(2017.1.21 CRUX バチカン特派員 イネス・サン・マーチン)
米国のドナルド・トランプ新大統領就任のタイミングで、教皇フランシスコは20日のスペインの新聞 ‘El Pais.’とのインタビューに答え、「危機を克服し、人々の破壊を終わらせる、と約束する政治的な『救済者』」に対して警告を発した。また、中国、自分自身の批判者、解放の神学、そしてバチカンの汚職問題などについても、言及した。
その中で、 教皇は、新大統領が行動を起こす前に判断を下すのは「無謀」としながら、危機を克服し、危機にさいなまれている人々を破壊するのを終わらせる、と約束する政治的な「救済者」に警告した。
さらに、欧米でポピュリズム(大衆迎合主義)の動きが高まっている問題を取り上げた教皇は、アドルフ・ヒトラーの亡霊を引き合いに出し、「ドイツの国民全員がヒトラーに投票したのです。彼は権力を盗み取ったのではない。国民に選ばれ、国民を破壊しました」と語ったうえで、「そのような危険があるのです」と警告した。
そして、「危機に直面して、識別が機能しない、そしてそれが、私にとっていつも思い起こされ続けているのです」と述べ「(人々はこう考えます)『さあみんな。我々の主体性を取り戻しくれる、主体性を奪おうとする人々から我々を壁や針金で守ってくれる〝救済者″を探し求めよう』と。これは、とても憂慮すべきことです」と重ねて警告した。
この日の’El Pais.’とのインタビューで、トランプ大統領について聞かれた教皇は「これから起こるかどうか分からないことを心配したり、喜んだりするのは、無謀なことでしょう。起きないだろう災難や好ましいことを予言するように」と前置きし、「彼が何をするかを見てから、評価しましょう」と語った。
また、記者の「これまでお聞きになったことで心配されていることがありますか」との問いには、「私は待っています。神は私のためにこれまで待ってくださいました。私のすべての罪と共に・・」と答えた。
移民・難民問題に関しては、「国々は国境を管理する権利を持っています。テロ攻撃の危険に直面している場合は国境管理はもっと重要になるでしょう。しかし、人々が隣人たちと話をする機会を奪う権利は、どの国にも無いはずです」との見方を述べた。
関連して、新たな難民を受け入れる必要を語り、教皇は地中海が難民の〝埋葬場所″になっていることを嘆いた。また、ラテン・アメリカの解放の神学について〝肯定すべきもの″との見解を示したほか、中国における信教の自由や自身の後継者を選ぶ教皇選挙についても言及した。
さらに、自身に向けられている批判に関しては、自分の判断について人々が問いを発するのは妨げるような〝独裁者″の態度はとらない、とする一方で、批判する人は堂々と人前ですべきで、〝石を投げつけ、その手をかくすようなこと″はすべきでない、と批判した。
中国は、バチカンと国交を持たない数少ない国だが、教皇は北京政府との間で国交樹立に向けて続けられている対話について触れ、歓迎されればいつでも中国を訪れる用意があることを改めて表明し、「招待されれば訪問する意思のあることを中国側は知っています」と語った。また、中国における信教の自由の問題については「中国では、どの教会も人でいっぱいです。中国で宗教を実践することができます」と述べた。
2016年の半ば現在、少なくとも3人の司教と12人以上を司祭が中国国内で投獄されていることが分かっており、各地でカトリック信者が脅しを受けたり、圧力にさらされているとの訴えが日常化している。だが、中国の国内にいる信者たちがさらなる困難に追い込まれないような Ostpolitik-strategy(東西融和戦略)を、教皇がとっているのだ、との見方もある。
また1968年のラテンアメリカ司教会議以後にで生まれた解放の神学への評価について聞かれた教皇は、マルクス主義的な現状分析を使用したことで当時、バチカンから批判されたが、現状分析には「偏向」があったが、解放の神学そのものは「前向きなもの」だったと答えた。
75分にわたるインタビューの中で、教皇はまた、カトリック教会内部での汚職問題に触れ、「4年前に、教皇の別荘、 Castel Gandolfoで前任者のベネディクト16世から、白い箱を渡された。そこには、バチカンの現状についてのメモが入っており、「そこにあらゆるものが書かれていました」と述べた。そして、バチカンには「多くの聖人たち」がいる、腐敗した人々だけではないことを強調した。さらに、汚職、腐敗問題以上に心配しているのは、人々が抱える現実の問題に注意を払わない、教会の高位聖職者と司牧担当者によって「この世の俗事に麻痺している教会」だ、と指摘した。
