The prayer gathering at the Cathedral of the Resurrection in Kyiv
(2026.2.26 Vatican Ne ws Svitlana Dukhovych)
ロシアによる軍事侵攻が5年目に入ったのを機にウクライナで実施された「国家祈祷の日」にあたって、同国のカトリック支援組織カリタスの関係者たちがキエフに集結。平和を祈り人道支援の必要性を確認するするとともに、世界中が示した並外れた連帯に感謝した。
悲しみと希望、連帯感が交錯する雰囲気の中、2月24日、キエフのギリシャ・カトリック復活大聖堂で祈りの集いが開催された。
この行事は、2022年2月24日のロシアによるウクライナ全面侵攻記念日に合わせて実施された「国家祈祷の日」に際し、カリス・ウクライナ(ギリシャ・カトリック教会)とカリス・スペス・ウクライナ(ローマ・カトリック教会)が、カリス・インターナショナルおよびカリス・ヨーロッパのパートナー団体と共に推進したものである。
出席者には、ウクライナ駐在教皇大使ヴィスヴァルダス・クルボカス大司教、カリタス・スペス・ウクライナ会長オレクサンドル・ヤズロヴェツキー司教、カリタス・スペス・ウクライナ事務局長ヴィアチェスラフ・グリネヴィチ神父、カリタス・ウクライナネットワーク・アイデンティティ部長アンドリー・ナヒルニャク神父らがいた。
国際パートナーの代表者やカリタス・インターナショナル、カリタス・ヨーロッパの代表者も、対面とオンラインで参加し、祈りと具体的な行動を通じて紛争の影響を受けた人々を揺るぎなく支援し続ける慈善ネットワークの証しとなった。
祈りの集いの冒頭、カリタス・インターナショナルのアリステア・ダットン事務局長がビデオメッセージで集まった人々に語りかけた。彼は、この非常に困難な4年間を通じて、ウクライナのカリタス組織内で活動する全ての人々に対し、住民のニーズに応えるためのたゆまぬ忠実な奉仕に対して深い感謝の意を表明した。
「ロシアが再びウクライナに侵攻したというニュースを聞いた時、我々の多くがどこにいたかを覚えていると確信している。再び、ヨーロッパの東の国境で戦争が勃発し、我々のウクライナの友人たち、兄弟姉妹たちは大きな苦しみを耐え忍んできた」と彼は続けた。「深い痛みと悲しみをもって、我々はウクライナでの戦争が4年目を迎えることを記す。この苦しみの深さを完全に表現できる者は誰もいないが、我々は連帯をもってあなたの側に寄り添い続けたいという思いを示せるのだ」
ウクライナ国民の精神と勇気を強調しつつ、ダットンはカリタスが戦争が生み出したニーズへの具体的な対応を体現していると指摘した。「君たちこそが真のカリタスだ」と彼は断言した。「君たちは、自国で起きている事態により最も苦しむ貧しい者たちにとって、真の福音なのだ」
カリタス・ヨーロッパのマリア・ニマン事務局長も、ウクライナのパートナーたちに対し、自身と欧州ネットワーク全体の近さを保証した。「今日、我々は命と家と愛する者を失った全ての人々を偲ぶ」と彼女はビデオメッセージで述べた。「心身ともに傷ついた全ての人々のために祈る。離散した家族と、この困難な時に平和を切望する人々のために祈る。我々は祈りをもって君たちと共にいる。揺るぎない献身をもって君たちの傍らに立ち、ウクライナのカリタス職員とボランティアを支援する。」
ウクライナ駐在教皇大使、ヴィスヴァルダス・クルボカス大司教は、カリタス・ウクライナとカリタス・スペスが人道支援分野において国内で最も活発な組織の一つであると強調した。
カリタス主催の祈りの集いは「積極的な愛」と「祈り」という二つの側面を結びつけると指摘。「私たち全員を祈りで一つにする日を持つことは非常に重要だ」と述べた。続いて、占領地域に住む人々、囚人、極度に困難な状況で働く医師、負傷者、そしてこの戦争で亡くなった人々のために祈るよう出席者に呼びかけた。
共同祈祷の後、カリタス・ウクライナの副代表グリゴリー・セレシュチュクは、14歳になったばかりの息子について語った。「突然気づいたんだ。彼は我が国が平和だった生活を覚えていないと。これは正常ではない。少なくともここキエフでは、彼は学校に通う機会がある。ウクライナの他の地域では、この機会を持たない50万人の子供たちがいるのに」
