一つの州だけで7年間に10万人がボコハラムの犠牲にーナイジェリアの司教が対応を訴え(Tablet)

(2017.4.13  Catholic News Service Tablet)

 ナイジェリアでイスラム過激派組織ボコハラムの活動拠点になっている北東部、マイドゥグリ・カトリック教区を担当するダシェ・ドエメ司教が13日、現地記者団に対して、ボコハラムは悪魔のような存在であり、物心両面で対抗していかねばならない、と訴え、さらに、ナイジェリア政府によるテロへの戦いが成功していることを評価するとともに、いまだにテロ攻撃や自爆テロがやまない北東部で起きているあらゆる暴力行為を終わらせるように、強く求めた。

 マイドゥグリ教区はボルノ、ヨベの二つの両州とアダマワ州の一部をカバーしている。このうちボルノ州では、カシム・シェッティマ知事によると、ボコハラムのテロが始まった2009年からこれまでに、同州だけで10万人が殺害され、210万人が自分たちの住まいを追い出されている。このような結果、5万2000人の孤児が自活を余儀なくされ、5万5000人近い女性が未亡人になっている、という。

 ドエメ司教は4月初め、殺害された10万人のうち、500人がカトリック教徒だったこと、25人の司祭と40人の修道女が宣教地を追い出され、2014年だけで北東部にある250の教会がボコハラムによって破壊されたことを明らかにしていた。また、8万人のカトリック信徒が迫害によって隣国カメルーンに避難させられた、という。

 さらに、司教はキリスト教の関係機関に対して、暴動の被害に遭った地域の再建を援助するように呼びかけ、「教会が犠牲者支援の一翼を担ったのなら、再建計画にも関与すべきだ」と語っている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 (写真は、昨年の爆破テロで負傷した多数の人々がマイドゥグリの病院に運び込まれた)

 (カトリック・アイでは、英国でイエズス会が発行している有力カトリック週刊誌Tabletから翻訳・掲載の許可を得ています。“The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher” and that you quote our website address http://www.thetablet.co.uk

 

 

 

 

 

 

2017年4月19日

「容認しがたい大虐殺、悲劇の早急終結を」シリア空爆で教皇フランシスコが声明

(2017.4.6 バチカン広報)シリア北部で化学兵器を使ったとみられる空爆があり、子供たちを含む多くの死傷者が出ているが、教皇フランシスコは5日の水曜謁見の際に声明を発表、これを強く非難するとともに、犠牲者のために祈り、内戦の早期終結にこの地域の社会も国際社会も全力を挙げるよう訴えた。声明は以下の通り。

 「私たちはシリアで起きている出来事を嫌悪を持って目の当たりにしています。イドリブ県でなされた容認しがたい大虐殺-多くの子供たちを含む人々が殺された-に、私は強い非難を表明します。私は、犠牲者とその家族の方々のために祈ります。そして、地域レベルで国際レベルで、この問題に政治的に責任を持つ方々の良心に訴えます。このような悲劇を終わらせ、戦乱によってあまりにも長い間、苦しみ続けた人々を救うように。また、危険で苦しい状況の中で、この地域に住んでいる人たちに援助の手を差し伸べようとしている方々の努力を称えます。」

(「カトリック・あい」南條俊二訳)

(関連記事)

シリア北部空爆で死者86人に―国連安保理はロシア反対で化学兵器使用非難決議の採決見送り

 【2017.4.6 読売新聞 ニューヨーク=橋本潤也】国連安全保障理事会は5日午前(日本時間5日深夜)、シリアのアサド政権が北西部イドリブ県で空爆に化学兵器を使ったとみられる問題で公開の緊急会合を開いた。米英仏は化学兵器の使用に関する非難決議の採択を目指したが、アサド政権を支援するロシアが激しく反発し、この日の採決は見送られた。在英の民間団体「シリア人権監視団」によると、イドリブ県での死者は86人に増えた

 米国のヘイリー大使は会合で、犠牲になった子供の写真を掲げ「目を背けることはできない」と述べ、各国に一致した行動を取るよう訴えた。化学兵器の使用はアサド政権によるものだと非難し、過去、シリア制裁決議案に拒否権を行使してきたロシアを「国連の制裁からアサド氏を守っている」と批判した。ヘイリー氏は、安保理として決議採択などで共同歩調が取れない場合、「独自の行動を取らざるを得ないことがある」と述べ、米国単独で軍事行動を取る可能性を示唆した。

 ロシアのサフロンコフ次席大使は、攻撃が反体制派の「でっち上げ」である可能性を指摘。シリア政府の代表者も「化学兵器は使っていない」と主張した。

 インターファクス通信によると、ロシアのガティロフ外務次官は5日、米英仏の非難決議案が採決されれば拒否権を行使すると警告。タス通信によるとロシアは5日、独自の決議案を国連安保理に提出した。ロシア国連代表部当局者はロシア案は「真相究明を目的にしたものだ」と説明した。

 国連関係筋によると、米英仏3か国が作成した非難決議案は、化学兵器の使用を非難する内容で、シリア政府に対し、国連と化学兵器禁止機関(OPCW)に攻撃当日のヘリの航行記録など軍事行動の情報提供や詳細な調査に応じるよう求めている。米英仏は「緊急会合後も交渉は続いている」(英国のライクロフト大使)としており、ロシアとの調整が続く見通し。。

  シリアを巡っては、国連と化学兵器禁止機関(OPCW)の合同調査団が化学兵器の使用を断定したことを受け、安保理が今年2月、シリア政府への制裁決議案を採決したが、ロシアと中国が拒否権を行使し、否決された経緯がある。

2017年4月6日

 カトリックの援助機関がシリア内外‶難民”援助訴えー日欧など97億ドル追加支援合意

 【2017.4.6 読売新聞ブリュッセル=横堀裕也】内戦が続くシリアを支援するため、国連や欧州連合(EU)などが共催する閣僚級会合が5日、ブリュッセルで開かれ、参加各国が2020年までに計約97億ドル(約1兆円)の追加支援を約束することを明記した共同宣言を発表し、閉幕した。

 会合には約70か国・機関が参加。日本からは薗浦健太郎外務副大臣が出席し、約2億6000万ドル(約280億円)の追加支援を表明した。追加支援はシリア国内の人道支援のほか、トルコやイラクなどシリア難民の受け入れ国の支援にも充てられる。

(2017.4.4 Tablet  Rose Gamble)閣僚級会合に先立って4日から開かれた国連主催の会議に、カトリックの六つの国際援助機関が合同報告書を提出、シリアから内戦前の人口の四分の一に相当する500万人以上の人々が周辺国に脱出しており、援助はこうした国々にも提供される必要がある、と訴えた。

