シリアの子供たち、命の危険冒して爆撃中止を訴え(CRUX)

 (2016.12.9 Crux イネス・サン・マーチン バチカン特派員)

  シリアの子供たちによる命の危険を冒して訴えの叫びは、シリア紛争終結へ国際社会を動かす助けになるかもしれない。 

Picture of the Skype conference between children in Aleppo and the European Parliament. (Credit: ACN photo.)

Picture of the Skype conference between children in Aleppo and the European Parliament. (Credit: ACN photo.)

  「爆撃をやめて」。アレッポからの訴えは大きく、はっきりと聞き取れた。「私たちは、爆撃が続く中で、眠れません」と10歳のジャン・ポールが訴えた。「戦争で、たくさん友達をなくしました。遊ぶところもありません。表に出ると危険なので、家の中でした遊べない」。

14歳のサリムは、彼の住んでいる地域は、乱軍がいなくなって、政府軍も爆撃をしなくなったので、以前より静かになったというが、普通の生活はできない、と語った。「どこかへ行こうとすれば、生きて帰って来れるかわかりません」。友達は殺されるか難民として他の国に出て行くかして、誰もいなくなった。「僕たちも、いつ爆弾が落ちてくるか、怖い。皆さんが僕たちに平和を持ってきてくれるようにお願いします」。

10歳の女の子、サイリンは戦乱の中で育ったアレッポの子供たちの典型だ。「爆弾が私たちの家に降ってきました。水もなく、両親には働くところがありません。チョコレートも、お肉も、着るものも買えないのです」「私たちの国に平和が来るように助けてください」と訴えた。

そして最後に登場したのは、10歳のクリスティンだ。彼女は涙で濡れ、それを見ていた欧州議会の人々も一緒に涙を流した。「私は毎日、家から表に出ますが、いつも、家に戻れるか不安です。友達は他の国に行ってしまい、私は一人です。友達がたくさん死にました」。

Belgium, Brussels, December 6, 2016 An selection of drawings and messages gathered from over 1 million children from over 2000 schools in Syria (Homs, Aleppo, Damascus ...) exhibited at the European Parliament. (Credit: ACN photo.)

Belgium, Brussels, December 6, 2016
A selection of drawings and messages gathered from over 1 million children from over 2000 schools in Syria (Homs, Aleppo, Damascus …) exhibited at the European Parliament. (Credit: ACN photo.)

アレッポ、シリアの第二の都市として繁栄していたこの町は、悲しい影となっている。瓦礫に埋もれた避難壕での勉強、生活、そして地上の半壊した建物群が政府軍と反乱軍によって東西に分けられた無人地帯になっている。このような状況を世界中の人達にもっと知ってもらいたい、と12月6日、アレッポに残された子供たちが、欧州議会の議員たちとのインターネットのスカイプを使った対話で、命の危険を冒して声を上げた。この日は、子供たちの守護の聖人、聖ニコラスの祝日だった。これに先立つ数週間、西アレッポにキリスト教徒とイスラム教徒の子供たち25人が、フランシスコ修道会の司祭のもとに集まり、平和を求める歌、絵、メッセージを準備した。

並行して、欧州議会の14人の副議長の1人であるイタリアのアントニオ・タジャーニが教皇の慈善団体、Aid to the Church(ACN)と協力して、ブラッセルでアレッポの2000以上の学校から提供された百万枚以上の作品から選ばれた子供たちの絵の展示会を開いた。合わせて、ブラッセルのカトリック教会の聖歌隊による平和を求める歌を収録し、アレッッポとブラッセルを結ぶスカイプを試み、欧州会議議員全員にこの企画への参加の招待状を送った。

だが、その直後に、アレッポで爆撃が激しくなり、学校は閉鎖され、道路は使えなくなった。このような事態を予想していたACNのブラッセル駐在員や関係者は、前もって収録してあった子供たちのメッセージなどを流すことにしたが、そうする前に、現地の司祭から、参加を予定していた25人の子供たちのうち6人が教会の裏の小部屋に集まった、と連絡が入り、予定通りスカイプを使った通信をすることになった。欧州議会の部屋に据えられた大スクリーンには、ブラッセル時間午後6時から、六人の恥ずかしそうに手を振る子供たちが映し出され、アレッポとブラッセルを結んだ対話がのだった。

司会をしたタジャーニは、欧州議会はアレッポの人々に寄り添うよう求め、爆撃の停止を訴えた。「キリスト教徒とイスラム教徒は共存できる。平和に生活することが可能なのです。私たちは平和のうちに共に生きることを願っています。

 アレッポでは爆撃は日常化しており、国連の現地代表が7日に出した声明によれば、この町に残された人々は殲滅の危機に瀕している。 欧州議会のオブライエン議員によると、7日には、反体制派武装勢力がいる東部地域に対する政府軍の攻撃を避けようとした人々の少なくとも51人が殺害された。議員は、現在続いているアレッポでの一般市民の大量殺害は「私たちの世代のあやまち」とし、殺戮の停止を繰り返し訴えているが、この地域の紛争が始まって5年たち、大半の国は大使館を閉鎖し、アサド政権との外交関係を絶っており、多くの国際機関、活動団体も手の打ちようがなくなっているいるのが実情だ。

ACNのブラッセル駐在員、シマンスキーによると、爆撃が終止された地域では、ここの国が水道や電気の復旧支援を始めているというが、全域で平和が訪れる展望は立っていない。ACNはシリアにおけるカトリック教会の支援活動に対する最大の援助機関となっている。教会、学校、病院その他の市民サービスに必要な施設の再建を進めようとしている。アレッポで毎日の食事を12500食提供できるようにイエズス会の難民支援活動を援助している。「司祭や修道女がこちらにとどまって、地域共同体を助けるのに必要なものを提供しています」とシマンスキーは説明する。「私たちはキリスト教徒だけを助けようとしているのではありません。誰であれ困窮している方々を教会が助けられるように、支援しているのです」。

シリアでは、戦争が始まってから、すでに40万人が命を落とし、2960の学校が破壊され、290万人の子供たちのうち200万人近くが学校に通えない状態にある。

(訳・南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」(欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。最近、映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、ご紹介しています。

このエントリーをはてなブックマークに追加
2016年12月13日