・人口減少、高齢化が日本経済に与える打撃にどう対処するかーIMF報告

(2020.2.12 カトリック・あい)

世界一の高齢化が日本経済の将来に影響(photo: iStock/Satoshi-K)

 国際通貨基金(IMF)が10日、日本の高齢化が今後40年の間に日本経済に与える深刻な影響についてレポートを公表した。日本の教会の今後を考える参考にもなるだろう。

 それによると、日本の人口は急速に高齢化し、減少している。平均年齢は48.4歳で、日本の人口は世界で最も高齢化が進んでいる。日本政府は、2060年までに生産年齢の1人に対して、高齢者がほぼ一人の割合になる、と予測し、人口は40年間で現在の人口1億2,700万人から4分の1以上減るとしている。マレーシアまたはペルーの全人口が無くなるのと同じ規模だ。高齢化の加速と人口の減少で、日本は世界的な人口動態の変化の最先端にあり、経済を含めた多くの課題を抱えています。

 IMFは、日本経済についての最新の評価で、2020年の経済成長が前年比0.7%上昇し、回復力を維持すると予測している。近年、日本では、女性の労働力は大幅に増加しているものの、人口の減少と高齢化が、経済成長と生産性の両方を低下させる。最近のIMFの調査では、日本の経済成長は、今後40年間、毎年平均0.8ポイント低下すると予測しています。

 高齢化と人口減少によって税収の基盤が縮小する一方、医療や年金などの人口高齢化に伴う財政支出が増加するため、日本の国家財政に負担が増す。

 人口動態の傾向は、低金利と密接に関係する。日本のような高齢化社会では、退職前の段階で、個人は退職のための貯蓄を増やすものの、日本経済の先行き見通しの弱さから投資は控えられる。それが、市場金利を低く抑え、金融機関の収益性を低下させる。

 日本の急速な人口減少は、過剰供給とそれに伴う住宅価格の下落、特に農村地域での住宅不足にもつながっている。このような住宅市場への影響は、家計や銀行の財務健全性に対するリスクを高め、日本の金融部門の脆弱性は、人口動態の傾向が続くにつれて大きくなる。

 こうした課題に対して、日本政府は、金融緩和、柔軟な財政政策、構造改革(特に労働市場改革)を含む「アベノミクス」政策を強化する必要がある。包括的な政策は、潜在的な経済成長を後押しし、日銀のインフレ目標を達成し、公的債務を安定させるために必要だ。金融政策は、日銀の短期および長期の金利目標を維持することを含む緩和的な金融政策スタンスの維持。財政政策については、l財政の持続可能性を確保しながら、支援的な短期刺激を維持する必要がある。

 重要なのは、本質的に「構造的」な政策改革が日本の人口動態の逆風を乗り切るために不可欠であるということだ。労働市場改革は、成長とより高いインフレをサポートするという点で最大の利益をもたらすことができるため、最優先事項となる。女性と未雇用者の職業訓練と雇用機会の増大は、労働生産性と賃金の向上に役立ちます。女性、高齢労働者、外国人労働者を増やすことで、労働力を確保する改革が必要である。たとえば、育児の支援体制充実は女性の労働市場への参加を促し、企業の定年制廃止は高齢労働者を支える。

 製品およびサービス部門の規制緩和、中小企業の改革、およびコーポレートガバナンスの改革は、生産性と投資を高めるために重要。貿易をさらに自由化し、外国直接投資を促進する改革は、投資と成長につながる。

 以上のような改革の実施により、日本の人口動態に起因する予測成長率の60%を相殺できる可能性がある。さらに作業の「自動化」、特に医療、輸送、イ​​ンフラ整備事業、金融分野での「自動化」は、高齢化と人口減少によりもたらされる課題を軽減するのに役立つだろう。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

Product and service sector deregulation, reforms to small- and medium-sized enterprises, and corporate governance reforms are important to lift productivity and investment. Reforms to further liberalize trade and promote foreign direct investment will further support investment and growth. A credible implementation of the reforms outlined above could offset as much as 60 percent of the predicted demographic-driven growth slowdown. Moreover, automation can also help mitigate the challenges brought on by an aging and shrinking population, particularly automation in healthcare, transportation, infrastructure, and fintech.

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2020年2月12日