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・「ガザには支援に入れず…エルサレムは不気味なほど静寂。だが支援者の意識は高い」ー国際カリタスのダットン事務局長

問: エルサレムとイスラエルにも行かれたのですね。現地の状況はいかがでしたか?
ダットン:エルサレムそのものは、私が受けた印象では不気味なほど静かでした。以前はイスラエル人とパレスチナ人が行き交い、多数の観光客で溢れかえっているはずの夕方の6時に、まさにその中心地にいたのですが、誰もいなかった。聖墳墓教会に行き、イエスの墓の所に15分ほどいましたが、誰も入って来ませんでした。以前なら、入るために何時間も並ばねばならかなった。今は空っぽで、静かで、エルサレムの人たちは世界の他の地域から隔絶されたように感じ、孤立している。紛争は続いており、多くの人々は戻って来ていない。経済は崩壊し、観光客も皆無です。
そして、ヨルダン川西岸地区の一部やガザ地区の状況は、まさに非人道、残虐そのものです。私が現地に滞在している間、ガザのカトリック教会の主任司祭、ガブリエル神父と、そこで働くソーシャルワーカーの一人と話をしました。彼らが日々、活動を続けているのは信じがたいことです。彼らは、自分たちの家族の世話もする必要がありますが、人々への奉仕とケアに対する信じられないほどの意識があり、できることは何でもしようとしている。しかし、現時点ではそれも、非常に難しい。ガザ地区に支援物資などを持ち込むことは、ほぼ不可能です。
それでも、熱心に活動しているチームがあります。カリタス・エルサレムとカトリック救援サービスのチームです。しかし、彼らの努力にもかかわらず、私が現地入りする前の1か月間に、米軍とイスラエル軍の協力で、トラック6台分の物資ををガザ地区に運び入れたにとどまっている。2023年10月7日に攻撃が始まる前には、毎日500台のトラックが物資を運んでいたのに、この1か月間は6台分しか運び入れることができず、被災者住民が夜寝れて、食事を作ることができるようにするのが精いっぱいです。
問: このような状況下でクリスマスはどのように祝われるのでしょうか?
ダットン:正直なところ、私には分かりません。私が現場で感じたことのひとつに、特にヨルダン川西岸地区のキリスト教徒のパレスチナ人が、自分たちの土地で生活を維持し、希望を持ち続けるという強い必要性と渇望を持っていることが挙げられます。そして、彼らが聖書の物語から自分たちの信仰に大きな力を得ていました。彼らにとって素晴らしいことのひとつは、もちろん、「自分たちのいるところがキリストの誕生、そして死と復活に至るすべてことが起こった場所だ」ということです。
私が現地にいたある日、彼らに「あなたに驚きがあるのか」と問いかけられた。ある教会の建物に入ると、そこは10人のらい病人が介護されていました。彼らの家のすぐ近くにありました。
カリタスにはベツレヘム、キリストが生まれた場所に、最大のチームのひとつがある。彼らは、物語そのものと希望の福音が物理的に近いという事実から、非常に大きな力を得ていると思います。そして、彼らはそのことを話し続けています。
希望について言えば、アンマンでピザバラ枢機卿(エルサレムのラテン総大司教)にお会いしたことは、大きな収穫でした。彼は、ヨルダンを訪問中で、「今、希望を持つことがどれほど難しいか」について話しました。彼やレバノン・カリタスの代表であるミシェル・アブード神父との会話で、私たちは、「アラビア語やフランス語には『希望』を表す言葉が2つあるが、英語には1つしかない」という話をしました。フランス語にはespéranceとespoirがある。espéranceという言葉には、「神聖なものや、彼らが今感じている苦難よりも大きなものとのつながり」という意味がある。これは、彼らが力強さと未来への希望を維持していく上で、非常に重要な意味を持っているのです。
問: 私たちは「希望の巡礼者」というモットーを掲げ、間もなく聖年を迎えようとしています。
ダットン:私たちは「希望」という言葉を、表面的な意味で使わないよう注意せねばならないと思います。希望とは、「自分たちの内奥にある、本当に私たちを力づける何か」を発見するための旅です。ですから、「希望」という感覚を持つことは、非常に重要です。
問: このような状況下で、カリタスはどのような対応、活動をしていますか?
