【2017.1.23 CJC通信】ドナルド・トランプ新大統領の就任に際し、全米で大規模な抗議デモが行われるという極めて異例な事態は、米国における宗教の存在への懸念を改めて示すことにもなった。これまで宗教には無関心であるばかりか、特にキリスト教には批判的な姿勢を露わにしていたトランプ氏が、就任式典の一連の過程であたかも忠実な信徒のように振るまう姿勢には、その場に居合わせた各派指導者も戸惑ったのではないか。
第58代大統領に就任する1月20日の朝、ドナルド・トランプ一家は、『セント・ジョン・エピスコパル教会』で祈祷会を行っていた。聖公会の同教会は、ホワイトハウスとはラファイエット広場を挟んだ向かい側にある。ロバート・ジェフレス司祭が説教したという。
11時から連邦議事堂で開かれた就任式では、ティモシー・ドーラン枢機卿(ニューヨーク大司教)、サムエル・ロドリゲス牧師(『ナショナル・ヒスパニック・クリスチャン・リーダーシップ』創設者)、女性テレビ伝道者ポーラ・ホワイトさん(『ニュー・デスティニー・クリスチャン・センター』牧師)、ラビ・マービン・ハイヤー(ユダヤ人抑圧監視団体『サイモン・ウイゼンタール・センター』の創設者)、フランクリン・グラハム牧師(『ビリー・グラハム伝道協会』会長)、アフリカ系市民に向け「プロスペラス・ゴスペル」を唱導するウエイン・T・ジャクソン牧師らが登壇した。
大統領は就任から一夜が明けた21日朝、聖公会の『ワシントン大聖堂』で行われる恒例の超教派祈祷会を訪れ、キリスト教やユダヤ教、イスラム教など、さまざまな宗教の聖職者が祈りをささげる伝統行事に参加した。教皇の顧問格とされるワシントン大司教ドナルド・ワール枢機卿も参列した。
一方で、ワシントンをはじめ、ニューヨークやボストン、シカゴ、ロサンゼルスなど、全米各地で新大統領に反発するデモが行われ、参加者は合わせて数百万人に上った模様。
ワシントンでは多くの著名人もデモに参加しており、呼びかけ人の女優アメリカ・フェレーラさんは「胸が締めつけられる思い。ともに立ち上がらなければ、私たちの自由と安全が失われてしまうかもしれない」と述べ、トランプ新大統領に強い警戒感を示した。
歌手のマドンナさんも、「変革はここから始まる。私たちが自由で平等であり続けるために闘おう」と訴えた。□
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キング牧師の子息がトランプ次期大統領と面会
【CJC】米国の人権活動家マーチン・ルーサー・キング3世とドナルド・ トランプ次期米大統領が1月16日、ニューヨークで面会した。同日はキング氏の父で公民権運動の指導者だった故キング・ジュニア牧師の誕生を記念する祝日となっている。キング氏は報道陣に、「米国を一つにすることを目標にしなければならない」と語った。特に「満足に機能しない投票制度」に関して「非常に建設的な会話」をしたという。□
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◎キング牧師の娘は「神はトランプ氏に勝つ」
【CJC】米公民権運動の黒人指導者、故マーチン・ルーサー・キング牧師をたたえる祝日の1月16日、同牧師の末娘バーニス・キングさんはアトランタの集会で「神はトランプ氏に打ち勝つ」と訴えた。牧師の長男キング3世は、ニューヨークでトランプ次期米大統領と面会し、「私たちの目標は米国を一つにすること」と融和的な姿勢を見せた。
ロイター通信によると、キング牧師の子供たちのコメントは、公民権運動の闘士として知られ、現代のキング牧師とされる民主党のジョン・ルイス下院議員がトランプ氏を正当な大統領とみなさないと批判し、トランプ氏は軽蔑的な発言で反撃するなど、2人の間で争いが生じている最中に行われた。
バーニスさんは、アトランタの教会で行われた集会で、希望を捨てず、「ホワイトハウスに座る人を恐れないで」と訴えた。「神はトランプ氏に打ち勝つ」と述べた際には、スタンディング・オベーションを受け、喝采の嵐に演説が中断される場面もあったという。□