・教皇が未成年者の保護の考察のためのガイドラインを提示

(2019.2.21 バチカン放送)

 「未成年者の保護」をテーマにした”サミット”初日の21日、教皇フランシスコは考察のためのガイドラインを討議の出発点として示された。ガイドラインは、同会合の準備に携わったいくつかの委員会と司教評議会が起草したものだ。

 内容は「一つの懸案が発生した場合、当局の管理のもとになすべき事柄を、段階的に説明する実用的な要覧の作成」「専門家や経験深い人によって構成された組織を作り、被害者とされる人に耳を傾け、その件についての最初の識別を行う場とする」「司教や修道会の長上が直接関与するための規範を制定する」「訴えに対する調査、被害者の保護、訴えられた者が弁護される権利のための、共通の手続きの実行」「民法と教会法の尊重のうちに、市民社会上の当局、教会の責任者の双方に情報を通達する」などだ。

 また、「すべての司牧の場において未成年者のための安全な環境を守るため、定期的な規則等の見直し」「司教が告訴された場合に特化した対応・手続き」「被害者の完全な癒しに必要なすべての支援を提供しながらの、被害者の保護とケア」「司教・修道会責任者・司祭・司牧関係者の生涯育成を通し、性的虐待の原因とそれがもたらす結果についての認識の深化」「虐待被害者の共同体への司牧的ケアの行程と同時に、加害者の回心と更生のための行程の準備」などが挙げられている。

 さらに「正真のケースと偽のケース、告訴と中傷とを区別するために、すべての善意の人々とマスメディア関係者との協力を強める」「結婚可能年齢を16歳に引き上げる」「性的搾取(および/または)パワーハラスメントをめぐる調査、教会裁判の様々な段階の審議において、信徒の専門家の参加を定め、その参加を容易にする規定を作る」「被告人の防御権:最終的に有罪が証明されるまで、自然法・教会法上の無罪の仮定の原則を守る」「未成年者への性的虐待を犯した司祭・司教は公の場で聖職を行使することができない、という犯した罪に対応する罰の伝統的原則を遵守する」今年などが、考察のポイントとして示されている。

 ガイドラインは、考察ポイントとして、「神学生や司祭・修道者候補に対し、人間性・霊性・性心理学上の成熟、人間関係、態度を確立するための初期及び生涯育成プログラムを導入する」「司祭・修道者候補に専門家による心理的鑑定を行う」「神学生・修道志願者を一つの神学校から別の神学校へ、および司祭・修道者を一つの教区・修道会から別の教区・修道会へ移動させる際の規則を明示する」「聖職者・修道者・教会奉仕者・ボランティアのために、ふさわしい人間関係の許容範囲を概説するために、取るべき態度の基準を作る。

 また関係者・ボランティアに必要な資格を明示し、犯罪証明書を確認する」「虐待の危険と発生について、また、いかに虐待のしるしを認め、性的虐待の疑いをどのように訴えるかをめぐり、すべての情報とデータを明示する」「被害者が受けたとされる虐待を訴えるために、アクセスが容易な機関を、まだ準備していないところは、それを創設する必要がある」などの提言も取り上げている。

(編集「カトリック・あい」)

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2019年2月22日