・「対応の遅れと透明性の欠如が、被害者を『再トラウマ化』、『賠償』は金銭だけでは済まない」バチカン未成年者・弱者保護員会が会見

(2024.10.30 Crux  Senior Correspondent  Elise Ann Allen)

ローマ発 -教皇フランシスコの虐待防止監視機関、未成年者・弱者保護委員会(PCPM)のショーン・オマリー委員長はじめ委員たち29日、初の年次報告書発表にあたって会見し、「教会当局に苦情を申し立てた被害者たちが結果が出るまで長い間待たされていること」「被害に関する情報提供が不十分なのこと」が、被害者にとっての大きな懸念材料であり、被害者の中には、このような現状を 「再トラウマ化 」と批判する声もある、と指摘した。

 記者会見に出席した、バチカンの未成年者・弱者保護委員会の委員で、チリの性的虐待被害者、フアン・カルロス・クルス氏は「(被害に関する教会の)透明性の問題は、個人的に経験し、自分にとって、非常に身近で大切なことです 」と語り、「多くの被害者にとって、教会から情報を提供されないことは、一種の『再トラウマ』。自分が虐待された事件がどう扱われたのか、どんな暗い穴の中に入ったのか、どこで情報を得られるのか、見当もつきません… 自分(が受けた性的虐待)の話を一億回しても、どこにも伝わらない、と感じることで、被害者たちは『再トラウマ』になってしますのです」と訴えた。

 29日に発表された報告書は、被害者保護に関する世界の教区、教会の取り組みにはバラつきがあり、特にバチカンにおいて虐待事件処理のための透明性の向上と合理化されたプロセスが必要だ、と指摘している。会見で、米ボストン名誉大司教でPCPM会長のオマリー枢機卿は、「被害者が事件に関する情報を得ることが困難であることを、非常に心配している」と語った。

 これは特に、聖職者による性的虐待事件を扱うバチカンの教理省(DDF)に苦情を寄せた被害者たちが指摘していることだ。DDFには苦情が滞留し、被害者は事件の状況について何も知らされないまま、何年も待たされることが多い。委員長は、DDFの対応は、文化や言語などの問題から、事件の発端となった現地の教会に情報を求めるのが一般的だが、報告書作成の過程で、「これがうまくいっていないことが分かった 」と述べた。

 オマリー委員長によると、さまざまな解決策が提案されており、そのひとつに 「被害者とのコミュニケーションを増やす 」ことが挙げられる、という。委員会は、事件の処理にかかる時間の長さについても「非常に懸念している」とし、世界中の司教協議会から「より良い手続き」を求められている、と述べた。事件の処理が滞っていることの解決策としては、判断が明確なケースに対処する「地域裁判所」の設立が考えられるが、「これはすでにいくつかの国で採用されており、素晴らしいパイロット・プロジェクトになりうる」と期待を示した。

 そして、「私の見る限り、それは必要な方法だ。DDFに持ち込まれる虐待事件の数は非常に多く、対応に窮することもある」とする一方、「民事裁判所の対応の問題もある。多くの事件がまず民事裁判所で裁かれるが、非常に時間がかかる」と指摘し、このように被害者が訴えも、判断を示される前に、「何年も待たされる人もいる… 正義の遅れは正義の否定 だ」と批判した。

 また、オマリー委員長は、バチカンの関係部局の取り組みを合理化する必要性についても語り、「様々な部局が虐待事件に関して異なる責任を担わされているが、処理に関する専門知識が不足しているため、対応に窮し、振り回されている 」と指摘した。

  会見に出席したボゴタの補佐司教でPCPMの幹事であるルイス・マヌエル・アリ・エレーラ司教は、「被害者の絶えることのない不満は、彼らの事案に関するコミュニケーション不足にある」とし、「こうした苦情は、バチカンだけでなく、世界各地の教区についても寄せられている」とし、これについてPCPMがDDFの規律部門と連絡を取り、被害者が事件に関する情報を得ることができるように助ける「調査官」を任命する方針が出されていることも明らかにした。

 エレーラ氏はCruxの取材に対して、教皇が2016年に出された勅令『Come una madre amorevole』司教が虐待事件の処理を怠った場合の手続き)や、2019年に発表された『Vos estis lux mundi』(教会内での虐待疑惑の報告義務)などの規範の実施状況もPCPMはフォローしており、「私たちが会う現地の教会は、『Vos Estis…』に対する理解と実行が一定のレベルに達している」との判断を示した。

 さらに、PCPMが特に世界南部の教会に具体的な支援を提供するメモラーレ・イニシアチブを通じ、「良い実践を地方教会に提供するために多大な労力を費やしている」のはそのためだ、と説明。「透明性と情報がなければならない。私たちPCPMは、日々の業務においても、次回の報告書においても、この分野を注意深く追っていく」 と言明した。

 またエレーラ司教は、「虐待予防と被害者保護に関する教会とバチカンの内部文化を変える戦いは困難だが、ゆっくりと前進している」とし、「PCPMのメンバーになって10年、自分が愛し、自分の人生を捧げてきた組織の抵抗を目の当たりにすることは、私にとって十字架だった。しかし、間違いなく、この数年間で多くの重要な変化も起きている」と語った。

   性的虐待の被害者であるクルス氏も、「15年前に私の闘いが始まった時、そして他の人たちがもっと何年も何十年も闘い続けてきた時、私が優れた方々と性的虐待問題に取り組み、この記者会見席に座るとは、思ってもみなかった」とし、「被害者遺族から専門家、ジャーナリスト、教皇フランシスコに至るまで、保護活動の進展を後押ししてきたすべての人々に感謝し、より大きな安全と透明性に到達するための 重要な第一歩 であるこの報告書に、 多大な希望を抱いている」と述べた。

 また、クルス氏はPCPMがDDFに組み入れられたことで、「当初は委員会の独立性が失われることを懸念したが、今では、その見方は大きく変わり、教理省内部ではこの問題が考えていたよりも真剣に受け止められていると感じている」とし、オマリー委員長も「委員会が、バチカンの部局に組み込まれることで恒久的な地位を得られたことは、非常に有益なこと」と語った。

 委員長は、バチカンのさまざまな部局との関わりを、「まだ始まったばかりの ”スローダンス ”」と表現し、「これが進むことで、被害者の声が、もっと明確に、対応に反映されるようになると信じている」と述べ、「被害者への『賠償』は金銭だけでなく、教会の謝罪や加害者の処罰も含まれる… 今後の報告書では賠償の問題についても検討する」と言明した。

 また、修道女や神学生など、成人に対する虐待の事例が増加していることから、「弱い立場にある成人」の定義をより明確にするための研究グループも設けられたことを明らかにした。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2024年10月31日

・「正義が無ければ、被害者の傷は癒されない」バチカン未成年者・弱者保護委員会のオマリー委員長が報告書発表会見で

(2024.10.29 Vatican News   Christopher Wells)

   バチカンの未成年者・弱者保護委員会の委員長、オマリー枢機卿が29日、記者会見を開いて、委員会として初の年次報告書を発表し、正義と癒しを結びつけるという教会の関心と、「このような犯罪が私たちの世界でいかに一般的になされてしまっているか 」について人々を教育する必要性を強調した。

 報告書は、性的虐待を主とする虐待という犯罪について人々を教育する教会の役割を強調している。オマリー委員長は「教会の関心事は、被害者に正義を提供することでなければならない」と述べ、虐待犯罪が時効に達したケースの場合、教会には 「司法の運営に関わるより大きな責任 」がある、と主張した。

 また、性的虐待の防止や被害者の保護やケアなどで「まだなすべきことがある」とし、「我々は、まだ長い道のりを歩まなければならない」と言明しつつ、この報告書が、その原点となることを強く希望した。

 Vatican Newsのオマリー委員長との一問一答は以下の通り。

 問:まず、バチカン未成年・弱者保護委員会にとって初の年次報告書の概要を教えてほしい。大部分が委員会の10年間の活動についての説明で占められているようだが、今後の委員会の資産の一部となるのか?