 会議には、シリア北部で政府軍の化学兵器を使ったとみられる空爆で大量の死者が出ているとの報道がもたらされ、報告者のCAFOD、シリア・プログラム・マネージャーのアラン・トムリンソンは、こうした悲惨な紛争の終結をあらためて強く求め、「今回のようなひどい爆撃がさらに多くの死者を生み出し、国外へ脱出を余儀なくされる人々を生む。500万人以上のシリア難民が国外で安全を確保できるようにするのと合わせて、国内に留まることを決めて人々も私たちの緊急支援をもとめています」と訴えた。

 シリア難民の多くは、レバノンの農地、ヨルダンの偏狭な土地、トルコの粗末な家屋などに住み、働く場も教育も医療保健も満足に与えられておらず、合同報告書は、生計を立て、社会生活を送るための資金が不足しており、国際的な援助機関の支援を得て、隣接する国々がすべての難民に資金面で良好な援助をし、逮捕の恐れのないようにする必要がある、と訴えている。同時に、難民たちが、自分たちを受け入れる共同体社会に経済面で貢献することを認めるべきとし、「難民たちを法的保護の外に置き、教育を受ける機会を与えないような法的、政治的な障壁を取り除き、基本的な保健サービスを受けられるようにする必要がある」と強調している。

 EUによると、シリア国内で約1350万人が人道支援を必要としており、約500万人がトルコを中心とした隣接の国々に脱出している。国連は、シリア国内の人道支援に年間34億ユーロ、国外難民に47億ユーロの資金が必要としている。

(「カトリック・あい」 南條俊二訳)

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2017年4月6日

 ミャンマー少数民族への残虐行為に対する国連調査をカトリック教会が支持(Tablet)

(2017.3.30 Tablet Rose Gamble)ミャンマー政府軍によるイスラム教徒ロヒンギア族に対する残虐行為が問題になっているが、ジュネーブの国連規約人権委員会は残虐行為の申し立て立証のために特別調査団の緊急派遣を決定、ミャンマーのカトリック教会も支持を表明した。

 ミャンマーの少数民族、ロヒンギアの武装グループによる国境警備隊の詰め所攻撃で9人の警察官が殺害されたとされる事件に対する報復として、政府軍が防衛作戦を始めて以来、約7万7千人がミャンマーのラカイン州から避難したと報じられている。国連報告によると、今年2月までの数か月間にミャンマーの北西部で、政府軍による大量殺戮や集団強姦など重大な人権侵害があった。国連人権委員会は3月24日に特別調査団の派遣を決定した後、ミャンマー政府に対して、調査に全面的に協力するよう強く要請したが、ミャンマー政府はこれを拒絶。政府軍のミン・アウン・フライン最高司令官が3月29日の記者会見で「イスラム教徒ロヒンギアは不法移民である」とし、自らの行為を正当化する発言をしている。

 これに対して、ミャンマーカトリック司教協議会議長でヤンゴン大司教のチャールス・ボー枢機卿が声明を出し、「民族、宗教の異なる人々への憎しみが、強い警戒レベルまで増大している。衝撃的で深い悲しみを覚える悲惨な事態だ」と述べ、「ミャンマーの民主化への脆弱な旅路を世界中が注視する必要がある」と訴えた。

 国連の2月の報告では、ミャンマー政府軍はヘリコプターからの攻撃、手りゅう弾の使用によってイスラム教の僧や教師を集中的に殺戮し、ナイフで喉を切り裂いたり、家に閉じ込めて焼き殺したーなど無差別攻撃を詳細に示し、「計画的恐怖政策」と糾弾している。さらに「17歳から45歳の男子は力もあり軍や権力への潜在的脅威とみなされた」と述べ、彼らが後ろ手に縛られて連れ去られた、という多くの報告があると付け加えた。

 ミャンマーの西北部では、およそ1100万人のイスラム教ロヒンガがアパルトヘイト(人種隔離制度)状態で生活している。市民権を与えられず、仏教徒が大多数を占めるミャンマーでは彼らはバングラデッシュからの不法移民とみなされている。

 (岡山康子訳)

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2017年4月5日

 中国公認カトリック教会が新たな「憲法」発表-中国政府のキリスト者抑圧増加(CJC)

【2017.4.3 CJC】中国の公認カトリック教会の指導組織『中国天主教愛国会』と『中国天主教主教団』が「憲法」の改定版を発表したことが明らかになった。カトリック系UCAN通信が報じた。司教など高位聖職者の任命に関しては、これまでバチカン(ローマ教皇庁)が示して来た方針との溝が深まりそうだ。中国政府の宗教政策が「中国色」を強めていることは明らかで、バチカンの中国和解路線にも影響を与えよう。

 「中国色」は12月26~29日に北京で開催された第9回天主教代表者会議で打ち出されたもの。両組織の新憲法にも色濃く映し出されている。この会議は5年に1回行われるが、バチカンは会議自体を認めていない。新憲法は2月27日、両組織のウエブサイトに掲出された。変更は、序章、宣教の展望、組織と担当者任免の冒頭3章に見られる。序章では両組織とも、教会運営に当たって、自治、自養というこれまでの目的に、「中国化の方向を主張し」という文言が加えられている。

 「中国化」は2016年4月の全国宗教活動会議で行われた習近平総書記の演説でキーワードになっていた。宗教は共産党の首位制を保持し、社会主義の中国的な性質を包含するべきとのメッセージ。党機関紙『人民日報』は昨年7月発表した論文で、中国化の重要性を強調、宗教団体に「同じ宗教の外国版の管理に抵抗」するよう求めている。その中で共産党は、ローマ・カトリックを「外来」とし、中国のカトリックとは別物だとしている。□

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中国のキリスト者抑圧が増加

 【2017.4.3 CJC】教会の「中国化」が推進される動きの中で、中国政府のキリスト者抑圧が2016年に増加していたことが分かった。米国に本拠を置く中国の抑圧暗視団体『対華援助協会』が報告書を発表した。報告書によると、中国本土の迫害は2015年の1万9426人から16年には4万8100人に増加した。事例としては肉体的、言語的、心理的なものを合わせて2015年より42・6%増の278件だったとい

2017年4月4日

 シリア:内戦6年――誰が苦しみを癒すのか(国境なき医師団)

 

 (2017年03月27日 国境なき医師団・日本)

