フィリピンの教会は最強力の大統領批判勢力に、だが難題も(CRUX)

(2017.8.20 CRUX Staff) フィリピンでは、ドゥトルテ大統領の強硬な麻薬撲滅作戦で、昨夏からこれまでに8000人が殺されており、その大半がスラムに住む若者たちだ。そして、カトリックの司教たちが、これを批判するリーダーとなり、この国で内紛が拡大する兆候が出ている。当局は否定しているが、大統領の支持を得たとする民間の武装集団による‶容疑者”殺害も起きている。

 ドトゥルテ大統領は国民の約8割の支持を背景に強硬な発言を続け、一方で政治的なライバルたちは分裂し、混乱している。このような状況で、フィリピンのカトリック教会は今や急速に、この国で最強の、唯一ではないが、反対勢力となりつつある。

 このほど、大統領による麻薬撲滅闘争で、一週間に「麻薬容疑者」として、17歳の少年を含む記録的な人数が殺害されたのを受けて、カトリック司教団は改めて、大統領に対する道徳的批判者として登場した。先週一週間に殺された81人のうち32人の死者を出したルソン島中部、ブラカン州の州都マロロスを管轄するホセ・オリベロス司教は、死者の大半は、大統領とその支持者たちが嫌う『裁判外の処刑』だった、と糾弾し、「私たちは麻薬関連の殺害が、全部ではないにしても、大半が『裁判外の処刑』だったことを注視しています」と語った。

 大統領は16日、ブラカン州での厳しい取り締まりを正当化して「あれは素晴らしかった。我々が毎日32人しか殺さずに済むとすれば、この国の悩みは減ることになるだろう」と、批判に耳を貸すそぶりもないが、オリベロス司教は、殺害の行為の中には、単に、大統領の意向に沿おうとしてだけのものもある、とみており、「取り締まりに当たる警察当局が、なぜ一日にそのような殺害者を出すのか、その動機は分からないが・・おそらく、大統領の歓心を買うためだろう」と批判している。

 一方、マニラ大都市圏の都市、カロオカンのパブロ・ビルジリオ・ダビド司教は、1970年代から1980年代に人権弾圧、独裁政治を欲しいままにしたマルコス政権を引き合いに出し、「マルコスの時代は、『共産主義者』が拉致、殺害を正当化するレッテルでした。今は、それが『麻薬容疑者』です。世界の文明社会のどこに、『麻薬容疑者』だから死刑に相当するという法律があるというのでしょう」とドトゥルテ政権を批判する。17日夜、マニラで警察当局の麻薬撲滅作戦中に殺された17歳の高校生の実家はカロオカンだ。当局は当初、「警官に向けて発砲したので、射殺された」と説明していたが、目撃者が、銃殺される前に、高校生は警察官から銃を渡され、走って逃げるように強要されていた、と証言、関係したとされる警察官3人が取り調べを受けている。

 フィリピン司教協議会の副会長に先月就任したダビド司教は、大統領の麻薬容疑者は逮捕せず、射殺する、というやり方に拍手喝采した人も、次は自分の番、になると警告し、「自分が(麻薬容疑者の)リストに載っていると知って驚くかもしれません。誰にでも『麻薬容疑者』としてリストに載せられる可能性があるのです」「ある犠牲者の母親が、私に『私たちは、自分が‶価値のない″人間だと分かっています。そして誰も私たちのために立ち上がってくれないことも』と訴えました。それは私たちが、麻薬を利用する者は死に値する、という作り話を受け入れているようなものだ、と」。

 麻薬問題はカトリック教会が大統領との間で抱えている唯一の問題ではない。大統領の同調者は最近、離婚と同性婚をともに合法化(現在フィリピンは、世界中でバチカンを除いて唯一の、離婚法を持たない国だ)する方策を明らかにするなど、教会にとって問題は他にもあるが、麻薬問題と大統領の強硬策が最大の問題であることに変わりはない。

 フィリピンの司教協議会は2月に、現政権が恐怖の支配を行っていると批判する書簡を発表し、その中で「深刻に考えねばならないのは、このような誤った行為に対して多くの人々が無関心、あるいは、当然のように考え、さらにひどいことに、必要なこと、と考えていることです」と警告している。

 大統領の麻薬撲滅作戦は国民多数の支持を得る位一方で、国際的な人権団体などから強い非難の声が上がっているが、フィリピン国内では、反対運動を組織化する強い社会的影響力をもつ組織体は、カトリック教会だけだった。教会員を使って、犠牲者の葬儀のための資金を集め、あとに残された人々の精神的なケアや生活支援、さらに、容疑をかけられた人を保護したり、家族も含めて、警察当局の取り締まりの手が及びにくい地域への移住などを助けている。また多くのカトリック信徒のグループが、麻薬常習者の更生支援などにも手を付けている。フィリピン最大の人権擁護の法律家集団Free Legal Assistance Groupと協力して、警察による暴力や過剰な取り締まりなどの証人や資料を集める訓練の実施も準備中だ。