オマリー枢機卿 :初の報告書発表は、我々にとって非常に重要な瞬間だと思う。委員会のメンバー更新は、委員会発足以来、今年で3回目だ。委員会活動の初めは困難なものだった。なぜなら、私たちは約20人のボランティアで構成されたグループで、スタッフも非常に少人数で、仕事は全世界を対象としていたからだ。確かに教皇は、私たちに絶大な信頼を寄せてくださった。世界中から集まった多くの専門家、多くの被害者、被害者の親たち。彼らの中には自分のこれまでの人生や歴史や経験についてかなり公にする者もいるし、控えめな人もいる。だが、彼らは委員会の活動に多大な貢献をしてくれている。

 当初、委員会に過大な期待を抱いた人たちは、私たちが”万能薬”となり、教会における被害防止・被害者保護の問題をすべて解決してくれる、と考えていた。そのような非現実的な期待を抱いた人たちから、「自分たちの夢のすべてを、すぐに叶えることができなかった」と、沢山の非難を浴びた。一方で「その問題は、もう対処済みだ。委員会は必要ないし、あなたたちはトラブルメーカーでしかない」という批判も…。だから、多くの困難があった。

 しかし、委員会の委員は、非常にしっかりとした人たちだった。バチカンの各種の委員会の中で珍しいことだ。教会のメンバーでない人もいるし、他の宗教のメンバーもいる。しかし、皆に共通しているのは、虐待防止の活動に対する情熱と、被害者の声に耳を傾け、何とか教会の中で被害者の声を代弁したい、という願望だ。

 

 

問: 報告書について具体的な質問をひとつしたい。これから数日、数週間、多くの質問があり、多くの展開があるだろう。教会は虐待防止・被害者保護を重視しているようだ。もちろん、二度とそのようなことが起こらないようにするのが最優先だ。実際に起きた場合は、それに対処し、問題に対処する。報告書は、「正義」と「賠償」の問題にも言及している。具体的に何を述べ、教会はそれらの分野で何をしているのか、少し話してもらえるだろうか?

 

オマリー枢機卿: 確かに、私たちの委員会の責任は、保護的な部分に重点があるが、教会は「正義」について強い関心を持たねばならない。そしてそれは、故ベネディクト16世教皇によって、性的虐待など虐待の事案への対処が教理省に割り当てられた以上、教理省の責任であり、また世界の各教区も、これらの事案の法的側面を整理し、政府当局と協力する責任がある。だから、司法の要素は非常に重要だ。性的虐待のような事案は、時には時効を遥かに遡ることもある。その場合、国が捜査や訴追を行わないなら、教会が司法面の対応に関与する義務がある。だからこそ、教理省の規律部門は真実を突き止め、公正な方法でそれに対処するための重要な役割を担ってきたのだ。

 しかし、「正義」がなければ「癒し」はない。ひどく不当な扱いを受け、傷つけられた人々は、「耳に心地良い言葉」を聞いたり、「文書」を見たりしたいわけではない。話を聴いてもらい、自分たちになした悪に対して、「教会が償いをしようとしている」と感じる権利があるのだ。

 

 

問:あなたは、教会内の一部の人々があなたがたの活動に熱心でない、ということに言及した。私たちは、委員会が最良の慣行について、あるいは被害者のために何ができるかについて提案することがある。そして、おそらく教会の人々は、あなたがたの言うことに耳を貸さないのだろう。あなたには説明責任を果たさせる直接的な権限がないことは承知しているが、教会の指導者たちがあなたがたの提案を受け入れるようにするために、教会は何ができるのか?

オマリー枢機卿 :我々は人々を教育しようとしている。被害予防と被害者保護の体制の必要性について非常に幅広い教育を行うことだ。多くの人々は、このような犯罪が、私たちの世界や社会でいかに一般的になってしまっているのかを知らない。教会が私たちの家庭を整えるために良い仕事をすることができ、それがより大きな共同体社会への奉仕になることを、私は望んでいる。

 そして私たちは、米国でさまざまな形でそれを目の当たりにしてきた。他の多くの教会や組織が私たちのところにやって来て、「あなたがたはこのような方針を打ち出し、このような経験をしてきた。それを、私たちと分かち合ってくれますか」と言った。

 だが、まず、虐待が広く存在することを人々に認識させ、私たちがどのようにこれに対応し、二度とこのようなことが起こらないように尽力しない限り、虐待はなくならないと思う。私のユダヤ人の友人がホロコーストについて語るようなものだ。何が起こったかを覚えていなければ、また同じことが起こる危険性がある。だから、このことを人々の心に留めておくことがとても重要なのだ。これは遠い過去の話ではない。現在、そして将来にわたって子どもたちや若者を守るための約束なのだ。

:ひと言で言うと、報告書は被害者や、教会の虐待への対応にまだ懸念を抱いているカトリック信者に何を語りかけているのか?

オマリー枢機卿 :私は、この報告書の幅の広さが、彼らの慰めになることを望んでいる。報告書の暴露本のようなものを期待している人もいるだろう。この報告書はそのようなものではない。全世界で「保護文化」が定着するのを促進するために、今、何が行われているかを測るためのものだ。

 今回、調査対象となった国の中には、虐待防止・被害者保護について非常に資金不足の国もある。私の教会共同体はパプアニューギニアで活動拠点を持っている。そこに行ったことがあるが、人々の生活はとても質素だ。500もの言語がある。貧困が多く、文盲も多い。そしてそこでは、教会が、虐待防止や被害者保護について、そして世界中で話している。

 世界の司教たちが定例のバチカン訪問をする際に、私たちは彼らに、「虐待防止・被害者保護のガイドラインはどのように機能しているか」「やるべきことをやっていない地域はどこか」「その結果はどうなのか」などについて聴くことにしている。このような会話が世界中で行われている。私の委員会の焦点は、特に南半球にある。この地域では、虐待予防・被害者保護の司牧の関与が遅れていた。しかし、私たちは多くの進歩を遂げ、司教や現地の人々は、より多くのことを学び、学習・訓練に参加し、説明責任、透明性、聖職者の行動規範、神学生や修練生、教師、教会の指導者に対する審査の重要性を教えたいと願っている。

 このようなことが今、世界中で行われている。数年前までは、そうではなかっただろう。このことに人々が慰めを見出してくれることを願っている。私たちにはまだ長い道のりがあるが、歩みは今、始まったのだ。

*ショーン・パトリック・オマリー枢機卿は、米国オハイオ州レイクウッドで生まれ、カプチン会士。2003年から2024年8月までボストン大司教を務め、2014年に教皇庁未成年者・弱者保護委員会委員長に就任した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年10月30日

・バチカンの未成年者・弱者保護委員会、全世界の教会対象の初の調査結果発表ー性的虐待に厳格な対応求める

(2024.10.29  Vatican News   Salvatore Cernuzio)

 

 その調査・分析結果によると、「教会組織や教会当局の中には、虐待被害の予防や被害者保護に対する明確な責任体制をとるところがある一方、虐待に対処する責任を引き受け始めたばかりのところもある」と、国や教区などによって対応に未だにバラつきがあることを指摘。そして、教皇が2019年5月に出された「虐待や暴力を届け出るための新しい手続きを定め、司教や修道会の長上らにとるべき態度を周知させる」自発教令「Vos estis lux mundi」で指示していた「虐待被害の報告体制や被害者に対するケアの体制」を欠いているところもある、と批判している。

 

 

 

*中南米、アフリカ、アジアの多くの地域で被害予防・被害者保護のための資源が不足

 

