【2025年9月の巻頭言】   2024年度「カトリック現勢」に思うー日本の教会改革に生かすためのデータ収集、分析が必要だ 

 8月は、広島、長崎原爆投下80周年、平和旬間でしたが、注目されるような関係者の発言やニュースはなかったこともあり、夏休みの最盛期。猛暑で読者の方々の閲覧意欲も鈍られたのか、閲覧件数は月間で1万6000件程度にとどまりそうです。 その中で特筆されるのは、読者投稿と常設コラムの個別閲覧件数が上位10本のうち8本を占めたことです。

 トップは、東京教区ニュースのシノドス担当の某司祭が連載コラムで教皇フランシスコをあしざまに批判したことへの疑問を呈した投稿(155件)と、それに共感する読者の声(162件)。いずれも7月初めから掲載していますが、2か月弱の累計でそれぞれ454件、581件と圧倒的な閲覧件数で、 多くの方の共感を得ていることを示していると言えます。

 常設コラムは、Sr.阿部の「乃木坂の修道院」、女性信徒の「パトモスの風」(サン・ダミアーノの十字架続編)、西方の司祭の「共に歩む信仰に向けて」(教皇制のゆくえ)、「カトリック精神を広める」本紹介、「愛ある船旅への幻想曲」(真理の愛とは)など、硬軟バラエティに富んだ、多くのことを考えさせる内容が好評が続く理由でしょう。

 

 これら以外に10位以内に入っているのは、「所属司祭(当時)による女性信徒性的虐待の責任を神言会に問う東京地裁での裁判の第10回(神言会、「不法行為ない」と全面否定)が97件、掲載開始の7月下旬からの累計で281件。(第8回裁判「『私生活』は司祭の『業務執行に含まれない』と被告側が”珍説“」は累計740件に達しています。)、もう一つは、「信徒も減っているが、聖職者など減少深刻、コロナ明けもミサ参加者、新規受洗者回復せず―日本のカトリック現勢」が8月23日に掲載してわずか一週間で90件も読まれています。この二つの問題を日本の教会のあり方とも関係して深刻にとらえる司祭、信徒が多いことを示している、と思われます。

 

 「カトリック現勢」2024年度版については、上記の通り、「現勢」にはない、過去のデータなどを用いた「分析、説明」を「カトリック・あい」で加え、この「カトリック・あい」に掲載していますので、まだの方は是非お読みいただきたいのですが、本文中の中見出しを再掲すると…

 「日本の一般信徒数は20年間に7.7%減少、聖職者・修道者・神学生は34.8%も減っている」「コロナで激減したミサ参加者、受洗者数などは、今も回復せず、”教会離れ”が常態化?」「教区別信徒数、『札幌』は10年で2割減、1割以上減が『長崎』など4教区。7つの教区が東京・麹町教会に信徒数より少ない」「聖職者・修道者・神学生は10年間で『仙台』で8割減、『福岡』7割減、『京都』『新潟』『鹿児島』も5割超えの減少。東京も26.4%減少」となります。

  日本の信徒や司祭が日本の教会の現状を理解し、今後の在り方を考え、具体的な方策を立てるために、適切なデータ収集、分析を行うことは、必要不可欠です。しかし、そのような役に立つものに「現勢」はなっていない。 毎年8月ごろにカトリック中央協議会のホームページに前年度の数字が発表されているものの、よほど関心のある信者でもない限り、引き出すのは容易でないうえに、内容はデータとグラフのみで、分析や解説などの文章は一切ありません。

 それは、「現勢」が、バチカンに報告が義務付けられていて、そのためにまとめている。やさしく言えば、日本の信者ではなく、バチカンに顔を向けたものだからでしょう。当然、データのとり方も、十年一日で、日本の教会をめぐる環境の大きな変化に対応した工夫もなく、信徒、聖職者の高齢化、若者の教会離れ、外国人信者の増加などを客観的に知るための年齢別、国籍別データもありません。このようなデータがあれば、AI技術などを活用して5年先、10先の日本の教会の姿を予測することも可能だし、具体的な対策を立てるのも容易になるはずです。

 日本の教会の現状の把握、将来の展望に役立つデータを収集、分析し、司教も司祭、一般信徒も皆で共有し、それぞれの立場、環境から、意見を出し合い、これからの日本の教会、福音宣教の使命を果たす教会をどうすれば作って行けるのか、その具体的あり方を考え、実行していく。 それこそ、教皇フランシスコが始められた”シノドスの道“の日本の教会における歩みとすべきではありませんか。

 

(「カトリック・あい」代表・南條俊二)

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2025年8月30日