 1980年代にマルコス大統領を政権の座から追い落すのを先導したカトリック教会の役割を、現在の状況に期待する声が出るのは避けられないとしても、状況は当時と大きく異なっている、と言う指摘もある。

 まず、教会自身の道徳的な権威は、最近の度重なる聖職者の腐敗や性的虐待事件で、ほころびを見せている。7月にも、マニラ都市圏の町で、小教区の主任司祭が13歳の少女と性的交渉をもつ手筈を整え、モーテルに行く途中で逮捕されている。幾人かの司教たちが麻薬撲滅作戦で先週、大量の死者が出たことを非難した後で、フィリピンのソーシャルメディアがそのようなスキャンダルを書き立てた。

 そのような教会指導者たちに対するあからさまな嘲笑は、1980年代の伝説的指導者、マニラのジェイム・シン枢機卿の下では、考えられなかったことだ。さらに、司教たちが、全部とは言わないまでも、‶小者‶になってきている、との見方もある。フィリピン国民の9割がカトリック信徒だということは、ドトゥルテ大統領の支持者の大半はカトリック信徒だ、ということでもある。

 ある小教区の主任司祭、ホセイト・サラビア神父は最近、このように言った。「自分の同僚の司祭たちの中には、ドトゥルテ大統領に投票し、今も彼を支持している者がいます。他の司祭たちは、大統領支持者のインターネットによる攻撃や武装集団に襲撃されるのを恐れて、だんまりを決め込んでいる」と。ダビド司教は「殺人をそのまま続けさせることはできません。私たちは、良心と魂を失ってしまいますから」と訴えるが・・。

 ドトゥルテ大統領は、司教たちから起きている批判を退け、自己の方針を取り下げるサインも出していない。7月に出した国民に対する一般教書で、彼は「私は、どれほど時間がかかろうとも、この問題を解決する。違法な麻薬に対する戦いは続く・・戦いは、容赦なく、際限ないものになる。国際的、国内的な圧力にもかかわらず、戦いが止むことはないだろう」と語り、彼の容疑者リストに載っている全員に対して「選択肢は、刑務所行きか、地獄行きのどちらかだ」と不吉な警告を発している。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2017年8月21日

「私たちの心が暴力を生む」ダライ・ラマ14世、ボンベイでの宗教間対話会議で(Crux)

 (2017.8.17 Nirmala Carvalho )

Religious leaders in India gather to preach non-violence, world peace

Jain leader Lokesh Muni, the Dalai Lama, and Archbishop Felix Anthony Machado at the “World Peace and Harmony” conference in Mumbai on August 13. In keeping with a Jain custom, Muni is wearing a small mask to avoid accidentally inhaling an insect and thus killing a living thing. (Credit: Tenzin Choejor/Office of the Dalai Lama.)

 インドのムンバイで15日、宗教間会議が開かれ、チベット仏教のダライ・ラマ14世はじめカトリック大司教、その他のインドの主要宗教の代表が参加して、「世界平和と調和」について意見を交換した。

 会議で、カトリックのフェリックス・マチャド大司教は、世界に平和をもたらそうとするなら、人々が自分たちの心に平和をもつ必要がある、とし「今求められているのは、一致と真実です」と訴えた。会議直前にバルセロナで起きたテロリストによる惨事を受けて、大司教は世界の宗教指導者たちに「平和なうちに、平和を作らねばなりません。緊張や争いが起きるのを待っていては駄目です」と行動に踏み出すよう求めた。

 また、ダライ・ラマ14世は、地球上のどの人も幸せと喜びを求めているが、人間の作り出した山積する問題に直面している、と指摘し、「このように矛盾があります。だれも問題を好まないが、私たちは自分自身の中に持ち込もうとしているように見えます。どうしてそのようなことが起きるのか。私たちの感情、特に破壊的な感情がもたらすのです」と強調し、「恐れが苛立ちを生み、苛立ちが怒りを生み、怒りが暴力を生むのです」と世界の人々に反省を強く求めた

 この会議は、ジャイナ教の指導者ロケシュ・ムニ師が創設した団体アヒムサ・ヴィシュワ・バルティが企画した。ジャイナ教はインドの伝統宗教の一つでヒンズー教徒が圧倒的な多数を占める同国内に450万人(キリスト教徒は約3000万人)の信徒を持つ。「アヒムサ」はジャイナ教の宗教用語で「非暴力」を意味し、この団体は、暴力、堕胎、環境破壊に対して反対の立場をとっている。

 マチャド大司教は、会議で「様々な宗教の間での争いに信徒たちは病み、くたびれています」「平和を破壊に追いやり、平和をまったく求めないように見える人もいます。悪を行うだけを生きがいにしていある」と警告した。大司教は、1999年から2008年にかけてバチカンの宗教間対話協議会の副会長を務めた。

