画像説明, ウクライナ正教会のエピファニー首座主教(手前)が、最前線で戦うウクライナ兵に届けられる復活祭のケーキを祝福した(9日、キーウReuters )
(2026.4.10 カトリック・あい)
英国営放送BBCなど世界の報道機関が10日報じたところによると、ロシアとウクライナは9日、正教会の復活祭に合わせた停戦に合意した。
ロシアのプーチン大統領は、今週末にロシア軍に対し「全方向で」停戦するよう命じた、と述べた。これに対し、ゼレンスキー大統領は即座にXに投稿し、「ウクライナは、”対称的な措置”を取る用意がある」と表明。「人々には、脅威のない復活祭と、平和に向けた実質的な前進が必要だ。ロシアには、復活祭後も攻撃に戻らない機会がある」とも述べた。
停戦については、ウクライナのゼレンスキー大統領が今週初め、米政府に対し「復活祭の週末の停戦案を第一歩としてロシアに伝えてくれるよう要請した」と述べていた。
BBCによると、プーチン大統領は9日、「モスクワ時間の11日午後4時から復活祭当日の12日まで停戦する」と発表。「ウクライナがロシアの”模範”に従うことを期待する」と述べた。また、自軍に対し、「起こり得る敵の挑発」やいかなる「攻撃的行動」にも迎撃できるよう備えるよう命じた。
Smoke of an explosion is seen at Kafr Kila following Israel army activity across the border between Israel and Lebanon, as seen from the Israeli side of the border
(2026.4.8 Vatican News Guglielmo Gallone)
イスラエルのネタニヤフ首相が米イラク停戦合意はレバノンには適用されない、と言明したが、レバノン南部のイスラエルとの国境沿いの村ルメイシュのレバノン・マロン派の教区司祭、トニ・エリアス神父は、「私たちは諦めない、主への信頼。これこそが、私たちを取り巻く戦争と紛争の渦中で私たちを真に強靭な民たらしめているのです」と言明した。
エリアス神父は「私たちは平和と安らぎの中で生きるレバノンを望んでいる。若者たちに仕事を見つけさせたい。家族が村を離れることを余儀なくされなくなることを望んでいます… なぜなら、主が私たちに『すべての人を愛するよう二』と教えてくださったからです」と語った。
そして、「私はすべての人を愛している。シーア派、スンニ派、ドルーズ派…すべての人をです。今こそ、声をさらに大きく上げる時が来ている。私たちはもう戦争を望みません」と訴えた。
「ルメイシュは、イスラエルと国境を接するキリスト教徒の村です。国境の近くにいるのではない。国境そのものにいるのです。ビン・ジベイル地区で、今なお持ちこたえているのは私たちだけ。『レバノン南部での停戦はあり得ないだろう』と誰もが思っていた。イスラエル軍がすでに私たちの村を通り過ぎており、今回の戦闘におけるイスラエル軍の規模があまりにも大きいからです」とも語った。
8日、イスラエルは、レバノン南部、首都ベイルート南部とベッカー渓谷東部を空爆した。これらはイスラエルが「ヒズボラが数多く活動している」とする地域だ。わずか10分間で、ヒズボラの司令部や軍事施設と説明する100か所以上という大規模な攻撃だった。
こうした状況にもかかわらず、エリアス神父が主任司祭を務める教会では「何とか、主の復活を祝うことができました。主に対して感謝しています。復活徹夜祭は断念せざるを得なかったが、それでも心を込めて聖週間を祝うことができました。これこそが私たちの抵抗の核心です。信仰、主への信頼、そして主に委ね、諦めない。主を信頼すること。これこそが、私たちを取り巻く戦争と紛争の渦中において、私たちを真に強靭な民たらしめているのです」と述べた。
彼は、教皇が自分たちのために祈ってくださったことに、教会共同体を代表して深い感謝の意を表した。
そして、「ちょうど今朝、レバノン駐在教皇大使のパオロ・ボルジア大司教が、私たちの様子や必要なものを聞いてくれました。私は必要とされる医薬品のリストを作成しています。がんを患っている人や、深刻な治療を受けている人がいる。中には、非常に特殊な薬や高価な薬を必要としている人もおり、それらは高額だったり、すでに手に入らなくなっていたりする。こうした必需品が必要だが、何よりも、それを届けてもらえる人道回廊の確保が必要です」と語った。神父は、このリストを、この地域でカリタスと緊密に連携しているマルタ騎士団に送ろうとしている。