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シリアの民主化運動に端を発した内戦は2017年3月現在もいまだ収束していない。紛争の影響や”医療”への攻撃で、多くの人が必要な治療・予防を受けられなくなっている事態が続いている。

この危機に医療・人道援助団体として対応する必要があると判断した国境なき医師団(MSF)は、2012年、国内での活動開始に踏み切った。緊急活動は6年目に入ったが、シリア政府は一貫して活動を認可していない。

しかしながら、地域の医療ネットワークなどを通じることで幅広い支援を実現しており、直営の医療施設は6軒、遠隔支援や物資の寄贈などを行っている医療施設は計150軒に上る。シリアの最新情勢とMSFの現在の活動をまとめた。

パブロ・マルコ/MSFオペレーション・ディレクター(中東地域担当)の話

「すべての紛争当事者、近隣諸国、国際機関・団体は、人道援助活動を受け入れ、それを政治の道具として使用することを禁じなければなりません。医療を受ける必要がある人が医療施設へ移動することや、医療従事者が患者のもとに向かう自由を認めるべきです。同時に、救急隊員、医療従事者、医療施設の保護を徹底すべきです。シリアでMSFが活動できない地域は広範囲にわたります。MSFは活動を拡大する努力を続ける一方、独立・中立・公平の立場で医療援助ニーズがある地域で活動できるように、シリア政府に活動許可を求め続けています。国際社会は、紛争と迫害を逃れてきた人びとに背を向けてはいけません。亡命、援助、保護を受ける権利を尊重することは大前提です。シリアの紛争当事者は、国際人道法の紛争地帯規定に則り、民間人と民間インフラの保護措置をとる義務があります。国際人道法に反する行為は認められません」。

シリアをめぐる最近の情勢――2016年12月~2017年2月

 シリア政府軍は2016年末にアレッポ市を奪還。これを機に、政府軍と反政府勢力のそれぞれの後ろ盾となっていたロシアとトルコが主導する形で停戦が発効した。ただ、「イスラム国」などの過激派武装勢力は対象に含まれていない。

シリア政府と反政府勢力の停戦・和平協議は、カザフスタンの首都アスタナとスイスのジュネーブの2ヵ所で行われている。ジュネーブでの協議は3月3日で中断しているが、3月23日からの再開を目指して調整が続けられている。一方、2月にはダルアー県では政府軍と「イスラム国」との間で武力衝突が発生。また、ホムス市では自爆テロ攻撃が発生した。調停役のスタファン・デ・ミストゥラ国連特使は「こうした事態は和平協議の交渉失敗を狙った妨害だ」とし、当事者に警告した。

過激派武装勢力をめぐる情勢はいまだ混沌としている。反政府勢力とトルコ軍は、2016年8月以降、「イスラム国」の排除を目的とした共同作戦「ユーフラテスの盾」を実行し、シリア北部の「イスラム国」支配地域を攻撃している。2017年2月下旬、トルコはアレッポ県バブ市にあった「イスラム国」の要塞を攻略したと発表した。その直後、シリア軍と同盟軍が「イスラム国」支配地域へ侵攻した。トルコ軍の支援を受ける反政府勢力のバブ市内での勢力拡大を未然に防ぐ狙いがあり、「イスラム国」は拠点を失って退却したとみられる。また、シリア軍はアレッポ市の浄水処理・給水施設の奪還に向けて動きを強めている。

緊急援助を続けつつ、政府とも認可交渉――MSFの活動

MSFの医師の診察を受ける子ども(アレッポ市の保健センター、2017年2月撮影)                               MSFの医師の診察を受ける子ども(アレッポ市の保健センター、2017年2月撮影)

 中立・独立・公平な立場で医療・人道援助を行うための交渉は、シリアのほとんどの地域で不可能ではないだろうが、大きな困難を伴う。MSFが紛争地で活動する場合、前線の両側で、緊急度が高い人びとを最優先として医療・人道援助を提供している。そのために、紛争のすべての当事者と協議・交渉し、安全を確保しつつ患者と接触できる環境づくりを行っている。

MSFが2012年以降、シリア政府に対し、政府の支配地域内での緊急援助ニーズを調査するための認可申請を行っているのもその一環だ。交渉は今も続けているが、認可される見通しは立っていない。

傷病人・難民の国境通過を再開せよ

ギリシア・マケドニア国境の封鎖で足止めされるシリア人難民 ギリシア・マケドニア国境の封鎖で足止めされるシリア人難民

 シリア人難民についての周辺国の対応は、この数年間で明らかに飽和状態に達している。周辺国のトルコ、イラク、レバノン、ヨルダンは、シリア人難民の受け入れに尽力している。その規模はすでに合計480万人に達している。

一方、中東では多数の武装勢力が入り乱れて紛争を繰り返し、各国間の国境は閉鎖されてしまった。そのため、人びとは困難を極める生活を抜け出したり、戦闘に巻き込まれる危険を逃れたりすることができない。シリアと周辺国との国境も閉鎖され、患者が治療を受けるために安全な国へと脱出することさえできない状況だ。無人地帯や劣悪な生活環境のキャンプに避難している人は数十万人にのぼるとみられる。その中には、国際社会からも人道援助からも完全に遮断されている人びとが含まれている。

MSFは周辺国に改めて、重度の傷病人だけでなく、難民条約で保護の対象となっている人びとに対しても国境通過を許可するように要望している。欧州連合(EU)や国連安全保障理事会も見てみぬふりはできない。紛争と迫害から逃れてきた人びとに背を向けることはできないはずだ。彼らが援助や保護を受ける権利を尊重すること、それが根本だ。

日本に求められる国際貢献とは?

 シリア内戦では、意図的か無差別かを問わず、医療施設、学校、市場といった一般人の生活の場が繰り返し爆撃・砲撃されている。これは許されない事態だ。攻撃している当事者が、民間人を巻き込まないような措置を一切取っていないことは明らかだ。国際的な影響力の強い国が率先して、国際人道法の尊重や、2016年5月に国連安保理の全会一致で決議された内容を実行することに向け、さらに力を尽くすべきだ。特に、日本はこの決議の提案国の1つとなっている。確実に実行に移されるように、日本がさらなる役割を発揮することを求める。

2017年4月3日

「核の威嚇で応えようとするな」教皇、国連核兵器禁止条約交渉会議へメッセージ

(2017.3.28 バチカン放送)教皇フランシスコは、3月27日に始まった国連での核兵器禁止条約交渉会議にメッセージをおくられた。

 核兵器を法的に禁止する条約の制定をめぐる最初の交渉会議が、同日から同月31日までニューヨークの国連本部で行なわれている。バチカン使節代表で外務局次長アントワン・カミレリ師によって読み上げられたメッセージで、教皇は「核兵器の無い世界を目指して、必要な条件を推進するために、決断ある交渉ができるように」と会議参加者に強く求めた。