 大司教はまた、インドにおいて宗教間対話に教会が参加するのは大事な事であり、ムンバイでのこの会議にも参加を歓迎されました」と述べ、ダライ・ラマ14世やジャイナ教のムニ師との長い個人的な友情を強調したうえで、2014年にインドでヒンズー国粋主義政党が政権を取って以来、政権と連携する民兵組織などによるキリスト教徒への迫害など、宗教的弾圧の動きが強まっていることを指摘し、民主主義国であるインドで人権がしっかりと守られるように、現政権に強く求めた。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

 

2017年8月19日

「司教たちは声を挙げねばならない、沈黙は支持と同じ」シャーロッツビル暴動で大司教が訴え(CRUX)

Gregory on Charlottesville: Bishops must speak, because silence is approval

Atlanta Archbishop Wilton D. Gregory at the Cathedral of Christ the King in this 2013 file photo. (Credit: Credit: Michael Alexander/Georgia Bulletin via CNS.)

  アメリカ・バージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者の集会とそれに反対するカウンターの人々の衝突事件を受けて、アフリカ系米国人カトリック聖職者で最高位にあるアトランタのウィルトン・グレゴリー大司教は、全米の司教たちがこうした人種差別の新たな動きに対して、立ち上がるべきだ、無作為は支持表明を意味する、と強く訴えた。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

2017年8月19日

 バルセロナ・テロ63人余りを殺傷、教皇が犠牲者とスペイン国民に深い哀悼(CRUX)

(2017.8.17 Crux Staff) バルセロナの繁華街の人ごみにワゴン車が突っ込み、63人余りを殺傷した17日の事件に対して、教皇フランシスコはじめ世界中のカトリックの指導者たちが一斉に強く非難した。

 バチカンのグレグ・バーク報道官は18日、声明を発表し、「教皇フランシスコは、バルセロナで起きた事件を深刻に受け止め」、「犠牲者たちのために祈り、スペインの全国民、とりわけ負傷者と亡くなった方の家族の皆さんに深い同情を示されています」と教皇の哀悼の意を伝えた。

 また、現地バルセロナ大司教区の前教区長、ルイス・マルチネス・シスタッチ枢機卿は「亡くなった方々、傷を負われた方とともに、今回の襲撃事件を強く非難します。私たちの心は痛みと犠牲になられた方々への同情で一杯です」と悲しみを表明し、同教区のセバスチャン・タルタブル補佐司教は「今回の事件を強く非難し、犠牲者の方々の魂を神に委ねます。親類縁者の方々と共に祈ります」と語った。

バルセロナ大司教のホアン・ホセ・オメヤ枢機卿は、夏の霊操のためバルセロナを離れていたが、急遽、バルセロナに戻り、信徒たちとともに痛みの時を過ごすことになった。

 スペインの他の教区の司教たちからも即刻、ツイッターなどで哀悼の意の表明と犠牲者たちのための祈りが寄せられているほか、米国司教協議会の国際正義と平和委員会委員長のオスカー・キャントゥー司教も声明を出した。

 司教はその中で、「またしても、テロによって多くの死傷者が出てしまいました。米国司教協議会はこのような道義にもとる行為を断罪し、バルセロナ大司教区とスペイン全土の方々と、この深い悲しみの時をともに分かち合いたいと思います」、さらに「罪もない人々に対するテロ攻撃は絶対に正当化できません。罪もない男女、子供たちへの直接攻撃は、無条件に非難すべきものです」とのべたうえで、「神が犠牲者たちに安らぎを与えてくださいますように。また、このような行為をした人々の心を改めてくださいますように」と祈りをささげた。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2017年8月18日

「ベトナム政府は信教の自由を尊重すべきだ」とバチカン大使警告(CRUX)

Vatican envoy: Vietnam’s government must respect religious freedom

A woman collects lotus flowers in Hanoi, Vietnam, June 16. Archbishop Leopoldo Girelli, the non-resident representative of the Vatican to Vietnam, spoke of the state of religious freedom Aug. 13 during the opening Mass of Marian Congress at the national shrine of Our Lady of La Vang in central Vietnam’s Quang Tri province. (Credit: Luong Thai Linh/EPA via CNS.)

Earlier this year, the Vietnamese bishops criticized the new Law on Belief and Religion, which will take effect January 1. They said abstract phrases in the law “are easily abused to shift responsibility onto and condemn religious organizations when the government is dissatisfied.”

Archbishop Leopoldo Girelli, the nonresident representative of the Vatican to Vietnam, presided at the August 13 opening Mass of the Marian Congress, held at the national shrine of Our Lady of La Vang in central Vietnam’s Quang Tri province.

In his homily, Girelli spoke of the state of religious freedom in the country, reported ucanews.com.

“In some provinces, civil authorities are anxious and complain about the Catholics and their deeds,” the archbishop said during Mass, where he was joined by Vietnamese bishops and some 200 priests.