ダットン:カリタスは、昨年のテロ事件が起こるずっと前から、そして事件後も活動を続けています。言うまでもなく、ガザ地区やヨルダン川西岸地区の状況は非常に厳しい状況です。物を移動させることさえほぼ不可能です。支援トラックがガザ地区に入ることがいかに難しいかについて先ほど申し上げましたが、ガザ地区への物資搬入はほぼゼロの状態です。
にもかかわらず、私たちの医療チームは、人々を助けようと、今も活動を続けています。当然ながら、医療品の不足は大きな懸念事項ですが、活動を続け、物資や現金などの支援を得ようともしています。物資が手に入らなければ、現金も使いにくいのですが。
私たちは、ガザ地区、エルサレム、ヨルダン川西岸地区など、パレスチナ全体で、緊急対応活動を通じて、攻撃以来の13か月間に160万人以上の人々に支援を届けてきた。これには、健康、食糧支援、寝具や鍋、調理器具、食事など基本的な設備の提供、精神衛生や心理面のサポート、避難所、衛生キットや水の供給などが含まれます。私たちのチームを通じて、できる限りのことをしているのです。
しかし、今は、人道支援を続けることが非常に困難になっており、国際人道法の下、世界の国々、関係者は、人々がひどい苦しみを味わい続けないように、真剣に圧力をかける必要があります。
問: 教皇フランシスコは、人道支援を保証するよう、人質を解放するよう呼びかけておられます。
ダットン:その通りですが、絶対に停戦を実現する必要があります。この戦争は、すべての人々を傷つけ、イスラエルの経済を疲弊させています。苦しんでいるのはパレスチナ人だけではありません。この戦争は、次世代の戦士を生み出すことになる、世代を超えた心理的混乱を生み出しています。私たちは、さらなる死につながるだけの武器供給を止めなければなりません。今日、イスラエルに武器を供給している人々は、停戦を遠ざけているだけなのです。
イスラエルの人質や双方で拘束されている人々についても言及しなければならない。なぜなら、パレスチナ人の多くもまた恣意的に拘束されているからだ。だから、人質は絶対に解放されなければならない。また、国際法や国際法規範を尊重しなければならない。私たちは国際刑事裁判所を持っているし、国際人道法では人々は援助を受ける権利があるとしている。
しかし、援助を提供しようとする私たちにとっては、それはほとんど不可能であり、また安全とは程遠い。今年、スタッフ2名が命を落とし、その家族の多くも犠牲となった。私が現地を訪れた前の週には、2名の医師が負傷し、家族全員とともに病院に入院していた。教会への直撃弾により、12名ほどが殺害されたばかりだった。人道支援をしようとしている人々が、この戦争の標的となっているのだ。
問: レバノンではイスラエルとヒズボラの間で停戦が成立しました。 国際カリタスの活動にとって、これは何を意味するのでしょうか?
ダットン:レバノンの同僚たちと連絡を取り合っています。彼らの希望と、教皇フランシスコの希望を私も共有しています。それは、この停戦が、何らかの形で中東の平和に向けた動きのきっかけになるかもしれない、という希望です 。
でも、まず最初に言っておかねばならないのは、停戦は極めて不安定な状態にあるということです。停戦後もレバノン南部では攻撃があり、人々が殺されています。停戦がいつまで続くのか、疑問に思わざるを得ません。停戦が継続し、攻撃してきた人々が一歩退くことを心から願っていますが、笛を吹けば、戦いが瞬間的に終わるほど、事態は簡単でないのも事実です。
また、これがそのままガザ地区の平和に直結するとは思えません。私たちは今、シリアで攻撃が開始されたのを目撃しています。このタイミングが偶然の一致であるとはどうしても思えないのです。アレッポへの攻撃が始まったのは、まさに停戦が発表されたその日でした。シリアは14年間にわたって戦争に苦しみ、さらに最近では地震にも見舞われました。人々はアレッポやハマから安全な場所へ逃れようとしています。
私は今年1月に現地を訪れましたが、経済制裁によって、人々は文字通り瓦礫の間に住むことしかできず、国の経済は完全に疲弊しています。私は8年前に歩いた同じ道を1月に歩きました。その道は、可能な限り清潔に保たれてはいますが、瓦礫が脇に積み上げられ、その周りを掃くことしかできていない。シリアはここ数年、経済制裁で人々が非人道的な状態に置かれており、さらに今、このような攻撃を受けることになっている。中東をはるかに超えた規模の権力が、今、力を誇示し、地位と覇権を争っているのです。「象が戦えば、草が苦しむ」のです。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・欧州安保協力機構・閣僚理事会にバチカンのギャラガー外務局長が出席、加盟国間の信頼崩壊、分裂に強い懸念表明

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・「来臨されるイエスに目を向け、希望を失うな」-フランシスコ会の聖地管区長がベツレヘムで待降節の始まりのミサ

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・エルサレムの教会指導者たち、苦難の中でも、キリストの誕生をしっかりと祝うよう呼びかけ
(2024.11.29 Vatican News Lisa Zengarini)
ガザ地区で戦争の被害に苦しむ人々との連帯を示すため、昨年のクリスマスにイルミネーションや装飾を一般公開しないという決定に続き、エルサレムの教会の総主教や指導者たちは、現在も続く戦争のさなかではあるが、「キリスト教の希望を公に示す」ことでキリストの誕生をしっかりと記念しよう、と呼びかけている。
・・・・・・
ガザ地区での停戦の兆しが見られないままクリスマスが近づく中、エルサレムの教会の総主教や司教たちは、キリスト教の希望を表現しながらも、現在も続く戦争下でガザ地区の住民が耐えている苦難を尊重する形で祝うよう、それぞれのコミュニティに呼びかけている。
2023年、エルサレムの教会指導者たちは、新たに勃発したハマスとイスラエルの間の戦争で苦しむ多くの人々と連帯する手段として、聖地に住むキリスト教徒に公共の場でのクリスマス装飾やイルミネーションの使用を控えるよう求める共同決定を下した。