 教皇は、国連憲章の第1条は、国際連合の目的として、まず最初に「平和」を挙げ、「国際的の紛争、または事態の調整、または解決を、平和的手段によって、かつ正義および国際法の原則に従って実現すること」としていると指摘。

 「全人類の破壊の可能性をも持つ、相互破壊の脅威に基づいた倫理や権利は、国連の精神に反するもの」と述べた教皇は「私たちは核拡散防止条約の完全な履行を通して、核兵器の無い世界のために取り組まなくてはなりません」と述べられた。

 教皇は、目下の紛争に満ちた不安定な国際状況の中で、この会議がなぜ未来を見据えた、多くの努力を要する目標をあえて設定するのか、その理由を考えるよう求め、世界の平和と安全を脅かすものとして、テロリズムや紛争、情報セキュリティー、環境問題、貧困などを挙げながら「このような課題に対して核の威嚇で応えることの適応について疑問を抱かざるを得ません」と強い調子で訴えられた。

 また、「核兵器使用が人間と環境に与える多大な災害を考える時、ますますその憂慮は深まり、平和や人類の統合的発展の推進、貧困との闘いなど、意味ある目標に使用すべき財源が、核兵器の保有に費やされている」ことに懸念を示された。

 そして、「恐怖に基づくバランスはどれほど持続可能かわからず、それは人民間の信頼関係を蝕むだけです」と語り、「核兵器の脅威に対応するには、相互の信頼のもとに、問題を共有する姿勢が大切」として、「固有の利害ではなく、共通善を真剣に追求する対話が必要です」と強調し、「そのためにも、核保有国、非保有国、軍事関係者、宗教者、市民関係者、国際組織など、皆が参加し、互いを非難し合うのではなく、相互に励まし合う対話をしてください」と希望された。

 最後に、「人類は共通の家を築くための力を持っています。私たちは自由と、知性、技術を見極め、正しく導く力を持っています」として、「私たちは自分たちの権力を制限し、より人間的・社会的・統合的発展のための、別の形での奉仕に取り組むことができるのです」と参加者に呼びかけられた。

2017年3月31日

「信徒数に安住しないで」 アフリカ教会サミットで女性信徒が枢機卿らに警告(Crux)  

 

(2017・3・26 CRUXバチカン特派員 イネス・サン・マーチン)3月22-25日開催されたアフリカ教会サミットでは4人の枢機卿と司教たちが居並ぶ中で、「権力のあるものは、のん気に構えないで。信者が群集の中で迷子にならぬように努めて」と訴えたのはナイジェリア出身の一信徒の女性だった。

 3月22日から25日の会議は、ノートルダム大学倫理・文化センターの支援で開催され、ナイジェリアのフランシス・アリンゼ枢機卿やジョン・オナエカン枢機卿、コンゴ民主共和国のローレン・モンセングォ枢機卿、現在バチカンの最重要職の長であるガーナのピーター・タークソン枢機卿などを含め多くのアフリカの高位聖職者が出席した。アフリカ大陸の各地から司教、神学者、大学教授や学生たち、そして、少数の一般信者も参加した。

 その会議で、ナイジェリアのアブジャで人材紹介のコンサルタントをしている信徒、オビアゲリ・ヌゼンワ女史の発言が注目された。彼女は「カトリック教会が、アフリカの信者たちを、特に”ペンタコステ派”の挑戦から守ってくれるように」と強く求めた。「教会の目的は、信者の数を維持することのみにあってはならず、主体性のあいまいさと、受け身の消極的な信仰生活を止めねばならない」というのが彼女の考えだ。

 彼女の経験から、アフリカのカトリック教会が直面している課題と、欧米の課題には、同じものもあれば違うものもある。「ナイジェリアの小教区はどこも、あまりにも多くの数の信者がいて、人々がしばしば群衆の中で迷子になってしまう」という彼女の訴えほど、違いを示しているものはないだろう。オナエカン枢機卿が会議で述べたように「ナイジェリア人なら無視されるくらいなら撃たれたほうがましだ」と思うだろう。小教区としての大きさをみれば、どうしてこんなことになるかよく分かる。

 ナイジェリアのカトリックの中心地である南東部のジョージ・アディミケ神父がCruxに語ったところによると、彼の教区では、カテドラルでは日曜はいつでも13回ミサがあり、どのミサにも約2000人が出席する。17人の司祭で毎週平均約2万6千人を超える集まり、共同体という実感もなく、気づかれることもなくその集会から帰るというヌゼンワ女史から出された意見は全く妥当なものだ。

 一つの対応策として、彼女は「ミサに始まり、聖書の勉強や急な問題の話し合い、最後は軽く飲食して終わるような共同体のグループ作りをもっと推奨したらどうか」と提案した。彼女がCruxに語ったところによると、多くのカトリック信者がカトリックに代わるもの-それはたいていペンテコステ派の教会だーを探したくなる原因の一つが、「教会に深い人間関係が欠けていることだ」。

 会議では、カトリック教会に影響を及ぼすアフリカの大物たちが講演者や聴衆として居並んでいたにもかかわらず、アフリカで、カトリック教会が直面している問題の原因を明確にし、その解決法まで提案したのはこのヌゼンワ女史だった。彼女によると、主張の大部分は、最近教会離れをした人たちの話に基づいており、その理由はどこにでもある一般的なものだった。彼女はまた、「多くのカトリックの若者たちが、親から押し付けられた信仰を持たされ、道徳的問題に厳格で、説明もなければ、別の道の選択の余地もない規則を押し付けられていると感じている」と語った。礼拝のスタイルも、「時にあまりに厳格で、アフリカの人々の幸せを表すものではない。私たちは礼拝の時でさえも、踊らなくては」と言う。

 家庭に関する司教たちのシノドスの間に繰り返された問題については、「異なる宗派の者同士で結婚した場合の問題についても、カトリック信徒と結婚したのちカトリックになったものとして、話すことがたくさんあります」と指摘した。また、とくに聖職者たちによる性的問題のスキャンダルが信徒たちに及ぼしたダメージについても取り上げ、「私たちはこれらのスキャンダルの衝撃が『教会の神聖さを奪うことはできない』と教えられているけれど、信徒たちは司祭の中に、また司祭の行動の中に神を見るので、そのようなスキャンダルは決定的に信徒を挫けさせるのは確かです」と強調した。