Girelli advised the gathering on the wisdom of St. Peter’s words: “We must obey God rather than men” and of Jesus’ “Give back to Caesar what is Caesar’s, and to God what is God’s.”

“I would like to tell the Vietnamese Caesars to give to God what is God’s,” he said, to which the congregation responded with a large round of applause.

Earlier this year, the Vietnamese bishops criticized the new Law on Belief and Religion, which will take effect January 1. They said abstract phrases in the law “are easily abused to shift responsibility onto and condemn religious organizations when the government is dissatisfied.”

At the Mass, Girelli said the local Catholic Church must be seen as something positive, rather than as something problematic for the country.

He asked the congregation to spend time praying during the congress so that they can acquire God’s presence in their lives. “Only when we follow Jesus and stay in him, we are really happy,” he said.

The archbishop, who is based in Singapore, pays working visits to dioceses in Vietnam, with each visit lasting only one month. All his activities must be approved by the government, ucanews.com reported.

An estimated 100,000 pilgrims – including people of other faiths from Vietnam and abroad – attended the three-day congress to mark the feast of the Assumption of Mary into heaven, celebrated Aug. 15.

During the event, pilgrims attended Masses, went to confession, prayed the rosary and watched cultural performances.

Mary is believed to have appeared in La Vang in 1798 to console persecuted Vietnamese Catholics. In 1961, the bishops of Vietnam declared the site a national Marian shrine.

2017年8月18日

 北朝鮮に拘束されたカナダ人牧師「人道的見地から」釈放され帰国(CJC)

(2017.8.14 CJC)北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は、カナダのダニエル・ジャン国家安全保障顧問が8月8日、トルドー首相特使として北朝鮮の平壌に到着した、と報じた。北朝鮮で2015年12月に敵対行為を働いたとして無期労働教化刑で服役している韓国系カナダ人牧師、林賢洙氏(62)の解放交渉を行った模様で、翌9日、林氏が病気のため、人道的見地から釈放したと発表した。

 同通信は7月14日、駐朝スウェーデン臨時代理大使が林氏と領事面会を行った際に、林氏がカナダ政府に問題の解決に向けて努力して欲しいと求めたと伝えていた。カナダ外務省は8月12日、林氏が帰国し、家族と再会したと発表した。外務省は声明で「われわれは林氏の家族らと共に、待ちに待った帰国を喜んでいる」と表明した。

 林氏は北朝鮮で最も影響力のある宣教師とされ、同氏が所属するトロント郊外ミシサガの『ライト・コリアン長老教会』は、同氏が1997年以降、北朝鮮に100回以上渡航し、児童養護施設や介護施設の設置を手伝ったと明らかにしている。一方で、林氏が関わっていた製麺、製粉などの事業は、13年12月に処刑された張成沢元国防委員会副委員長と関連があったとされている。□

 北朝鮮から帰国したカナダ人牧師が拘束体験語る

(2017.8.14 CJC)北朝鮮で拘束され、病気を理由に解放された韓国系カナダ人の林賢洙氏(62=リム・ヒョンス)牧師が帰国後初めて公の場に姿を現した。

 同氏は8月13日、帰国後始めて地元のトロント郊外ミシサガの教会を訪れ、冬に凍った地面に穴を掘らされたこと、「体重は90キロから2カ月で67キロに減った」など体験を語った。北朝鮮はリム氏の釈放について「病気のため」としているが、リム氏は健康状態については問題なかったと話した。

 北朝鮮は今年6月にもアメリカ人大学生を解放したが、帰国時には意識がなく、その後死亡している。□

2017年8月17日

 北朝鮮核危機ーヨハネス23世がキューバ危機回避に果たした役割を思い返す(Crux)

St. Pope John XXIII. (Credit: Stock image.)

  北朝鮮によるグアムに向けた四発の核ミサイル発射の脅しとトランプ米大統領の厳しい反応を米ソ間で争われた1962年10月のキューバ危機になぞらえるのは、多くの点でまだ気が早いかもしれない。

 キューバ危機は、米本土とそれに接した島で起こり、米国とソ連のキューバをめぐる全面核戦争に発展すれば、この地球全体が存亡の危機に瀕する恐れがあった。今日、グアムは極めて深刻な状況に置かれているが、冷静を保っている。エディー・カルボ知事は「自分たちの島は、北朝鮮のミサイルを打ち落とすのが目的のTHAADミサイル防衛システムを含めて、よく守られている」と言明している。

 それに、グアムの島民たちは北朝鮮の大げさな物言いに慣れっこになっていて、これまでのところ、ひどく緊張しているようにも見えない。それでも、カトリック信徒が9割を占めるこの島の司祭たちは、霊的な安らぎを彼らに与えようと努め、9日には首都アガナの大司教区が信徒向けに声明を出し、「現在の困難に際して、神に眼差しを向けるように」と呼びかけている。