最後に、自身の後継者を選ぶ教皇選挙はどのような形が望ましいか、との問いに、教皇は「カトリックです。私の後継者を選ぶのはカトリックの教皇選挙です」と答え、あなたは後継者にお会いになりますか、と生前退位の可能性をにおわす質問には、「私には分からない。神がお決めになるでしょう。これ以上前に進めない、と感じたら、私の偉大な先生であるベネディクト16世がどうしたらいいのか、教えてくれました。そして、もし神が私をお連れになるなら、私は別の場所で後継者と会うことになる。それが地獄でないことを望みますが・・」と答えた。
(2017.1.20 Crux バチカン特派員 イネス・サン・マーチン)
ドナルド・トランプの米大統領就任式の日、教皇フランシスコは伝統に従って、就任を祝う電報を新大統領に送り、貧しい人々への配慮を第一にするよう、強く求めた。
教皇は祝電を、「全能の神」への祈りから始め、「私たちの人間家族が深刻な人道上の危機に悩まされ、思慮分別のある一致した政治的対応が求められている時に当たって、私は祈ります。あなたのこれからのもろもろの決断が、米国民の歴史を形作ってきた豊かな霊的、倫理的な価値観と米国が続けてきた人類の尊厳と自由の促進への努力によって、導かれますように」と期待を表明した。
159語の祝電ではまた、トランプ政権下での〝アメリカ像″の尺度が「何よりも貧しい人々、社会からのけ者にされた人々、そして私たちの家の扉の前に立っているラザロのように、助けを必要としている人々、への配慮」であり続けるように新大統領に求めた。
締めくくりで、教皇は、新大統領とその家族、アメリカの全国民に「平和と和合と物的、霊的繁栄の恵み」を与えてくださるように、と神に祈りをささげた。
教皇が一国の大統領の就任式に祝電を送るのは一般的ではないが、今回のことは必ずしも予想外のことではない。通常の外交儀礼ではないが、イタリアや米国のように国家元首の就任にあたって祝電が送られるようなケースもある。
教皇は2015年に母国アルゼンチンのマウリシオ・マクリー大統領の就任にあたって祝電を送り、問題になったことがあるが、米国大統領への祝電はベネディクト16世がオバマ大統領に、ヨハネ・パウロ2世がブッシュ大統領に送っている。いずれの祝電も米国民の「素晴らしい」あるいは「豊かな」宗教的、政治的伝統、個々人の尊厳の権利への敬意、「特に貧しい人々、無力な人々、声を挙げられない人々」への配慮、について語っていたが、ベネディクトは「無力な人々」の代わりに「社会からのけ者にされた人々」という表現を使った。
教皇フランシスコの祝電がこれらに共通しているのは、米国の新大統領が「世界の人々と理解し合い、協力して、平和を育てていく」よう求めていることだ。
【2017.1.16 CJC】北朝鮮専門のニュースサイト『デイリーNK』によると、北朝鮮にもキリスト教信者がおり、地下教会も存在、さらに朝鮮人民軍(北朝鮮軍)内部にも、キリスト教信者がいたことが確認された。
韓国紙『朝鮮日報』系のケーブルテレビ『TV朝鮮』が、北朝鮮民主化運動組織の「朝鮮改革開放委員会」から入手したとして公開した、平安南道・南浦(ナムポ)市にある朝鮮人民軍烽火山(ポンファサン)235軍部隊の内部資料によって明らかになった。
米国務省は、北朝鮮を2001年から15年連続で「宗教弾圧が特に懸念される国」に指定し、宗教指導者や信者に対する死刑や拷問を行っていると指摘している。
【2017.1.16 CJC】イランのニュースサイト『PARSトゥデー』によると、アリー・ラーリージャーニー国会(イスラーム諮問評議会)議長が、各宗教の信者に対する差別は憲法上は存在しない、と語った。
ラーリージャーニー議長は1月4日、国会で、イランのアッシリア教会、アルメニア教会の代表と会談し、「イランの憲法において、すべての宗教の信者は平等な権利を有している」と語った。また、西暦の新年に際し、祝辞を述べ、「預言者イエス・キリストは、他の神の預言者たちと同様、平和と友好のメッセージを伝えた。人々の間で、公正を確立し、愛情や幸福をもたらす、という預言者キリストの行動様式は人類の模範となるべきだ」と述べた。□
【2017.1.9 CJC】教皇フランシスコは1月9日、新年にあたってバチカン(ローマ教皇庁)駐在の各国外交団と会見した。教皇は席上、北朝鮮による核実験について「地域全体を不安定化させ、新たな核軍拡競争に関する懸念を国際社会に生じさせる」と批判した。
その上で、バチカンとして、国際会議の場を利用し、核兵器の廃絶に向けた「平和と安全のための倫理」の確立を訴えていく考えを示した。また、世界の各宗教の指導者に対して「何人も神の名の下に人を殺すことはできない」と反テロで声をそろえるよう呼びかけた
