・「中国の望みはバチカンの”降伏”だ」-陳枢機卿、米議員に訴え

(2020.2.14 カトリック・あい)

 中国共産党・政府のカトリックを含む宗教弾圧にかねてから警鐘を鳴らしている香港の陳日君・枢機卿が訪米し、11日、ワシントンで米議会下院の議員たちと、中国の現状について意見を交換した。

 陳枢機卿が同日、カトリック系の有力通信社CatholicNews Service(CNS)のインタビューを受けて明らかにしたもの。枢機卿はワシントンで、中国における信教の自由を含む人権侵害問題に積極的に取り組んでいる米議会のクリス・スミス下院議員(共和党)はじめ関係議員たちと会談した。

 会談では、中国共産党・政府が進める宗教の「中国化」、宗教を強制的に支配下に置こうとする現状について認識を共有。枢機卿が、最近の中国国内の状況について「クリスマスを祝うことが禁じられ、聖書は地方政府当局の命令で書き換えられている」など、”迫害”が進んでいる現状を説明したのに対して、スミス議員は「そうした行為がカトリック教会の麻痺に影響を与えている」との認識を示した。枢機卿は、中国共産党・政府の攻勢が一段と強まる一方で、これに抗しようとする気概のある司教たちは高齢化し、世を去りつつあり、司祭も減っており、状況は絶望的になりつつある、と、米議会の一段の理解と支援を訴えた。

 CNAとのインタビューで陳枢機卿は、中国におけるカトリックへの迫害だけをみても、(注:共産党・政府の規制・監督を拒否する)”地下教会”のみならず、(共産党に服従する)”公式教会”に対しても厳しさを増しており、「その状況は悲惨。このままでは消滅させられてしまう」と危機的な状況を説明。

そして、バチカンの対中国政策について、一昨年秋の中国国内の司教任命に関する暫定合意の後、中国共産党・政府による弾圧が一段と強まっているが、「教皇フランシスコは中国のことをあまりご存じない」としたうえで、対外政策の責任者であるバチカン国務省長官のピエトロ・パロリン枢機卿を名指しで非難。

 「私はパロリンと戦っています。悪いことは彼からきているからです。彼の”東方政策”は極めて楽観的だ」と批判し、「私は、信仰の”迫害者”である中国共産党に妥協することはできません。彼らは、バチカンの”完全降伏”を望んでいるのです」と言明した。

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2020年2月14日