「21世紀において、一人暮らしの高齢者が自宅で亡くなることも、正常とは言えない」と副代表は指摘した。「キエフで100万人以上が暖房を失い、ハルキウ、ドニプロ、オデッサなど多くの都市で今も数万人がこの状況にあるのも正常ではない」
4年という節目を越え、戦争終結への希望を表明したセレシュチュクはこう結んだ: 「ウクライナの膨大なニーズに直面し、我々の奉仕を続けるために必要な忍耐を、皆に願い、神に祈りたい。今日なお困窮の中で生きる1100万人もの人々について語っているのだ」
カリタス・スペス・ウクライナの事務局長、ヴィャチェスラフ・グリネヴィチ神父(SAC)も、この4年間の紛争における自身の経験を振り返った。「私は出会った無数の瞳を覚えている。君を見つめるが、もはや世界を見失った瞳。蘇らせたいと願うが、無力感ゆえに叶わない視線だ。ハルキウの地下鉄駅で生まれた子供の瞳だ。まだ理解はできぬが、おそらく何かを感じ取っている」
事務局長は続けた。「それは国境に立つ祖母の瞳だ。故郷から引き離され、もはやどの方向へ視線を向ければよいのかわからない。我々が希望を取り戻そうと努めてきた無数の瞳だ。涙を流す権利を持つ疲れた瞳。微笑み、感謝を表現し、抱擁する瞳。しかしそれらは同時に、神秘的でありながら現実的な意味で、主の瞳でもある。それこそが、今日我々が切実に必要とする希望を真に築く瞳なのだ。視線を伏せず、上へと向ける全ての人々を祈りの中で覚え、感謝したい。そこには我々の力があることを自覚しながら――主は全てを見渡し、揺るぎない御手をもって我々を支えてくださるのだ。」6
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
(Latin Patriarch Pierbattista Pizzaballa, the top Catholic clergyman in the Holy Land, arrives at the Church of the Nativity, traditionally believed to be the birthplace of Jesus, on Christmas Eve, in the West Bank city of Bethlehem, Wednesday, Dec. 24, 2025. (Credit: Nasser Nasser/AP.)
ベツレヘム(ヨルダン川西岸地区)― 主のご降誕の前日24日、ベツレヘムの主の降誕教会前の「飼い葉桶広場」に、キリスト教徒とイスラム教徒を含む数千人が集まった。 ガザでの戦争が始まって2年間、控えめな祝賀が続いた後、聖地各地の家族たちが待ち望んだ祝祭の気運の高まりを告げる光景だった。
キリスト教徒が「イエス・キリストの誕生の地」と信じているこの街では、これまで降誕祭の祝賀行事が中止されていたが、24日には巨大なクリスマスツリーが「飼い葉桶広場」に復活し、瓦礫と有刺鉄線に囲まれた幼子イエスの戦火の中での誕生シーンに一時的に取って代わり、ガザの苦難への追悼の意を表明した。
聖地におけるカトリック教会の最高指導者であるピエルバッティスタ・ピッツァバラ枢機卿は、エルサレムからベツレヘムへの伝統的な行列の中で今年の祝賀行事を開始し、「光に満ちたクリスマス」を呼びかけた。
ベツレヘムの主の生誕教会で主の降誕夜半ミサを捧げた枢機卿は「21日に主の降誕前のミサを捧げたガザ地区の小さなキリスト教共同体からの挨拶を携えて来ました。ガザでは、荒廃の中にあっても、再建への願いを目の当たりにしました」としたうえで、「私たち皆が共に、光となることを決意します。ベツレヘムの光は世界の光なのです」と強調した。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
(2025.12.20 Vatican News *)
聖地管区のフランシスコ会修道士 、イブラヒム・ファルタス神父からの待降節メッセージ
*非人道的な状況にある人々を救うのを阻んでいるのは何、誰?
