(2021.1.25 バチカン放送)
18日から始まった「キリスト教一致祈祷週間」は、「聖パウロの回心」の祝日の25日、最終日を迎え、ローマの城壁外の聖パウロ大聖堂で、キリスト教諸教会の代表が集まって、夕べの祈りが行われた。
祈りは教皇フランシスコが主宰する予定だったが、坐骨神経痛のために欠席を余儀なくされ、教皇庁キリスト教一致推進評議会議長のコッホ枢機卿が代理として儀式を主宰した。
儀式の中で、コッホ枢機卿が教皇が予定していた説教を代読。
その中で教皇は、今年の一致祈祷週間のテーマ、「私の愛にとどまりなさい。そうすれば、あなたがたは豊かに実を結ぶ」(ヨハネ福音書15章5-9節)を引用し、「キリスト者は皆、『まことのぶどうの木』であるイエスにつながってこそ、一致を可能にすることができます」と説いた。
ご自身をぶどうの木にたとえられたイエスは、「わたしの愛にとどまりなさい」と弟子たちに言われた。教皇は「まことのぶどうの木」であるイエスは「決して、私たちの望みを裏切らず、私たちの罪や分裂にもかかわらず、忠実な愛のうちに留まられます」とされ、「私たちは皆、枝としてキリストにつながっていますが、それはキリストとつながってのみ、私たちは育ち、実を結ぶことができる、ということを意味するのです」と述べた。
教皇は、イエスのぶどうの木を観想しながら、その幹にある三つの同心円を思い描かれた。
一番内側の円は、「イエスのうちにとどまる信仰」を意味し、「ここから、それぞれの一致に向けた歩みが始まります。多くの人が分裂し、定まらない心を抱えていますが、イエスは、『私たちの安定の源はイエスご自身に固く結びついていることだ』と教えておられます」と強調。祈りについて、「生きていくための水のように大切なもの」とし、「イエスを中心にして祈ることで、イエスの愛を体験し、ぶどうの枝が木から樹液を汲み取るように、私たちの人生は生命を得ることができるでしょう」と説かれた。
中心から二つ目の円は「キリスト者の一致」であり、「私たちは、同じぶどうの木につながる枝として、それぞれが行う善も悪も互いに影響し合う関係にあります。霊と真理のもとに神に祈ることで、そこから相互の愛への思いが生まれ、『互いに愛し合うことで、神は私たちの内にとどまってくださる』(ヨハネの手紙1⊡4章12節参照)のです」と語られた。
三つ目の大きな円は、「さらに大きい一致、全人類の一致です」とされ、「キリストのぶどうの木の樹液はすべてに及びますが、自由にあらゆる場所に吹く聖霊の働きが人々を一致へと導きます」と語られた。
また、教皇は、「聖霊は、私たちに一致のうちに奉仕することを教え、私たちはそこで皆が兄弟姉妹であることを発見します… 地の面を新たにする聖霊の呼びかけに応え、共通の家である地球を大切にすることを学びます」とし、「私たちがキリストのうちに一致し、聖霊によって互いを御父の子、唯一の人類家族における兄弟と認めることができるように」と、一致の中に成長する恵みを、交わりの愛である至聖なる三位一体に祈られた。
(編集「カトリック・あい」)