だが、この発表により多くの人々が聖地でのクリスマス祝賀会が中止されたと誤解し、その結果「闇から浮かび上がる光のクリスマス・メッセージの独特な証しが弱められた」と述べ、信者たちに「キリストの誕生を完全に記念する」よう呼びかけ、「キリスト教の希望を公に示す」ように、そして「この地域で数百万人が今も耐え続けている厳しい苦難に配慮したやり方」でそうするよう促した。声明文には、「祝祭には、彼らを絶えず祈りの中で支え、親切や慈善の行いをもって手を差し伸べ、キリストが私たち一人一人を迎え入れてくださったように彼らを迎え入れることが確実に含まれていなければならない」と書かれている。
このようにして、エルサレムのキリスト教各派の指導者たちは「私たちは、天使たちが同じように暗い時代であったこの地域で羊飼いたちに、『キリストの誕生』という喜ばしい知らせを告げたクリスマス物語そのものを再現することになるだろう。そして、彼らと全世界に神聖な希望と平和のメッセージを届けるのだ」と言明した。
*パレスチナ自治政府のアッバス議長、ベツレヘムのクリスマス・イブミサに出席
一方、パレスチナ自治政府のアッバス議長は今週行われた聖地管理者のフランシスコ・パットン神父と副管理者のイブラヒム・ファルタス神父との会談で、「パレスチナの人々の苦難を考慮し、聖地におけるクリスマスの祝いは宗教儀式に限定すべきだ」と述べた。議長は慣例に従い、12月24日にベツレヘムの聖カタリナ教会で行われるクリスマスイブのミサへの正式招待を受けた。会談で、議長は、パレスチナのキリスト教徒にクリスマスの挨拶を述べ、平和への希望を繰り返し述べた。
* エルサレム・ラテン総大司教、ピッツァバラ枢機卿は英国を訪問
また、エルサレムのラテン総大司教であるピエールバティスタ・ピッツァバラ枢機卿は、イングランドおよびウェールズにおけるエルサレムの聖墳墓騎士団の設立70周年を祝うために、1週間の英国訪問のためロンドンを訪れた。12月1日には、司教協議会議長のビンセント・ニコルズ枢機卿が司式するウェストミンスター大聖堂での待降節第1主日の厳粛なミサで説教を行い、その後スコットランドのエディンバラへと向かう。
・米国で公開中の映画『コンクラーベ』ーカトリック教徒の間で論争を巻き起こしている
ラルフ・ファインズ主演『コンクラーベ』公式予告編のスクリーンショット。(写真:YouTube/フォーカス・フィーチャーズ)
(2024.11.4 La Croix Paul Carpenter)
インターセックス(性分化疾患=身体的性 が一般的に定められた男性・女性の中間もしくはどちらとも一致しない状態)の人は教皇になれるのか? 10月25日に『コンクラーベ』が米国で公開されて以来(フランスでは12月4日に公開予定)、このありそうもない疑問が大西洋を越えて議論に火をつけている。
前作『西部戦線異状なし』が2022年のアカデミー賞にノミネートされたドイツの映画監督エドワード・ベルガーが監督した『コンクラーベ』は、ロバート・ハリスの2016年の同名小説を原作としている。ラルフ・ファインズ演じる枢機卿団の長、トーマス・ローレンスが、ローマ教皇の死後の重責に立ち向かう姿を描く。
ローレンス枢機卿は、権力闘争、詐欺未遂、カトリック教会内のイデオロギー分裂に直面する。ここまでのストーリーは、バチカンを舞台にしたハリウッド映画としては標準的なものだ。賛否両論を巻き起こしたのは結末だ。
アフガニスタンでの任務から帰還した南米出身の枢機卿が、大演説で大喝采を浴び、教皇に選出される。だが就任後、ローレンスは新教皇が男性と女性の両方の生理的特徴を持つインターセックスであることを知る。
*カトリック教会内外で物議を醸す結末
米国のマスコミの反応は素早かった。保守系メディア『The Daily Wireー』のベン・シャピロ代表は、公開前から数百万人のフォロワーに映画のボイコットを呼びかけた。
『National Catholic Reporter 』誌とイエズス会の『 America』誌は、映画の美的センスを賞賛し、世界代表司教会議(シノドス)総会がシノダリティ(共働性)について結論を出したばかりであることを考えると、「聖職に就く女性についてのこの映画の探求はタイムリーだ」と評価している。
しかし、この映画の結末を「無礼な挑発」と見る者もいる。ワシントンの聖ヨハネ・パウロ2世神学校の校長であるカーター・グリフィン神父は、Catholic News Agencyとのインタビューの中で、この映画の結末がいかに司祭職に対する誤解を反映しているかを説明した。一方、『Daily Beast』紙は、Redditのようなフォーラムが、「この映画を見ることは道徳的か?」という質問に特化している、と述べている。
*よくできた超大作だが、一流の批評家からは鼻であしらわれている
こうした様々な反応にもかかわらず、『National Catholic Register』紙は、この映画の「美的利点」に異論は唱えず、映画の内容と最後の展開に議論を集中させている。批評家のレビューを集約したRotten Tomatoesのスコアは93/100で、一般メディアもその質についてはほぼ同意している。『 Rolling Stone and 』や『Vulture』のような文化系雑誌は、その繊細さと攻撃的な要素を称賛している。
しかし、『Cineaste』『 Film Comment』『Little White Lies 』といった著名な映画雑誌は、批評の掲載を避けた。米国文化の基調を作る傾向のある他の出版物では、この映画について技術的な妙技は認めているが、過度に「機械的」あるいは「退屈」である、とさえ批判し、『New Yorker 』のリチャード・ブロディは特に酷評している。『New York Times』のマノーラ・ダーギスは、終盤のどんでん返しの根拠のなさを嘆き、現在の大統領選挙との類似性を指摘し、特に不正や詐欺の告発に関して、選挙プロセスの正当性に疑問を投げかけている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。
LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.