 だがもし、事態が急速に悪化、エスカレートする可能性があるとしたら、半世紀前のキューバ危機の際に、カトリック教会、特に、“Good Pope John.”として知られた当時の教皇、聖ヨハネス23世がどう行動したかを思い返すのは意味のあることだ。

 1962年10月なかばに危機が起こった時、ヨハネス23世はケネディ米大統領(訳注・カトリック教徒だった)から裏ルートで連絡を受け、意見を述べるように強く求められた。このことは、その時点では秘密とされた。教会史家でイエズス会士のノーマン・タナー師が2012年にバチカン放送とのインタビューで明らかにしたところによると、「大統領は、初のカトリック信徒の米大統領であることで、バチカンから強い影響を受けている、という印象を内外に与えるのを好まなかった。だが、彼が教皇と連絡を取ったことは、後の記録から明らかだ」という。

 同年10月22日、ケネディ大統領は米国のテレビ演説で「キューバからのミサイル発射は、ソ連に対する全面的な反撃を招くだろう。すでに米国は、ソ連の艦船の海上封鎖に踏み切りつつある」とソ連に対して強く警告を発し、2日後の24日、フルシチョフ首相は「そのような米国のあからさまな海賊行為は、戦争を招くだろう」と反論した。

 核戦争勃発の瀬戸際の中で、ヨハネス23世は25日、バチカン放送で、当時、世界共通の外交用語だった(訳注・英語でもロシア語でもない)フランス語で、熱烈な平和アピールを発表し、「私たちは世界のすべての国の政府に、現在の人類の危機に対してだんまりを決め込まないようにお願いします。平和を守るために、すべての力を動員し、誰もが予想できないような恐ろしい戦争から世界を救うように。話し合いを続けることを求めます」「すべての人の良心の証人として、そして歴史の前に、誠実で引かれた振る舞いが大きな価値を持つのですから」「あらゆるレベルで、いかなる時も、対話を進め、支持し、受け入れることは知恵と忍耐の鉄則です。それが天と地の祝福を引き寄せるのです」と訴えた。

 この声明は翌朝のソ連共産党機関紙プラウダも含めて、世界中の新聞の一面に掲載された。そして、二日後、フルシチョフ首相は「ソ連の(核ミサイルを積載してキューバに向かっていた)艦船をキューバに向かわせるのを止め、ソ連に回航させる」と発表。危機は去ったのだった。

  タナー師は、ヨハネス23世のとった行為の効果を誇張すべきではない、としたうえで、その行為を「重大な介入」ではなく、危機回避の「一つの要因」となったと評価している。さらに、「ソ連側が、教皇がバチカン放送でアピールを流す前に、教皇と連絡を取ったことは分かっている」とし、「フルシチョフ首相が、窮地を脱し、キューバへのソ連核ミサイル配備を取りやめる理由を与えてくれたことを、ヨハネス23世に感謝し、恩に着ていると公けに述べていることが、後に明らかになっている」と語っている。

 ヨハネス23世は平和アピールを発表した時に、すでに自分の命が間もなく尽きることを知っていた。そして、危機回避の二か月後、核戦争の可能性がなおも続く中で、最後の回勅「地上の平和」を、世界に対するご自分の遺書として、平和の重要さを訴えたのだった。

  この回勅が、歴代教皇の社会教説の大きな転機となった、とタナー師は言う。「ヨハネス23世は世界のすべての国、国民に訴え、全世界の次元に新たな力点を置いた。それ以前の歴代の教皇は、正義を平和を語る場合、カトリック教国、カトリックの国民の自身を守る権利に大きな力点を置いていた。だが、ヨハネス23世は、カトリック教会の目先の関心を超越し、人間性、人権、そしてすべての人々にとっての平和の重要性に直接、言及したのです」。この回勅は、教会の高位聖職者、司祭、信徒だけでなく「すべての善意の人々」に対して語られたのだ。

 ヨハネス23世の遺志を継ぐ形で、現教皇、フランシスコも平和を求めるアピールを何回か発表している。4月には北朝鮮の頑なな姿勢が核戦争の引き金を引き、「人類、文化、そしてすべての良きもの」を破壊しかねない、と警告している。教皇はこれからも、危機が続く限り、警告を続けるに違いない。

 ヨハネス23世の遺産は「平和を求めるアピールは魔法の杖ではない。だが、尊敬され、説得力のある教皇―聖ヨハネ・パウロ2世について人々がいつも言うように『どのように振る舞うべきかを知っている教皇』―によって、絶妙のタイミングで出されるなら、当時も今も、世界を変えることができる」ということを、今この時に、私たちに思い出させる。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

2017年8月13日

 北朝鮮の核ミサイル攻撃予告に、グアムのカトリック教会と米国司教団の反応は(Crux)

 2017.8.11 Crux Inés San Martín)

  北朝鮮の核長距離ミサイル実戦配備をめぐるトランプ米大統領と金正恩・北朝鮮主席の非難の応酬がエスカレートする中で、北朝鮮が近海を標的すると明言したグアムの首都ハガニアのカトリック教会は信徒たちに「困難な現在にあって、神に目を向けるように」と求めている。同時にグアムの住民に対して、家族や職場の同僚の間でこの問題について話し合いの時を持つよう呼びかけている。