 作業グループが収集した大陸レベルのデータでも、虐待への対応にバラつきがあり、米大陸、欧州、そしてオセアニアの一部は、被害の予防、被害者保護などに使うことのできる「(人的・物的)資源」が「相当にある」が、中南米、アフリカ、アジアの多くの地域では、そのような資源が「不足している 」ことが明らかになった。

 委員会は報告書で、「司教協議会間の連帯」を強め、「保護における普遍的な基準のために資源」を動員し、「虐待被害者に関する報告と彼らを(精神的、身体的に)支援するセンター」を設け、「真の保護文化を発展させることが不可欠だ」と言明している。

 

 

 

*バチカン関係部局は世界の現地教会との被害防止ネットワークの要の役割を果たせ

 報告書の第3部は、バチカンの教理省など関係部局に焦点を当て、バチカンは 「ネットワークの中のネットワーク 」として、「虐待予防と被害者保護の最良の慣行を世界の現地の教会と共有するハブとしての役割を果たすことができる」と強調。バチカンの担当部局は、バチカンの手続きと虐待事件に関する判例において、透明性を高めるために、共有された展望に立って、信頼できる情報を収集しようとしている、としている。

 またバチカン教理省で虐待案件を扱う規律部門がその活動に関する限られた統計情報を公に共有していることを指摘したうえで、外部関係者の情報へのアクセスを増やすよう求めている。その他の対応として、「様々な教区の保護責任の伝達」、「教皇庁全体で共有された基準の促進」、「教区の業務に、被害が原因の心的障害を考慮した被害者中心の対応を取り入れる 」ことを挙げている。

*国際カリタス、地域カリタス、国レベル・カリタスでも被害防止・被害者保護の対応にバラつき

 報告書では、カトリックの慈善事業団体、カリタスに関する事例研究調査の結果も紹介されている。対象とされたのは、 世界レベルの国際カリタス、地域レベルのカリタス・オセアニア、国レベルのカリタス・チリ、教区レベルのカリタス・ナイロビだ。報告書は、カリタスの使命の 「非常な複雑 」さと、被害の防止およち被害者保護の体制の最近の進歩を認める一方で、「それぞれのカリタスで被害防止・被害者保護の実践に大きなばらつきがある 」ことも指摘し、懸念事項として挙げている。

*虐待問題に対応する資源が不足する教会を支援するMemorare運動に司教協議会、修道会などから援助金

 また報告書は、虐待問題に対応する人的・物的資源が足りない現地教会を支援するため、過去10年にわたって、世界の司教協議会や修道会から資金を集めてきたMemorare運動にも言及。

 運動の目的は、虐待の報告・被害者支援センター、現地での研修事業、”グローバル・サウス”における虐待防止・被害者保護の専門家のネットワークを発展させることにあり、2023年にはイタリア司教協議会から50万ユーロ(総額150万ユーロの支援を約束)、修道会から3万5千ユーロ、バチカンの財団から10万ドル(3年間に総額30万ドル)の年次寄付を受けた。

 さらに、スペイン司教協議会は、未成年者・弱者保護委員会が選定したプロジェクトを支援し、年間30万ドル(3年間で総額90万ドル)を拠出することを約束している、としている。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2024年10月30日

・「善が何もしないときに、悪が勝つ」-マドリードで、性的虐待の被害者たちが”自分たち”の教会に警告(Crux)

Moment of prayer at La Almudena in Madrid, Spain. (Credit: Religión Digital.)

This article appeared in Spanish on Oct. 21 in Religión Digital.

2024年10月25日

・バチカン、性的虐待と金銭汚職まみれのペルーの宗教団体の幹部4人を追放(Crux)

(2024.10.24 Crux  Senior Correspondent  Elise Ann Allen)

 ローマ発-ペルーのカトリックの団体Sodalitium Christianae Vitae(SCV=キリストの命の信心会)の虐待と財政汚職に関する捜査の一環として、バチカンはこのほど、税制優遇措置を得るための教会と国家の協定の悪用を含む虐待と財政汚職で告発された4人の幹部をSCVから追放した。追放された幹部の中には、SCVの最高幹部も含まれており、1980年にバチカンとペルーの間で結ばれた 「コンコルダート 」を悪用し、最盛期には約10億ドル相当の金融帝国を築いたとされている。

 ペルーのバチカン大使館が10月21日と23日の声明で明らかにしたもので、先月追放されたフィガリと10人の幹部に加えて、さらに、SCVの前会長総代理のホセ・アンブロジーク、元霊的補助者で財務責任者とされているハイメ・バエルトル神父、ルイス・アントニオ・フェロジャーロ神父、財務に関わったフアン・カルロス・レンの4人を「権力と権威の乱用、特に教会の物品の管理における乱用、および未成年者を含む性的虐待」などの疑いで追放した、としている。

 声明は、この決定が「被告の1人が犯した性的虐待の重大さ、およびこの2人の聖職者がSCVによる数々の不法かつ違法な行為に個人的に関与していることを考慮して」なされた、とし、カトリック教会の社会教説からみても、シクルーナとベルトメウ、およびバチカンの金融当局に摘発されたバエルトルとレンによる経済管理と投資の一部は「福音を裏切る罪深い行為」である、と言明。さらに、摘発された違法行為は国際的な不祥事を引き起こしただけでなく、「教会の福音宣教の使命」を汚し、その信頼性、および「教会とペルー国家の関係を規制する健全な協力関係」を損ねた、と強く批判している。

 さらに声明は、教皇フランシスコがSCVの不祥事に心を痛めており、「神の民と市民社会全体に赦しを請われている 」と強調。「上記の非難されるべき行為を正し、今後繰り返さないために適切な措置が取られた 」と示し、SCVに対して、 「これ以上遅れることなく、真実、正義、賠償の道を歩み始める」ことを要求している。

 SCVは、ペルー全土にある9つの大規模な墓地で葬儀と埋葬のサービスを事業とし、をしているが、宗教的奉仕と政府から認定されているため収益は非課税の恩恵を受け、SCVが墓地の一部を所有、管理権を握る一方、残りは教会に寄付していた。そして、長年にわたって、創設者のルイス・フェルナンド・フィガリをはじめとする幹部は、会員に対する性的、肉体的、精神的な虐待、さらには権力の濫用、金銭的汚職などの疑惑を含む不祥事を続けてきた。

 こうしたSCVに対しての改革の試みが何度か失敗した後、教皇フランシスコは昨年、バチカン教理省規律部門のマルタのチャールズ・シクルナ大司教とジョルディ・ベルトメウ神父をリマに派遣し、疑惑について徹底的な調査を行った。そして、今年8月、未成年者への性的虐待で制裁を受けていたSCVの創設者であるフィガリをSCVから追放する措置を取った。

 続いて9月には、さらに10人の幹部がさまざまな罪でSCVから追放されたが、その中には「サディズムと暴力」を含む身体的虐待、良心の乱用、精神的虐待、職場での通信のハッキングや嫌がらせのエピソードを含む権力と権威の乱用、組織内で犯された犯罪の隠蔽、そして「ジャーナリズムの使徒職」の乱用など、いくつかの新しい”罪状”も含まれている。追放された者の多くは、SCVの Denver community house とそれに繋がる小教区と関係がある。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
 Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

 

 

2024年10月25日

・「性的虐待に関する教会法関係法令は改訂後うまく機能していると思うが、苦い過去の教訓から学び続ける必要」バチカンの法制省長官が語る

Archbishop Filippo Iannone, Prefect of the Dicastery for Legislative Texts  (Vatican Media)

Q: 破門の免除が認められる可能性があるのはどのような場合ですか? これには迅速な手続きがありますか? 誰が関与していますか?

