(2017.2.3 Crux バチカン特派員 イネス・サン・マーチン)現在19歳のカタリナ(安全上の事情で仮名)は、13歳の時にコロンビアのゲリラ活動に加わった。三年間、戦闘に加わった後、ゲリラ集団から脱出し、サレジオ修道会が進める子供兵の社会復帰プログラムの指導を受けている。
彼女によると、コロンビア政府とコロンビア革命軍 (FARC) の52年にわたる戦闘を終わらせようとする和平交渉は失敗した。和平交渉が進んでいる時は「うれしかった。これ以上、子供たちがゲリラにならなくて済む。家に帰れる、と思ったから」。13歳でゲリラに加わった時、それが国内紛争を無くす道だと考えた。今も自分の国で平和が実現ができる、と考えているが、そのためには、自分たちのことだけ考えず、相手のことも考えなければ・・でも、FARCはなぜ政府と話し合いを続けているのでしょう?」
彼女がFARCに参加した当初は「何もかもがよく見えた」。だが、8日経つと、「自分の体よりも大きい」銃を渡され、その一週間後には、政府軍との戦闘に駆り出された。その日、彼女の隊は、八機のヘリコプターに攻撃された。「攻撃が始まった時は子供と大人あわせて44人のゲリラ仲間がいましたが、終わったら22人になっていた。私自身も深手を負いました」「私たちはこれで最後かどうかもわからず、お互いに顔を見合わせました」と語る。三年後、彼女は勇気を振るい、集団から脱出した。見つかったら殺されるのを覚悟していた。そして今、彼女は看護師になる長年の夢を実現するために保険学校に通おうとしている。
FARCなど数多くのゲリラ組織とコロンビア政府の武力紛争は50年以上続いており、800万人に上る犠牲者を出している。そして何千人もの子供たちが誘拐されて、武装集団に入れられ、戦うことを強要され、アルコールを飲むことが法律で認められる18歳になる前に人殺しをさせられる、という形で、彼らも犠牲者だ。
カタリナは同じく子供兵だったマヌエルと2月2日にローマで放映された番組に出演し、コロンビアのゲリラ兵から立ち直った子供たちについて語った。マニュエルはもともと兄について2013年にゲリラ兵となり、一年間先頭に加わったが、兄はルールにうまく従わなかったために殺された。「僕はもともと字が書けなかったが、学校に通い、仕事に就けました」。この番組はコロンビアで和解を実現しようと52年間活動してきたサレジオ会が制作したもので、現在ゲリラに参加している子供たちの人数は定かでないが6000人はおり、戦闘中に18歳で成人したものは何千人にも上ると見られている。
メデリンの町で活動を続け、1300人以上の子供たちを戦闘から救い出した「ドン・ボスコの町」プロジェクトの責任者であるラファエル・ベヤラノ・リベラ神父は、「サレジオ会がコロンビアで進めている『動きを止められた弱い人々」の立ち直りを支援するプロジェクトは二つあるが、そこでまず行われるのは三つのカギ―信頼し、希望を持ち、連帯を創ること―を学ぶことだ。若者たちに希望を与えるために、心理学者と教師も働いている。
「私たちがしていることは、真実を語ることであり、それは私たちを傷つけた人々を傷つけたいのではなく、歴史的な記録を作り、何が今起きているかを理解しようとするためなのです」と語る神父はさらに、「教会としてどのような党派にも加わらずに私たちがしているのは、コロンビア政府がFARCと共にやろうとしていることを支援すること。ゲリラに活動をやめさせ、武器を捨てさせるのではなく、共に前に進むことなのです」。それが、この国に平和をもたらす唯一の道であり、双方ともにそのような対話をする能力を持っている。そしてそのような政治文化が、コロンビアではまだ有効です」と期待を語った。
英国に本部を置く「世界の子供兵たち」によると、子供たち―4歳の子がいることは不思議でない―が戦闘に、性的目的に、そして、料理人、運び屋、連絡係、密告者、その他、隊長が命ずるあらゆることに使われている。多くの戦闘地域では、「人間の盾」にさえ利用されている。コロンビアに限らず、50もの国で子供たちに軍事訓練を施すことが合法とされている。2016年現在、アフガニスタン、コンゴ民主共和国、ミャンマー、ソマリア、南スーダン、そしてイエメンで軍事組織が子供たちを使っている。
また国連によれば、そうしたことは、アフガニスタンにおけるタリバン、イラクやシリアにおけるISISのような非国家武装集団の間にも広がり、子供たちは自爆攻撃にも利用されている。NGOのHuman Rights Watchは、貧しい地域では子供たちが家族から引き離され、戦闘地域で子供兵にさせられ、学校で勉強することもできなくされている、と報告している。
教皇フランシスコはこの問題の解決を望んで、新年1月の世界共通の祈りにした。教皇は昨年12月、イエズス会が運営する世界規模の祈りのネットワーク「祈りの使徒職」の助けを受けて、「l子供兵たち」というタイトルの毎月のビデオ放送を始めた。教皇はその中で、現代の奴隷制と呼ぶ「子供兵の恥ずべき慣行」をこの世から廃絶するように訴えている。
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