☩「希望を持つことは、福音に根差した選択をすること」ー教皇、「世界の移民と宣教の聖年」の特別謁見で

Pope Leo arrives in St Peter's Square for the Jubilee AudiencePope Leo arrives in St Peter’s Square for the Jubilee Audience  (@Vatican Media)

(2025.10.4  Vatican News  Linda Bordoni) 

 教皇レオ14世は4日、聖ペトロ広場での「移民と宣教の世界のための聖年」の一般謁見での説教で、アッシジの聖クララを「福音に生きる勇気の模範」として注意を向けられ、キリスト教の希望の意味について考察、希望を持つために「福音に根ざした勇気ある選択をするように」と信者たちに促された。

 教皇は、この日のミサで読まれた福音書(ルカ16章13-14節)を引用され、富ではなく神に仕えることの難しさについて語り、アッシジの聖クララを「若き信仰と徹底した弟子としての生き方の輝かしい模範」として示された。

 この福音書の箇所で、イエスの「あなたがたは、神と富とに仕えることはできない」との言葉を聞いたファリサイ派の人々が、イエスを嘲笑う。教皇は、「彼らにとって、イエスの貧しさに関する説教は荒唐無稽に思えました。より正確に言えば、金銭への執着ゆえに、彼らは個人的にイエスの言葉に脅威を感じたのです」と語られた。

 そして、聖ペトロ広場に集まった数千人の巡礼者に向けて、教皇は、「聖年が『具体的な希望の時』であり、私たちの心が赦しと慈悲を見出し、全てが新たに始まる瞬間です」と強調。「この年において、私たちは、正義か不正義か、神か金か、誰あるいは何に仕えるかを選択しなければなりません」と信者たちに決断を迫られた。

 教皇は続けて、「真の希望は、個人の決断と切り離せません… 希望を持つことは、選択することです」とされ、選択に関わる二つの重要な側面-第一に「我々が変われば世界も変わる」、第二に「選択を拒む者は絶望に陥る危険がある」-を示された。そして、「霊的な憂鬱、すなわち怠惰(アセディア)がもたらす最も一般的な結果は、『何も選ばないこと』だ」と警告。「それを経験する者は、死よりも悪い内なる怠惰に囚われる。一方で、希望を持つことは『選択すること』です」と説かれた。

 次に教皇は次に、アッシジの聖クララの例に言及し、彼女を「勇気ある反体制的な若い女性。神の恵みによって、福音のために決定的な選択をしました」と指摘。アッシジのフランシスコは家族との決別さえ厭わず福音的貧困を受け入れたが、クララの決断は「さらに驚くべきものでした。フランシスコのようになりたいと願い、女性として、あの兄弟たちのように自由な生き方を望んだ若い女性だったのです」と語られた。

 さらに、「キリスト教都市と自認する街でさえ、クララの福音への徹底的な献身は革命的に映りました… 当時も今も、選択は必須。そしてクララは選択したのです。これが私たちに大きな希望を与えます」と述べたうえで、彼女の決断がもたらした二つの永続的な実りとして、①多くの若い女性たちに貧しさの中でキリストに従うよう促した霊感②その選択が「一時の流行ではなく、時を超えて私たちにまで続く証し」となったこと、を挙げられた。

 教皇は再びルカ福音書の16章13節に戻られ、「二つの主人に仕えることはできない」というイエスの言葉に注意を向け、「教会が福音に忠実に生きる時、若さと活力を保ちます… クララは、福音が若者に訴えかけることを思い出させてくれます。若者たちは、選択をし、その選択の結果を生きる人々を好む。そしてそれは他の人々にも選択を希望させます。これは『聖なる模倣』です。福音を選択する時、人は『コピー』になるのではなく、それぞれが自分自身を選択するのです。失った自分を見つけるのです」と説かれた。

 説教の最後に、教皇は、信者たちに「祈りましょう… 金や自分のためではなく、神の王国とその正義に奉仕する教会であるように。聖クララのように、異なる方法で『都市に住む勇気』を持つ教会であるように。そのような教会が、希望を与えるのです!」と呼びかけられた。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2025年10月4日

☩「その時、神は『共通の家を大切に守ったか』と問われる。私たちは何と答えるだろうか?」-環境回勅10周年に

Pope Leo addresses participants at the conference "Raising Hope for Climate Justice"Pope Leo addresses participants at the conference “Raising Hope for Climate Justice”  (AFP or licensors)