 

長官:教会法で譴責の一つとされている破門は、洗礼を受けた人が罪を犯し(聖体の冒涜、異端、分裂、中絶、司祭による告解の封印の侵害など)、反抗的(つまり不従順)な場合、その状態がなくなり、赦免されるまで、特定の霊的財産を剥奪する刑罰です。この刑罰によって個人から剥奪される霊的財産、またはそれに付随する財産は、キリスト教生活に必要なものであり、それは主に秘跡です。

破門は厳密に「治療」が目的- 影響を受けた人の回復と精神的治癒を目的としており、悔い改めれば、剥奪された財産を再び受け取ることができます(「魂の救済」は教会の最高法規です)。ですから、赦免を得るには、この目的が達成されたことを証明する必要があります。具体的な期限は設定されていません。必要な条件は、犯罪を犯した者が真に悔い改め、引き起こされたスキャンダルや被害者の損害に対して十分な賠償を行ったか、少なくともそのような賠償を行うことを誠意をもって約束していることです。明らかに、これらの状況の評価は、刑罰の免除を認める責任をもつ当局が、その人の善良な性格とそのような決定の社会的影響を考慮しながら、司牧の精神をもって行わねばなりません。

Q: ここ数週間、いくつかのメディア記事で、留保犯罪に対する教会法上の手続きに関してさまざまな解釈が提示されています。これらの手続きとは何であり、どのように適用されるのかを説明していただけますか?

 

長官:私たちが扱っているのは、信仰や道徳の問題における重大性のため、教理省によってのみ裁かれる犯罪です。省が従う手続きには、いわゆる「行政手続き」と「司法手続き」の 2 種類があります。

行政手続きの場合、手続きが法廷外の刑罰判決で終了すると、有罪判決を受けた個人は、同じ省内に特別に設置された控訴審査機関に判決を控訴することができます。この機関による判決は最終的なものとなります。

司法刑事手続きの場合、裁判のさまざまな段階が完了すると、判決は確定(res iudicata)となり、執行可能になります。

どちらの場合も、有罪判決を受けた人は、教理省に「resitutio in integrum(原状回復)」を要請できます。また、「恩赦」という形での再審を要請することも可能です。この場合、手続きは通常、使徒座署名院最高裁判所によって処理されますが、他の機関に委託されることもあります。このようなやり取りは機密性が高いため、国務省がさまざまな事例を調整し、採択された措置の実施に関する関連決定を送付します。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年10月20日

・性暴力の被害者が損害賠償求める裁判・第5回口頭弁論ー「告解」利用しPTSD患者を性的暴行した加害者が所属の神言会は「否認」どころか「虚偽」と

(2024.10.15  カトリック・あい)

 カトリック信者の女性が「外国人司祭からの性被害を訴えたにもかかわらず適切な対応をとらなかった」として司祭(加害当時)が所属していた修道会、神言会(日本管区本部・名古屋市)に損害賠償を求めた裁判の第5回口頭弁論が109日、東京地方裁判所第615法廷で、原告・田中時枝さん(東京教区信徒)の支援者たち約30人が傍聴席を埋める中で行われた。

 神言会側代理人弁護士は(神言会司祭だった男による被害者への性的虐待行為を)は前回7月の第4回口頭弁論からこの元司祭を「補助参加人」としたうえ、その代理人弁護士2名が加わり、原告代理人1人に対し、3人体制で、あくまで、「否認」を貫こうとするばかりか、追加の準備書面に「虐待行為があったとする原告の主張は虚偽」という内容を入れている。

 被告側は、当事者である神言会の代表は裁判当初から今回に至るまで出廷せず、代理人弁護士のみの出廷が続いているが、第5回口頭弁論では、これまで担当してきた弁護士とは別の弁護士(一回限りの”ピンチヒッター”?)が出て、傍聴者たちには、これも誠実さを欠いた対応と見る向きもあった。

次回、第6回口頭弁論は11月27日午後3時から東京地裁の第615法廷で行われる予定。

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 10月9日の第5回口頭弁論の後、原告代理人の秋田弁護士は、田中さんの支援団体との会合で、被告の神言会側の代理人弁護士のこれまでの対応について、「あくまでもこの性的虐待事件を認めず、プライベートな話にしようとしている。今回も、『二人は好き合っていて、好きなことをしただけなので、そこから先は私たち修道会の関知するとこではない』と主張した。『私的なこと』でおしまいにしようとしているのです」と指摘。

 さらに、「司祭としての立場で、『告解』を受けなければ知りえなかった(幼少期に受けた性的虐待によるトラウマでPTSDを患い続けているという)被害者の秘密を利用して、PTSD患者の弱点を使ってマインドコントロールをし、『救いの一環なんだ』とだまして性被害を加え続けた、という点はまさに司祭の犯罪です」と強調。

 この訴訟は「ある意味で、カトリックの教義の正当性、信仰生活の妥当性を問うもの。必要ならバチカンに行って、教義上の告解の問題、それが悪用された時の対処法を尋ねてみたいし、告解の秘跡が悪用されたらどうなるか、ということをバチカンにも深く考えてもらいたい」と訴えた。

 また原告被害者の田中さんによると、加害者とされる神言会の司祭は、告解でPTSDであることを打ち明けたとき、喫茶店に呼び出し、「田中さん、付き合おう」と言われた。PTSDの患者が、”抵抗”できないことを知っていた。「私の告解で、幼い頃に受けた性的虐待を打ち明けた司祭3人のうち2人が『詳しい話を聞こう』といって、私を山の中に連れ込んでレイプをした… それなのに、『皆が大切にしている神父を私が誘惑した』かのように思い込まされ、自分を責めて責めて… そして、『性暴力は治療だ』と思い込んでしまった」。

 この神父の性暴力はエスカレートして、その最中の姿を大量に撮影することまでし、「もうやめて」「データを消して」と言っても、脅しの材料にされた。この神父が所属している修道会に打ち明ければ真摯に対応してくれる、加害司祭に罪を認めさせ、更生するようにしてくれる、と信じて神言会の日本管区の本部に訴えたところ、「三年間、神言会の責任で治療します」と同会の人権担当から返事があったが、いまだに何の対応もない。

 田中さんは「信じたことが全部、あだになりました。修道会も、そこに属する司祭も、自分たちに不利になることは『なかったこと』に出来る人たちです。それが罪だと思っていないのです」とし、「このような司祭や修道会が大手を振って歩く世界を目の当たりにせざるを得ない現状は、本当に『教会の危機』『信仰の危機』だと感じています」と訴えた。

 このような訴えを聞いていた、犯行当時の現地の教会の模様を知っている支援者は「神言会の司祭が犯行に及んだ時にいた長崎の西町教会には、他にインド人司祭もいた。彼も性的な問題を起こして、退会になっている」としたうえで、「こういう事を、東京大司教の菊地功さんは知っているはずです。彼は神言会の会員で、日本管区長でしたから。今、管区長をしている司祭も、事務局長の司祭も、3人が全員、こういう事を知っていて、代理人弁護士と打ち合わせをして、こういう事を主張しているのか、と思うと、本当に情けない。あきれてしまって、もう何も言えません」と嘆いた。

 

(取材:「カトリック社会問題研究所編集部」諸田遼平、編集:「カトリック・あい」南條俊二)

2024年10月15日

・米国のニューヨーク大司教、保険会社を「性的虐待の賠償の保険金支払い義務を怠っている」と訴え(Crux)

(2024.10.2 Crux  National Correspondent   John Lavenburg)

   ニューヨーク発=米国のカトリック・ ニューヨーク大司教区のティモシー・ドーラン大司教(枢機卿)が1日、記者会見し、同教区が長年契約している米大手保険会社 Chubbを、性的虐待の「補償請求を解決するための法的および道徳的な契約上の義務を回避しようと試みた」として訴えた、と発表した。

