【2025年5月の巻頭言改】 新教皇に、”フランシスコの道”の力強い継承・発展を期待する

 

  ・教皇選挙は8日午後の投票で、初の米国人教皇レオ14世が誕生しました。

   ・4月の「カトリック・あい」の月間閲覧件数は通常の二倍、2万6000件を超えました。4月21日の教皇の突然のご逝去関連の閲覧が圧倒的で、「教皇の人生最後の時間…看護師に感謝」「教皇の遺言発表-人生最後の苦しみは、世界の平和と諸国民の間の兄弟愛のために主に捧げる」、そして亡くなる前日にご自分で読み上げられた Urbi et Orbi , 主の復活の日の主日の説教などがよく読まれました。

  5月に入るとさらに閲覧ピッチが上がり、15日朝まで15日間弱の合計閲覧件数は通常の6倍、3万件を超え、特に未明に新教皇が決まった9日には昼過ぎまでに一日で1万件を上回りました。記事別にみると、上位11件中9件が「次期教皇有力候補を吟味する」で占められ、上位20位までで見ても、新教皇選出後の課題関連が大半。その中で、聖職者による性的虐待の日本での”踏み絵“となりつつある神言会の責任を問う裁判が6位と18位を占め、新教皇関連として読まれているようです。

  このような4月から5月初めにかけての閲覧状況から見て取れるのは、信者を中心とした読者の方々の、故教皇による慈しみと献身に満ちた教皇職への高い評価と共に、信徒、司祭、司教が共に歩む”シノドスの道“に象徴される教会改革の路線を新教皇が引き継ぎ、発展させることへの期待ではないでしょうか。

 

 

 

 ・新教皇が引き継ぎ、発展させるべき課題については、教皇選挙前に連続して開かれた枢機卿団の全体会議にほぼ出尽くしているようです。

 

  筆者なりに整理してみますと、まず、基本軸として、故教皇が教会改革の基礎に置かれた、世界に開かれた、共に喜びを持って歩む教会、と言う第二バチカン公会議の真髄から発する2021年秋からの”シノドス(共働性)の道“の中間点としての2023年、2024年のシノドス的教会をテーマとした世界代表司教会議、さらに、総仕上げとしての2028年の世界教会会議。それに関連する発言が、全体会議で多く、繰り返し出されたようです。

  そしてその基本軸の上に、多様化、分断化が進む現代社会における福音宣教の推進、世界の平和と安定への貢献、キリスト教他宗派や他宗教との連携、そうした活動の基本に関わるバチカンの財政・人事改革などが課題として出されました。

  福音宣教の推進の中には、信徒、司祭の高齢化、減少、若者を主体とする信徒の教会離れ、それを加速する聖職者による性的虐待と高位聖職者による隠ぺいへのさらなる具体的な対処、教会における女性の役割の抜本的な向上、関連して女性助祭・司祭を認めることの是非などが、大きな課題として残されています。急激に進む「AI革命」への具体的対応も重要性を増してきています。

  故教皇は、世界の現状を”分散化した第三次世界大戦“と定義づけ、ロシアによるウクライナ軍事侵攻、ガザ地区や南スーダン、ミャンマーなど各地で罪のない市民を悲惨な状態に置き続ける現状を深く悲しまれ、和平実現に祈りと言葉だけでなく、可能な限りの具体的な行動を続けて来られましたが、どれもいまだに成果を上げるに至っていません。関連して移民・難民問題への取り組みでは、欧州政治の潮目が変わる懸念が強まっており、教会としていかに食い止め、巻き戻していけるのかが、差し迫った課題です。

 このような問題への対処が効果を上げるためにも、キリスト教他宗派、他宗教との連携強化が必要です。故教皇はこの分野でも積極的に取り組まれてきましたが、教会全体への広がりはこれからです。

 そして教皇職の基盤としてのバチカンの改革。上部組織の整理・統合などはなされましたが、劣化した保有資産の処分を含む財政の抜本的な立て直し、関連して、歳入減に見合った人員見直しなどの歳出削減には、まだ手がついていません。

 

 ・76歳で教皇になられた故フランシスコは、「自分は、教皇職が十分果たせなくなったと判断したら、いつでも辞任する」と公言され、在位期間として5年を目途とされている、との見方も側近の一部にありました。しかし、このような多くの課題を道半ばにして去るわけにはいかない、という思いが、次第に強くなっていかれたのではないでしょうか。

 病床にあっても、祈りと共に誠実に職務を果たされようとされ教皇、世界の平和を願い、常に苦しむ人々と共にあって、精神と行動で、亡くなられる前日まで世界のカトリック教会のリーダーとしての「存在」を示し続けられた教皇。その遺志を継ぎ、さらに発展させる意欲と能力が、新教皇に期待されます。

(「カトリック・あい」代表・南條俊二)

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2025年5月31日