 

2025年10月2日

◎教皇の聖年連続講話「イエス・キリスト、私たちの希望」⑯イエスの復活こそ私たちの希望の源泉、恨みを持たず立ち直ることで、平和を育める

Pope Leo XIV at General AudiencePope Leo XIV at General Audience  (@Vatican Media)

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2025年10月2日

☩「トランプ大統領のガザ和平案は現実的、ハマスが受け入れることを望む」-教皇、記者団に

Pope Leo XIV speaks to journalists in Castel GandolfoPope Leo XIV speaks to journalists in Castel Gandolfo  (@VaticanNew)
(2025.9.30  Vatican News  Gabriella Ceraso)

 トランプ前米大統領がイスラエルのネタニヤフ首相の承認を得てホワイトハウスに提出したガザ向け20項目の和平計画について、教皇は30日、記者団に対して、「彼らが受け入れることを望む。現時点では現実的な提案に見える」と語られた。

 そして、特に停戦と人質解放の重要性を強調し、 「非常に興味深い要素がある」と述べ、「ハマスが定められた期限内にこれを受け入れることを願っている」と繰り返された。

 教皇は、ほぼ1か月間毎週火曜日の夕方に恒例となっているように、カステル・ガンドルフォの宿舎前で待機する記者団の質問に答えらえた。

 ガザ和平案、沿岸に接近する船団、米国の核発言への懸念、聖座資金管理に関するバチカン裁判、そしてクピッチ枢機卿を巡る論争についての短い英語コメントが、教皇がバチカンに戻る前にカステル・ガンドルフォで記者団と交わした会話の話題に含まれていた。

*ガザに人道支援物資を届ける船団に「暴力なく、人々が尊重されることを願う」

 人道支援物資を届けるためにガザに接近している船団について、緊張が続く中、教皇は「真の人道的緊急事態に対応したいという願望がある」と指摘し、状況の難しさを強調した。教皇は「暴力はなく、人々が尊重される」ことを願っていると述べた。

 

*米大統領の「戦争省」への名称変更は「単なるレトリックであることを願う」

 核兵器の使用も含めた戦争に備える軍幹部と、ピート・ヘグセス米国防長官が会談したことについて、教皇は「この発言は憂慮すべきだ」とコメントした。これは緊張の高まりを反映しているからだ。トランプ大統領が国防総省を「戦争省」に改称する決定について、教皇は「単なるレトリックであることを願う」と述べた。これは「武力による圧力をかける」という政府のスタイルを示すものであり、「それが功を奏し、戦争が起こらないことを願う。我々は平和のために努力しなければならない」と付け加えた。

*バチカンで進む資金管理裁判には「干渉せず」

 バチカンで進行中の聖座資金管理裁判について問われると、教皇は具体的な内容には言及せず「裁判は進められねばならない」「干渉するつもりはない」と述べ、結論は裁判官と弁護人に委ねるとした。

*中絶合法化を支持する民主党上院議員、シカゴ大司教が賞を授与したことに…「教会の教えは明確」

 英語で質問された教皇は、中絶合法化を支持する民主党上院議員ディック・ダービン氏に、シカゴ大司教ブレーズ・クピッチ枢機卿が賞を授与したことについて意見を求められた。「その具体的な事例については詳しく知らない」と教皇レオ14世は述べた。「上院議員が、私の記憶が正しければ40年にわたる米国上院での職務期間中に成し遂げた全体的な業績を見ることは非常に重要だと思う」

 教皇は困難や緊張を認めつつも、「教会の教えに関連する多くの問題を考慮することが重要だ」と強調した。死刑を支持しながら「私は中絶に反対だ」と言うことは真の生命尊重とは言えず、米国における移民への非人道的な扱いに同意することも同様だと指摘した。

 「これらは非常に複雑な問題だ。誰一人として完全な真実を把握しているとは思わないが、まず相互尊重を深め、人間として、その場合はアメリカ市民やイリノイ州民として、またカトリック信徒として共にこう言うべきだ:『我々はこれらの倫理的問題を精査し、教会として前進する道を見出さねばならない』と。各問題に関する教会の教えは極めて明確である」