 会見で枢機卿は「すべての価値ある請求を迅速に解決することが、常に私たちの願いでした… しかし、Chubbは何十年にもわたって主要な保険会社として、私たちが20億ドル(約3000億円)以上の保険金の支払いを受けることを前提に多額の保険料を支払ってきたにもかかわらず、被害者生存者に平和と癒しをもたらす補償請求を解決するという法的および道徳的な契約上の義務を回避しようとしている」と批判した。

*保険会社は「大司教区は性的虐待の被害者への責任を我々に転嫁しようとしいる」と反論

 このような主張に対して、 Chubbは声明を発表。「問題の責任は児童性的虐待を容認してきた教区にある」と反論。「ニューヨーク大司教区は、何十年にもわたって横行する児童性的虐待を容認し、隠蔽してきた。そして、かなりの財源があるにもかかわらず、彼らはいまだに被害者への補償を拒否するどころか、自身の行動の責任を保険会社に転嫁しようとしている。しかも、保険金支払いに必要な『虐待について何を知っていたか』についての情報さえ、大司教区は提供しようとしていない」と指摘し、「そのうえ、彼らは莫大な富と隠された資産を隠してきた。これは、大司教区が責任を逸らし、隠蔽し、被害者への補償を回避するためのもう一つの財政的策略に過ぎない」と反論した。

・・・・・・・・・・

 ドーラン枢機卿が10月1日付けで教区の司祭、信徒に出した声明によると、「大司教区は、保険でカバーされない過去の性的虐待の400件以上の事件を、教区の和解・補償プログラムを通じて解決。州の2019年児童被害者法に対応して、さらに123件の事件を解決した」とする一方、「第二次世界大戦にさかのぼる虐待疑惑の事例が約1400件残っている… 被害申し立てのすべてが司祭に対するものではない。訴えの2つの最大のグループは、元ボランティアバスケットボールコーチと元用務員に対するものだ」と説明。

 また、「 Chubbは、大司教区と教区の保険契約者、そしてそのような保険契約が保護するための人々、つまり児童性的虐待の生存者を見捨てた」と主張し、「Chubbは、大司教区の虐待問題を解決する義務はないと言っている。その理由は、『虐待は教会によって予想された、または意図されたものだった』と説明しているが、私の前任者たち、テレンス・クック枢機卿やジョン・オコナー枢機卿のような人々が、子供たちを傷つける意図で行動した、あるいは少なくともそうなると予想して行動したというのは、誤った主張だ」と反論。

 「なぜ彼らはそのような虚偽の主張をするのか。その理由は簡単だ。自分たちの利益を守るため。彼らは現在、四半期ごとに20億ドルを稼いでいる… 彼らの明らかな計画は…法的に支払う責任が自社にあるにもかかわらず、支払いを拒否した虐待の損害賠償金を大司教区に支払うように強制することを意図し、保険金の支払いを出来る限り遅らせることだ」と批判している。

・・・・・・・・・

*「大司教区本部を売却、”小さなオフィス”に移転など賠償資金捻出にも努力中」と

 訴訟の発表とともに、大司教区が聖職者の性的虐待事件に対する「莫大な」費用に対処するために「より少ない労力でより多くのことを行うための劇的な措置」を実施している、とのニュースも出てきている。ドーラン枢機卿は、「来年、大司教区本部は新しい小さなオフィスに移転し、現在の本部の敷地・建物を売却。売却収入は、虐待に対処する財政的負担を軽減するために使用する。大司教区が他の保有資産の売却を検討している」と説明。

 「私たちの財政力を維持、強化するために、今後、さらに多くの戦略と犠牲、そして大司教区と小教区と人々によるさらなる支援が必要になるだろう。だが、そうすることが私たちを破壊することはできないし、今後もそうするつもりはないので、安心してほしい。教区の聖職者たちと私は、皆さんの寛大さに触発され、感謝し続けている… そして、さらに深いところで、イエスはいつも私たちと共におられ、『地獄の門』の挑戦を受け続けても私たちを滅ぼすことはない、というイエスの約束がある。それが保険契約であり、彼の言葉であり、保険金の支払いも決して滞ることはない」と述べた。

 そして、教区の司祭、信徒への声明の最後に、大司教区がここ数十年の困難な時代を乗り越えてきたことを強調し、現在の困難も乗り越えることを保証したうえで次のように締めくくっている。

「身を縮めて隠れるな、我々はそうしない!恐れることはない!私たちは、23年前の9.11旅客機爆破テロ大惨事の後、全員がそうであったように、性的虐待被害者たちを補償し和解する決意を持ち続け、新型コロナ大感染の暗闇の中で奉仕したように、現在の状況の中にあっても、共に立ち、歩んでいく… この挑戦は、イエスの聖なる御名の無限の力に自信を持って頼る、という私たちの決意を強めるだろう。イエスと共にすれば、不可能なことは何もない。そして、イエス無しでは可能なものはない!」

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2024年10月5日

(評論)「いまだに後を絶たない聖職者の性的虐待。嘘、沈黙、被害者への軽蔑は教会にふさわしくない」(La Croix)

(2024.9.12 La Croix   an essayist and columnist   Jean de Saint-Cheron )

 著名な聖職者による性的虐待の暴露が続く中、カトリック教会は真実の追求を強化しなければならない。教会内部では「秘密を守りたい」という誘惑が依然として強いからだ。

 「悪い良心は悪い評判よりも対処しやすい」とフリードリヒ・ニーチェは書いた。この言葉はまさに真実である。すべての人間とすべての人間の組織は、評判を汚すよりも真実を犠牲にして面子を保つことを好むほどだ。もし私たち全員が額に罪を刻みつけて歩き回ったり、家族が秘密を白日の下にさらしたり、企業が看板で法律違反を宣伝したりしたら、人生は耐え難く不条理なものとなるだろう。

 私たちの過ち、裏切り、失敗が理由もなく暴露されないのは当然である。そして、誰かが私たちを不正行為で告発した場合にのみ、私たちの評判は正当に傷つけられる可能性がある。私たちが本当に有罪であるなら、被害者に対する正義は、私たちの行動についての真実を明らかにすることを要求する。

 多くの場合、虐待の被害者は、周囲の人々に自分の行動を「軽率な行為」として説明するだろう。だが、これは、非常に倒錯した言い回しだ。「私はあの若い女性に軽率なことをした」と言うのは、良心を犠牲にして自分の評判を守る非常に陰険な方法であり、「誘惑は被害者に原因があり、非難されるべきは被害者だ」という意味を込めている。ニーチェは正しかった。

 教会が、他の人間の組織と同様に、そのイメージを守りたい、と思うのは理解できる。確かに、私たちの中には、「教会は、単なる組織ではなく、特別な勇気を必要とする、高次元の真実を伝える存在であるはず」とささやく、”小さな理想主義的な声”が存在する。イエスは「白く塗られた墓」に対して警告された―「外側は美しく見えるが、内側は骨やあらゆる種類の汚れで満ちている」と。

 しかし、この世のものではない完全な聖性に到達する前に、まず取り組むべき緊急の課題は、被害者がいる場所で彼らに正義をもたらし、手段がある限り、可能な限り他の被害の発生を防ぐことだ。一部の国の教会はそのための取り組みをしているようだが、次々と現れる新しい事件(声を上げた被害者の大きな勇気のおかげで明るみに出た)は、まだこの問題が終わっていないことを思い起こさせる。

 「これは奇妙で長い戦争。暴力が真実を抑圧しようとする」とブレーズ・パスカルは書いた。正義を犠牲にして評判を守る暴力だ。尊敬される人物、司牧者が汚名を受け入れるのは難しい。彼らの「カリスマ性」が危険で容認できない行動を隠し、陰で邪悪な行為を続けるの正当化しないことを認めるのは難しい。しかし、嘘、沈黙、被害者に対する軽蔑は教会にふさわしくない。慈善の心から生まれた真実への努力よりも、教会の評判を傷つけることになる。