・カトリックで史上二人目の米副大統領候補は、信者の分裂を加速する(La Croix)
(2024.7.19 La Croix Malo Tresca)
J.D. ヴァンス氏が、17日の米国の共和党全国大会で副大統領候補に選ばれた。トランプ候補を推す共和党陣営が大統領選挙に勝利すれば、2019年に成人として洗礼を受けたオハイオ州の上院議員は、米国史上2人目のカトリック教徒の副大統領となる。
「キリスト教徒、夫、父親、オハイオ州の上院議員」-ソーシャルネットワークXでの短い自己紹介で、J.D. ヴァンスは、主に信仰というレンズを通して、自身の歩みの最も顕著な側面を明らかにした。
共和党全国大会でドナルド・トランプの副大統領候補に正式に指名された39歳のヴァンスは、11月の大統領選挙で自身の陣営が勝利すれば、バラク・オバマ政権で副大統領を務めたジョー・バイデンに次ぐ、米国史上2人目のカトリック教徒の副大統領となる可能性がある。
宗教は現在、彼の人生の中心を占めているが、彼の精神的な旅は曲がりくねった道をたどっており、彼はそれをアメリカの報道機関に公に語ってきた。
質素な家庭に生まれ、麻薬密売に悩まされていたアパラチア山脈の貧しい白人コミュニティで育ち、子供時代と十代の頃は福音派の教会に通っていた。「私はかなり混沌とした絶望的な世界に住んでいましたが、信仰が『誰かが私のことを見守ってくれている』という信念を与えてくれました」と、2016年にユタ州を拠点とする宗教メディアのDeseret Newsとのインタビューで語った。
そして、「教会に行くと、それまで見たことのない本当に良いことがたくさん分かりました。さまざまな人種や階級の人々が一緒に礼拝しているのを体験しました。仲間から自分がすべきことに関して特定の道徳的期待があることを知りました」と述べた。
20代前半、名門イェール大学での学生時代は、神から一定の距離を置くことで特徴づけられた。 「私は自分を『無神論者』と呼んでいました」。それにもかかわらず、宗教的信念が自身を高めているように思えるカトリック教徒やモルモン教徒と会ったことを思い起した。
2015年、彼は再び宗教的な儀式に出席し始め、4年後にカトリック教会で洗礼を受けることを希望し、長い間彼を教会から遠ざけていた(聖職者たちによる)虐待問題にこだわらないことに決めた。「私にとって最も大切な人々をよく見ると、皆、カトリック教徒でした」と2019年の受洗当時、 The American Conservative紙とのインタビューで語り、カトリックの「知的」魅力を強調した。
「キリスト教の信仰の希望は、物質世界の短期的な征服に根ざしているのではなく、それが真実であり、長期的には、さまざまな試行錯誤を経て、物事はうまくいく、という事実に根ざしています」と、元軍人で、米国の産業が衰退した地域で育った経験について書いたベストセラー “Hillbilly Elegy”の著者であるヴァンスは語った。
彼の信仰はどの程度彼の政治活動に影響を与えているのだろうか?
「彼自身がよく言っているように、彼の献身は教会の社会教義、特に経済問題に関するレオ13世の回勅『Rerum Novarum (新しき事柄について―資本と労働の権利と義務)』によって動機づけられている」とトゥーロン大学(ヴァール)のアメリカ文明の専門家、マリー・ゲイトは説明した。「ヴァンスが『権利を奪われた米国の労働者を助ける』と主張するのは、カトリックの名においてなのです」。
ゲイトによると、元シリコンバレーのベンチャー・キャピタリストであるヴァンスは「リベラルなコンセンサスから離れることで保守主義を再定義しようとしている、多くのカトリック教徒を含む”ポスト・リベラル”な知識人」に属するという。
ヴァンスは、バイデン現大統領の2020年大統領選勝利に反対する連邦議会の反乱分子を支援したことで米国政治の舞台で物議を醸したことがあり、2023年1月にオハイオ州上院議員となって以来、カトリック信者の間では違った見方をされてきた。移民問題や気候変動懐疑論についての強硬姿勢は、教皇フランシスコの姿勢とは相容れないようだ。
性道徳の問題で極端に二極化した米国で、レイプや近親相姦を例外とせず中絶を禁止する彼の確固たる立場は、カトリック信者の分裂を招いている。今年4月11日の有力調査機関、Pew Research Centerの調査によると、信者の10人中6人強(61%)が中絶合法化を支持しているが、ヴァンスが7月初旬にトランプが主張する中絶薬の取得を容易にすることへの支持を表明して、保守派信者から反発を招いている。
「ヴァンスには原則がない。少なくとも”売り物”にならない(主張をする)原則はない。そして”提示価格”は低い」とマサチューセッツ州カトリック行動連盟のC.J.ドイル事務局長は皮肉った。
「それにもかかわらず、ヴァンスは、保守化の傾向を強める若い米国の聖職者の間で、かなりの人気がある。彼らはこの最新の論争を無視しているようだ」とゲイトは指摘し、彼が副大統領候補に指名されたことで、「米国のカトリック司教たちの極右派を喜ばせている」と確信をもって語った。
(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)
(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。
LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.