*「答えのない問い」への答えは、冷たい暗闇でお生まれになった御子にある
Over 300 students kidnapped from Catholic school in Nigeria
(2025.11.22 Vatican News Cecilia Seppia )
ナイジェリア西部ニジェール州の聖マリア・カトリック学校に21日未明、武装集団が乱入、300人以上の生徒、教職員を拉致した。
ナイジェリアでは先日、ケッビ州で 25 人の女子生徒が誘拐され、 18 日にも西部クワラ州で教会が襲撃されるなど、カトリックの学校、教会を標的にした拉致、襲撃が頻発している。現地の教会はこの行為を非難するとともに、深い懸念を表明している。
今回の集団拉致について、どの組織も犯行声明や身代金要求を出していないが、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」のテロリストが背後にいる可能性が高い。
*頻発するキリスト教徒標的の拉致、攻撃、米国政府は制裁検討
キリスト教徒を狙った拉致や襲撃が頻発するナイジェリアに対し、米国政府はトランプ大統領主導で制裁の実施など検討しているが、ナイジェリア政府は、「攻撃は宗教的所属に関係なく、すべてのナイジェリア人を標的にしている」と弁明している。
だが、米国のトランプ米大統領は今月初め、ナイジェリアを「安全でない国」のリストに掲載し、同国で「キリスト教徒に対する迫害」が行われているとして、迅速な軍事介入を示唆。こうしたテロ行為が止まらない場合は、「ナイジェリアへの援助を直ちに打ち切る」とも述べていた。
今回の事件を受けて、米国務省ののプラット・アフリカ局長は、キリスト教徒に対する暴力に対処するため、「国防総省の支援を受けて、ナイジェリアに対する制裁措置とテロ対策の実施を検討している。制裁は、財務省による制裁と国防総省による対テロ対策の関与に加え、宗教コミュニティ保護のための追加的取り組みが含まれる」と説明。また、ナイジェリア政府への安全保障支援とその資源活用方法、情報・諜報の共有について見直しも進めている、という。
*地方政府は全寄宿学校に臨時閉鎖を命令
「アグワラ地区の聖マリア校で生徒と教師が拉致された、との報を深い悲しみをもって受け止めている。拉致された正確な人数はまだ把握できていない」とニジェール州政府のウスマン氏は述べ、同地区の治安悪化を受け、地方政府が予防措置として全寄宿学校の臨時閉鎖を命じたことを明らかにした。
カトリック・コンタゴラ教区は、バチカン通信社FIDESあてに出した声明で、「現地時間午前1時から3時の間に発生したと見られる襲撃で警備員1名が重傷を負った… コンタゴラ教区は今回の襲撃を強く非難するとともに、拉致された児童たちと家族の安全を深く憂慮している。治安機関に直ちに通報し、人質が安全に解放されるよう対応を始めた」と述べた。
ナイジェリアでは身代金目的の集団拉致が頻発している。アフリカで最も人口が多く、石油資源にも恵まれたこの国の中部・北西部では、当局が総称して「バンディット(山賊)」と呼ぶ犯罪組織による犯行が常態化している。また同国北部では約20年にわたりジハード主義者(暴力的な手段も用いてイスラム教社会の実現を目指す思想や運動を行う集団)による 反乱が続いており、国連によればこれまでに4万人が死亡、200万人以上が避難民となっている。
The international congress in Salamanca, Spain, on “Internal Communication in Catholic and Pontifical Institutions: limits and challenges”
(2025.11.14 Vatican News Amedeo Lomonaco)
スペインのサラマンカ教皇庁立大学とサラマンカ教皇庁立大学と国際カトリック大学連盟(上智大学など世界200以上のカトリック大学が加盟)が主催し「カトリック教会およびバチカンにおける内部コミュニケーション:限界と課題」をテーマとする会議が12日から14日にかけてサラマンカで開かれた。
会議には、欧州、南米、アジア、オセアニアなどのカトリック大学の代表者が参加、コミュニケーションと人工知能をカトリック大学の使命と課題に関連付けて議論がされた。
12日の開会あいさつで、サラマンカ教皇庁立大学のラマ学長は「カトリック大学内でのコミュニケーションは、真実、共同責任、奉仕の絆を織りなすこと、個人を超越した共通の使命の一部であるという意識を育むことを意味する。教皇庁およびカトリックの機関において、良好な内部コミュニケーションは、教会に奉仕する方法でもあります」と述べた。