*10月1日に回勅「ラウダ―ト・シ」10周年記念祝典を主宰

 教皇は、9月29日月曜夜に到着したカステル・ガンドルフォを、30日午後8時30分頃に車で出発した。教皇は10月1日午後、一般謁見の後、フォコラーレ運動のマリアポリ・センターで開催される国際イベント「気候正義への希望を育む」に出席するため、400人以上の宗教指導者と会談する予定だ。教皇フランシスコの回勅『ラウダート・シ』発表10周年を記念し、教皇は「希望の祝典」を主宰する。世界各国から気候専門家、市民社会代表、機関代表者らが参加する予定だ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2025年10月1日

☩「地球全体に関わる大きな刷新の必要を『直感する』ことが、私たちを『希望の巡礼者』にする」-教皇、聖年の週末謁見で

(2025.9.27  バチカン放送)

 教皇レオ14世が、9月27日、聖年の巡礼者のための週末の謁見を行われた。謁見には、聖年を機会にローマを訪れた、およそ3万5千人の巡礼者が参加し、教皇は聖年のテーマ「希望の巡礼者」を踏まえ、「希望するとは直感すること。ミラノのアンブロジオ」をテーマに講話をされた。

 教皇の講話の要旨は以下のとおり。

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 聖年は私たちを希望の巡礼者にします。なぜなら、自分たちと地球全体に関わる大きな刷新の必要を「直感する」からです。

 今、「直感する」と言いましたが、「直感する」という動詞は、精神の動き、心の知性を表しています。それはイエスが特に、小さき者たち、すなわち謙遜な心を持つ人々に見出していたものでした。

 学識のある人は「直感」に頼らないことがよくありますが、それは「自分は知っている」と思い込んでいるためです。心と魂に余裕を持つことは素晴らしいことです。そこには神がご自身を啓示される余地があるからです。神の民の中から新たな「直感」が湧き上がる時、どれだけ大きな希望が生まれることでしょうか。

 イエスは、このことに歓喜され、喜びに満ちあふれておられました。「小さき者たちこそ、直感する」ことに気づかれたからです。そうした人々は「信仰の感覚(sensus fidei)」を持っています。これは、素朴な人々が神に関することに対して持つ、いわば「第六感」です。神は簡明な方であり、単純素朴な者たちに自らを現わされます。それゆえに、神の民は信仰において誤まらず、「教皇の不謬性」は、その表現であり、奉仕であるのです( 第二バチカン公会議『教会憲章』12項、国際神学委員会『教会生活の中の信仰感覚』30-40項参照)。

 人々の「直感する能力」から希望が生まれる、ということを、教会の歴史を振り返って検証してみましょう。4世紀のミラノでは、教会は大きな対立に引き裂かれ、新しい司教の選出はまさに暴動を生みかねない状況でした。その時、行政当局が介入し、執政官アンブロジオは優れた傾聴と調停の能力によって、人々に平静を取り戻させました。言い伝えによれば、その時、子どもの声が「アンブロジオを司教に!」と叫びました。すると、人々も皆口々に「アンブロジオを司教に!」と声を上げました。

 アンブロジオは当時まだ洗礼も受けておらず、洗礼志願者として、洗礼の準備をしていただけでしたが、人々はアンブロジオの持つ深い何かを「直感」し、彼を司教として選びました。このようにして教会は、最も偉大なる司教の一人、教会博士となる人を得ることになりました。

 アンブロジオは司教となることを固辞し、逃げ出そうとさえしました。やがて、それを神の召し出しと理解した彼は、洗礼を受け、司教に叙階されることを受諾しました。キリスト教徒になると同時に、司教になったのです!小さき人々がいかに教会に大きな贈り物をしたかが、お分かりになるでしょう。

 受けた召命を生きながら、キリスト者となること、これは今日も願うべき恵みです。あなたがお母さん、お父さんなら、母親や父親としてキリスト者になってください。あなたは起業家、労働者、教師、司祭、修道女ですか? あなたが生きる道でキリスト者になってください。

 人々はこの「嗅覚」を持っています。私たちがキリスト者として成長しているかが、分かるのです。そして、私たちを正し、イエスへと導くことができるのです。

 聖アンブロジオは、長い年月の間に、自らに託された人々に多くを返しました。例えば、詩編や賛歌の歌い方、儀式の祝い方、説教の仕方に、新しい方法を考え出しました。彼自身も直感力に満ちた人であったために、希望はさらに広がることになりました。アウグスティヌスは、アンブロジオの説教によって回心し、彼から洗礼を受けました。「直感する」ことは、希望を持つための一つの方法です。それを忘れないようにしましょう。