・「米国は、政治的な怒鳴り合い、他者に耳を傾ける余裕も失っている…尊厳と対話を促そう」ー米国の司教団代表、トランプ襲撃事件で
(2024.7.19 カトリック・あい)
13日の米ペンシルベニア州での集会でトランプ前米大統領の銃撃事件を受けたことについて、バチカンは広報局が声明で、民主主義を傷つけ、苦しみと死をもたらす暴力に対し憂慮するとともに、犠牲者のため、そして米国の平和のために、米国司教団と共に、暴力の論理が勝ることがないように祈る、と述べた。声明した。
また米国カトリック司教協議会会長のティモシー・ブロリオ大司教は16日、バチカン・メディアのインタビューに答え、トランプ前米大統領の暗殺未遂事件を、ぞっとする「行動への呼びかけ」と定義し、米国民は「それぞれの人間としての尊厳を尊重しつつ、常に敬意をもって意見の相違を表明すべきだ」と強調した。
そして、この事件の背景にある米国の政治・社会状況について、「政治的議論が怒鳴り合いばかりで、他者に耳を傾ける余裕がないところまで来てしまっている」と述べたうえで、17日に始まる米国の聖体大会が「私たちにとって、対話と和解を促進する大きな機会になるでしょう… キリストの中に私たちは行動規範を見出すことができ、その促進に努めれば努めるほど、私たちの社会はより良いものになるでしょう。私たちだけで、すべてを行うことはできませんが、その基盤を造り、尊厳と対話の促進のために、責任ある人々を促すことはできます」と語った。
(以上、「バチカン放送」ニュースをもとに、「カトリック・あい」が編集)
・ガザ地区のカトリック学校が攻撃を受け、避難民ら多数が死傷

(2024.7.8 バチカン放送)
パレスチナ・ガザ地区のカトリック系の学校、セイクリッド・ファミリー・スクール(聖家族学校)が7日、イスラエル軍の攻撃を受け、多くの死傷者を出した。
学校を管轄するラテン典礼小教区「聖家族小教区」の主任司祭ロマネッリ神父は「学校は二度の攻撃を受け、何人かの死者と、多くの負傷者がいる模様です」と深い悲しみを表明。
ラテン典礼エルサレム総大司教区は声明で「イスラエル軍がガザの聖家族学校に対して行ったと思われる急襲のニュースを深い懸念をもって注視している」とし、「民間人を標的にすること、民間人が戦闘現場外に留まることを十分に保証できない攻撃行為」を強く非難した。
同総大司教区によると、セイクリッド・ファミリー・スクールは、イスラエル軍によるガザ地区への攻撃が始まって以来、何百人もの民間人の避難所となってきた。ロマネッリ神父は「校内の避難者の数は、最初は1000人近かったが、その後追い出され、また700人ほど行き場を失った人々が戻ってきたりと、常に変化しており、今回の攻撃を受けた時に、何人の避難者がいたか、把握するのは難しい」と説明している。
(編集「カトリック・あい」)
・露軍に捕らわれた司祭2人を含む民間人10人解放ーゼレンスキー大統領が、教皇とバチカンの努力に謝意

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・教皇のローマ郊外の小教区訪問は、イタリアの教会の外国出身司祭への依存の高まりを象徴している(Crux)
(2024.6.8 Crux Staff)
ローマ発 – 教皇フランシスコ6日、ローマ北西端にある小教区を突然訪問された。訪問は、教皇が2025年の聖年に向けて呼びかけておられる「祈りの学校」の一環だが、聖ブリジット小教区には現在、教会の建物がなく、ガレージでミサが行われており、「祈りの学校」も、集合住宅の中庭で開かれた。
興味深い”脚注”は、教皇の訪問が、今日のイタリアにおけるカトリック信者の人口動態を正しく捉えたものだったことだ。 集まった教区民はほぼ完全に白人で、民族的にはイタリア人だったが、旬司祭と叙任司祭は、どちらも聖霊修道会の宣教師で、コンゴ人とカメルーン人。
主任司祭のガイ・レアンドレ・ナカヴォア・ロンデ神父は、2005年に今後からイタリアに入国、その段階でイタリア語を一言も話さなかった。司祭に叙階された時、派遣希望地としてガボン、メキシコ、インド洋のレユニオン島を挙げたが、上長はイタリアでの宣教を命じ、以来、聖ブリジット小教区の司祭を務めている。
助任司祭のフランシス・チャンチョ神父は、カメルーン出身の40歳で、2017年に叙階され、北イタリアのトリノで宣教活動を始め、昨年、聖ブリジット小教区に移った。
二人は、イタリアのカトリック教会における、国外出身の聖職者への依存度が高まりを象徴している。かつてイタリアは、世界の他の地域への宣教師の大”輸出国”だっがが、イタリア司教協議会の資料によると、今や海外で奉仕するイタリア人一人につき、イタリアで奉仕する外国生まれの司祭は5人に上る。昨年現在で、イタリアには1476人の外国出身の教区司祭がおり、うち790人が司牧活動に従事し、686人が学生。さらに、小教区の主任司祭や助任司祭など教区の任務も兼任する修道会司祭が1336人。外国人司祭の合計は、教区司祭、修道会司祭を合わせて2812人で、イタリアの教会の全カトリック司祭のほぼ10%を占めている。
イタリアの司祭の総数は1990年から昨年までに約2割減ったが、外国人司祭の数は同じ期間に10倍に急増している。外国出身の教区司祭790人の地域別内訳は、407人がアフリカ、134人が東欧、164人がアジア、85人がラテンアメリカを主体とする南北アメリカだ。
