(2016.12.11 バチカン放送)
12月11日、日曜正午のアンジェラスの祈りに際して、教皇フランシスコはバチカン聖ペトロ広場を埋め尽くした信者や巡礼者たちに、戦争や紛争、テロ行為や破壊に苦しむ多くの人々のために祈るとともに、世界中の人々が平和の文明を選択し、いち早い世界平和の樹立に献身するよう呼びかけた。
「親愛なる兄弟姉妹の皆さん、シリア全国および特にアレッポを忘れないようにいたしましょう。多くの人々が戦争と破壊に苦しんでいます。私は毎日の祈の中で彼らに寄り添っています。アレッポは古い歴史と豊かな文化に彩られた重要な町です。そこには多くの家族や子供たち老人たちそして病人たちが大きな恐れの中に生き続けています。
残念ながら私たちは戦争や紛争のニュースに慣れっこになり、ある意味で無感覚、無関心になっています。しかし今豊かな歴史と文化特に古い信仰の国シリアを忘れてはなりません。.この素晴らしい国が戦争により完全に破壊されることを許してはなりません。多くの偽りや不正がまかり通っています。シリアにアレッポに平和を祈りましょう。
エジプトのカイロの教会で起こったテロ行為の犠牲者たちのために祈りましょう。カイロだけではなく、そこかしこで同様な蛮行が実行されています。その結果、犠牲者や怪我人が続出しています。いろいろなところで暴力がはびこっています。これらに対する唯一の答え、解決策は神への信仰です。人間の尊厳に対する尊重です。
今日はキリストの降誕を準備する待降節第三の主日を記念します。このミサ中に朗読された書簡の中で聖パウロはその深い意味を説明しながら主において喜びなさいという呼びかけを繰り返しています。聖パウロが呼びかける喜びは、表面的な喜びでも感情的な喜びのことでもありません。またこの世的な喜びでも消費主義的な喜びでもなく心の奥底から湧き上がる本物の喜びです。一人ひとりがこの真の喜びの意味を探りそれを味わうことが肝要です。この喜びは私たちの存在の最も奥深いところにある喜びです。私たちはイエスの到来を待ちます。しかし実はベトレヘムでマリアから誕生すると約束された救い主イエスはこの世に救いをもたらすためにも、私たちの間に来ているのです。
神なしの悲惨な状態にあるこの世界を前にして、イザヤ預言者が預言しているように救い主の到来はすべてを変革し新たにするでしょう。神は私たち人類を罪の奴隷制から解放するために歴史の中に入られました。私たちを共にされるため、私たちの傷を癒し、新しい生命を与えるために私たちの間に住まわれました。聖パウロが言う真の喜びは神の愛、神の救いのこの働きかけの実りなのです。
ですからすべてのキリストはこの喜びにあずかるよう招かれています。喜びにあふれていないキリスト者は何かが欠けたキリスト者だと言えましょう。本当のキリスト者ではありません。この真の心の喜び、内的な喜びが、私たちを悲観的な状況の中にあっても前進させ、そして勇気を与えてくれるのです。主は外的内的なあらゆる束縛から私たちを解放し、その栄光の中の再臨の時にわたしたちの喜びも完全なものとなるよう、今、忠実への道や忍耐の道、堅忍の道を示してくれるのです。
主の降誕祭が近づいています。私たちの周りにもいろいろな飾りやしるしがその到来を告げ知らせています。この聖ペトロ広場にも巨大なクリスマス・ツリーの傍らに馬小屋が造られました。これらの外的なしるしは、主がいつも私たちの心の扉をたたいていること、そして私たちのすぐそばにおられることを思いおこさせています。私たちの兄弟姉妹の中に、特に弱い人々や貧しい人々の中に主がおられることを教えてくれているのです。近づいているクリスマス、救い主の誕生の喜びをわたしたちも他の人々、特に病いに苦しんでいる人々や貧しい人々に希望と慰めをもたらすことによって、ともに分かち合いたいと思います」。