【2017.1.14 CJC】パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は1月14日、バチカン(ローマ教皇庁)で教皇フランシスコと約20分間会談した。世界各地のテロ・過激主義と闘う重要性や、イスラエルとの和平プロセスなどについて話し合った模様。バチカンは世界に約13億人の信徒を擁し、国際的な影響力が強い。パレスチナ自治政府としては、親イスラエル路線を取るドナルド・トランプ氏の米大統領就任を控え、バチカンとの関係強化によって、次期米政権の動きをけん制する思惑があったと見られる。
バチカンは2014年にアッバス議長とイスラエルの故ペレス前大統領を招いて和平祈願の集いを開き、15年に「パレスチナ国家」を承認した。パレスチナ自治政府はバチカン駐在大使館の開設を進め14日、アッバス議長が会談後、大使館の開設式典に出席した。
アッバス議長は記者団に、米国のトランプ次期政権下で懸念されている米大使館のテルアビブからエルサレムへの移転について、「和平への妨げになる」と改めて反対を表明した。トランプ氏は選挙戦で、エルサレムをイスラエルの首都と認め、米大使館を移すと述べている。イスラエルは占領地の東エルサレムを含めたエルサレム全域を「不可分の首都」とするが、米国や日本を含め多くの国はイスラエル最大の商業都市テルアビブに大使館を置いている。
バチカンの声明によると、教皇と議長は会談の中で、紛争の「公正かつ永続的な解決」のため、イスラエルとパレスチナの直接交渉が早期に再開されるよう期待を表明。相互の信頼醸成と和平促進に向けた取り組みを国際社会が支援するよう呼びかけた。□
アジア地域のカトリックの若者の集い、アジアン・ユース・デー(AYD)が7月30日から8月6日まで8日間、インドネシアのジョグジャカルタ市で開かれる。AYDは、 信仰を生きるアジアの仲間と出会い、お互いの連帯と信仰を深めるアジアの青年大会で、今回の テーマは「アジアの若者よ、多様性あふれたアジアの文化の中で、福音を喜んで生きなさい!」 。アジア約 28 カ国のカトリック教会青年代表およそ 2,000人が参加し、ホスト国インドネシアの文化・社会と教会の福音的な 取り組みに触れながら、典礼、体験学習、ホームステイ、文化交流、自国紹介など、共に祈り、共に学ぶ。
7回目となる今回は、日本から 50名の青年が招かれ、主な予定は 事前の行事として、7 月 30 日から8 月 1 日まで教区での活動に参加し、大会は 8 月 2 日から6 日まで、「多様性に富んだアジアの国が一つに集う 」「多様性に感謝し、祝う」「文化的多様性の中で一つになる」「交わりを祝う」「福音の喜びを生き、分かち合う」をそれぞれの日々のテーマとして祈り、学ぶ。
対象は18歳から35歳までの大学生上で多少の英語力が必要。大会参加費は約25000円で、日本からインドネシアまでの往復旅費も自己負担。参加希望者は、カトリック中央協議会のホームページから申込書をダウンロードし、必要事項を記入の 上、gensec@cbcj.catholic.jp に送る。 締め切り は 2 月末。問い合わせは 〒135-8585 東京都江東区潮見2-10-10 カトリック中央協議会 青少年司牧部門 へ。TEL 03-5632-4480 FAX 03-5632-4465 gensec@cbcj.catholic.jp
(2017.1.10 CRUX バチカン特派員 イネス・サン・マーチン)
新聞やソーシャル・メディアに目を通すと、教会は限られた課題にしか関心を払っていないように見られるかもしれない。教皇が昨年出された、家庭に関するさまざまな課題への教会の対応についての使徒的勧告「愛の喜び」をめぐる議論、難民問題、そして貧困問題など、だ。しかし、世界の教会には、それぞれの属する大陸、国、あるいは教区のレベルで多様な課題が山積している。
例えばアフリカの多くの国では、教区司教と一般信徒が、信徒の増大に対して、どのように聖職者が対応していくべきか、そして大半の宣教地域で月末の収支合わせに苦闘している。ジョージタウン大学の調査によると、アフリカのカトリック信徒数は1980年当時の3倍、2億人以上に増えている。その一方で、ドイツなどでは、聖職者の新規叙階の減少が懸念材料ではあるものの、信徒の維持がそれよりも大きな課題だ。同国の司教協議会によると、2015年一年だけで、前年よりも22パーセントも多い21万7716人の信徒が教会を去った。
だが、特定の司教協議会にとって特別に重要な課題がいくつか存在し、これらの司教協議会などからクリスマスと新年に発せられるメッセージが、今年1年、彼らが何を課題と考えているかを知るうえでの参考になる。