イタリアの教区と他国の教区との間の司祭任命に関する協定を監督する同国司教協議会のジュゼッペ・ピッツォーリ神父は、協定では外国出身の司祭のイタリアでの奉仕期間は9年とされており、満了した時点で母国に帰ることになっている。
だが、「協定を守るよりも”違反”することに重きが置かれることもあります… イタリアで9年間過ごした後、何人かの外国人司祭は母国に戻るのに苦労しています。イタリアの司教でさえ、彼らが去るのを望まない。なぜなら、彼らは9年の間にイタリアの教会にうまく適応し、重要な役割と責任を負うようになっているからです」と語った。司教協議会がデータを作成して以来これまでに、他国出身の教区司祭398人がイタリア国内の教区に転籍している、という。
司祭不足は欧米よりも発展途上国で深刻になる傾向があることを考えると、このイタリアの教会の自国出身司祭の不足は、必ずしも欧米共通の問題というわけではないかも知れない。例えば、欧州全体では、カトリック教徒1700人につき1人の司祭がいるが、アフリカでは、5700人に1人だ。
そうしたことを考え合わせ、”北”の裕福な国々の教会が、”南”の貧しい教会の聖職者を”搾取”し、”南”の国々でもっと聖職者が必要とされているのに、”北”の国々の”不足を穴埋め”するために、聖職者を”南”から”北”に流出させているのではないか、という見方も出ている。
実際、バチカン福音宣教省の長官を1985年から2001年まで務めたスロベニア出身のヨゼフ・トムコ枢機卿は、発展途上国からイタリアに司祭を”輸入”する傾向が強まっていることを批判し、「これほど多くの教区司祭をもってすれば、(アジア、アフリカなどの)宣教地域にもっと多くの新しい小教区が作られるはずだ!」と述べていた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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・米ワシントン大司教区で、前年の3倍近い16人が司祭叙階へ
(2024.6.8 カトリック・あい)
米カトリックメディアCNAが7日報じたところによると、米国のカトリック・ワシントン首都圏教区で、6月15日に、16人が司祭叙階されることになった。
同教区での司祭叙階は昨年は6人、一昨年は10人、2021年はわずか1人だったのに比べて、驚異的とも言える増加だ。
今回の司祭叙階者には、軍務経験者が数人、元救急救命医と元.警察官が1人づついる、という点でも画期的と言えるようだ。
ワシントン大司教区は、同地域の総人口約300万人の2割強、65万人がカトリック教徒。小教区は139、学校は93。教区長はウィルトンD.グレゴリー枢機卿。
・性的虐待訴訟で破産の米ボルチモア大司教区がボルチモア都市圏の小教区61を23に削減する再編計画-「人口動態に対応」と(Crux)
(2024.5.23 Crux National Correspondent John Lavenburg)
ニューヨーク発 – 人口減少と人口動態の変化の中で、米ボルチモアのウィリアム・ローリ大司教は23日、市内と周辺の61の小教区を23に削減する再編計画を発表した。 教会の合併と閉鎖の両方を含むこの計画は、大司教区が2022年に開始した「来るべき都市を求めて」構想の最終的な結論、としている。
米国で最も古い歴史を持つボルチモア大司教区の広報担当者は、教会の閉鎖数は29に達する可能性があると語る一方、一部は特別な礼拝堂などに再利用されたり、奉仕の場所として指定されたりする可能性がある、としている。
ローリ大司教は、決定は「希望に満ちた未来を見据えて行われた」と述べ、 「このプロセスは、私たちの教区が使命と奉仕に集中できるようにすることを目的としている… 多くの小教区に分散している資源を集め、福音を告げ知らせ、隣人が救いに出会うのを助ける、という、私たちの目の前にある使命を遂行するための十分な備えを整えた新しいコミュニティを形成するために行われるもの」と説明。「小教区の合併再編がこの目標の達成に役立ち、新しい小教区共同体と司祭が物的、人的、精神的資源をその使命に向けることができるようになる、と確信している」と語った。
ボルチモア大司教区には153の小教区と伝道所があるが、再編計画の対象となる61の小教区は、ボルチモア市とその周辺郊外にあり、現在の人口減少と人口動態に適合するよう小教区の配置を見直すものだ。
大司教区の広報担当者によると、大司教区のカトリック教徒は約50万人で、うち約1万4000人(2.8%)がボルチモア市内の教会でミサに出ているが、市内居住者はその約半分という。 にもかかわらず、小教区の数は、大司教区の全体の小教区の約 3 分の 1 を占めている。ボルチモア市では、1810 年から 1950 年代にかけて人口が約 5 万人から約 90 万人に増え、これに対応する形で市内の教会の建設が進んだが、その後、市の人口は減少に転じ、現在では約 55 万人まで減っている。