「私は、この小教区で全責任を負っており、支援を受けられる方法も模索しています。そして、平和的な抵抗を貫き通します」と決意を語っている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
The prayer gathering at the Cathedral of the Resurrection in Kyiv
(2026.2.26 Vatican Ne ws Svitlana Dukhovych)
ロシアによる軍事侵攻が5年目に入ったのを機にウクライナで実施された「国家祈祷の日」にあたって、同国のカトリック支援組織カリタスの関係者たちがキエフに集結。平和を祈り人道支援の必要性を確認するするとともに、世界中が示した並外れた連帯に感謝した。
悲しみと希望、連帯感が交錯する雰囲気の中、2月24日、キエフのギリシャ・カトリック復活大聖堂で祈りの集いが開催された。
この行事は、2022年2月24日のロシアによるウクライナ全面侵攻記念日に合わせて実施された「国家祈祷の日」に際し、カリス・ウクライナ(ギリシャ・カトリック教会)とカリス・スペス・ウクライナ(ローマ・カトリック教会)が、カリス・インターナショナルおよびカリス・ヨーロッパのパートナー団体と共に推進したものである。
出席者には、ウクライナ駐在教皇大使ヴィスヴァルダス・クルボカス大司教、カリタス・スペス・ウクライナ会長オレクサンドル・ヤズロヴェツキー司教、カリタス・スペス・ウクライナ事務局長ヴィアチェスラフ・グリネヴィチ神父、カリタス・ウクライナネットワーク・アイデンティティ部長アンドリー・ナヒルニャク神父らがいた。
国際パートナーの代表者やカリタス・インターナショナル、カリタス・ヨーロッパの代表者も、対面とオンラインで参加し、祈りと具体的な行動を通じて紛争の影響を受けた人々を揺るぎなく支援し続ける慈善ネットワークの証しとなった。
祈りの集いの冒頭、カリタス・インターナショナルのアリステア・ダットン事務局長がビデオメッセージで集まった人々に語りかけた。彼は、この非常に困難な4年間を通じて、ウクライナのカリタス組織内で活動する全ての人々に対し、住民のニーズに応えるためのたゆまぬ忠実な奉仕に対して深い感謝の意を表明した。
「ロシアが再びウクライナに侵攻したというニュースを聞いた時、我々の多くがどこにいたかを覚えていると確信している。再び、ヨーロッパの東の国境で戦争が勃発し、我々のウクライナの友人たち、兄弟姉妹たちは大きな苦しみを耐え忍んできた」と彼は続けた。「深い痛みと悲しみをもって、我々はウクライナでの戦争が4年目を迎えることを記す。この苦しみの深さを完全に表現できる者は誰もいないが、我々は連帯をもってあなたの側に寄り添い続けたいという思いを示せるのだ」
ウクライナ国民の精神と勇気を強調しつつ、ダットンはカリタスが戦争が生み出したニーズへの具体的な対応を体現していると指摘した。「君たちこそが真のカリタスだ」と彼は断言した。「君たちは、自国で起きている事態により最も苦しむ貧しい者たちにとって、真の福音なのだ」
カリタス・ヨーロッパのマリア・ニマン事務局長も、ウクライナのパートナーたちに対し、自身と欧州ネットワーク全体の近さを保証した。「今日、我々は命と家と愛する者を失った全ての人々を偲ぶ」と彼女はビデオメッセージで述べた。「心身ともに傷ついた全ての人々のために祈る。離散した家族と、この困難な時に平和を切望する人々のために祈る。我々は祈りをもって君たちと共にいる。揺るぎない献身をもって君たちの傍らに立ち、ウクライナのカリタス職員とボランティアを支援する。」
ウクライナ駐在教皇大使、ヴィスヴァルダス・クルボカス大司教は、カリタス・ウクライナとカリタス・スペスが人道支援分野において国内で最も活発な組織の一つであると強調した。
カリタス主催の祈りの集いは「積極的な愛」と「祈り」という二つの側面を結びつけると指摘。「私たち全員を祈りで一つにする日を持つことは非常に重要だ」と述べた。続いて、占領地域に住む人々、囚人、極度に困難な状況で働く医師、負傷者、そしてこの戦争で亡くなった人々のために祈るよう出席者に呼びかけた。