フィリピン:大統領が進める死刑と非合法的殺人にノー・・
バチカンのニュース通信社によると、フィリピン司教協議会会長のソクラテス・ビレガス大司教は、死刑復活の支持と麻薬取り締まりに関連した殺人の多発でドゥトルテ大統領を非難した。大司教は大晦日のミサでの説教で「死刑復活の法案が議会で支持されれば、大統領は人々を殺すだろう、その多くは、麻薬取引やその他の犯罪で訴えられ法廷で戦うための弁護士を雇えない、貧しい人々だ」と批判し、フィリピンの人口の86パーセントを占めるカトリック信徒たちに、こうした動きに反対するだけでなく、無実の人々、その多くが不正と貧困の犠牲者である人々を不当に扱う政府の麻薬撲滅戦争に反対するよう、強く呼びかけた。大統領は昨年6月に政権に就いた厳しい言葉で大衆の人気を集める人物で、不法な麻薬取引を根絶するために何千人もの非合法殺人を進めていることで国際社会から非難を浴びている。。
ベネズエラ:バチカンの仲介も成果生まず・・
世界最大の原油埋蔵量を持つ産油国ベネズエラが今、政治的、経済的、社会的な危機に沈みつつある。犯罪が急激に増え、何千人もが飢えと治療可能な病いで命を落としている。マドゥロ大統領と反対勢力の同盟は、バチカンの仲介で、危機に対する共同の解決策を見つけるとみられていたが、年末になって交渉が不調に陥った。
仲介に努めていたベネズエラ司教協議会会長のディエゴ・パドロン枢機卿は新年の1月7日に司教総会を開き、「2016年はベネズエラにとって極めて好ましくない終わり方をした。人々はこの半世紀で、最も厳しく、先の見えない、不公平な状態に置かれている」と訴えた。そして、「対話のテーブル」は「中傷の羅列、大統領派、反大統領派の双方に対話の意思がないことで、壊れてしまった」
「双方ともに、対話の呼びかけを単なる政治的な戦略に使い、厳しい経済的な危機-インフレが加速し、治安の悪化、食料と医薬品の欠乏-に取り組む意思を持っていない」と批判。「ほどなく、政治指導者たちは国を破壊する危機を脱出するために、民主主義の名において対話をし、交渉をし、合意する方向に向かわずにおれなくなるだろう。権力の不条理、汚職、暴力に対する唯一つの解決方法だからだ」と付け加えた。
ナイジェリア:死の文化を終わりにしよう
「我々はあまりにサディスティックになり、そのような残虐な行為が、刑罰を受けない、無秩序、無政府、破滅の文化を創り出していることが分からなくなっている。ボコハラムによる不必要な殺害が十分ではないかのように」。ナイジェリア司教協議会のイグネーシャス・カイガマ会長は新年のメッセージで訴えた。
「人間の命と牛や山羊、羊、鶏の命の違いが分からないような文化が出来つつあります」とも。会長は、イスラム過激派のテロ集団・ボコハラムが生まれたジョスの大司教を務めており、人種や民族、宗教を動機とする暴力の恐ろしさを肌身で感じている。「聖書は、神は男と女を創り、産めよ、増えよ、地に満ちよ、と求めた。暴力によって人口を減らせとは言っていません」と強調し、人間の尊厳を損なうような殺戮への無感覚は、ソーシャル・メディアで流される首をはねられ、損壊された遺体の写真とで〝頭を混乱〟させ、国際社会の懸念を増大させている、と付け加えた。
そして、政府に現在の事態を収拾する解決策を見出すように改めて訴えるとともに、軍・警察に対して、武器を乱用しないように求めた。
コンゴ民主共和国:森林が消えていく・・
この国の司教団はクリスマスのメッセージで、過度の伐採と森林再生政策の欠陥のために森林が徐々に消えていることを批判し、環境の保護を強く訴えた。バチカンの通信社によると、司教団は、コンゴ共和国は「神に祝福された国」で、林業、農業、鉱業、水産業などの分野で資源に恵まれている、としたうえで、「我々はこのような恵みを使って何をしているのだろうか」と問いかけた。
さらに、廃棄物の回収システムが不在で、市街地にゴミが捨てられ、道路や河川がゴミ捨て場になっている、と指摘。飲用や水浴用の水を供給する湖や河川が住民によってトイレやゴミ捨て場にされ、人々の健康を害している、と指摘した。
教皇フランシスコが2015年に環境に関する回勅「ラウダートシ」を発表した後、司教団は自然と教育を大切にする「環境的な回心」を呼び掛け、学校とテレビ放送を通じた市民教育プログラムなどを提案した。「だが、運動は、通りにゴミを捨てないことで始まったが、ゴミ箱に入れることをしていない」と嘆いている。