 大量のカトリック離れの原因を並びあげたのち、彼女はまた、人々をきちんと信仰に導き、教会離れ防ぐためのいくつもの提案をした。

 まず第一に、家族が世俗的性や、ペンタコステ派や、たくさんの教義や信条と取り組まなくてはならないので、まずは、正しい理解を持って小さいころから信仰を持つよう教えるようにすることが極めて重要。それによって、信仰が次の世代に受け渡されて行くような方法を再検討すること、実践においても信条においても神の啓示を確信することから生まれるべき何かが必要。「一般信徒も聖職者も、ミサにしても子供たちへのプログラムにしても、彼らが教義を植え付けられ、信仰が深まるように、もっと信仰を幅広いものにする方法を考え出さねばなりません」「さらに、カテキズムの先生たちはちゃんと訓練を受けて、こどもたちが安易に教え込まれるくだらない教義を吹き込まれたり混乱させられたりしないように、学校と教会の連携を強くする必要があります。」

 第二に、司祭たちが伝えるメッセージに心を配るように説教壇の威力を復活することが重要。たくさんの司祭たちが退屈な説教をしている。「例えば、お説教があんまり学問的だと、みんな分からなくなり、あまりありふれたものだと、ただの懇親会になってしまう」。

 第三に、「事件にだんまりを決め込んで、ただ関係した司祭を移動させる」よりも、教会の人間的な面を認めること。「その方が、既に失望されてしまったカトリック教会の信頼回復のプロセスの助けとなる」。

 そして、教会は、過去の栄光に胡坐をかいていてはいけないーこの忠告のように、「のん気に構えていることほど危険なことはない」のだ。

(岡山康子訳)

2017年3月30日

教皇、EU27か国首脳と会談、将来像ないEUの崩壊に懸念表明(CJC)

【2017.3.27 CJC】英国を除く欧州連合(EU)27カ国の首脳らは3月24日、バチカン(ローマ教皇庁)を訪問し、教皇フランシスコと会談した。25日からローマで首脳会議を開き、英離脱後のEU将来像を協議するのを控える首脳たちに、域内で勢いづいているポピュリズム(大衆迎合主義)で揺らぐEUに対し、新たな将来像を描けなければ「長期的には死に向かうリスクにさらされる」と、教皇は結束を呼び掛けた。□

2017年3月28日

聖墳墓教会の「イエス・キリストの墓」修復終え一般公開(CJC)

【2017.3.27  CJC】エルサレムの旧市街にある聖墳墓教会で、イエス・キリストの墓があるとされる聖堂「エディクラ」の修復が 世界中から何千人もの信者が集まるイースターを控え完了し、このほど一般に公開された。

エルサレムの聖墳墓教会内で、イエス・キリストの遺体が安置されたという石墓を囲んで建てられた聖堂「エディクラ」の修復作業が行われていた。(PHOTOGRAPH BY ODED BALILTY, AP FOR NATIONAL GEOGRAPHIC)

     聖墳墓教会は、イエス・キリストが十字架に架けられたゴルゴダの丘とされる場所に336年に建設され、その後、増改築が繰り返されてきた。教会の中心部にある聖堂は、倒壊の危険があるとの指摘を受け、共同で管理する6宗派の協議が行われ、2016年6月から修復作業が始まった。  エディクラは石灰岩と大理石でできた構造物で、4世紀以来、十字架にかけられたキリストが埋葬された場所と伝えられてきた。

    米メディア『CNN』などによると、修復プロジェクトは『ワールド・モニュメント財団』(WMF=本部ニューヨーク)が監修し、ギリシャのアテネ国立技術大学の研究者率いる幅広い専門家や技術者のチームが9カ月がかりで作業を行ってきた。作業は信者の祈りを妨げないよう、主に夜間に実施した。まず土台部分を修復し、続いて欠け落ちた石積みを元の場所に戻してチタン製の支えで固定した。2016年10月には、墓を覆っていた大理石板が500年ぶりに取り外されていた。米専門誌『ナショナル・ジオグラフィック』のクリスティン・ロメイ考古学担当記者は当時CNNの取材に、「現代史上初めて、墓から大理石を取り外し、イエス・キリストの遺体が置かれたと伝えられる岩を調べることができた」と話している。

    聖墳墓教会はキリスト教のカトリックやギリシャ正教会など6宗派にとっての聖地となっている。宗派間の中立性を保つため、教会の鍵はイスラム教徒の一家が何世代にもわたって引き継いできた。エディクラはこれまで少なくとも4回、破壊されており、現在の建物は1810年、ギリシャの建築家が火災で損傷した構造を再建した。

    WMFによると、今回の修復にかかった費用の総額345万ユーロ(約4億円)は個人からの寄付でまかなった。2018年にはエディクラの構造の長期的な安定を確保し、湿気による損傷が繰り返されることを防ぐため、第2段階の修復作業を行う予定。□

2017年3月28日

 エイズ、使徒的勧告、教皇、米大統領・・アフリカ・カトリック指導者が語る(Crux)

 (2017.3.25 Crux  Editor John L. Allen Jr.)ローマでのアフリカ・カトリック・サミットに出席したナイジェリアのジョン・オナイエカン枢機卿は25日、Cruxとのインタビューで、コンドームの配布は、エイズとの戦いで、節制と生活態度の変革よりも効果が低い、と指摘。さらに、使徒的勧告「愛の喜び」、イスラム教、トランプ大統領、教皇フランシスコ、そして自らが進めるナイジェリアの腐敗・汚職に対する戦いについて語った。

 枢機卿は「南アフリカを例にとりましょう。エイズを封じ込めるためにコンドームをすべての人々に配布しているのに、感染率はとても高い状況が続いています」と語り、一方で、「ウガンダでは、コンドームを非難はしてはいないが、若者たちに生活行動を変えるように奨励した。彼らはそれを皆に伝えるためにカトリックの関係の組織と働きました。それが効果を生んでいないというのは事実に反する。効果は上がっているのです」と強調する。

Key African cardinal on AIDS, ‘Amoris,’ Trump, Francis, and more

  オナイエカン枢機卿は、アフリカで最も影響力のある教会のリーダーとされており、73歳の現在も精力的に活動をつづけている。バチカンや欧米のカトリック関係者の間で議論を呼んでいる、教皇フランシスコの家庭に関する使徒的勧告「愛の喜び」と離婚・再婚者に聖体拝領を認めることの是非については、「アフリカでは大きな問題になっていません。教会が伝統的に禁じていることは、アフリカの信徒の間で広く受け入れられていますから」「アフリカでは、カトリックの信徒たちとカトリックでない人々のために、従わねばならない一定のルールがあると、ただ信じられている」と言明。