 また、米国カトリック司教協議会も、オスカー・キァンツ国際正義と平和委員長が10日、ティラーソン国務長官に書簡を送り、米国と北朝鮮の対立を解消し、軍事的の衝突を避けるために外交、政治面での努力を重ねるよう求めている。

 呼びかけは、グアムのエディー・カルボ知事が島民に対して「冷静さを保ち、島の安全は十分に保障されている」と言明したのに呼応したもの。大司教区が9日に発表した声明は「北朝鮮が私たちの島をミサイル攻撃する、と脅迫しているという報道がされています。大司教区は皆さんに対して、キリストの平和に信頼するように求めます」とし、「現在の世界の平和が脅威に去られている困難な状況にあって神に目を向け、いつも祈るように」と促した。

 グアムは米国の準州で人口は16万3000人。うち85パーセントがカトリック信徒だ。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

 

2017年8月12日

 ナイジェリアでミサ中の教会襲撃、29人以上死傷、教皇が深い悲しみを表明

(2017.8.7 Crux バチカン特派員 イネス・サン・マーチン)ナイジェリアの南東部、アナムブラ州のカトリック・ネウイ教区の聖フィリポ教会が6日、ミサ中に銃を持った暴徒集団に襲われ、11人が殺害、18人が重傷を負わされた。これに対して、バチカンのパロリン国務省長官が7日、現地の司教に電信を送り、教皇フランシスコの深い哀悼の意を伝えた。

 現地の警察当局にようると、武装集団は、教会で日曜のミサが行わている最中に、参集者を襲撃した。集団がどの組織に属しているかなどは明らかになっていないが、イスラム過激派のボコハラムは関与していない、としている。犯人は一人とも二人とも言われ、死者は15人との見方もある。

 教区のスポークスマンは「一体、地球上のどこに、日曜の朝、罪もない無防備な子供や女性を含む人々の祈りの最中に発砲する者がいる、というのですか」と怒りをあらわにし、「私たちはこのような神無き行為を断罪します。そして、被害に遭った家族を慰めて下さるように、全能の神に祈ります」と語った。また教区の信徒たちに、この事件が日々の信仰生活を損なうことのないように強く訴えた。

 また、同国のブハリ大統領は声明を発表し、今回の事件について「これは、人類に対する卑劣な犯罪であり、口では表せないような冒涜だ」と述べ、犯人を強く非難したうえで、「教会で祈りを捧げている人たちを標的にし、冷血にも殺害したことに、正当化の余地はない」とし、全国民に対して、宗教団体を標的にし、神の名をかたっての暴力行為を阻止するために立ち上がり、声を上げるよう求めた。

 これまでのところ、どの過激派集団も犯行宣言を出しておらず、警察当局は大規模な捜索を進めているが、地域社会から疎外されていることを根にもった者の犯行の可能性が強いと見ている。ただ、ナイジェリアでは、イスラム過激派による住民殺害が続いており、犠牲者はすでに2万人を超えていると見られる。ただ、今回の惨劇があった南東部地域は、イスラム過激派の活動は活発ではなかった。

(翻訳「カトリック・アイ」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

2017年8月8日

 「勇気と開かれた心を」教皇がアジアン・ユースデーにメッセージ

  • (2017.8.7  

  •  教皇はこのメッセージでまず、大会に参加したアジアの若者たちに心からの挨拶を述べたあと、「アジアの若者の皆さんが神の呼びかけにこれまで以上に注意深く耳を傾け、自分たちの使命に対する忠誠と勇気をもってこたえるよう祈ります」としたうえで、2019年にパナマで予定されるワールド・ユースデー世界大会に向けて、若者たちが「宣教の使徒の模範」として聖母マリアにならい、自分の母に対するように語りかけ、その愛の取り次ぎにいつも信頼を寄せるように求められた。さらに、「このようにして、イエス・キリストに、ナザレの若い女性のように、付き従おうとすることで、『世界を良い方向で改め、歴史に足跡を残すこと』が本当にできるのです」と訴えた。

  •  大会には、アジアのカトリック教会の主要指導者である、教皇の9人の枢機卿顧問会議のメンバーでボンベイ大司教のオズワルド・グラシアス枢機卿、カリタス・インターナショナル代表でマニラ大司教のルイス・アントニオ・タグレ枢機卿も参加した。閉会式のミサを司式したジャカルタ大司教のイグナシウス・スハリョ・ハリョアトモヨ師は説教の中で「私たちは、自分たちの違いと知っています。国籍が違い、言葉が近い、文化も違います。しかし、この大会で、そのような違いが私たちを分けることはできないこと、違いは結束した人間性の豊かさを示すものだ、ということを確認しました」と語り、若者たちが「福音を力強く、忠実に生き、私たちが皆、福音の喜びに満たされることを、それによって私たちの人生が、私たちの命を変える主の栄光を映すことができる」ような、助けとなるように、との希望を述べて説教を締めくった。