以上は、4つの例でしかないが、これ以外にも、世界中で多くの問題が起きている。米国の司教団は、現地のキリスト教指導者とともにイラクの平和実現へ祈りを捧げ、クリスマスのメッセージで、移民・難民を支援する意向を強調している。教皇の母国、アルゼンチンでは、教会指導者の何人かが政府に対し、汚職と非合法麻薬取引の刑罰のがれの撲滅に取り組むよう強く求め、ブラジルのサルバドーレ・デ・バヒナ教区は年少者労働や非行の増加で、海外からの旅行者に認識を高めてもらう2か月のプログラムを始めた。
(2017.1.4 TABLET ミーガン・コーンウェル)
バチカンの広報事務局の発表によると、2016年に教会での司牧活動中に殺害された聖職者と一般信徒の数が28人と、過去7年で最多となった。28人の内訳は司祭14人、修道女9人、神学生1人、一般信徒4人で、2015年に比べて6人増えた。地域的には、アメリカ大陸での犠牲者が9人で、8年連続で最多。
発表によれば、半分以上の犠牲者が強盗に襲われたものだが、暴行を受けたケースもある。そのうちの1人、ジャック・ハメル神父は、フランスのルーアン近郊の教会でイスラム過激派に刺殺された。欧州で殺害された唯一の司祭だった。
スペイン人修道女のイサベル・ソラ・マタス女史は、9月にハイチで、ポルトアプランス近郊の治安の悪い場所を走行中に殺害された。財布が奪われ、拳銃で胸を2度打たれた。
(ジャック・ハメル神父は2016年で世界で殺害された司牧活動者28人の一人だ)
ミルヒル宣教会のマイケル・コルコラン総長は武装強盗の人数が増加している、と言う。「宣教活動が行われ、西部のこの地域には小教区もあり、沢山の資源にも恵まれています・・連中は盗みの最優先の標的にし、殺すのです」。そして、途上国においてカトリック教会が直面している危機の一つとして人権の侵犯を挙げた。「多くの国で、私たちの宣教者が人権問題と不正、劣悪な環境のもとに置かれている。人々は時折、宣教者たちの立場に反感を抱き、宣教者たちは多くの危険に遭遇している。信じることを堅持することで多くの人が殺されているのです」と語る。「結局のところ、福音はカトリック信者を〝紛争状態〟追い込んでいる。〝誰もが語りたがらない時に、耳を傾けるべき声〟だからです」。
教会にとって最初の殉教者となった聖ステファノの祝日にあたって、教皇フランシスコは「なんと多くの兄弟姉妹が、虐待と暴力を受け、イエスを信じるゆえに嫌悪されていることでしょう」と語った。「現在の殉教者の数は1世紀当時よりも多いのです」と。
バチカンの発表では、「martyrs(殉教者たち)」という言葉を使わなかった。「彼らが殉教者かどうか判断するのは、カトリック教会であり、多くの場合、殉教者と認定するのに必要な情報がほとんどない」からだという。
(以上は、カトリック修道会・イエズス会がイギリスで発行する、世界的に権威のあるカトリック週刊誌TABLETから、「カトリック・あい」が許可を得て翻訳・転載したものです。 “The Tablet : The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher” and that you quote our website address http://www.thetablet.co.uk )
(2016.12.31 CJC通信)
【CJC】中国におけるカトリック政府系教会の最高機関『第9期中国天主教代表会議』が12月27日から29日まで北京で行われた。政府系カトリック組織『中国天主教愛国会』の聖職者365人などが出席した。
国交のないバチカン(ローマ教皇庁)との関係改善について、出席した中国政府国家宗教事務局の王作安局長が「建設的な対話を望んでおり、違いを縮小し、共通認識を拡大して改善を進めたい」と意欲を示した。
中国とバチカンは1951年に断交し、政府系教会と、教皇に忠誠を誓う非公認の地下教会に分裂している。教皇フランシスコは中国との関係改善に前向きで、最大の対立点である司教の任命権限を巡って詰めの接触をしている。
バチカンは12月20日、代表会議に中国国内の司教が出席することを事実上容認する姿勢を示していた。王局長は27日、「バチカンがさらに柔軟で実務的な態度を取り、行動によって有利な条件を創造してほしい」と評価した。
代表会議は「独立自主」や「カトリックの中国化を堅持する」など「習近平同志を核心とする党中央に緊密に団結する」方針を確認した。役員改選でも、『中国天主教愛国会』の主席に房興耀司教、司教団主席に馬英林司教を再選するなど政府系の司教が要職に留任した。
バチカンと中国は1950年代から司教の任命権などを巡って対立、前回2010年12月の代表会議は、直前に中国側がバチカンの承認を得ずに司教を任命して関係が悪化。バチカンは代表会議を「カトリックの教義と相いれない」などと非難した経緯がある。□
(2017.1.1 ジョン・L・アレンJr Crux EDITOR)