 その一方で、「私は、『離婚して民法上の再婚をしたカトリック信徒が、そのことによって、教会との関係を絶たれることはない』という教皇の言葉が好きです」としつつ、「関係を絶たれることはない、と言うのが、そうした信徒が聖体拝領をすることができることを意味しません」と念を押した。

 枢機卿はまた、ナイジェリアでは、教皇はイスラム教徒の友人たちの間で人気があり、それはある程度は、イスラム教はテロリストの宗教ではないと教皇が言明されたことによる、と述べ、合わせて、「教皇は少々、聖書に登場する預言者のようだ。彼の発言はしばしば分かりやすく説明しなければならないからです」とし、「『そうです。イスラム教はテロリストの宗教ではありません』と言うことはできる。しかし、現在活動しているテロリストの大部分がイスラム教徒である、ということも論じなければならない」と語った。

 トランプ米大統領については、ナイジェリアの国民は彼が、イスラム・テロ、とくにボコ・ハラムの脅威に対処するためナイジェリア政府を助けることに、前任者のオバマよりも慎重でないことを期待しているが、これまでのところ、前任者の時と比べて具体的な政策に変化は見えない、と述べ、「まだ多くのことが起きていません。私たちは待っているところです」と大統領への期待をしめした。

 インタビューの終わりに、枢機卿は、現在彼が努力している腐敗・汚職との闘いが、自分にとってなぜ重要なのかについて言及。「論理上は豊かであるはずなのに、貧困と欠乏が全土を覆っているナイジェリアのような国にとって、腐敗・汚職は国の持つ富の適切な分配を不可能にしているのです」と説明した。

(南條俊二訳)

 

 

 

 

 

 

 

2017年3月27日

 ローマでの”アフリカ教会サミット”閉幕「アフリカのカトリック新世代」へ(Crux)

  • (2017.3.26 Crux Editor  John L. Allen Jr.)3月22日から25日までローマで開かれたアフリカのカトリック教会指導者たちの会議は、成果を取りまとめるにはあまりにも込み入った内容となったが、おそらく最も適切な表現は‶アフリカにおけるカトリック2.0(新世代)″-より普遍的な、より自らに正直な、そしRome summit marks launch of ‘African Catholicism 2.0’て‶他″を判断する際によりバランスのとれた教会-の始まりが告げられた、ということだろう。

      会議は、「アフリカのカトリック神学-記憶と21世紀の使命」をテーマに、ノートルダム大学倫理・文化センターの支援を受け、ローマの同大学“Global Gateway”センターを会場に開かれ、アフリカのカトリック教会の四人の枢機卿をはじめ、多くの司教、司祭、修道士、神学者や一般信徒の活動家、学生が参加した。

  四日間にわたる会議で46の報告、14の意見交換セッション、多くの長々とした話合いが行われたが、これを総括しようというのは無駄骨を折るようなものだが、会議を通しての印象は、「アフリカ・カトリック2.0」とも言うべきものの出現、である。

 アフリカのカトリック教会は、欧米による植民地支配が終わってから大部分の期間を、二つの重い課題を負ってきた。一つは、天文学的な成長の早さにどう追いついていくか。もう一つは、武力紛争、慢性的な貧困、環境悪化、民族と部族の紛争、HIV /エイズなど、大陸の憂慮すべき社会問題にどう対処するか、である。これらは今に至るまで、いずれも軽くはなっていない。だが、注目されるのは、意識の成熟-アフリカのカトリックが子供から青年の時期を終えて、成人し、新たな段階に入る用意が整ったという確信-が会議を通じて生まれてきた、ということだ。

 「アフリカ・カトリック2.0」を定義する特徴は何だろうか。今回の会議をもとにすると、少なくとも三つ挙げることができる。

 

 アフリカ独自の課題に対処しつつ、世界の教会に貢献

 成人したアフリカのカトリック教会の特徴の一つは、アフリカ域内だけでなく、全世界、普遍教会に貢献しようという意識だ。コンゴ民主共和国のタルチス・シバン司教はアフリカのカトリック神学は世界的な対話の一部となる必要がある、とし、「それは単に、アフリカ人のためのアフリカの神学の問題ではありません」「1人と全体のために有効な神学なのです」と強調した。

 バチカンで長い間、重きをなし、今は現役を退いているナイジェリアのアリンゼ枢機卿は、Cruxとのインタビューで、アフリカの高位聖職者たちが、先の二回にわたるシノドスで果たした役割も含めて世界の教会における主人公として登場してきたのは、アフリカ教会の成長の自然な結果、であるとし、「枢機卿や司教たちは教会が何かについて経験を積んだから、もっと貢献する義務がある、それは神の摂理の正常な進化の結果にすぎません」と語った。

 その表れの一つは、数多くのアフリカ人司祭、聖職者が世界中で奉仕しており、世界の教会がアフリカを必要としている、という意識が存在している、もう一つは、アフリカのカトリックの教えが神学への影響と司牧活動において深い香りを醸し出している、ということだろう。

  いずれにしても、ローマには、カトリック教会は‶アフリカの時代″を迎えた、という強い意識が生まれている。アフリカの教会は、自分たちの抱える課題から逃れず、世界の舞台で指導的役割を演じる用意を一段と整えてきているのだ。

 誠実さと自己批判

  かつて、アフリカのカトリック指導者は、機能不全と未成熟という自分たちの教会に対する見方を強めさせたくないために、批判に対して自己防衛的になることがしばしばだった。だが現在では、自信を強め、自分たちの失敗や短所を率直に認めるようになってきている。嵐を治めるだけの強さがある、と認識しているのだ。この会議を準備したポーリナス・オドゾール神父は、この点を強調し、「皆が見えるところで、汚れた麻布を洗う用意がなければなりません。アフリカが演技者として大事にされたいのなら、自分自身について正直であることが必要です」「私たちは、自分たちがしている素晴らしいことを、皆さんに聴いてほしいのではない。自分たちがしている酷いこと、うまくできていないことを、聴いてほしいのです」と語る。

 会議を通して強調されたことの幾つかは次のようなものだ。

 ・ナイジェリアのゴッドフリー・オナ司教は、このように言って嘆いた-古代アフリカの教会は偉大な教父たちを生んだが、今日では、有名なのは心霊治療師と‶奇跡センター″だーと。

