改・信徒も減っているが、聖職者などの減少深刻、“コロナ明け”もミサ参加者、新規受洗者回復せず―2024年度版「カトリック教会現勢」をもとに分析  

(2025.8.23 カトリック・あい)

 カトリック中央協議会がこのほど、2024年末時点の日本の教会の現状をまとめた 2024 年度版「カトリック教会現勢」を発表した。ただし、これは、もともとバチカンの要請を受けて毎年、半ば”義務的”にされているもの。日本の信者に、現状を理解してもらい、共に今後の教会のあり方を考え、福音宣教のための具体的な活動に役立てることを意図しておらず、データの分析もそれに基ずく説明も全くなされていない。

 だが、日本の教会の現状を客観的に知るためのデータはこの「現勢」しかないのも事実であり、「カトリック・あい」では、この限られた内容から、10年前の2014年の「現勢」などとも比較して、少しでも、関心を持たれる方々の現状理解に役立つべく、分析を試みた。

 

 

 

【日本の一般信徒数は20年間に7.7%減少、聖職者・修道者・神学生は34.8%も減っている】

 

 まず、2024年版「カトリック教会現勢」の発表データを過去に発表されたデータと合わせてみると、2024 年 12 月末現在の日本の聖職者、一般信徒などを合わせた「信者数」は41万2958 人。

  20年前の2004年の45万125人、10 年前の 2014年の 44 万 3646人より、それぞれ3万7167人(8.3%)、 3万688人(6.9%)減った。日本の総人口に占める割合は2004年は0.355%、2014 年は 0.345 %、2024年が 0.331 %で、小幅ながら日本の総人口の減少率を上回る減り方を続けていることが分かる。

 信者数を、信徒数と聖職者・修道者・神学生数で分けてみると、信徒数(在籍数)は40万7345人で、2004年の44万1514人、2014年の43万6291人よりも、それぞれ3万4169人(7.7%)、2万8946人(6.6%)の減少。

 聖職者・修道者・神学生は同様に、2024年5613人、2004年8611人、2014年7355人で、20年間に2998人(34.8%)、10年間で1742人(23.1%)と信徒数を大きく上回る深刻な落ち込みになっている。

 司教を除く、教区・修道会・宣教会の司祭の数は2014年の1380人から2024年に1259人と10年間の減少者数は121人(8.8%)にとどまっているが、これは逆に言えば、司祭以外の神学生、修道者などが大きく減っていることを意味する。

  しかも、司祭の高齢化、病弱化はこの10年、20年で急速に進んでおり、単に司祭数ではわからない司牧活動が困難な司祭の増加も続いているはずだ。年齢別のデータが無い限り、正確な実態把握も、今後の予測も不可能だが、司牧活動可能な聖職者はこの数字よりもさらに減っており、今後も続くと推定される。

 

 

 

【コロナで激減したミサ参加者、受洗者数などは、今も回復せず、”教会離れ”が常態化?】

 

 一般信徒の在籍数は40万7345人で、十年前の43万6291人より2万8946人(7.1%)減り、さらに居所不明者を除く信徒実数では、36万3239人で、十年前の39万3264人より3万35人(8.3%)減っている。

    2020年に日本で始まったコロナ大感染の影響について直接分析したデータは「現勢」には皆無だが、新型コロナ発生直前の2019年のミサ参加者を見ると、主日は10万6915人、復活祭は17万965人、クリスマスは21万7664人。それが、翌年2020年には、それぞれ6万1391人、14万965人、9万9980人に落ち込んだが、主日のミサや復活祭、クリスマスのミサも正常に戻った2024年は7万8171人、13万909人、15万8837人と、2019年に比べて2割以上低い水準にとどまっている。

  コロナが終息しても、いったん教会を離れた信徒は、教会からの積極的な働きかけもないまま、戻る機会を失うケースが多いのではないか。コロナ大感染の長期化で、信徒の高齢化、脆弱化が進んだことも考えられるが、子供たちの姿がほとんど見られなくなった教会もある。「教会に子供たちが来なくなった」と嘆く信徒もいるようだ。

  年間の全国受洗者数を見ても、2014年の5712人から、新型コロナ蔓延の2020年に3502人に落ち込んだ後、2023年に4158人まで回復しかけたものの、2024年はまた減って3922人と、コロナ前の7割の水準だ。こうした数字からも、”教会離れ“が常態化しつつある懸念がある。

  こうした事態を司教団も司祭も、一般信徒も深刻に取られ、原因解明とともに、積極的な具体策を考え、実行する必要があるだろう。それこそ、教会のメンバーが司教も、司祭も、一般信徒も、共に歩む”シノドスの道“で取り組むべき重要テーマではなかろうか。

 

 

 

【教区別信徒数、「札幌」は10年で2割減、1割以上減が「長崎」など4教区。7教区が東京・麹町教会より少ない】

 

