(2019.7.13 Vatican News Devin Watkins)
南米ベネズエラはマドゥロ独裁政権下で経済が崩壊、深刻な政治・社会不安の中で多くの国民は悲惨な状態に陥っているが、中南米全域の司教たちで組織するラテンアメリカ司教協議会((CELAM)は12日、会長のミゲル・カブレヨス・ビダルテ大司教名で書簡をベネズエラの国民と教会宛てに送った。
書簡は「ベネズエラ国民は、複雑で激烈な政治、経済、社会状況に直面し、民主主義、人権、そして(注:キリスト教精神に基づく)環境保護が危機に瀕している」として、同国と国民が危機的状況に置かれていることを強調。ベネズエラ国民と教会に対して、強い連帯と支持を表明するとともに、「正当性を欠き、過った」政権という表現で、事実上、マドゥロ現政権の退陣を求めた。
国連がこのほど発表したところによると、ベネズエラの保安部隊は、2018年1月からこれまでに、すくなくとも6800人の国民を殺害した。医療保険制度は悲惨な状態にあり、食物を得る権利も侵害されている。経済全体も今年だけで前年対比で25%も縮小しており、国民は予期しない食料不足や極度のインフレに直面している。
ラテンアメリカ司教協議会は、カトリックの人権保護・支援団体の地域組織であるカリタス・ベネズエラに緊急食糧援助の支援を求めた。そしてベネズエラ全国民に、正義、自由と連帯の下に、調和ある平和的な共存の道を選ぶよう訴え、「政治は基本的な倫理原則に従わねばならず、人間の尊厳への侵害は神ご自身への侵害だ。そうした考えで、私たちはベネズエラの司教団と一致している」と言明した。
そして、書簡の最後に、カブレヨス大司教は、ベネズエラの国民と教会に対する支援を確認し、ベネズエラの守護、コロモトの聖母が仲介してくださるように祈った。
(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)