  • 象牙海岸からきたイエズス会士、ルドヴィッチ・ラド神父は、アフリカのカトリック司祭の中に、魔法を実践するだけでなく、実際には他の人に呪文を唱える者がいる、としている。

  • ガーナのマーマリファ・ポレク修道女は、アフリカの女性たちは多くの場合、教会の汚れ物の洗濯以上のことを任されていないのに、この会議は、そのようなことが変わる希望を与えてくれなかった、と批判した。

  このような指摘はあっても、「このようなことを話すことが事態を根本的に変えることにはならない」という認識は多くの参加者が共有したようだ。

 

  ”他”宗教に対する平衡感覚

 アフリカにカトリックが初めて根づいた時、福音の伝道がぜい弱だという意識、そして時として、信徒の群れを脅かすと思われる行為や人々に対する強い敵意が存在した。そうした流れの中で、一般的に‶他″と表現する宗教-イスラム教とキリスト教のペンテコステ派―との間での激しい対抗意識へと変わっていった。多くのカトリック信徒が今でも、この二つの‶他″に嫌悪感を持ち続け、双方の善を認識する能力の強まりと共に高まり、心と理性で競うことは健全だと不承不承認めるようにさえなってきている。

 イスラム教徒が人口の圧倒的割合を占めているナイジェリア北部、ソコトのマシュー・クカ司教は、アフリカのカトリックとイスラム教の対話を主導している一人だが、「平和共存が実際のアフリカ人の平均的な姿であり、暴力的な対立は例外だ」と指摘し、「どのような人々が『キリスト教徒とイスラム教徒の紛争』と言っているのでしょうか。紛争について避けがたいものは何もありません。西側のメディアが作り出し、人気を博しているのです」とCruxに語った。「ナイジェリアでキリスト教徒とイスラム教徒の間で起きている暴力対立と呼んでいるものは、(宗教対立ではなく)法と秩序の失敗の結果起きている。暴力を引き起こしている多くの問題と宗教には極めてわずかな関係しかありません」と強調する。

 ペンタコステ派との関係では、この会議で、雇用の提供、結婚相手の紹介、神学生や司祭の勧誘など、カトリック教会と融和する方策が話し合われた。その一方で、会議参加者の中には、ペンタコステ派の問題は、カトリックを‶覚醒″させる役割を果たしている、と積極的な側面を指摘する声もあった。「彼らは、人々を軽視してはならない、と言うことを私たちに理解させてくれます」とナイジェリアのアブジャで人材紹介のコンサルタントをしている一般信徒のオビアゲリ・ヌゼンワ女史は言う。「ペンテコステ派の信徒の増加は、女性を組織化し支援することの重要性にもっと気を配る必要があることを、カトリックの人たちに教えているのです。女性はアフリカのカトリック教会の屋台骨なのですから」。

  「アフリカ・カトリック2.0」は、より強い自信、自身についてのより正直な気持ち、そして‶他″について厳しくさばく態度を控える、ことを特徴とすることになるだろう。その「1.0」版が、世界のどこにおいても活発で生気のあふれたカトリックの教会共同体を形成することも含めて、達成されたとしたら、「2.0」版がどのように展開していくかをたどるのは、本当に素晴らしいことになるだろう。

アフリカの教会、増大する痛みに直面ーローマで司教らが会議( Crux)

  •  アフリカのカトリック教会の指導者会議が3月22日から25日にかけてローマで開かれたが、アフリカにおける爆発的な教会の成長を受けて、神学から女性の典礼における役割、政治問題に至る幅広い課題を再考する必要が出てきたことが開催の背景にある。

     現在、アフリカのカトリック教会では、人口の急増、礼拝の形態面での大きな動き、神学的なものを反映した組織の拡大などの現象が起きており、教育、健康・衛生、慈善活動など、カトリック人口が少ない地域でさえも社会資本を増大させている。そして、何人もの高位聖職者が、世界のカトリック教会の議論の舞台にスーパースターとして登場している。彼らはもはや、カトリック株式会社の格下の共同経営者ではない。主役たちなのだ。だが、多くの若者と同様、アフリカのカトリック教会は、少なくとも、この会議への参加者によれば、これからの人生をどう生きるかを少し考える必要があるかもしれない。

  •  「アフリカでカトリック教会は十分に育った」とナイジェリアのポーリナス・オドゾール神父は言う。「そして、今、その人生を振り返る必要がある」。アフリカのカトリック教徒の人口は、今世紀半ばまでに4億5000万人に達し、世界の大陸の中で最大となると予想されている。今後の在り方を深く考えることはアフリカにとってだけでなく、カトリック教会全体にとって重要なこと。アフリカがくしゃみをしたら、カトリック教会全体が風邪をひくのだ。

    (南條俊二訳)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

 

 

 

 

 

2017年3月27日

 ドゥアルテ政権の”処刑政策”にフィリピン司教団が改めて反対表明(Tablet)

(2017.3.22  Tablet  Rose Gambleフィリピン政府が死刑復活に動いているが、フィリピンのカトリック教会がこれに強く反対している。同国の司教団は3月19日に声明を発表。「死刑を擁護するために聖書を使う人々に対して、私たちは、同じ聖書を使って、どれほど多くの人間性を犯す犯罪を正当化してきたのか、と問いかける必要があるのではありませんか」と訴えた。

 声明はフィリピン・カトリック司教協議会会長のソクラテス大司教の署名で出されたもので、「私たちは謙虚な気持ちを持って命じます。イエス・キリストにおいて、この世に対する神の決定的な言葉全うする心を持って、聖書の言葉を適切に解釈するように、人類に対する神の意志の強い表れを読み取るように」と強く求めている。さらに、「イエスは、いかなる合法的な殺人も絶対に支持されませんでした」とし、姦淫の罪を犯した女性が石殺しにされようとしたのをイエスが防いだ聖書の箇所を引用して、「イエスは『あなた方の中で罪を犯したことのない人がいたら、最初に石を投げなさい』と言われた(私たちも同じではないか)」と述べている。

 フィリピンでは、カトリック教会の強い働きかけで、十年以上前に死刑が廃止されていたが、復活させることが、麻薬犯罪撲滅の戦いを進めるドゥトルテ大統領にとって最優先事項になっている。同国議会下院は、重大な犯罪、麻薬関連の犯罪に対する死刑復活を、今月初め、圧倒的多数で可決している。