またローリ大司教は、「今回の再編計画で影響を受ける人々に配慮して、一部の合併統合は、今後1年ほどかけて行う」とし、 基本的に、各小教区共同体はそれぞれの状況に応じた独自の計画をもとに、合併への作業を進め、合併手続きが完了した後、大司教区として新たな施設、建物への資金提供を検討する、と述べた。
さらに大司教は、今回の小教区合併再編は、「大司教区の(聖職者による性的虐待への賠償金が多額に上ることによる)破産申請とは無関係であり、(小教区の合併再編で生じる余剰土地、建物など)不動産の売却は(性的虐待被害者との)和解に使うことを意味しない」とも説明した。
多くの米国の他の司教区と同様に、 聖職者の性的虐待訴訟が相次ぐボルチモア大司教区は、2023年に破産を申請した。 その数カ月前の2023年4月、メリーランド州のアンソニー・ブラウン司法長官は、大司教区の聖職者など156人による児童性的虐待が 1940 年代から 2002 年にかけて600件以上もなされた、とする454ページの報告書を発表している。
ローリ大司教は「多くの人は、今回の小教区合併再編が、大司教区が行った破産申請と関連しているのではないか、と疑うかもしれない。だが、そうではない。将来の不動産売却を破産和解の支援に結びつける憶測は、 本当ではない」と否定。「小教区の合併で生じた一部の物件は再利用され、一部は売却される。売却による収益は教区に残し、合併で新しく設立される小教区のために使われることになる。このことは、教会法、そして民法によって裏付けられている」と述べた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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・「人身売買の根本原因の一つは”買い手”にある」人身売買被害者が訴えー「Talitha Kum」創立15周年総会で
Group photo of participants gathered together at Talitha Kum 2nd General Assembly (Marco Mastrandrea/Talitha Kum)
(2024.5.20 Vatican News Deborah Castellano Lubov )
人身取引の撲滅に取り組む奉献生活者の国際ネットワーク「Talitha Kum(タリタクム)」の創立15周年を記念する総会が、加盟90か国の代表約200人が参加して18日から24日までローマで開かれている。女子修道会国際総長連盟(UISG)が2009年に設立したTalitha Kumの記念総会には、一般信徒の女性と男性、信徒、若者、そして人身売買との闘いに積極的に取り組んでいる被害者なども参加した。
出席者の一人、米ミズーリ州カンザスシティの非営利人権団体ジャスティス・プロジェクトKCの常務理事で、自身も人身売買の被害者であるクリスは 「人が”製品”を買わなければ、”売る”のはずっと難しいのです」とVatican News に語った。
裕福な家庭に育ったクリスは、世間知らずの十代のころ、羽目を外して、男に騙され、米国のあちこちで売春をさせられた。その経験から、今も増え続ける人身売買の撲滅に取り組んでいる。具体的には、貧しい女性や少女に対する権利擁護、システムナビゲーション、ピアサポートを提供しており、米司法省の人身売買反対連合、カンザス州司法長官の人身売買諮問委員会の委員を務める。
クリスは「性的搾取を生き延び、現在被害に遭った人たちと働いている者として、より広い世界がこれらの人々を無条件に受け入れ、愛する必要がある、と心から思っています」と述べ、「変化が必要です。人々は、犠牲者と呼ばれると、自分自身に対する見方が変わるのです」と強調した。
そのうえで、「多くの憎しみに直面しているトランスジェンダーの被害者を含む他の被害者や、「時には人目につかないことがある男性や少年たち」に対して、もっと包容力のある対応を求めたい、とし、人々に対して、「偏見を脇に置き、被害者たちが自分自身のために正義を達成できるよう支援する必要がある」と語った。
さらに、総会参加者たちの多くが、「今起きている人身売買の根本原因に対処したい」と考えているのであれば、「”需要”、つまり“買い手”に対処する必要があります。根本原因は数多くあるが、その中で主要な原因の1つは、依然として“買い手”がいることです。“買い手”がいなければ、”売る”ことが難しくなるからです。これは資本主義の理論です。”買い手”をなくすことで、”売る”ことをできなくする。それが、私の希望です」と強調した。
そして、そのためのカギは、「人身売買行為の不当性について、特に男性、若者たちを教育すること」と指摘した。「そうした教育を通じて、女性や少女を単なる遊び道具にしてはいけない、ということを分からせることです」。
より基本的には、「男女平等、あらゆるレベル、あらゆる段階、あらゆる国、あらゆる場所での男女の平等を促進する努力を続けることが必要」と強調。また、各国の司法当局に対して、「”需要”に厳しく対応すること」を求め、また、「人身売買で利益を得ている者たちは、法的、金銭的な罰則を受けると、多くの場合手を引き、それが(そうした対応を司法当局がしていない国や地域との)違いを生みます」と訴えた。
