・中央アフリカ、カトリック教会運営の難民キャンプで虐殺

(2018.11.16 VaticanNews  Christopher Wells)

 紛争が続く中央アフリカで15日、カトリック教会が運営するアリンダオの難民キャンプが武装集団に襲われ、40人以上が殺害された。武装集団はさらに近くの司教座聖堂と司教の邸宅も攻撃目標にしているという。

 この難民キャンプはアビナオ教区が運営しており、2万5000人の収容能力を持ち、所属宗教の区別なく希望者を受け入れている。2015年に教皇フランシスコが同国を訪問されたのをきっかけに、教会が先導して住民の和合を育てる目的で始められた。

 難民キャンプ襲撃のニュースは、ソーシャルメディアによって15日朝、伝えられた。ローマ在住の中央アフリカ国民、マルセリン・クペオウ神父はアビナオ教区の会計担当から彼らのために祈ってくれるように、とのメッセージを受け取った。現地と話をした際、話をしている相手の背後で銃声が聞こえた、といい、彼らから「自分たちは(武装集団に)包囲されている、周りで起きていることを現地当局に警告してほしい」と頼まれました、と語った。

 現地からの情報によると、武装集団はキャンプのテントに火をつけて回り、人の多くは生きたまま焼かれ、少なくとも40人が命を落としており、最終的にはさらに人数が増えるとみられる。聖職者もアリンダオ教区の司教代理、ブレイズ・マダ神父が殺され、他の1人の神父も襲撃の際に負傷して行方不明、安否が気遣われている。

 武装集団は「UPC(中央アフリカ平和連合)」といわれ、キリスト教系の武装組織「アンチバラカ」に回教徒男性が殺されたことに対する報復だとみられている。同国では政治的な緊張が民族、宗教などで別れた派閥間の闘争に発展しており、国際援助組織の「国境なき医師団」によると、人口450万人の中央アフリカ69万人を超す人々が故郷を追われて国内難民となり、約57万人が周辺国に離散している、という。

 襲撃の直後にVaticanNewsは首都・バンギ大司教区の司教代理、マシュー・ボンドボ神父から話を聴いたが、武装集団は「テントを焼き、殺し、人々の持ち物を略奪した」という。

 また、襲撃は、アリンダオ教区のシルネスト・ヤパウパ司教が脅迫を受けていたころから、計画的とみられるが、襲撃後、司教とは連絡が取れていない。司教は、国連の平和維持軍に脅迫を受けていることについて、報告していたが、襲撃の際、教会施設は無防備で、国連軍は到着したものの、介入しなかった。「(注 :国連軍が頼りにならないので)誰もが、自分の工夫で対応するしかありませんでした。武装集団は、やりたいようにする余裕があり、実際にそうしたのです」とマシュー神父は、国連軍の無責任な対応に怒りを示した。

 そのうえで、神父は「私たちは憤り、心は悲しみで一杯です。人間として、私たちは悲しんでいます。それでも、この襲撃によって、教会が福音宣教の使命を果たすのを妨げられることはありません。教会は強さを保っています。そして、私たちはまだ、生きており、使命を果たし続けます」と言明している。

(翻訳「カトリック・あい」」南條俊二)

 

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2018年11月18日