共同祈祷の後、カリタス・ウクライナの副代表グリゴリー・セレシュチュクは、14歳になったばかりの息子について語った。「突然気づいたんだ。彼は我が国が平和だった生活を覚えていないと。これは正常ではない。少なくともここキエフでは、彼は学校に通う機会がある。ウクライナの他の地域では、この機会を持たない50万人の子供たちがいるのに」
「21世紀において、一人暮らしの高齢者が自宅で亡くなることも、正常とは言えない」と副代表は指摘した。「キエフで100万人以上が暖房を失い、ハルキウ、ドニプロ、オデッサなど多くの都市で今も数万人がこの状況にあるのも正常ではない」
4年という節目を越え、戦争終結への希望を表明したセレシュチュクはこう結んだ: 「ウクライナの膨大なニーズに直面し、我々の奉仕を続けるために必要な忍耐を、皆に願い、神に祈りたい。今日なお困窮の中で生きる1100万人もの人々について語っているのだ」
カリタス・スペス・ウクライナの事務局長、ヴィャチェスラフ・グリネヴィチ神父(SAC)も、この4年間の紛争における自身の経験を振り返った。「私は出会った無数の瞳を覚えている。君を見つめるが、もはや世界を見失った瞳。蘇らせたいと願うが、無力感ゆえに叶わない視線だ。ハルキウの地下鉄駅で生まれた子供の瞳だ。まだ理解はできぬが、おそらく何かを感じ取っている」
事務局長は続けた。「それは国境に立つ祖母の瞳だ。故郷から引き離され、もはやどの方向へ視線を向ければよいのかわからない。我々が希望を取り戻そうと努めてきた無数の瞳だ。涙を流す権利を持つ疲れた瞳。微笑み、感謝を表現し、抱擁する瞳。しかしそれらは同時に、神秘的でありながら現実的な意味で、主の瞳でもある。それこそが、今日我々が切実に必要とする希望を真に築く瞳なのだ。視線を伏せず、上へと向ける全ての人々を祈りの中で覚え、感謝したい。そこには我々の力があることを自覚しながら――主は全てを見渡し、揺るぎない御手をもって我々を支えてくださるのだ。」6
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
(Latin Patriarch Pierbattista Pizzaballa, the top Catholic clergyman in the Holy Land, arrives at the Church of the Nativity, traditionally believed to be the birthplace of Jesus, on Christmas Eve, in the West Bank city of Bethlehem, Wednesday, Dec. 24, 2025. (Credit: Nasser Nasser/AP.)
ベツレヘム(ヨルダン川西岸地区)― 主のご降誕の前日24日、ベツレヘムの主の降誕教会前の「飼い葉桶広場」に、キリスト教徒とイスラム教徒を含む数千人が集まった。 ガザでの戦争が始まって2年間、控えめな祝賀が続いた後、聖地各地の家族たちが待ち望んだ祝祭の気運の高まりを告げる光景だった。
キリスト教徒が「イエス・キリストの誕生の地」と信じているこの街では、これまで降誕祭の祝賀行事が中止されていたが、24日には巨大なクリスマスツリーが「飼い葉桶広場」に復活し、瓦礫と有刺鉄線に囲まれた幼子イエスの戦火の中での誕生シーンに一時的に取って代わり、ガザの苦難への追悼の意を表明した。
聖地におけるカトリック教会の最高指導者であるピエルバッティスタ・ピッツァバラ枢機卿は、エルサレムからベツレヘムへの伝統的な行列の中で今年の祝賀行事を開始し、「光に満ちたクリスマス」を呼びかけた。
ベツレヘムの主の生誕教会で主の降誕夜半ミサを捧げた枢機卿は「21日に主の降誕前のミサを捧げたガザ地区の小さなキリスト教共同体からの挨拶を携えて来ました。ガザでは、荒廃の中にあっても、再建への願いを目の当たりにしました」としたうえで、「私たち皆が共に、光となることを決意します。ベツレヘムの光は世界の光なのです」と強調した。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
(2025.12.20 Vatican News *)
聖地管区のフランシスコ会修道士 、イブラヒム・ファルタス神父からの待降節メッセージ
*非人道的な状況にある人々を救うのを阻んでいるのは何、誰?
