(2016・8.11 CRUX)米国民は今年11月に総選挙に行くが、大半の人は二人の大統領候補者に関心がある。二人の経歴、個人的性格、そして政党基盤をもとに、どちらに投票するか決めるのは、敬虔なカトリック教徒にとって難しいことだ。しかし、今度の選挙で有権者が選ぶのは、大統領だけではない。米国議会の469議席(上院34議席、下院435議席)をはじめ、12州の知事、各州議会議員、主要都市の市長、その他の多くの地方の主張なども選ばれる。大統領候補はこれらの中で最も高い関心を持たれるが、優れて良い政治は、信頼できる高潔な米議会議員、州と地方の長や議員の選挙を通して実現するのだ。
米国民を助けるために、米国カトリック司教協議会が二部構成の「忠実な米国民にとっての意識形成」を発行した。小教区で手引きとして使えるようにし、ウエブサイトでも見ることができる。司祭と信徒は総選挙での賢い選択のために活用することが求められている。
第一部は、カトリック信者に、カトリックの社会教説の4つの基本的な原則-人間の尊厳、共通善の重要性、補完性の原理(subsidiarity=家庭から政府にいたる様々な社会組織で、下位の組織が上位の組織に吸収されたり、圧迫されたりしないよう、補完を目的とした場合だけ、上位組織が介入できる、という原理)、連帯-の重要性について注意を喚起している。
これらの原則は、人間を政治的な政策決定の中心に置いてき、人間らしい家族・社会を強めていく必要性と、権力と資源を「大きな政府」から「地域に根ざした暮らし、地域に根ざした愛」に移していく必要性を強調するものだ。
第二部は、積極的な倫理的選択を行う賢明さをどのように働かせるか、複雑で判断が難しい時にどう対応し、投票の際にありふれたわなに落ち込むのをどうやって避けたらいいかについて、具体的に説明し、最後に、司教団として、公共政策の10の分野について、カトリック信者が注意を払うべき原則を、以下のように列挙している。
- 受胎から自然な死に至るまで、人間的な生き方を守ることの要請
- 結婚と家庭生活についての歴史に根ざした理解の擁護
- 貧しい人々を保護し、助ける一方で、国境を守る人の移動への公正な対応。
- 貧困に対する戦いの必要
- すべての人々に十分な機会と教育を与える必要
- 信教の自由の保護
- すべての人々に十分な保健サービスの提供
- あらゆる形の人種差別や偏見の回避
- 軍事力の行使についての道徳的制約
- 正義、平和、環境対策の推進に向けた国際協力の必要
これらの原則は、カトリック教会の司祭、信徒に、内容と形式ともに明確な指針を提供するものだ。司祭たちがこれらを堅持するなら、互いに連帯し、政治についての話のわなに落ち込まないようにしながら、羊の群れの世話をすることができるだろう。
(ドワイト・ロンゲネッカー神父 Crux より)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディア。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」(欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。最近、映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして高い評価を受けています。「かとりっくあい」は、カトリック専門の非営利メディアとしてCruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解をいただいています。