*ジャン・ド・サン・シュロンはパリ政治学院とソルボンヌ大学を卒業。現在、パリ・カトリック研究所の所長首席補佐で、La Croixの週刊コラムニスト。日刊紙ル・フィガロや、ラジオ・ノートルダム、KTO、RCFに定期的に寄稿している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。
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2024年9月14日

・「いまだに虐待防止の体制を欠く司教協議会もある」中南米の性的虐待防止委員会ネットワークがコロンビアで会合(Crux)

(2024 . 9.11 Crux Contributor  Eduardo Campos= Lima)

 ブラジル、サンパウロ発 – 中南米とカリブ海諸国のケア文化と虐待防止委員会ネットワークの代表による第2回会合が9月3日から5日にかけてコロンビアで開かれ、17か国から52人が参加した。

 第1回は2023年11月にチリで開かれたが、世界のいくつかの地域ではこの問題で進展が見られるものの、中南米地域の教会には、まだ長い道のりが待ち受けている。

 コロンビアの虐待防止委員会の代表、イルバ・ミリアム・オヨス弁護士はCruxに、「この会合で、中南米の教会がケア文化の実施に関するニーズを認識していることが分かりました。制度的な観点からは、多くの司教協議会がすでにこのテーマに対処するための特別委員会を作ったり、事務所を開設したりしています」としたうえで、「しかし、この地域には取り組むべき重大な問題があり、一部の司教協議会では、現在の課題に対処するための基本的な制度さえ、いまだに欠如しているのです」と語った。

 昨年の第1回会合は、チリ司教協議会の虐待防止評議会が主催した。チリの教会では2010年以来、数々の注目を集めた虐待スキャンダルが明るみに出、2018年に司教全員が教皇フランシスコに辞表を提出した。このことは、教会の指導者が虐待の告発に対処する方法に大きな変化をもたらした。「各国の司教協議会は、司教と虐待の専門家をチリの会合に参加するよう求められました。その問題にどのように対処しているかを知るためには、各国の責任者を特定する必要があったのです」とオヨス弁護士は回想する。

 これを契機に、虐待防止のネットワークが設立され、それ以来、ウェブサイトの作成やウェビナーの宣伝など、さまざまな取り組みを行ってきた。聖職者も参加しているが、主要なリーダーの多くは一般信徒、特に女性だ。いくつかの国内委員会のメンバーは人権や児童虐待の法律や心理学の専門家で、司教や司祭と並んで働くこれらの信徒の女性たちは、議論に独特の視点をもたらしている。

 オヨス弁護士は、「中南米の司教たちは、全員が同じレベルにいるわけではありません。それでも、自分たちが引き受けた責任を認識しているし、司教団と信徒から幅広い支持を受けています。ですから、委員会の活動もシノダリティ(共働性)によって特徴づけられたものになっています」と付け加えた。

 今回のネットワークの第2回会合では、出席者全員がそれぞれの教会の現状を発表。ゲストスピーカーは「透明性、コミュニケーション、被害者への対応」などのテーマを取り上げた。

 「『性的虐待の被害者への賠償』は、中南米で最も難しいテーマの1つであるようです。私たちは、すべての委員会の活動を刺激するために、この地域での最良の対応を特定するよう努めている」とオヨス弁護士は語った。

 コロンビア生まれで、未成年者保護のための教皇庁委員会の書記であるルイス・マヌエル・アリ司教も、この会合に出席した。昨年の第1回会合では、コロンビア代表として参加しているが、今回の会合では、虐待を防止し、被害者を支援するための規範を実施するために、虐待に関するバチカンのガイドラインをどのように活用するかについて説明した。会合では、また、中米諸国が虐待防止に取り組むための制度的構造の導入を進める上で、より困難な状況に直面していることも明らかになり、障害を乗り越えるため、各国それぞれが必要としていることについて、明確にすることを確認した。

 オヨス弁護士は「私たちは、虐待防止の規範をどのように策定すべきかについて提案し、各国の虐待防止のための委員会または事務所の活動について議論しました。私たちの目標の1つは、各国の委員会が考えを共有することでした」と語り、今後の課題として、「この地域では不足しているリーダーの育成」を挙げ、「虐待のような複雑な問題に対処するには、ガイドラインや規範が重要であることは否定できないが、それ以上のものが必要。教会の中で尊厳と敬意が中核的な価値観である新たな関係を促進すること。そのためのリーダーの育成も欠かせません」と述べた。

 次回の会合は、ドミニカで開く予定で、その間に、委員会メンバーの育成とトレーニングに関連するテーマで、バーチャル会合を進めることにしている、という。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年9月14日

(評論)教皇、東ティモール訪問―司教などの未成年性的虐待スキャンダルに沈黙続ける教会、信者たちにどう対応(LaCroix)

(2024.9.9 La Croix (with AFP)

 東南アジア・オセアニア4か国歴訪中の教皇フランシスコは9日、3番目の訪問国、東ティモールに到着した。カトリック教徒の多いこの国で、教会内の未成年性的虐待スキャンダル依然として強い”沈黙”が敷かれている。聖職者による性的虐待問題が世界的に教会への信頼低下の大きな原因となり続けている中で、教皇はこの国の教会が抱える問題にどのように対応するのだろうか。

 東ティモールのこの痛ましいスキャンダルの中心にあるのは、独立闘争の英雄であるカルロス・ベロ司教をめぐるものだ。同司教は、約20年間にわたって未成年の少年を性的に虐待したとして告発され、2020年にバチカンから秘密裏に制裁を受けた。ベロ司教は、ポルトガルによる4世紀以上の植民地支配とインドネシアによる25年間の占領を経て2002年に独立したこの国で、人権擁護の中心的役割を果たしたとして、1996年にノーベル平和賞を受賞している。

 だが、2022年、オランダの週刊誌による衝撃的な調査で、裏付けとなる関係者の証言をもとに、1980年代から1990年代にかけて10代の若者を虐待し、性的暴行をし、金を払って彼らを沈黙させた、と告発され、バチカンは2年前に司教に課した制裁を公表せざるを得なくなった。LaCroixは、2023年に現地調査を実施し、この新興民主主義国で性的虐待の被害者を取り巻く沈黙を破ることの難しさを明らかにした。

 現在76歳で東ティモールの人々から尊敬されているベロ司教は、健康上の理由で2002年に職務を辞し、現在はポルトガルに住んでいる。強い非難を受けているにもかかわらず、彼は依然として、この国の130万人の住民(98%がカトリック教徒)の間で幅広い支持を得ている。東ティモール全国青年評議会のマリア・ダディ会長はAFP通信に「私たちは彼を失ったように感じています。彼がいなくて寂しい… 彼は東ティモールの戦いに本当に貢献しました」と語る。

 別のケースでは、アメリカ人司祭のリチャード・ダシュバッハが2021年に孤児や恵まれない少女たちを性的に虐待した罪で有罪判決を受け、聖職を剥奪された。だが、 12年の懲役刑を宣告されているにもかかわらず、彼は社会の上層部から支援を受け続けている。2023年、シャナナ・グスマン首相はダシュバッハ刑務所を訪れ、誕生日を祝いケーキを一緒に食べたことで物議を醸した。

 教皇の今回の東ティモールでの公式日程には被害者との面会は含まれておらず、バチカンもこの件についてコメントしていない。だが、2013年の選出以来、聖職者による性的虐待と高位聖職者などによる修文の隠ぺいに対して「ゼロ・トレランス」を誓ってきた教皇は、同国滞在中のスピーチの1つでこの問題に言及する可能性があり、それはこの問題に対する厳しい姿勢を確認するもの、と見なされるだろう。個人的に被害者と面会するかもしれない。