*「答えのない問い」への答えは、冷たい暗闇でお生まれになった御子にある
Over 300 students kidnapped from Catholic school in Nigeria
(2025.11.22 Vatican News Cecilia Seppia )
ナイジェリア西部ニジェール州の聖マリア・カトリック学校に21日未明、武装集団が乱入、300人以上の生徒、教職員を拉致した。
ナイジェリアでは先日、ケッビ州で 25 人の女子生徒が誘拐され、 18 日にも西部クワラ州で教会が襲撃されるなど、カトリックの学校、教会を標的にした拉致、襲撃が頻発している。現地の教会はこの行為を非難するとともに、深い懸念を表明している。
今回の集団拉致について、どの組織も犯行声明や身代金要求を出していないが、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」のテロリストが背後にいる可能性が高い。
*頻発するキリスト教徒標的の拉致、攻撃、米国政府は制裁検討
キリスト教徒を狙った拉致や襲撃が頻発するナイジェリアに対し、米国政府はトランプ大統領主導で制裁の実施など検討しているが、ナイジェリア政府は、「攻撃は宗教的所属に関係なく、すべてのナイジェリア人を標的にしている」と弁明している。
だが、米国のトランプ米大統領は今月初め、ナイジェリアを「安全でない国」のリストに掲載し、同国で「キリスト教徒に対する迫害」が行われているとして、迅速な軍事介入を示唆。こうしたテロ行為が止まらない場合は、「ナイジェリアへの援助を直ちに打ち切る」とも述べていた。
今回の事件を受けて、米国務省ののプラット・アフリカ局長は、キリスト教徒に対する暴力に対処するため、「国防総省の支援を受けて、ナイジェリアに対する制裁措置とテロ対策の実施を検討している。制裁は、財務省による制裁と国防総省による対テロ対策の関与に加え、宗教コミュニティ保護のための追加的取り組みが含まれる」と説明。また、ナイジェリア政府への安全保障支援とその資源活用方法、情報・諜報の共有について見直しも進めている、という。
*地方政府は全寄宿学校に臨時閉鎖を命令
「アグワラ地区の聖マリア校で生徒と教師が拉致された、との報を深い悲しみをもって受け止めている。拉致された正確な人数はまだ把握できていない」とニジェール州政府のウスマン氏は述べ、同地区の治安悪化を受け、地方政府が予防措置として全寄宿学校の臨時閉鎖を命じたことを明らかにした。
カトリック・コンタゴラ教区は、バチカン通信社FIDESあてに出した声明で、「現地時間午前1時から3時の間に発生したと見られる襲撃で警備員1名が重傷を負った… コンタゴラ教区は今回の襲撃を強く非難するとともに、拉致された児童たちと家族の安全を深く憂慮している。治安機関に直ちに通報し、人質が安全に解放されるよう対応を始めた」と述べた。
ナイジェリアでは身代金目的の集団拉致が頻発している。アフリカで最も人口が多く、石油資源にも恵まれたこの国の中部・北西部では、当局が総称して「バンディット(山賊)」と呼ぶ犯罪組織による犯行が常態化している。また同国北部では約20年にわたりジハード主義者(暴力的な手段も用いてイスラム教社会の実現を目指す思想や運動を行う集団)による 反乱が続いており、国連によればこれまでに4万人が死亡、200万人以上が避難民となっている。
The international congress in Salamanca, Spain, on “Internal Communication in Catholic and Pontifical Institutions: limits and challenges”
(2025.11.14 Vatican News Amedeo Lomonaco)
スペインのサラマンカ教皇庁立大学とサラマンカ教皇庁立大学と国際カトリック大学連盟(上智大学など世界200以上のカトリック大学が加盟)が主催し「カトリック教会およびバチカンにおける内部コミュニケーション:限界と課題」をテーマとする会議が12日から14日にかけてサラマンカで開かれた。