 

 

 

2017年8月8日

 比叡山宗教サミット30周年「世界宗教者平和の祈りの集い」教皇がメッセージ

 (2017.8.4 京都新聞)比叡山宗教サミットの開催30周年を記念し、宗教、宗派を超えて宗教者が対話し、平和の実現を目指す「世界宗教者平和の祈りの集い」が3日、京都市左京区の国立京都国際会館で開幕した。海外18カ国24人の宗教者を含む計2000人が参加し、4日まで2日間、宗教の果たす役割の重要性を確認し合う。

 宗教サミットは1987年、故山田恵諦(えたい)天台座主の呼び掛けで開かれた。その後10年ごとに、海外の宗教者を招いて大規模な集いを催してきた。

 開会式では、国内と海外からキリスト教、イスラム教、仏教、ユダヤ教、ヒンズー教、ゾロアスター教の指導者ら計約50人がメインホールの壇上に並んだ。主催した日本宗教代表者会議事務総長の杜多道雄(とだどうゆう)・天台宗宗務総長は、「宗教者同士が互いの誤解を乗り越えるために対話し協調しあうことが、世界平和と成熟した共生社会の実現につながることを世界に発信したい」とあいさつ。ローマ法王と世界仏教徒連盟会長、世界イスラム連盟事務総長のメッセージが読み上げられた。

 基調講演では、明石康・元国連事務次長と、ウィリアム・ベンドレイ世界宗教者平和会議国際事務総長が話した。明石氏は「多くの分裂と大きな憎悪の存在する現代社会を乗り越えるには、胸襟を開き、対話の場を広げる地道な努力しかない」と話した。

 夜には山科区の将軍塚青龍殿でグレゴリオ聖歌と天台声明、イスラムの聖典コーランの詠唱があり、平安時代から続く「不滅の法灯」の分灯がともる中、宗教者約300人が「鎮魂の祈り」をささげた。4日午前は分科会があり、午後に会場を大津市の天台宗総本山・延暦寺に移して開催される。

教皇フランシスコがメッセージ

(2017.8.3 Vatican Radio)比叡山宗教サミットの開催30周年を記念する「世界宗教者平和の祈りの集い」にあたり、教皇フランシスコがメッセージを送った。

 メッセージは、集いに参加した香港の名誉司教、ジョン・トン・ホン枢機卿が代読、その中で教皇は「様々な宗教的伝統をお持ちの代表の方々に心からのご挨拶をいたします」と前置きしたうえで、「この祈りの集いが、世界の人々の対話と友情の精神を高める特別な手立てとなることに貢献し、私たち人類家族の中で平和のための新しい道を開くために、世界中の宗教を信じる方々がともに働くことができますように」と期待を述べられた。

 さらに、「私たちが平和への努力を奮い立たせ、続けることができますように。そのことが、私たちの間で、人間としての互いの敬意を深め、愛のきづなを強め、公正な関係と兄弟姉妹としての連帯を強めていく断固とした努力をするように励ましてくれるからです」と祈られた。

 (翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2017年8月4日

「多様なアジアの文化の中で福音を喜んで生きよう」”アジアン・ユース・デー”始まる

インドネシア・ジョグジャカルタで開催の「第7回アジアン・ユース・デー」 – RV

(2017.8.3 バチカン放送)インドネシアのジョグジャカルタで「第7回アジアン・ユース・デー」が始まった。

 アジアン・ユース・デー(AYD)は、アジアの若いカトリック信者の代表が参加し、交流のもとに、友情と連帯、福音精神と信仰を深める集い。今大会のテーマは「アジアの若者よ、多様性あふれたアジアの文化の中で、福音を喜んで生きなさい」。

 先月末、インドネシア入りした参加者らは、同国の11教区にそれぞれ滞在しながら様々な行事を体験。8月2日、ジョグジャカルタに集合し、アジアン・ユース・デーの開会式に臨んだ。

 バチカン放送局のステファノ・レチェンスキ特派員は、開会したAYDについて、現地から次のように報告している。

 「第7回アジアン・ユース・デーは、ジャワ島のジョグジャカルタで大きな銅鑼の音と共に開幕しました。この素晴らしい場所に、アジアの21カ国から2千人以上が集っています。この青年たちの大会の主な目的は、多文化・多宗教という、今日、相互理解と対話がよりいっそう必要とされる環境の中で、福音を証しすることにあります。開会式が行われたジョグジャエキスポセンターは、自治体の協力によって今回会場として提供されたもので、式典には国と自治体政府の要人らも参加しました。特にジョグジャカルタのスルタンで、同特別州の知事、ハメンクブウォノ10世の参加は、地元の政治、そしてイスラム教の権威として、大きな意味を持っています。