 神もまた、このように教会を前進させ、新たな道を示してくださいます。直感とは、小さき人々の、来たるべき王国を嗅ぎ分ける力です。この聖年が、福音に従って自分を小さき者とし、神の夢を直感し、それに仕えることの助けとなりますように。

(編集「カトリック・あい」)

2025年9月29日

☩「自らの生涯をもって宣教する『言葉の人』となれ」-教皇、年間第26主日「カテキスタの聖年」のミサで

Pope Leo XIV celebrates Mass for the Jubilee of CatechistsPope Leo XIV celebrates Mass for the Jubilee of Catechists
2025年9月28日

☩10月は『ロザリオの月』「世界の平和を願い、毎日、ロザリオの祈りを捧げよう」教皇、全世界の信者に呼びかけ

Ahead of the General Audience, Pope Leo greeted people gathered in the Paul VI HallAhead of the General Audience, Pope Leo greeted people gathered in the Paul VI Hall  (@Vatican Media)

 

2025年9月24日

◎レオ14世の教皇聖年連続講話「イエス・キリスト、私たちの希望」⑮イエスは私たちの最も暗い部分にも入り込まれ、神の愛を証しされる

Pope Leo XIV greets the faithful at the start of the Wednesday General AudiencePope Leo XIV greets the faithful at the start of the Wednesday General Audience  (@Vatican Media)

 

2025年9月24日

改☩「解放と慰めの祈りを通じて、悪霊に取りつかれた信徒たちを支えよ」教皇、国際悪魔祓い司祭協会総会へメッセージ+田中昇著「エクソシストは語る エクソシズムの真実」

The 15th International Conference of Exorcists in SacrofanoThe 15th International Conference of Exorcists in Sacrofano 

 

2025年9月24日

☩「パレスチナの国家承認は有益だが、”相手国”が利く耳を持たず、和平への対話も断絶している」教皇、ガザ問題で見解

Pope Leo XIV responds to journalists' questions before departing from Castel GandolfoPope Leo XIV responds to journalists’ questions before departing from Castel Gandolfo 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年9月24日

☩「暴力、強制追放、復讐に基づく未来などありえない!」-教皇、ガザ和平を改めて訴え

Palestinians fleeing Gaza City Palestinians fleeing Gaza City   (AFP or licensors)

(2025.9.21  Vatican News  Christopher Wells)

    教皇レオ14世は21日の正午の祈りで、ガザ地区の住民支援に尽力する様々なカトリックの団体、聖地全域の教会を率いる司祭たちに対し、「苦難の地で苦しむ兄弟姉妹に寄り添う皆さんの取り組みと教会全体の数多くの活動に感謝します」とされ、改めて「暴力、強制追放、復讐に基づく未来などありえません!」と強く訴えられた。

 教皇はこれまで一貫してガザ地区の平和を訴えておられる。先週の正午の祈りでも、「ガザのパレスチナ人に対し、恐怖の中で生き続け、再び自らの土地から追いやられ、耐え難い状況で生き延びざるを得ない状況にあること」にの深い同情」を示しておられた。

 21日の正午の祈りで教皇は、「『殺してはならない』と命じられた全能の主」の呼びかけを受けた『全人類』が証しを立てるよう訴えつつ、教皇は「すべての人間には侵すべからざる尊厳があり、それは尊重され守られねばなりません」と言明。

 さらに「停戦、人質の解放、交渉による外交的解決、国際人道法の完全な尊重」を改めて訴え、最後に「平和と正義の夜明けが早く訪れるよう」共に祈るよう、世界の人々に呼びかけられた。

 イスラエル軍によるガザ市及びガザ地区全域への攻撃が激しさと加える中で、ガザ保健当局によると、20日にも、少なくとも60人のパレスチナ人が死亡した。イスラエル軍は、ガザ市内の高層ビルを破壊し、地下坑道や仕掛け爆弾が仕掛けられた構造物の解体を進めている。

 ロイター通信によれば、イスラエル軍は同市東部郊外を掌握し、さらなる領土拡大により市内中心部と西部への進軍を図っているという。

 イスラエル政府は「今月初め以降、約50万人がガザ市を離れている」と主張しているが、ガザを支配するハマスは「30万人しか避難しておらず、90万人以上が依然として残留している」と述べている。これにはハマスや他のパレスチナ組織に拘束されているイスラエル人人質(50人未満)も含まれる。