2017年元旦の日中の「お告げの祈り」の中で、教皇フランシスコは平和と和解を強調しながら、暴力が繰り返される世界の現実を認め、イスタンブールのナイトクラブで発生したテロで犠牲となった人々とその家族のために心からの祈りをささげた。
元旦は例年、カトリック教会が世界平和の日と定めている。だが、その日においてさえも、教皇は暴力が頻発する世界の現実を認識させられた。
教皇は、聖ペトロ広場に集まった5万人の人々の前で語った。「不幸なことに、幸せと希望のこの夜にも、イスタンブールで、重大な暴力行為が起きました」。「心からの悲しみをもって、私はトルコの方々、すべてのトルコ国民に心からのお見舞いを申し上げます」。
(2016.12.9 CJC通信)イスラエル北部のガリラヤ地方にあるテル・レヘシュ遺跡を発掘調査している日本の調査団が紀元1世紀のシナゴーグ(ユダヤ教会堂)跡を発見したと12月8日発表した。日本経済新聞が9日報じた。初期のシナゴーグ跡は同国でも7カ所しか見つかっていない。
見つかった会堂跡はナザレから約10キロにあり、南北8・5メートル、東西5メートル以上。自然石を組んで基礎を築き、ベンチとして切り石を壁沿いに並べてあった。日干しレンガで壁を築き、木製の屋根を架けたとみられる。中央には切り石の壇が据えてあった。天理大や立教大などの研究者らで構成した調査団は、2006年から同遺跡を発掘、これまでに紀元前3200年(前期青銅器時代)から2世紀(ローマ時代)にかけての建物跡や土器など、さまざまな遺構や遺跡を見つけている。□
【2016.12.26 CJC通信】異常気象、地球規模の地殻変動、それらにも影響を受けてか、政治的思惑によるためか人種・民族間の抗争と避難民の大量発生、移動中の遭難と、相次ぐ悲劇的なニュースに緊迫が増すばかりの世界で、2016年のクリスマスが祝われた。
☆
フィリピン南部ミンダナオ島の北コタバト州にある教会周辺で24日夜、手投げ弾が爆発し、クリスマスイブのミサの参列者ら16人がけがをした。
ミンダナオ島は、ドゥテルテ大統領の地元。9月には、島内のダバオ市でもテロが起きたほか、大統領警備隊の車両に爆発物が仕掛けられ、けが人が出るなど治安が悪化している。
☆
イラクでは過激派組織『イスラム国』から北部の都市モスルを奪還する作戦が続く中、すでに解放された周辺の町で24日、キリスト教徒の住民たちが一時的にふるさとに戻り、地元の教会でクリスマスを祝った。10月にイラク軍が奪還したモスル東方20キロにある町バルテラでは24日、キリスト教徒住民たちが3年ぶりに地元の教会でクリスマスを祝った。教会の屋根の上にある十字架は抗争で破壊されたが、クリスマスに間に合うよう、ボランティアの手で修繕されたという。
☆
ベルギーの首都ブリュッセルにある聖カトリーヌ教会の外壁に神社の鳥居や浮世絵の波模様などが浮かび上がった。日本を紹介する映像を投影するプロジェクションマッピングで、「クリスマス市場」でにぎわう教会前では24日、観衆から称賛の声が上がった。
今年がベルギーと日本の国交樹立150年に当たるのを祝い、日本大使館などが1年間行ってきた記念事業の一環。映像はベルギーの芸術家集団が制作した。
☆
バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂で、クリスマスイブのミサが教皇フランシスコによって24日夜、バチカンのサンピエトロ大聖堂で、クリスマスイブ恒例のミサが行われた。教皇は「爆撃を避けるため地下に隠れ、移民でいっぱいになった船に乗る」子どもたちがいると指摘、各地の紛争や難民問題が平穏な生活を奪っている現実に目を向ける大切さを訴えた。また「生まれることもできず、飢えを満たされず、手におもちゃではなく武器を持つ子どもたち」のために立ち向かう努力が必要と説いた。
☆
イエス・キリストの生誕地とされるヨルダン川西岸パレスチナ暫定自治区のベツレヘムには世界中からキリスト教の巡礼者や観光客が訪れるが、イスラエル側とを隔てる高いコンクリートの壁がたち、住民の移動の自由が厳しく制限されている。
23日、サンタクロースにふんしたパレスチナ人などのグループがイスラエルの検問所に向けてデモ行進を行い、来年で50年となるイスラエルの占領政策に抗議した。参加者らはベルを鳴らしながら「パレスチナに自由を」などと訴えたが、検問所でイスラエルの治安部隊に催涙弾などで追い払われた。
☆
ベツレヘムにある聖カテリナ教会で、24日深夜から25日未明にかけて、恒例のクリスマスミサが行われた。
聖カテリナ教会に隣接する聖誕教会の前の広場には、大きなクリスマスツリーが飾られた。