 こうした国内の反応に対して、他の国の被害者団体は厳しい見方をしている。北アイルランドを拠点とするドロモア・サバイバーズ・グループの創設者トニー・グリベン氏は、AFPの取材に「教皇は、東ティモールの信者たちに対して、教会関係者による性的虐待を認めねばならない」、 「東ティモールでベロ司教や他の聖職者から虐待を受けた人々は、問題のある聖職者への教会の継続的な対応の失敗について教皇が公式声明を出すことを期待している」と述べた。

 ただし、グリベン氏は、教皇の面会は被害者にとって「限られた価値」しかなく、2018年のアイルランド訪問時にフランシスコが行った謝罪と似ている、とも指摘する。「あのイベントは教会にとって巧妙に練られた広報活動でした。そして、その後も、アイルランドのカトリック教会では物事はいつも通り続いているのです」と批判している。

 聖職者虐待がもたらしている教会の危機を記録している米国の団体「ビショップ・アカウンタビリティ」は、影響力のある枢機卿に対して、「見捨てられた東ティモールの被害者のために」教皇に介入するよう求める手紙を書いたことを明らかにした。だが、多くの地元住民にとって、この問題は中心的な問題ではない。教皇にベロ司教が会うために、帰国することを許可されることを願う人さえいた。

 「国民として、私たちはベロ司教の不在を非常に残念に思います」と、58歳の学者フランシスコ・アマラル・ダ・シルバ氏は語った。「政府とカトリック教会は彼を招待すべきです」。しかし、首都ディリの住民の中には、彼の名前がこの非常に待ち望まれている訪問と結び付けられるかもしれない、という考えに、明らかに不快感を抱く者もいる。

 今月初め、教皇フランシスコを歓迎する看板の下の壁に描かれたベロ司教の肖像が、数日後に消し去られたのだ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年9月10日

・「言葉だけの謝罪は空虚、行動が必要」-アイルランドで「宗教団体運営の学校における性的虐待調査報告」を受け、カトリック司教や教育関係団体が声明

(2024.9.6  Crux  Managing Editor    Charles Collins)

 アイルランドのケビン・ドラン司教は、国内の宗教団体が運営する学校での性的虐待に関する報告書が発表されたのを受けて声明を発表、「被害者は、自分の話をする権利がある」と強調した。

 今週初めに発表された「宗教団体が運営する全日制学校と寄宿学校における歴史的な性的虐待に関するスコーピング調査の報告書」によると、アイルランドの宗教団体が運営する308の学校に関して、性的虐待の申し立てが2395件に上っている。また被害を申し立てた884人のうち約半数が亡くなっている。

 また、性的虐待の多くは、1960年代初頭から1990年代初頭にかけて発生し、報告件数が最も多かったのは1970年代初頭から半ばにかけて、となっている。

 この報告書を受けた声明で、ドラン司教は「私は、すべての段落の背後には、子供の頃に安全であるべき場所で虐待や暴力を受けた実在の人々の経験があることを認識している」と述べ、「報告書の悲劇は、単に彼らの数が非常に多いということではなく、彼らの多くが、他の誰かに話すのに十分な自由を感じる前に、何年もの間、自分の経験を一人で抱え込まなければならなかったこにあります」と指摘。

 そのうえで、ドラン司教は「学校での虐待の被害者は、私たちのすべての小教区に所属しています。彼らは私たちの兄弟姉妹です。司教として、教会の文脈で虐待の影響を受けたすべての人々に心から謝罪したいと思います」と述べ、「過去の経験から、このような謝罪の言葉は、どんなに善意のものであっても、生存者やその家族にとっては空虚に聞こえるかもしれない、と知っています。私は、行動が言葉よりも雄弁であることを、声高く述べたい。両教区の被害者保護チームとともに、私は、子どもの保護のために定められた方針と手続きが、引き続き完全に実施することを約束します」と強調した。

 報告書は、アイルランド政府に対し、全日制学校や寄宿学校での歴史的な性的虐待の被害者に対する救済計画を検討するよう求め、救済への貢献について関連する宗教団体に働きかけることなど、いくつかの勧告をしている。 アイルランドでは、小学校の90%近くがカトリック教会によって所有または管理されているが、中学校の数はずっと少ない。だが、修道会は国の多くの寄宿学校を管理している。

 The Catholic Education Partnershipも声明を発表し、今回の報告書は「子どもの保護に関して、深刻に機能不全で虐待的な教育制度における子どもと若者の犯罪的扱いを再び明らかにした」とし、「私たちは、アイルランド全土のカトリック教育コミュニティ全体を代表して、この報告書の重要性、生存者とその家族に引き起こされた深刻な被害、そして苦しんだが、もはや私たちと一緒にいない人々を認識したい。そして、カトリック学校が『2023年に見直された最新の児童保護手順』を保護者と生徒に保証することが重要と考える」と主張。

 「カトリックの教育部門は、効果的な子どもの保護を維持することに全力を尽くしており、これらの基準の開発、見直し、改善について常に政府、教育省と積極的に関わってきた。今後もそうしていく… 子供たちとその家族の信頼が、最も壊滅的な形で裏切られたことは、痛いほど明らか。私たちは、道徳的、市民的、および法定の責任を確実に支持することを確実にするために、利害関係者および州と協力することを約束する」と述べている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年9月7日

・(評論)カトリック教会の”性的虐待危機”、収まる気配見えず、教皇の対応にも?(Crux)

(2024.8.23 Crux   Managing Editor  Charles Collins)

 聖職者による性的虐待が最近またニュースになっている。過去20年以上にわたって、性的虐待とその隠蔽に関する嫌悪すべき話は、英語圏やその他の国々でニュースの定番となってきたが、最近の一連の報道は、「教会が、本当に問題の根本に取り組もうとしているのか」という疑問を提起している。 

 今月初め、オーストラリアの西オーストラリア州議会・調査委員会は、宗教関係施設での児童虐待の被害者が受けることのできる支援に関する最終報告書を発表し、「カトリック教会やその他の宗教団体は、被害者に対してなすべきことよりも、自らの組織的および経済的”幸福”を優先してきた」と批判した。

 隣のニュージーランドでは先月、養護施設における虐待に関する王立調査委員会が、「養護施設における児童や弱い立場の成人への虐待に関する報告書」でカトリック教会を厳しく非難した。

 また先月には、アイルランドの新聞やテレビが、2017年に亡くなったイーモン・ケイシー司教が1990年代に性的不正行為で告発され、さらに亡くなる直前に3件の性的虐待の告発を受けていた、と報じている。

 北アイルランドでは、ダウン・アンド・コナー教区長のアラン・マクガッキアン司教が、1980年代にジェームズ・マーティン・ドナギー神父から青年時代に性的虐待を受けたパディ・マカファーティ神父に謝罪した。ドナギー神父は、 2012年に未成年者に対する性的虐待で有罪判決を受け、10年の刑に服した。

 マクガッキアン司教は、マカフェティ神父が受けた虐待の報告は「教区の児童性的虐待に焦点が当てられる中で、まともに取り上げられなかった。マカフェティ神父が2003年に詳細に文書で報告したドナギー神父の行為は、ことは明らかに犯罪的だった」と遅ればせながら反省の弁を述べた。

 英語圏でのこれらの報道は、イタリアで教皇フランシスコを取り巻く”性的虐待危機”が続く中でなされた。

 約30人の成人女性に性的虐待をしたとして告発されている元イエズス会士のマルコ・ルプニク神父は、現在も司祭であり続けており、その作品はバチカンのウェブサイトに今も掲載されている。

これは、バチカン広報省のパオロ・ルッフィーニ長官が6月に明言したことと関係している。長官は米ジョージア州アトランタで約150人のジャーナリストやメディア関係者に、ルプニク問題についてこう語った―「私たちは未成年者への虐待について話しているのではありません。私たちは知らない話について話しているのです、ルプニクの話を判断するのは私ではありません」。