 ハマスによるイスラエル南部への攻撃(約1200人、主に民間人が死亡、約250人の民間人・兵士が人質に取られた)をきっかけに、イスラエルがガザ侵攻を開始してから2年間で、6万5千人以上のパレスチナ人が死亡している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

 

 

2025年9月22日

☩「神が託された財産、資源、そして命そのものを、私たちはどうに管理しているのか?」ー教皇、年間第25主日の正午の祈りで

(2025.9.21  カトリック・あい)

 教皇レオ14世が21日、年間第25主日の正午の祈りに先立つ説教で語られた全文は、バチカンのホームページThe Holy Seeによると次の通り。

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親愛なる兄弟姉妹の皆さん、主の日の祝福を!

 今日の福音(ルカ16章1-13節)でイエスが語られるたとえ話は、私たちが物質的な富をどう扱うか、そして最も尊い財産である命そのものをどう管理するか、を深く考えさせます。

 このたとえ話では、金持ちが管理人に「会計報告」を求めます。ここには重要な真理が示されています。私たちは自らの命や享受する財産の主人ではなく、すべては主からの賜物であり、この恵みは私たちの管理、自由、責任に委ねられているのです。 いつの日か、私たちは自分自身と所有物、そして地球の資源をどのように管理してきたかについて、神と人々の前で、社会の前で、そして特に後世の人々の前で説明することを求められるでしょう。

 ここに登場する管理人は、これまでただ自分の利益だけを追求してきました。 しかし、それが露見して管理権を奪われた時、彼は自らの将来を守るために何をすべきか考えざるを得なくなる。この困難な状況の中で、彼は「物質的な富の蓄積が、最高の価値をもつものではない」と悟ります。この世の富は過ぎ去るものだからです。

 そこで彼は素晴らしい考えを思いつきます。債務者たちを呼び寄せ、彼らの負債を「切り捨て」、自分に帰属するはずだった利益を放棄したのです。 こうして彼は物質的な富を失う代わりに、自らを助け支える用意のある友人を得るのです。

 この物語をもとに、イエスは私たちにこう勧められます—「不正の富で友達を作りなさい。そうすれば、富がなくなったとき、あなたがたは永遠の住まいに迎え入れてもらえる」(9節)。

 確かに、たとえ話の中の管理人は、この世の不正の富を管理しながらも、友を作る方法を見出し、自己中心の孤独から脱することに成功しました。そうであるなら、福音の光の中で生きる弟子である私たちはなおさら、この世の財産と私たちの命そのものを、「主と兄弟姉妹との友情」という真の富を目指して用いるべきではありませんか。

 愛する友よ、このたとえ話は私たちに問いかけています。「神が託された物質的財産、地の資源、そして私たちの命そのものを、私たちはどのように管理しているのか?」。

 私たちは利己主義の道を選び、富を何よりも優先し、自分だけを考えることもできますが、それは他者から私たちを孤立させ、競争という毒を広め、しばしば対立を煽ることになるでしょう。 でも私たちは、自分が持つすべてのものを神の賜物として認め、分かち合いの道具として管理し、用いる道を選ぶこともできます。友情と連帯のネットワークを築き、共通善のために働き、より公正で公平、そして兄弟愛に満ちた世界を構築するために。

 聖母マリアに祈りましょう。私たちのために取り成し、主が託されたものに対して、正義と責任をもって管理する忠実な管理者となれるよう、助けてくださいますように。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年9月21日

☩「常に神に目を向けつつ、人々への奉仕において正義の行使を最大限に表現するように」教皇、法律の専門家たちに

Pope Leo greets pilgrims at the audience for the Jubilee of JusticePope Leo greets pilgrims at the audience for the Jubilee of Justice  (@Vatican Media)

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2025年9月21日

◎レオ14世の聖年連続講話「イエス・キリスト、私たちの希望」—実りが無い、と思われる時も、神に捧げれば恵みの時となる

Pope Leo XIV greeting faithful at Wednesday General Audience in the VaticanPope Leo XIV greeting faithful at Wednesday General Audience in the Vatican  (@Vatican Media)

(2025.9.17  Vatican News   Deborah Castellano Lubov)