2015年はパレスチナ人によるイスラエル人襲撃事件などが相次ぎ、観光客も激減したが、ベツレヘム市は12月に巡礼・観光客12万人の訪問を見込んでいる。ホテルの客室稼働率も約90%にまで回復したという。
☆
5年以上にわたり内戦が続くシリアでは、政府軍が22日、同国第2の都市アレッポ全域を反体制派から奪還したと宣言した。現地では銃声がやみ、キリスト降誕の場面を再現する準備などが進められた。□
〈2016.12.13 各種報道をもとに「カトリック・あい」が編集)
The scene of a May 2015 attack on Christians in Aleppo. (Credit: Melkite Archdiocese of Aleppo.)
教皇フランシスコが13日までに、シリアのアサド大統領に書簡を送り、和平実現と人々への人道支援を強く求めた。
多くの死傷者を出す内戦が続くシリアで、13日現在、政府軍が最大の激戦地・北部アレッポの反体制派支配地をほぼ奪還し、完全制圧に向け最終的な作戦を進めていると伝えられているが、そうした情勢を受けたものだ。
12日にバチカン報道官から発表された声明によると、シリア駐在の教皇大使、マリオ・ゼナーリ枢機卿は「教皇が、親愛なるシリアの人々に対して特別の愛のしるしを示したい、と望まれました」と語った。声明はまた、「大使に託したアサド大統領への書簡で、教皇フランシスコは大統領と国際社会に対してシリアにおける暴力の停止、対立抗争の平和的解決を再度要請し、あらゆる過激な行為、テロを断罪し、大統領に、市民の生命を守り、人道支援を進めるために、人権を守る国際法を完全に遵守するよう強く求めた。
シリア: クラスター爆弾が降りそそぐ――アレッポ市東部
(2016.12.6 国境なき医師団)
シリア ・アレッポ市東部。コンピューター修理業のアブー・アハメドさん(27歳、仮名)が友人との待ち合わせ場所に向かっている途中、爆撃 が始まった。クラスター爆弾が降りそそぎ、その破片がアブー・アハメドさんの左足を貫通した。
それから1ヵ月。左足の骨折はいまだ完治せず、唯一の望みはトルコ で専門的な整形外科手術を受けること。しかし、シリア政府軍が包囲しているアレッポ市東部から出ることができない。寝たきりで途方にくれている彼の目に、連日の爆撃でがれきと化していく街が映っている。(取材日:2016年11月24日、28日)
(2016.12.9 Crux イネス・サン・マーチン バチカン特派員)
シリアの子供たちによる命の危険を冒して訴えの叫びは、シリア紛争終結へ国際社会を動かす助けになるかもしれない。
Picture of the Skype conference between children in Aleppo and the European Parliament. (Credit: ACN photo.)
「爆撃をやめて」。アレッポからの訴えは大きく、はっきりと聞き取れた。「私たちは、爆撃が続く中で、眠れません」と10歳のジャン・ポールが訴えた。「戦争で、たくさん友達をなくしました。遊ぶところもありません。表に出ると危険なので、家の中でした遊べない」。
14歳のサリムは、彼の住んでいる地域は、乱軍がいなくなって、政府軍も爆撃をしなくなったので、以前より静かになったというが、普通の生活はできない、と語った。「どこかへ行こうとすれば、生きて帰って来れるかわかりません」。友達は殺されるか難民として他の国に出て行くかして、誰もいなくなった。「僕たちも、いつ爆弾が落ちてくるか、怖い。皆さんが僕たちに平和を持ってきてくれるようにお願いします」。
10歳の女の子、サイリンは戦乱の中で育ったアレッポの子供たちの典型だ。「爆弾が私たちの家に降ってきました。水もなく、両親には働くところがありません。チョコレートも、お肉も、着るものも買えないのです」「私たちの国に平和が来るように助けてください」と訴えた。
そして最後に登場したのは、10歳のクリスティンだ。彼女は涙で濡れ、それを見ていた欧州議会の人々も一緒に涙を流した。「私は毎日、家から表に出ますが、いつも、家に戻れるか不安です。友達は他の国に行ってしまい、私は一人です。友達がたくさん死にました」。
Belgium, Brussels, December 6, 2016
A selection of drawings and messages gathered from over 1 million children from over 2000 schools in Syria (Homs, Aleppo, Damascus …) exhibited at the European Parliament. (Credit: ACN photo.)