 また、全国で15ある教区別に見ると、信徒数が最も多いのは東京で9万2270人、これに長崎の5万5215人、横浜の5万2187人、大阪・高松の4万8676人が続き、大分が最も少なくて5489人、1万人未満が新潟、仙台、大分、那覇、鹿児島をあわせて5教区もある。ちなみに小教区の信徒数で最大は東京教区の麹町教会の信徒数は2019年12月31日現在の数字しか公開されていないが、1万7152人。

 仮に「2024年現勢」の各教区の信徒数と比べると、京都(1万6980人)、札幌(1万3430人)、仙台(8822人)、鹿児島7876人、新潟(6548人)、那覇(6133人)、大分(5489人)と日本の全15教区のうち半分近い7教区が、麹町教会という一つの小教区の信徒数を下回っていることになる。

 

 2023年8月に教皇フランシスコが、その時点で最少の信徒数で、財政的にも赤字に苦しんでいた高松教区の大阪教区への事実上の吸収合併を発表、同年10月に「大阪・高松教区」の設立ミサが行われたが、その時点でも、全国的な信徒減少、司祭減少、そして多くの教区での財政悪化が続く中で、信徒数に比べて多すぎる教区の再編を求める声が出ていたが、その後も、全く司教団の中で議論されていないようだ。

 

 そうしている間にも、教区レベルで見た信徒の減少は続いており、2014年から2024年の十年間の減少率をみると、「札幌」が18,7%と二割近い落ち込みとなっているほか、合併した「大阪・高松」が14.6%、「仙台」が12.5%と大幅な減少。東京と並ぶ中心教区である長崎が11.0%も減っている。外国人の流入が主因と思われる(国籍別信徒のデータがないので、特定はできないが)信徒の増加を続けていた「さいたま」も今回は0.8%の微減。15教区中、「沖縄」のみが2.05%の増加となっているが、「さいたま」同様、その原因を分析するデータはない。

 

 

 

 

【聖職者・修道者・神学生は10年間で「仙台」で8割減、「福岡」7割減、「京都」「新潟」「鹿児島」も5割超え。東京も26.4%減少】

 

 聖職者・修道者・神学生の減り方は、教区別に見るとさらに激しい。最大の減少率を示したのは「仙台」で83.1%、ついで「福岡」が69.1%、「京都」「新潟」「鹿児島」も50%を超える減少、「さいたま」「那覇」も4割台の減少。15教区中最多の聖職者・修道者・神学生をもつ「東京」が26.4%、「横浜」も34.3%の減少だ。最も減少率が低いのは「長崎」だが、それでも9.0%の減少率となっている。

 

(終わりに)

 日本の信徒や司祭が日本の教会の現状を理解し、今後の在り方を考える資料として役立てるために、適切なデータの取りまとめ、分析を含めた情報の開示は、必要不可欠が。

 だが、それがなされていない。毎年8月ごろにカトリック中央協議会のホームページに前年度の数字が発表されているものの、よほど関心のある信者でもない限り引き出すのは容易でない。しかもその内容はデータとグラフのみで、分析や解説などの文章は一切なく、データの意味を読み取ろうとすれば、過去の「現勢」を引き出し、比較、分析を自分でしなければならない。

 

 理由は簡単だ。もともとバチカンに報告を義務付けられているデータだから、半ば義務的にまとめているだけで、日本の教会の現状を正しく把握し、今後の対応を考えるという、日本の信者全員にとって重要な課題の取り組みに役立つデータとする、という意識が欠落したまま、現在に至っているためだ。グラフが添えられているのが”工夫”と言えば工夫だが、とても分析に足るようなものにはなっていない。

 

 データのとり方も、十年一日で、日本の教会をめぐる環境の大きな変化に対応した工夫なども皆無。信徒、聖職者の高齢化、若者の教会離れ、外国人信者の増加などを客観的に知るための年齢別の数字、国籍別の数字などが欠落したままだ。このようなデータがあれば、AI技術などを活用すれば、5年先、10先の日本の教会の姿を予測することも可能だし、具体的な対策を立てるのも容易になるはずだ。

 教区によってかなりの差があるが、外国人信徒の占める割合が大幅になっている首都圏のある教区の場合、小教区によってはほとんどが外国人信徒で占められ、日本人信徒の居場所がなくなっているような話も聞く。しかも、教会維持費を負担する慣習が無いのか、パーティーなどにはお金を使っても、教会の維持管理の負担は限られ、小教区の会計は慢性的な赤字になっている、というところもある、と言われる。このような実態は、今の公表データでは全く把握できない。

 

 日本の教会の現状がよくわかるようなデータを司教も、司祭も、一般信徒も共有し、それそれの立場、環境から、それを補強するような意見を出し合い、これからの日本の教会、福音宣教の使命を果たす教会をどうすれば作って行けるのか、その具体的あり方を考え、実行していくのが、教皇フランシスコが始められた”シノドスの道“の日本での歩みではないのか。

 今の日本の司教団にはそのような問題意識も、具体的な対応も見られないのは極めて遺憾である、としか言いようがない。

(「カトリック・あい」代表・南條俊二)

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2025年8月23日