教皇レオ14世は17日の水曜恒例一般謁見で聖年連続講話「イエス・キリスト、私たちの希望(Jesus Christ our Hope)」をお続けになった。

今回は、聖土曜日、すなわち「深い沈黙と喜びに満ちた期待の日」における神秘に焦点を当てられ、「あらゆる中断された時間も、神に捧げれば、恵みの時となり得ます… ”待ち時間”が長く感じられ、希望が失われたように思える時でさえも、神が人生に働きかける力を信頼するように」と信者たちに説かれた。

*イエスも償いの業を成し遂げられて、休息された

 教皇は、「聖土曜日は休息の日。神が宇宙創造後に休息されたように、御子もまた贖いの業を成し遂げ、最後まで私たちを愛し尽くされた後、休息されたのです」とされ、「私たちもまた、日々の慌ただしい活動の中で、静寂と休息の瞬間を見出すよう求められていますが、しばしばこれを軽んじてしまいます」と語られた。

 

*新たな命は沈黙の中に始まる

 

 続けて、 「私たちは、まるで人生が決して十分ではないかのように生きています。生産し、自己を証明し、追いつくために急ぎます。だが、福音は、立ち止まるのを知ることは、信頼の行為であり、私たちはそれを学ばねばならない、と教えています」と語られ、「聖土曜日は、人生が常に私たちの行動だけでなく、成し遂げたことに別れを告げる術を知ることにも依存することを知るように促している。墓の中で、父なる神の生ける御言葉であるイエスは沈黙しておられますが、まさにその沈黙の中で、新たな命が発酵し始めるのです」とされ、この過程を畑に埋められた種や夜明け前の闇に例えられた。

 

 

*「無益な」時間さえも尊いものとなる

 

 さらに教皇は、「神は過ぎ去る時間を恐れません。なぜなら、『待つことの神』でもあるからです」とされ、「そのようにして、私たちの『無益な』時間、つまり休止や空虚、実りの無い時でさえも、復活の胎となるのです」と説かれた。

 

 

*全てが終わったように思えても信頼する 

 

 続けて「あらゆる中断された時間は、神に捧げれば恵みの時となり得ます… なぜなら地中に葬られたイエスは、全ての空間を占めようとしない神の『柔和な御顔』であり、物事を成し遂げさせ、待ち、自ら退いて我々に『自由を与える神』だからです… 神は、全てが終わったように思える時でさえ、信頼すべき方なのです」とされ、「この出来事から学ぶように。私たちは急いで復活する必要はありません。まず留まり、沈黙を受け入れること、そして、制限に抱かれることを許すこと」と語られた。

 最後に、教皇は、「私たちは、即座の答えや解決策を求めるかもしれません。しかし、神は時間が遅く進む中でも、”深く働かれる”のです」と強調された。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2025年9月17日

☩「即時停戦、人質解放、外交的解決、そして国際人道法の完全な尊重を」教皇、イスラエルのガザ市攻撃で訴え

Displaced Palestinians, fleeing northern Gaza move southward, in the central Gaza StripDisplaced Palestinians, fleeing northern Gaza move southward, in the central Gaza Strip  (MAHMOUD ISSA)

(2025.9.17  Vatican News  Christopher Wells)

 教皇レオ14世は17日の水曜恒例一般謁見の最後に、危機的な状況にあるガザの人々に対し、深い同情を示されるとともに、即時停戦、人質解放、交渉による外交的解決、そして国際人道法の完全な尊重を改めて訴えられた。

   イスラエル軍は16日からガザ地区最大の人口密集地であるガザ市に対し、新たな大規模軍事攻撃を開始。ほぼ2年に及ぶ戦争の中で最も激しい砲撃の中、市民に対し、市からの避難を命じている。

 ハマスによれば、35万人が市東部から市内の避難センターへ、さらに17万5千人が市外へ避難したという。

 このような現状を踏まえ、教皇は「ガザ地区のパレスチナの人々は、恐怖の中で暮らし、耐え難い状況で生き延び、そして自分の住む土地から追い出されています」と述べ、心からの彼らの苦しみを共有された。

 そして、「『殺してはならない』と命じられた全能の主を呼びかけ」を世界のすべての人の前で言明され、「すべての人は、常に不可侵の尊厳をもち、尊重され保護されねばなりません」と訴えられた。

 さらに「停戦、人質の解放、交渉による外交的解決、国際人道法の完全な尊重」を当事国、組織の指導者たちに、改めて強く呼びかけられた。

 また世界のすべての人に、「平和と正義の夜明けが早く訪れるように」との「心からの祈り」に加わるよう求められた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年9月17日