*日本では、Talitha Kum設立から8年遅れて2017年に日本女子修道会総長管区長会、日本カトリック管区長協議会が連携し、日本カトリック難民移住移動者委員会の「人身取引問題に取り組む部会」として、「タリタ・クム日本」が作られている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・バチカンの前典礼秘跡省長官、「西欧の高位聖職者たちは世俗的価値観への批判精神を失っている」と批判‐同性カップル祝福に反対
(2024.4.15 Crux Africa Correspondent Ngala Killian Chimtom)
ヤウンデ(カメルーン)発 – 教皇フランシスコの路線に批判的立場をとるロバート・サラ枢機卿(前典礼秘跡省長官)が15日の母国カメルーンの司教たちとの会議で、同性のカップルへの祝福を認める最近のバチカンの文書について、「この文書は、伝統的アフリカ文化だけでなく、カトリックの教えそのものにとって、受け入れることができない」と主張し、「西欧の高位聖職者たちは、世俗的な価値観に反対することに消極的。神経が衰弱している」と批判した。
サラ枢機卿は「多くの西欧の高位聖職者は、世界に愛されることを夢見ている。 彼らは”抵抗の象徴”になりたいという欲求を失ったのだ」と述べ、「現代の教会は無神論の誘惑にさらされている。しかも『 知的無神論』ではなく、『流動的で実利的な無神論』の微妙で危険な精神状態に置かれている。このような無神論は、初期症状が良性のように見えても危険な病気。教会の言説を含む現代文化のあらゆる側面に浸透しているため、知的無神論よりも陰湿だ」と指摘。
さらに、「教会とその指導者たちは、『流動的で実利的な無神論』という大きな嘘に順応し、それと共謀するという罪を犯している。キリスト教の信者であり、信仰を持っている人であるふりをしているが、実際には異教徒、不信者として生きているのだ」とし、「『流動的で実利的な無神論』は危険でとらえどころのない勢力であり、蜘蛛の巣に捕まった虫のように、逃げようとすると、もっと強く締めつけられる。サタン自身が仕掛けた巧妙な罠だ」と述べた。
そして、「(西欧の)教会指導者たちは、この形態の無神論は人間の弱さとその欺瞞に屈する人間の傾向を食い物にしているが、教会に派閥や自称”救世主”が存在すべきではない。教会に”政党”を作ることも必要ない」とし、「信仰の精神を維持するということは、それを損なうものをすべて拒否し、神の御手をしっかり握りながら信仰のレンズを通してのみ世界を見ることであり、それが真の平和と優しさへの唯一の道。信仰の精神だけが真の兄弟愛を育み、欺瞞と紛争で荒廃した世界に平和をもたらすことができる」と強調。”西欧教会の歪曲”に直面する中で「信仰の統一」を守るよう、アフリカの司教たちに強く勧めた。
またサラ枢機卿は、現在進んでいる”シノドスの道”の歩み、特にシノダリティ(共働性)に関する今年10月の世界代表司教会議総会の第二会期に言及し、昨年10月の総会第一会期を含めて、アフリカ教会の指導者たちが伝統的な教義と価値観を強く擁護してきたことを賞賛、「昨年10月の総会第一会期で、アフリカの教会は、神によって創造された男性と女性の尊厳を力強く擁護した。 その声は、西欧の圧力団体を喜ばせることだけを考える人たちから無視され、軽蔑されたが、アフリカの教会は、神権の真理と信仰の一致を守らなければならない。 アフリカの教会の声は、貧しい人々、素朴な人々、小規模な人々の声だ」と訴えた。
さらに、「アフリカの教会は今日、神の言葉を守る上で重要な役割を果たしているが、西欧のキリスト教徒は富に惑わされ、啓蒙と現代性について誤った認識を持っているようだ」としたうえで、「真実を断片化し、相対主義の文化を推進する(西欧の)司教たちに対抗し、信仰の普遍性を守る者としてのアフリカの司教たちの立場」を強調、「神の真理の使者としての、アフリカの司教たちの役割」を賞賛し、「神はしばしば、強くて評判の高い人々を混乱させるために、一見弱くて人気のない人々を選ぶ」と述べた。
同性カップルや”非伝統的関係”にある人々の祝福を認めるバチカンが最近出した文書「Fiducia Supplicans」に反対しているカメルーンの司教たちを称え、この文書に従わない、とする司教団の決定を「教会の統一とその教えの真実を守る大胆かつ預言的な行動」と評価した。そして、アフリカ・マダガスカル司教協議会連盟(SECAM)の声明を取り上げ、今回のバチカンの文書以前の同性愛に関する宣言、カトリック教会のカテキズム、聖書などを引用して、アフリカで同性愛カップルなどに祝福を与えない神学的および教義的な理由を説明した。
カメルーン司教協議会会長のアンドリュー・ンケア・フアンヤ大司教はCruxの取材に対し、サラ枢機卿は「神が与えてくださった偉大な人物であり、アフリカのカトリック教会の象徴であり、彼が私たちの中にいることは素晴らしいこと」と述べ、「この世界にはあまりにも騒音が多いので、彼は私たちに沈黙の中で神と親密になるよう教えてくれた」と語っていた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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