会議には、欧州、南米、アジア、オセアニアなどのカトリック大学の代表者が参加、コミュニケーションと人工知能をカトリック大学の使命と課題に関連付けて議論がされた。
12日の開会あいさつで、サラマンカ教皇庁立大学のラマ学長は「カトリック大学内でのコミュニケーションは、真実、共同責任、奉仕の絆を織りなすこと、個人を超越した共通の使命の一部であるという意識を育むことを意味する。教皇庁およびカトリックの機関において、良好な内部コミュニケーションは、教会に奉仕する方法でもあります」と述べた。
*「AIは人間の知性の成果だが、知性に取って代わるものではない」
続いて講演したバチカン広報省のパオロ・ルッフィーニ長官は、教会の中核の一つは「コミュニケーション」だと指摘。関連して、「AI(人工知能)は、善にも悪にも使える賜物と捉えるべきだ」と強調し、「AIは人間の知性の成果だが、それに取って代わるものではないこと、そして真の知性は、愛に育まれた理性、心、そして感情を統合するものです… 人間的な性質を持ち、道徳的考察や善悪を見分ける能力を伴う決定を、人工知能に委ねるべきではありません」と語った。
さらに長官は、「非人間的なコミュニケーション」のリスクについても警告。「コミュニケーションは、理想的には真実と自由で織りなされたネットワークであるべきですが、私たちを孤立させるものになるリスクもあります」とし、「フェイクニュースのインフォデミック(注:ソーシャルメディアなどを通じて、不確かな情報と正確な情報が急激に拡散される現象のこと)によって引き起こされた不信感が高まる現状を踏まえ、真実と他者との関係に対する信頼を再構築する必要がある。傾聴、反省、対話の場を促進すべきです」と訴えた。
*「AI の分野で、神学と哲学は重要な役割を果たせる」
また、バチカン文化教育省のポール・ティグ司教は、「絶えず変化し、進化する世界で、AI を用いて教育を行うだけでなく、AI について、そして AI のために教育を行う必要性」を指摘。「生成AIは第四次産業革命と呼ばれる重大な転換点にあり、根本的に変化し続ける世界に生きる世代を育成するためには、教育の根本的進化が求められます」とし、「AIが教育革新にもたらす膨大な可能性」を認めつつも、「教師の役割を過小評価すべきではない。教師の役割は、学生の総合的・社会的・感情的な発達への献身に根ざしているからです。教育カリキュラムの開発においては、デジタル能力とデジタルリテラシーの両方を優先すべきです」と述べた。
ティグ司教はまた、特に専門知識が不足する分野において「アルゴリズムには常に意見や方向性が内在している。AIが生成する結果に盲目的に追従すべきではない。教会は、AIの利用に関する世界的な議論に参加しなければなりません」と強調。AIの可能性を称賛する一方で、「人間性を育む存在となり得る能力を見分けて行かねばなりません」と語った。
そうした中で、カトリック大学は、「教育と育成という使命を通じて、世界に貢献するまたとない機会を手にしている… 科学的文化と人文的文化を融合させること。カトリック大学がネットワークを構築し、協力すれば、より大きな成果を上げることができる。AI に関して、学際的かつ分野横断的なアプローチが必要です… 神学と哲学が AI 分野において関連性を見出し、重要な役割を果たすことができます」と強調した。
*「世界はアルゴリズムで支配されてはならない、新たなヒューマニズムの構築を」
会議は14日のルッフィーニ長官の「コミュニケーションと文化を結びつけるもの」についてのスピーチで幕を閉じた。その中で長官は、教皇レオ14世がイタリアのRCSアカデミーのメンバーに向けて行ったスピーチを取り上げ、「誰も歯車や単なる機能ではない」と述べ、「今日の世界では、”クリック”するごとに収益を上げるよう設計されたアルゴリズム(注:コンピューター・プログラミングに代表される、ある問題の正解を引き出すための一定の手続きまたは思考方法) が、情報圏を汚染しています。知識がなければ答えは出せず、コミュニケーションがなければ答えを共有することはできないのです」と強調。
