食事を欠いているという最新データを挙げ、「これらは抽象的な数字ではなく、壊れた人生と、子供に食べ物を与えられない母親たちなのです」と述べた。
そしてク教皇は、「魂のない経済」と、膨大な人口を貧困に陥れる資源分配システムを厳しく批判され、豊かさの時代に飢餓が持続している現状を「集団的道徳的失敗であり、歴史的過ちです」と断じられた。
また教皇は、食糧が戦争の武器として利用されている現状に深い懸念を表明され、「男性、女性、子どもたちの最も基本的な権利—生きる権利—を否定する残酷な戦略」と糾弾。国連安全保障理事会が過去に飢餓を戦争犯罪として非難したことを指摘され、「この合意は薄れつつあるようです」と嘆かれた。そして、「飢えで死にかけている人々の沈黙は、人類の良心の中で叫び続けている」と述べ、世界の全ての国に断固たる行動を求めた。
「飢餓は人類の宿命ではなく、人類の堕落です…単なる解決すべき問題ではなく、天に届く叫びなのです」と強調された。
教皇は前任者であるフランシスコ教皇が繰り返し強調された言葉—食料を捨てることは人を捨てることに等しい—を改めて確認され、「飢える人々がいる中で食料を浪費すること」を非難。世界の指導者たちに「許しがたい矛盾を終わらせ、私たちの思いやりを鈍らせる無気力から目覚める」よう促された。また子としての今年の世界食料デーのテーマに触れ、「水は命、水は食糧。誰も取り残さない」というメッセージが全ての人々に共に行動するよう呼びかけていると述べられた。
そして、「分断と無関心が特徴的なこの時代において、協力による結束は、単なる理想ではなく義務です… 手を取り合うことによってのみ、食料安全保障が特権ではなく、権利となる未来を築けるのです」
教皇は特に女性たちの役割を強調。「生存の静かな設計者、希望を最初に蒔く者、創造物の慎重な管理者… 女性たちの貢献を認めることは、正義の問題であるだけでなく、より人間的で持続可能な食糧システムの保証です」と語られた。
また、多国間主義と国家間の対話の重要性を再確認。貧困層の声が直接届くよう促され、「世界を形成するあらゆる主体が、奉仕すべき人々の真の必要に効果的に応えられるビジョンを構築しなければなりません」と述べられ、ウクライナ、ガザ、ハイチ、アフガニスタン、マリ、中央アフリカ共和国、イエメン、南スーダンで飢餓と暴力に苦しまされている多くの人々に対し、「世界の国々、国際機関は、目を背けることはできません」と強く訴えられた。
演説の結びに教皇は、イエスが弟子たちに語った「彼らに食べ物を与えなさい」(マルコ福音書6章37節)という言葉を取り上げ、「この命令は、今も、世界にとって差し迫った課題です」とされ、「永続的で有益な結果をもたらす正義のために働く勇気と活力を、神に願い求めることを倦むことなく、バチカンと全世界の教会が、最も貧しく恵まれない人々のために奉仕する用意があることを、常に頼りにしていただきたい」と訴えられた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)