*「AIは人間の知性の成果だが、知性に取って代わるものではない」
続いて講演したバチカン広報省のパオロ・ルッフィーニ長官は、教会の中核の一つは「コミュニケーション」だと指摘。関連して、「AI(人工知能)は、善にも悪にも使える賜物と捉えるべきだ」と強調し、「AIは人間の知性の成果だが、それに取って代わるものではないこと、そして真の知性は、愛に育まれた理性、心、そして感情を統合するものです… 人間的な性質を持ち、道徳的考察や善悪を見分ける能力を伴う決定を、人工知能に委ねるべきではありません」と語った。
さらに長官は、「非人間的なコミュニケーション」のリスクについても警告。「コミュニケーションは、理想的には真実と自由で織りなされたネットワークであるべきですが、私たちを孤立させるものになるリスクもあります」とし、「フェイクニュースのインフォデミック(注:ソーシャルメディアなどを通じて、不確かな情報と正確な情報が急激に拡散される現象のこと)によって引き起こされた不信感が高まる現状を踏まえ、真実と他者との関係に対する信頼を再構築する必要がある。傾聴、反省、対話の場を促進すべきです」と訴えた。
*「AI の分野で、神学と哲学は重要な役割を果たせる」
また、バチカン文化教育省のポール・ティグ司教は、「絶えず変化し、進化する世界で、AI を用いて教育を行うだけでなく、AI について、そして AI のために教育を行う必要性」を指摘。「生成AIは第四次産業革命と呼ばれる重大な転換点にあり、根本的に変化し続ける世界に生きる世代を育成するためには、教育の根本的進化が求められます」とし、「AIが教育革新にもたらす膨大な可能性」を認めつつも、「教師の役割を過小評価すべきではない。教師の役割は、学生の総合的・社会的・感情的な発達への献身に根ざしているからです。教育カリキュラムの開発においては、デジタル能力とデジタルリテラシーの両方を優先すべきです」と述べた。
ティグ司教はまた、特に専門知識が不足する分野において「アルゴリズムには常に意見や方向性が内在している。AIが生成する結果に盲目的に追従すべきではない。教会は、AIの利用に関する世界的な議論に参加しなければなりません」と強調。AIの可能性を称賛する一方で、「人間性を育む存在となり得る能力を見分けて行かねばなりません」と語った。
そうした中で、カトリック大学は、「教育と育成という使命を通じて、世界に貢献するまたとない機会を手にしている… 科学的文化と人文的文化を融合させること。カトリック大学がネットワークを構築し、協力すれば、より大きな成果を上げることができる。AI に関して、学際的かつ分野横断的なアプローチが必要です… 神学と哲学が AI 分野において関連性を見出し、重要な役割を果たすことができます」と強調した。
*「世界はアルゴリズムで支配されてはならない、新たなヒューマニズムの構築を」
会議は14日のルッフィーニ長官の「コミュニケーションと文化を結びつけるもの」についてのスピーチで幕を閉じた。その中で長官は、教皇レオ14世がイタリアのRCSアカデミーのメンバーに向けて行ったスピーチを取り上げ、「誰も歯車や単なる機能ではない」と述べ、「今日の世界では、”クリック”するごとに収益を上げるよう設計されたアルゴリズム(注:コンピューター・プログラミングに代表される、ある問題の正解を引き出すための一定の手続きまたは思考方法) が、情報圏を汚染しています。知識がなければ答えは出せず、コミュニケーションがなければ答えを共有することはできないのです」と強調。
「知識の共有における人間同士の出会いの美しさを、アルゴリズムが置き換えることは決してありません。文化、教育、コミュニケーションの分野において、橋渡しや提携を構築する必要がある。その課題は大きく、私たちの責任も大きい。現代性と福音のメッセージ、機械文明とコミュニケーション、そしてキリスト教と文明との間の亀裂を修復せねばなりません。そして、その使命は、大学やコミュニケーションの世界にも求められています。具体的な問題は、『アルゴリズムによって支配され、形作られる世界ではなく、新しいヒューマニズムをどのように構築するか』です」と訴えた。
(2025.10.30 Crux Staff)
(写真右:ジャック・ムラード大司教=クレジット:ACN)
シリアのホムス・ハマ・アルナベク教区のジャック・ムラード大司教は、ローマで教皇庁財団「教会支援協会(ACN)」が主催した『世界の宗教的自由に関する報告書2025』発表会で講演し、「シリアの教会はもはや死にかけている」と訴えた。
シリアでは内戦が数年続き、近年起きた政治的変動の余波で国民が苦しむ中、キリスト教徒は不安を抱えて生活している。昨年、スンニ派イスラム主義勢力がバッシャール・アル=アサド大統領を打倒し、政権を掌握した。