「知識の共有における人間同士の出会いの美しさを、アルゴリズムが置き換えることは決してありません。文化、教育、コミュニケーションの分野において、橋渡しや提携を構築する必要がある。その課題は大きく、私たちの責任も大きい。現代性と福音のメッセージ、機械文明とコミュニケーション、そしてキリスト教と文明との間の亀裂を修復せねばなりません。そして、その使命は、大学やコミュニケーションの世界にも求められています。具体的な問題は、『アルゴリズムによって支配され、形作られる世界ではなく、新しいヒューマニズムをどのように構築するか』です」と訴えた。
(2025.10.30 Crux Staff)
(写真右:ジャック・ムラード大司教=クレジット:ACN)
シリアのホムス・ハマ・アルナベク教区のジャック・ムラード大司教は、ローマで教皇庁財団「教会支援協会(ACN)」が主催した『世界の宗教的自由に関する報告書2025』発表会で講演し、「シリアの教会はもはや死にかけている」と訴えた。
シリアでは内戦が数年続き、近年起きた政治的変動の余波で国民が苦しむ中、キリスト教徒は不安を抱えて生活している。昨年、スンニ派イスラム主義勢力がバッシャール・アル=アサド大統領を打倒し、政権を掌握した。
新政権は宗教的少数派を優遇すると約束したが、非スンニ派に対する攻撃が頻発しており、その多くはアサド政権支持の嫌疑をかけられている。
ACNの推計によれば、2011年時点でシリアには約210万人のキリスト教徒が居住していたが、2024年にはその数は54万人近くまで減少した。
ローマでムーラド大司教は「今この瞬間に声を上げることで、祖国に有益となることを願う」と希望を表明。「シリアの教会は、死にかけている… バチカンや現地教会のいかなる努力も、信徒が国から脱出する潮流を食い止めることはできなかった。その原因は教会ではなく、国の悲惨な政治的・経済的状況にある… シリアに明確な政治体制モデルと強固な治安システムを確立しなければ、移民の波を止めることはできない」と訴えた。
大司教は「シリア国民は今も暴力や報復、悲劇的で遺憾な出来事に苦しめられており、この流血を終わらせる、という国際社会の主張や民衆の要求をすべて損なっている… 我々はますますアフガニスタンに似てきている。まだあのレベルの暴力はないが、そう遠くないところまで来ている。人々はあらゆる圧迫にさらされている。宗教的自由を含め、我々がより大きな自由へ向かっていると思ってはならない」と続けた。
シリアのアハメド・アル・シャラーア大統領は26日にダマスカス旧市街の聖母マリア教会を訪問し、国内のキリスト教徒の状況について協議、少数派宗教の保護を確約している。
大司教は講演で、イスラエルとの和平条約の可能性にも言及した。この条約では、1967年の六日戦争でイスラエルが占領し、1981年に併合した係争地ゴラン高原が割譲されることになっており、「そうなれば、首都ダマスカスの住民は水源を奪われ、”奴隷状態”に陥る」とし、「このような条約を誰が受け入れるだろうか?双方の決定が公平であることを保証すべき人権の価値観はどこにあるのか?」と問いかけた。
そして、世界の国々や国際機関に対して、「シリア情勢に対し明確な立場を取ること』を求め、シリア国内で活動する全ての地域・国際機関・組織に対し「文化団体、学校、大学、研究所と連携し、社会に蔓延する恐怖を克服するとともに、司法の独立と正義の確立における立法の役割に関する研修コースを組織すべきだ」と訴えた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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