 ごく最近のこと、教皇フランシスコの住まいを飾るルプニクの作品とされる画像が浮上した。それだけではない。昨年、教皇はシチリア島ピアッツァ・アルメリーナのロザリオ・ジザーナ司教を「良い」と評した。この司教は、未成年者に対する重い性的暴行で訴えられたジュゼッペ・ルゴロ神父をかばったとして告発されていた。そして、ルゴロは今年初めに有罪判決を受けている。

 ルゴロに性的暴行をされた被害者は、2020年に教皇に宛てた手紙の中で、「ジサーナ司教は、すべてを知っていたにもかかわらず、処罰を逃れさせるためにルゴロを異動させた」と訴えたが、バチカンが何の措置も取らなかったため、イタリアの司法当局に訴えた。

 教皇フランシスコは、昨年の声明で、ルゴロは「迫害され、中傷されたが、常に毅然とした態度で、公正な人だった」と弁護したが、このような対応は、虐待を隠蔽したと非難されていたチリのオソルノのフアン・バロス司教を2018年に教皇が擁護したのと似ている。教皇は中南米訪問中にこう述べていた―「(バロス司教が)虐待を隠蔽したという証拠は1つもありません。すべて中傷です。(隠蔽したというのは)本当ですか?」。

 教皇のバロス司教擁護の発言は、世界中で非難を巻き起こし、教皇自身が指名したバチカン未成年者保護委員会の委員長、ボストンのショーン・オマリー枢機卿からも非難された。そして、教皇は、調査官をチリに派遣し、虐待の被害者に謝罪し、善処すると約束した。

 これは6年前のことだが、それ以来、現在に至るまでに起きた事件(ここで概説したものだけでなく、他の多くの事件も)によって、「教皇が本当に教訓を学んだのか」、バチカン・ウオッチャーたちは疑問を膨らませ。被害者や支援者たちはますます怒りと不安を募らせている。

 なぜバチカンは、20年以上前に故ヨハネ・パウロ2世教皇のもとで、聖職者による性的虐待が表面化し、教会に危機が起き始めてから、真剣に対応策を学ぼうとしなかったのか?

 2002年に聖職者による児童虐待を米有力日刊紙Boston Globeがスクープし虐待行為と高位聖職者による隠ぺいが白日にさらされた後、教会関係者は問題に対処するためのガイドラインを発表し始めた。ガイドラインは国によって異なり、必ずしも厳密に守られてきたわけではない。それには、「教会の評判を守りたい」という願望から、「知らない人よりも知っている人を信じる」という人間の本性に典型的な傾向まで、さまざまな共通の理由がある。

 これは教皇フランシスコ自身の声明に見られる。バロスとルゴロは教皇の知人で、従来から友好的な会話を交わしていた。では、彼らを告発した人々は”知人”か?そうではない。

 教会関係者は、虐待の他の側面についても対処したがらない。たとえば、前述した北アイルランドのパディ・マカファーティ神父の事件は、彼が性的虐待を受けた時点で未成年ではなかったため、問題とされなかった。

 ルプニク事件に対する高位聖職者の態度も同様のようだ。ルプニクの被害者は成人で、ほとんどが女性である。バチカン広報のルッフィーニは、この芸術家兼司祭が「未成年者を虐待したとして告発されていないこと」を強調した。

 教会における虐待危機は消えてはいない。実際、拡大する可能性が高い。

 ニュージーランドにおける虐待に関する報告書は、虐待の疑いでパプアニューギニアに派遣されたニュージーランドとオーストラリアのカトリック司祭の調査を求めた。

 他の最近の報告書では、教会関係者が「問題のある」司祭を、調査を受ける可能性が低い地域に派遣することがよくある、と指摘されている。今後、こうした対応が問題として噴出する可能性もある。教会が”現実逃避”していることを示す証拠がたくさんあるのだ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2024年8月24日

・ブラジルの青少年司牧の司祭が、複数の少女たちを性的虐待、一人に中絶を強要した容疑で逮捕(Crux)

(2024.8.22Crux  Contributor  Eduardo Campos Lima)

 サンパウロ発 – ブラジルのアマゾナス州コアリ市で8月18日、少なくとも4人の10代の少女を性的に虐待、うち1人は妊娠させ、中絶を強要するなどしたとして、教区の青少年司牧の責任者の司祭が逮捕された。

 未成年者や社会的弱者に対する性交の強要、未成年者を巻き込んだポルノ動画の制作と保管、中絶の強要、女性への暴力脅迫などの罪で起訴される見通し。

 警察当局は、ダ・シルバが主導した犯罪行為には他の人々も関与していた可能性があるため、捜査を継続し、さらなる被害者が明らかになる可能性もある、としている。

 この神父はパウロ・アラウージョ・ダ・シルバ、31歳。2023年に匿名の人物から複数の少女が性的虐待を受けている、との通報があり、警察が捜査を開始。

 神父の被害者の1人に事情聴取したところ、その17歳の少女は、「ダ・シルバとの関係は14歳から始まり、ダ・シルバは、自分たちの性行為をビデオ撮影し、保管していた」と証言した。

 記者会見した警察幹部、ホセ・バラダス・ジュニア氏は、「被害者が昨年警察に助けを求めた時、彼女はダ・シルバから多大な圧力を受けてい”た」と述べた。

 また、地元ニュースサイト Amazonas Atualによると、ダ・シルバは、「被害者たちを教区の建物に引き込んだだけでなく、自分との”関係”を続けるよう強要し、彼女たちに強い精神的暴力をふるっていた」、さらに「被害者たちが自分と会わなくなることを決して許さず、「自分と一緒にいないなら、他の誰とも一緒になることはない」とさえ脅迫した、という。

 警察の調べによると、被害者の1人は、2023年に妊娠させられ、ダ・シルバはただちに中絶するよう強要した。警察幹部は「現在逃亡中の34歳の男性も(この犯罪に)関わっている。ダ・シルバの友人で、少女に薬を渡し、服用させ、中絶に至らせた」と現地のニュースメディアG1に語った。

 身元が確認された被害者たちは全員、ダ・シルバが担当するコアリ教区の聖ペトロ教会の信者で、教会に通っていた。関係者が警察に語ったところよると、ダ・シルバは日常的に被害者たちに他の女の子を連れてくるように求め、集団セックスを繰り返し、それをすべてを録画していたという。

 警察が教区の建物を家宅捜査し、ダ・シルバを拘束した際、18歳になったばかりの女性とベッドにいた。「つまり、ダ・シルバは、未成年の女性とセックスしていたということです」と警察幹部は述べた。警察はダ・シルバのスマートフォンを押収し、司祭が未成年者との性行為を撮影した少なくとも260本のビデオを発見した。司祭はまた、寝室に3万レアル(約5500米ドル)を所持していた。

 コアリ教区によると、ダ・シルバ氏は1992年生まれで、2018年に叙階された。ダ・シルバの逮捕を受け、コアリ教区は声明を発表、「あらゆる形態の虐待と搾取を拒絶する」とし、「コアリ教区は被害者たちとその家族に寄り添い、ダ・シルバ神父の虐待によって引き起こされたトラウマを克服できるよう、支援する用意がある」と約束。また教区は、ダ・シルバの司祭としての職務の停止を含む「必要なすべての教会法上の措置」を講じ、警察当局に協力してさらなる調査を進める、と明言した。

 Cruxは、ダ・シルバの言い分を聞くため、本人の弁護人を探したが、見つけることができなかった。またダ・シルバが所属するコアリ教区やと教会奉仕に携わる信者たちに話を聴こうとしたが、誰もコメントしようとしなかった。

 コアリ教区のウェブサイトによると、ダ・シルバは地元の青少年司牧の責任者とされているが、どのくらいの期間、この地域の青少年の司牧に当たっていたか、は明らかにされていない。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年8月23日

・バチカン、性的虐待や財政上の不正行為で訴えられたペルー最大の福音宣教運動の創始者を追放

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年8月18日