新政権は宗教的少数派を優遇すると約束したが、非スンニ派に対する攻撃が頻発しており、その多くはアサド政権支持の嫌疑をかけられている。
ACNの推計によれば、2011年時点でシリアには約210万人のキリスト教徒が居住していたが、2024年にはその数は54万人近くまで減少した。
ローマでムーラド大司教は「今この瞬間に声を上げることで、祖国に有益となることを願う」と希望を表明。「シリアの教会は、死にかけている… バチカンや現地教会のいかなる努力も、信徒が国から脱出する潮流を食い止めることはできなかった。その原因は教会ではなく、国の悲惨な政治的・経済的状況にある… シリアに明確な政治体制モデルと強固な治安システムを確立しなければ、移民の波を止めることはできない」と訴えた。
大司教は「シリア国民は今も暴力や報復、悲劇的で遺憾な出来事に苦しめられており、この流血を終わらせる、という国際社会の主張や民衆の要求をすべて損なっている… 我々はますますアフガニスタンに似てきている。まだあのレベルの暴力はないが、そう遠くないところまで来ている。人々はあらゆる圧迫にさらされている。宗教的自由を含め、我々がより大きな自由へ向かっていると思ってはならない」と続けた。
シリアのアハメド・アル・シャラーア大統領は26日にダマスカス旧市街の聖母マリア教会を訪問し、国内のキリスト教徒の状況について協議、少数派宗教の保護を確約している。
大司教は講演で、イスラエルとの和平条約の可能性にも言及した。この条約では、1967年の六日戦争でイスラエルが占領し、1981年に併合した係争地ゴラン高原が割譲されることになっており、「そうなれば、首都ダマスカスの住民は水源を奪われ、”奴隷状態”に陥る」とし、「このような条約を誰が受け入れるだろうか?双方の決定が公平であることを保証すべき人権の価値観はどこにあるのか?」と問いかけた。
そして、世界の国々や国際機関に対して、「シリア情勢に対し明確な立場を取ること』を求め、シリア国内で活動する全ての地域・国際機関・組織に対し「文化団体、学校、大学、研究所と連携し、社会に蔓延する恐怖を克服するとともに、司法の独立と正義の確立における立法の役割に関する研修コースを組織すべきだ」と訴えた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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(2025.10.5 カトリック・あい)
日本では4日、自民党総裁に高市早苗氏が選ばれ、日本の憲政史上初の女性首相誕生が確実となったが、世界に約8500万人の信者を抱える英国国教会(聖公会)では、3日に聖職者で最高位のカンタベリー大主教に聖公会史上初の女性が誕生することになった。内部に実現を強く望む声が出ながら未だに女性の助祭さえ認めないカトリック教会は、少なくとも教会における女性の地位に関する限り、一段と大きな後れをとることになったようだ。
カンタベリー大主教に任命されたのは、サラ・ムラーリー・ロンドン主教(63)。聖公会幹部らによる委員会が指名、名義上のトップ、英国のチャールズ国王が3日承認した。来年3月に就任する。
英国国営放送BBCによると、英国のスターマー首相は、「彼女の成功を心から願っている。共に働けることを楽しみにしている」と述べ、バッキンガム宮殿によると、チャールズ国王は、ムラ―リー師の大司教就任は「英国と世界の聖公会共同体にとって極めて重要なものだ」と述べ、祝意を表わされた、という。
聖公会では、前任のウェルビー大主教が同教会関係者が多数の少年に虐待を繰り返した疑惑への対応を怠ったとして批判され、責任を取る形で昨年11月に辞任し、これまで約1年、ポストが空席となっていた。ムラ―リー新大主教には、国教会の信頼回復に向けた対応が求められる。
ムラ―リー師は、既婚者で2人の子供を持つ。英国の国民保健サービス(NHS)に35年以上勤務し、1999年に史上最年少でトップのCNO(看護主任)となり、2006年に牧師に叙階。2018年に英国国教会で3番目に高い職位であるロンドン主教に、女性として初めて就任した。
シビルパートナーシップ(法律で認められた婚姻に相当する「事実上のパートナー関係」を指し、同性カップルが結婚に準ずる法的権利を得ること)や結婚における同性カップルの祝福を認めるなど、いくつかの点でリベラルな措置を支持してきたこともあり、聖公会の保守派グループは彼女の大主教就任について、「歓迎する者もいるだろうが、聖公会共同体の大多数は、聖書が男性のみの主教職を求めていると今なお信じている」などと批判した。