アレッポ、シリアの第二の都市として繁栄していたこの町は、悲しい影となっている。瓦礫に埋もれた避難壕での勉強、生活、そして地上の半壊した建物群が政府軍と反乱軍によって東西に分けられた無人地帯になっている。このような状況を世界中の人達にもっと知ってもらいたい、と12月6日、アレッポに残された子供たちが、欧州議会の議員たちとのインターネットのスカイプを使った対話で、命の危険を冒して声を上げた。この日は、子供たちの守護の聖人、聖ニコラスの祝日だった。これに先立つ数週間、西アレッポにキリスト教徒とイスラム教徒の子供たち25人が、フランシスコ修道会の司祭のもとに集まり、平和を求める歌、絵、メッセージを準備した。
並行して、欧州議会の14人の副議長の1人であるイタリアのアントニオ・タジャーニが教皇の慈善団体、Aid to the Church(ACN)と協力して、ブラッセルでアレッポの2000以上の学校から提供された百万枚以上の作品から選ばれた子供たちの絵の展示会を開いた。合わせて、ブラッセルのカトリック教会の聖歌隊による平和を求める歌を収録し、アレッッポとブラッセルを結ぶスカイプを試み、欧州会議議員全員にこの企画への参加の招待状を送った。
だが、その直後に、アレッポで爆撃が激しくなり、学校は閉鎖され、道路は使えなくなった。このような事態を予想していたACNのブラッセル駐在員や関係者は、前もって収録してあった子供たちのメッセージなどを流すことにしたが、そうする前に、現地の司祭から、参加を予定していた25人の子供たちのうち6人が教会の裏の小部屋に集まった、と連絡が入り、予定通りスカイプを使った通信をすることになった。欧州議会の部屋に据えられた大スクリーンには、ブラッセル時間午後6時から、六人の恥ずかしそうに手を振る子供たちが映し出され、アレッポとブラッセルを結んだ対話がのだった。
司会をしたタジャーニは、欧州議会はアレッポの人々に寄り添うよう求め、爆撃の停止を訴えた。「キリスト教徒とイスラム教徒は共存できる。平和に生活することが可能なのです。私たちは平和のうちに共に生きることを願っています。
アレッポでは爆撃は日常化しており、国連の現地代表が7日に出した声明によれば、この町に残された人々は殲滅の危機に瀕している。 欧州議会のオブライエン議員によると、7日には、反体制派武装勢力がいる東部地域に対する政府軍の攻撃を避けようとした人々の少なくとも51人が殺害された。議員は、現在続いているアレッポでの一般市民の大量殺害は「私たちの世代のあやまち」とし、殺戮の停止を繰り返し訴えているが、この地域の紛争が始まって5年たち、大半の国は大使館を閉鎖し、アサド政権との外交関係を絶っており、多くの国際機関、活動団体も手の打ちようがなくなっているいるのが実情だ。
ACNのブラッセル駐在員、シマンスキーによると、爆撃が終止された地域では、ここの国が水道や電気の復旧支援を始めているというが、全域で平和が訪れる展望は立っていない。ACNはシリアにおけるカトリック教会の支援活動に対する最大の援助機関となっている。教会、学校、病院その他の市民サービスに必要な施設の再建を進めようとしている。アレッポで毎日の食事を12500食提供できるようにイエズス会の難民支援活動を援助している。「司祭や修道女がこちらにとどまって、地域共同体を助けるのに必要なものを提供しています」とシマンスキーは説明する。「私たちはキリスト教徒だけを助けようとしているのではありません。誰であれ困窮している方々を教会が助けられるように、支援しているのです」。
シリアでは、戦争が始まってから、すでに40万人が命を落とし、2960の学校が破壊され、290万人の子供たちのうち200万人近くが学校に通えない状態にある。
(訳・南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」(欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。最近、映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、ご紹介しています。
投稿ナビゲーション