 インドネシアにおいて、諸宗教対話は最も重要とされるテーマの一つです。インドネシアはおよそ2億5千万人の人口中、イスラム教徒が大多数を占め、世界で最も多くのイスラム教徒を擁する国であり、その中でカトリック人口は3%に満たない少数派です。インドネシアのカトリック司教協議会会長、イグナチウス・スハルヨ大司教は、インドネシアは安全な国であり、原理主義の脅威は対話によって解決することができるだろうということを若者たちに示したい、と述べています。

 「多様性の中の一致」は、インドネシアの人々にとって大切なモットーです。スハルヨ大司教によれば、カトリックの若者たちはこれを深く理解しているといいます。スマラン教区のルビタモコ司教も、この大会の準備にイスラム教徒の青年たちが参加したことを特に指摘しています。」

 

2017年8月4日

 教皇庁、国連安保理でイスラエルとパレスチナの直接対話訴え

(2017.7.26 バチカン放送)エルサレム旧市街のイスラム教とユダヤ教の聖地をめぐりパレスチナとイスラエルの緊張が高まっていることに対し25日、国連安保理緊急会合が開かれ、オブザーバー参加したバチカン代表は「イスラエルとパレスチナの和平プロセスを国際社会の優先課題から除外してはならない」と強く訴えた。

 バチカンを代表したシモン・カサス師は「イスラエルとパレスチナの2国家共存を支持する教皇庁の立場」を強調したうえで、2つの国家が平和のうちに、国際的承認を得た境界内で共存するという新しい体制づくりに期待を示した。

 さらに、「平和共存に向けて治安と発展を保証するためには、相互合意の解決をもたらす、協定のための交渉以外に道はない」とし、「この和平プロセスには、国際社会の支援を受けたイスラエルとパレスチナの直接対話が不可欠」と指摘した。

 このプロセスを成功させるためには、「イスラエルとパレスチナの双方が、緊張と暴力を押さえ、解決のための交渉と相いれない入植を含めたあらゆる行為を放棄する必要がある」と、双方の努力を強く求めた。

2017年7月27日

「抑制と対話を」教皇、エルサレムの緊張を憂慮

(2017.7.24 バチカン放送) 教皇フランシスコは、バチカンで7月23日、日曜正午の祈りを巡礼者らと共に唱えられ、その中で、エルサレムでここ数日急速に高まっている緊張と暴力に憂慮を示された。

 教皇は「事態の抑制と対話」を訴えると共に、「神がすべての人に和解と平和への関心を喚起するよう、皆に一致した祈り」を呼びかけられた。

 エルサレムの旧市街では、今月14日、アラブ系イスラエル人3人が、イスラエル人警官2人を射殺する事件が起きた。事件が起きたのは、イスラム教の聖地「ハラム・アッシャリフ」周辺で、ここはユダヤ教にとっても「神殿の丘」と呼ばれる聖地だ。岩のドームとアルアクサ・モスクがある一方、エルサレム神殿の遺構として、嘆きの壁があり、双方の宗教の聖地となっている。同地の管理はイスラム教側によって行なわれている。

 事件後、イスラエル当局は治安のためとして、聖地に入る手前に金属探知機による検問所を設置。これに対して、パレスチナ人をはじめイスラム教徒が反発。イスラエル・パレスチナ間の緊張が再び高まっている。

次のアドレスで説教の実況中継を見ることができます。 https://youtu.be/FcW2Oya5zRM
2017年7月25日

教皇、国連FAOに自ら寄付、アフリカの食糧危機へ支援促す

 (2017.7.21 バチカン放送)教皇フランシスコは、アフリカの食糧危機への関心と支援を呼びかけるため、国連食糧農業機関(FAO)に自ら2万5千ユーロを寄付された。内戦と干ばつによって食糧不安と飢饉に見舞われているアフリカ東部地域に対する、世界各国政府の支援を促すためになされた。

 教皇はFAOのホセ・グラツィアーノ・ダ・シルヴァ事務局長らに宛てた書簡で、「これは紛争と干ばつの複合的影響を受けた地域の農家に農業用の種を配給するというFAOの計画に対するシンボリックな寄付です」と説明した。

 国連食糧農業機関は、今月ローマ本部で第40回総会を開催。教皇は同総会の開会時に、バチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿を通して参加者らにメッセージをおくり、その中で世界から栄養失調や貧困をなくすための連帯を国際社会にアピールしていた。

 FAOによると、今年2月、南スーダンのいくつかの地方で飢餓状態が報告された。その後、人道的支援の増加で状況はやや好転したが、未だ同国ではおよそ6百万人が毎日必要な食糧を得るために、困難と闘っているという。同国以外にも、人道支援を必要とするアフリカ東部の国として、ソマリア、エチオピア、ケニア、タンザニア、ウガンダがあり、約1千6百万人が飢餓にさらされている。この数は2016年末と比較しておよそ30%増えているという。

 

2017年7月22日