これに対して新大主教は、声明で「希望と癒しを見い出すために人々を一つにしたい… 私は非常に単純に、教会が成長し続けるよう働いていきたい」と述べ、前任者の辞任の原因となり、教会に「深い傷と不信の遺産を残した児童保護の失敗」に向き合うことを約束し、「教会内での役割に関係なく、私たちは皆、自らの行動に光が当てられることを受け入れなければならない」と語った。
新大主教は、また2日にマンチェスターのシナゴーグで発生した「恐ろしい暴力」について、「私たちは、地域社会の亀裂から立ち上る憎悪を目の当たりにしている」とし、「私たち教会は、あらゆる形の反ユダヤ主義に対して、ユダヤ人コミュニティーと共に立つ責任を負っている。どのような種類の憎悪や人種差別も、私たちを引き裂くことは許されない」と語っている。
Houses lie in ruins after militants attacked the village of Ntoyo, in the Democratic Republic of Congo
(2025.9.19 Vatican News Giada Aquilino)
コンゴ民主共和国で暴力が続く中、「Missionary Families without Borders(国境なき宣教師家族)」代表は、同国東部でほぼ毎日のように虐殺が起きる中、地元住民の苦しみを共有している。
北キブ州ントヨで最近発生した襲撃では少なくとも89人が死亡し、さらに多くの民間人が避難を余儀なくされた。ブテンボ=ベニ教区のメルキゼデク・シクリ・パルク司教はこれを「またしても恐ろしい虐殺」と呼んだ。
9月8日夜、武装集団が近隣の森から現れ、葬儀の通夜に集まっていたントヨの住民(大半がカトリック・プロテスタントのキリスト教徒)を襲撃。少なくとも89人が殺害され、数十軒の家屋と車両が放火された。襲撃はウガンダ出身の反政府武装組織「連合民主勢力(ADF)」の仕業とされ、同組織はいわゆるイスラム国への忠誠を誓っている。
これは、国連専門家が少なくとも4000人のルワンダ兵士による支援を受けていると指摘するM23民兵組織(3月23日運動)など、コンゴ民主共和国東部で40年以上にわたり続く紛争に関与する数多くの武装勢力の一つだ。キガリ(ルワンダ政府)はこの主張を一貫して否定している。
*日常的な暴力と避難民
ントヨ襲撃後、約2500人の住民が7km離れた鉱山集落マンギュレジパへ避難した。同地にはコンゴ軍部隊が駐留し、2021年以降はウガンダ軍も展開している。
ブテンボ出身のジャスティン・ムヒンド・マシンダは「2014年以降、ほぼ毎日、毎週のように虐殺が起きている」と語る。彼が所属する団体「国境なき宣教師家族」は北キヴ州で教育・保健・人道支援プロジェクトを展開しており、故郷のントヨ村も対象地域だ。先週の襲撃で彼の自宅は焼失した。現在は親族を含む新たに避難してきた23人を保護している。
「伝統的に遺族を支えるために人々が集まる喪に服す日々だった」と彼はVatican Newsに語った。「夕方になると『テロリスト』たちがライフルとハンマーで武装して現れ、殺戮を始めた」。ADFの暴力は「長年にわたり」北キヴ州と東部地域を荒廃させてきたと彼は述べた。動機については、M23との連携による鉱物(特に金とコルタン)の略奪などが様々な説として挙げられている、と付け加えた。
*襲撃の経緯
「日曜日にブテンボで避難民全員と面会した」とジャスティンは続けた。「証言は恐ろしいものだった。彼らが生き延びたのは奇跡だ。家屋が炎上する中を脱出した者もいた。テロリスト集団は非常に大規模で、兵士のような服装の女性や子供を含む約70人だった、という。村人の名前まで知っていたことから、事前に村を監視して住民に気付かれずに配置を把握していたことがうかがえる。
ジャスティンは、ここ数日近隣の村でも同様の襲撃が発生していることを指摘した。これは7月にイトゥリ州コマンダのカトリック教会で、聖体礼拝中の信者や若者たちが襲撃された事件を含む、広範な暴力のパターンの一部だ。教皇レオ14世はその地域社会に対し、深い悲しみと連帯の意を表明し、これらの「殉教者」たちの血が「コンゴ国民全体にとって平和、和解、友愛、愛の種となる」よう祈りを捧げた。
*「何よりも必要なのは『平和』だ」
「人々に必要なのは平和だ」とジャスティンは語る。「平和があってこそ、私たちは学び、医療を受け、発展を考えられる。平和がなければ、畑に出て農作業もできない。多くの子供たちが学校に通えない。多くの病院や保健センターが破壊されている。指導者たちや国際社会に訴えたい。ただ『平和をもたらす。もう誰も殺されない』と言ってくれる人が必要だ」と訴えた。