 司教団の声明は、灰の水曜日に法案を可決した皮肉を指摘、議員たちは「額に灰で十字をしるしながら、死を望む叫び声をあげる」、テレビに囚われた人びと、と強く非難し、「議員の皆さんは、その十字が何を意味するのかお忘れになったのでしょうか」と問いかけた。「百歩譲っても、犯罪防止に対する死刑の効果は証明されていません。死刑と法制度の損壊は常に重大な混合物です」とし、さらに、死刑が、有力な弁護士を雇う財力のない貧しい人々にしわ寄せされることに懸念を示し、国会議員たちのために、祈るよう求めて、声明を締めくくっている。

 (南條俊二訳)

(カトリック・アイでは、英国でイエズス会が発行している有力カトリック週刊誌Tabletから翻訳・掲載の許可を得ています。“The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher” and that you quote our website address http://www.thetablet.co.uk

 

 

 

 

 

 

 

2017年3月24日

「南スーダン、大量餓死の危機に」現地カリタス代表の司教が訴え(Crux)

 (2017.3.22 Crux VATICAN CORRESPONDENT Inés San Martín)世界で最も若い独立国である南スーダン、2013年以来続く内戦で引き裂かれ、何百万の人々が餓死の危険に追い込まれている。この国のカトリック司教、エルコランド・ロドゥ・トンベ師は教皇フランシスコが検討している10月の訪問が希望の徴になる、と希望している。

 「もしも機会があれば、米国のトランプ政権と議会に『‶アメリカ・ファースト”が‶アメリカ・オンリー″を意味してはなりません』と言いたい」「トランプ大統領は米国の国民によって選ばれたのですから、米国民がアメリカを第一にしたいと思っていると考えるでしょう。それに異議を唱えることはしませんが、『アメリカ・ファースト』は『アメリカ・オンリー』ではないのです」と司教は念を押した。また司教は「大量虐殺の危機に直面」している南スーダンを、教皇フランシスコが10月に訪問することを検討していることに触れ、教皇が英国国教会の指導者と共に同国を訪問することが、武力紛争を対話によって終結させることを、紛争当事者の現大統領と前副大統領に強く促すことになる、と実現を訴えた。

 国連によると、飢きんに襲われている南スーダンは、ここ数か月のうちに事態が改善しない限り、五百万人が餓死の危険に瀕する。トンベ司教は、同国のカリタスの責任者だが、現在、ローマでカリタス・インターナショナル本部に出向き、危機回避へ支援強化を求めた。このような緊急食糧支援の重要性は言うに及ばないが、和平実現が緊急の課題だ。「教皇は国際社会に南スーダン支援をお求めになりました。単に口先だけでない支援です」。また、教皇はアフリカ諸国訪問の一環としての南スーダン訪問にとどまらず、英国国教会のジャスティン・ウエゥルビー大主教とともに訪問する考えを示している。

South Sudanese bishop: ‘America first’ cannot mean America only

 南スーダンではこれまでの内戦で、数万人が死亡し、三百万人を超える人々が故郷を脱出している。国連人権委員会の幹部はこのほど、同国が大量虐殺の瀬戸際にあり、「かつてルワンダで起きたような悲劇が繰り返されそうになっている。国際社会には、それが繰り返されないようにする義務がある」と訴えた。トンベ司教も「まだそのような悲劇が起きていませんが、そうなる恐れが現実にある」と強調する。

 カリタス・インターナショナルの責任者、マイケル・ロイも、司教の見方に同意し、「現地の人々は、現地政府を信用していません。故郷を追い出す政策をとっている。ある意味では、これは『民族浄化』と言ってもいい、全く恐ろしい状況です。追い出された人々に食料を供給するのも困難になっています」と語った。「しかも、周辺国は、自国を守ることを優先し、援助の手を差し伸べようとしない。和平交渉のためにやるべきことは沢山あるのです」。

 カトリック教会の関係援助機関、とくに米国の司教団が作った国際援助組織(CRS)は、国連食糧計画と、人々に食料援助が届くように努め、実際に現場でも働いている。ロイ氏は「幸い、メディアの関心も高まって、いくつかの国も支援に動いている」というが、一方で、トランプ米大統領のように国際援助の予算削減の動きもある、と指摘し、「『自分はこの問題にも、あれにも関心がない』というようなことを言っていたら、世界で起きでいる問題を増幅することになるのです」と批判している。

 (南條俊二訳)

 

 

 

 

 

2017年3月24日

 大虐殺に教会が関与したことに改めて謝罪-教皇、ルワンダ大統領に(Tablet)

(2017.3.20 Tablet  Sean Smith 教皇フランシスコは3月20日、ルワンダ共和国のポ-ル・カガメ大統領をバチカン宮殿での個人謁見に招き、1994年にルワンダで大量殺戮ーフツ族過激派による80万人から100万人に及ぶツチ族とフツ族穏健派の殺害-が行われた際、カトリック教会の犯した過ちについて、痛悔の気持ちを伝えた。

  会見後に教皇庁から発表された声明で、教皇は「近年の慈しみとあわれみの特別聖年と、ルワンダの司教たちにより結論として出された報告により、不幸にもカトリック教会の体面を損なった過ちを謙虚に認めることが、過去の記憶の浄化の助けとなり、人間の尊厳と、共通の利益をきっぱりと中心に据え、共に生き、ともに働いてゆくことを証言し、平和な未来、信頼の回復を願います」と述べた。

 さらに、カガメ大統領との会談のなかで、教皇自身の、教皇庁からの、そしてカトリック教会からの深い痛悔の気持ちを伝え、その犠牲者とまだ苦しみ続ける人々と一致連帯した気持をもち、また2000年の大聖年の聖ヨハネパウロ二世教皇に倣い、「福音伝道の使命を裏切り、憎しみと暴力に屈した司祭や教会関係者を含むカトリック教会の罪と過ちの許し」を神に改めて嘆願した、と付け加えた。

  昨年、ルワンダのカトリック教会は、1994年の約100日に及んだ大量殺戮の際にキリスト教徒や司祭たちの中に関与した者がいたとして、彼らの行為を公式に謝罪している。大量虐殺のいくつかは、ツチ族が正規軍からの避難を求め逃げ込んだ教会で行われた。ツチ族であるカガメ大統領は、当時その虐殺に終結をもたらした反乱軍の指導者だった。

 大統領と側近たちは、フランシスコ教皇に謁見の後、国務省長官のピエトロ・パロリン枢機卿、外務局長官のポール・R・ギャラガー大司教と会見した。

(翻訳・岡山康子)

(カトリック・アイでは、英国でイエズス会が発行している有力カトリック週刊誌Tabletから翻訳・掲載の許可を得ています。“The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher” and that you quote our website address http://www.thetablet.co.uk

2017年3月23日