Sister Simona Brambilla
(2026.2.14 Vatican News )
教皇レオ14世は14日付で司教省委員にシスター・シモナ・ブランビラ奉献・使徒的生活会省長官ら3人の女性を、前日の13日付けでバチカン報道局次長にシスター・ニーナ・ベネディクタ・クラピッチ(愛徳姉妹会)を、それぞれ任命された。シスター・プランピラは同省長官の現職も引き続き担当する。
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バチカン司教省の委員に任命されたイタリア出身のシスター・プランピラ(コンソラータ宣教修道会=写真右)は今年3月27日で61歳。昨年1月から奉献・使徒的生活会省の長官を務めている。
今回、司教省委員に、ブラムビラ修道女は今回、他の二人の女性-シスター・ラファエラ・ペトリニ・バチカン市国教皇庁委員会委員長)とマリア・リア・ゼルヴィーノ元世界カトリック女性組織連盟会長-と共に任命された。
彼女たちは2022年7月に教皇フランシスコによって司教省のメンバーに選ばれていたが、今回、レオ14世によって正式に任命された。教区司教・名目司教の任命、使徒的管理者、そして一般に個別教会の運営に関わる全ての事項を扱う司教省の業務に貢献することを求められている。
また、バチカン広報省の報道局次長に任命されたクロアチア出身のシスター・クラピッチは現在、広報省の職員を務めており、現次長の退任に伴い、後任に選ばれた。1989年6月7日、クロアチアのリエカに生まれ、2015年にリエカ大学で法学士の学位を取得し、2023年にザグレブ大学で広報学を専攻。同8月に聖ヴィンセンシオ・ア・パウロの愛徳姉妹会で終生誓願を立てた。
この間、ジャーナリストとして、また家庭内暴力の被害を受けた女性やその他の社会的に疎外された人々の法律顧問として活動し、リエカ大司教区のカリタスの広報責任者も務めた。現在はバチカン広報省に勤務する傍ら、教皇庁立グレゴリアン大学で社会科学の博士号取得を目指している。
広報省のパウロ・ルッフィーニ長官は「前任者と同じ精神で、シスター・クラピッチにも、その優れた専門的資質と人間的資質をもって実り多い仕事ができるよう、心からの祝福を送ります」と述べている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
(2026.2.12 Crux Senior Correspondent Elise Ann Allen)
バチカン教理省のビクトル・フェルナンデス長官が12日、聖ピオ十世会(SSPX)のダヴィデ・パリアラーニ総長と会談。同会が 新たな司教を違法に”叙階”することで破門処分を受ける事態を回避すべく、対話に基づく解決策を提示した。
SSPX は、1970年に当時のマルセル・ルフェーブル大司教が「第二バチカン公会議後に教会内で生じた誤 りを正す」として、独自に司祭を養成することを目的に設立した団体。
1988年、ルフェーブルとアントニオ・デ・カストロ・マイヤー司教が教皇ヨハネ・パウロ2世の許可なく4人の司教を”叙階”したため、教会法に違反する行為として、バチカンによってルフェーブルら6人が破門された。
2009年に教皇ベネディクト16世は破門を解除する一方で、「教義上の問題が依然として存在し、それらが解決されるまでSSPXはカトリック教会において教会法上の地位を持たず、その司祭たちはいかなる職務も正当に行使できないこと」を明確にした。その後、教皇フランシスコは慈悲の聖年中にSSPXの司祭に対し、「善意の表れ」として、告解の聴取と赦免の権限を付与し、改めて通告するまで延長されている。
12日の会談は教皇の承認を得て行われ、教理省が会談終了後発表した声明によると、議論された議題の一つは「宗教の多様性に関する神の意志の問題」。また、SSPXに対し「非常に明確な方法論」に基づく体系的な神学的対話を提案した。これは「十分な解明がなされていない」問題、特に第二バチカン公会議に関連する問題を深化するもので、「信仰行為と『宗教的服従(obsequium religiosum)』の差異」、ならびに「第二バチカン公会議の諸文書とその解釈が要求する異なる順守の程度」が含まれる。
また長官は会談で、SSPXが2019年1月17日付書簡で提起した「一連の主題」についても議論する用意があると表明した。
教理省の声明によると、SSPXとの対話の目的は、カトリック教会との完全な一致に必要な最低限の要件を特定すること、そしてSSPXがカトリック教会との一致に復帰した場合の規範的構造を確立することだ。声明によれば、フェルナンデス長官は会談でパリアラーニに対し、「教皇の承認なしの司教叙階は、教会共同体との決定的な断絶を意味し、深刻な結果をもたらす」と警告。「したがって、この対話を進めるためには、同会が発表した司教叙階に関する決定を留保することが前提となる」とした。
パリアラーニは、フェルナンデスの対話提案をSSPXの上級評議会に示すとしているが、教理省は声明で、「SSPXから肯定的な回答があった場合、従うべき手順、段階、手続きは相互合意によって確立される」と述べ、「真の教会的交わり」の精神でこの過程のために祈るよう求めた。
(2026.2.3 Crux Nicole Winfield , Associated Press)
ローマ発―教皇レオ14世が、就任以来初めて、”伝統主義”のカトリック教徒との重大な危機に直面している。伝統的なラテン語ミサに固執する”離脱派”グループが、教皇の同意なしに新たな司教を叙階する計画を発表し、分裂の再燃をほのめかしたためだ。
スイスに本拠を置く聖ピオ十世会(SSPX)は、世界中に学校、礼拝堂、神学校を擁し、1960年代の第二バチカン公会議による近代化改革に反対し、40年にわたり聖座にとっての悩みの種となってきた。
1988年には、創設者のマルセル・ルフェーブル大司教が教皇の同意なしに4人の司教を叙階し、「教会の伝統を守るために必要だ」と主張した。バチカンは直ちにルフェーブルと他の4人の司教を破門し、同団体は現在もカトリック教会内で法的地位を持たない。しかしローマとの決別から数十年が経つ今も、この団体は成長を続けている。司祭、修道女、そして第二バチカン公会議以前の伝統的なラテン語ミサに固執する信徒の支部が存在するのだ。
バチカンにとって、司教叙階における教皇の同意は根本的な教義であり、キリストの弟子ら続く使徒継承の系譜を保証するものだ。教皇の同意なしの司教叙階は、司教が新たな司祭を叙階することができるため、教会の一致に対する重大な脅威であり、分裂の原因と見なされる。教会法によれば、教皇の同意なしの叙階は、それを執り行った者と自称新司教が自動的に破門となる。
バチカンは、SSPX(この団体はそう呼ばれている)との和解を何年も試みてきた。2009年、教皇ベネディクト16世は、存命中の司教たちの破門を解除し、古い儀式にまだ愛着を持つすべてのカトリック教徒への働きかけとして、古いラテン語ミサの祝典に関する制限を緩和した。しかし、SSPX の司教の一人であるリチャード・ウィリアムソンが、テレビインタビューで、「第二次世界大戦中に、ユダヤ人がガス室で殺害されたことを公に否定」したことで、騒動が起こった。
その後、特に教皇フランシスコの在位期間中、伝統主義のカトリック教徒との緊張はさらに深まった。フランシスコは、ラテン語によるミサ典礼への規制を緩和したベネディクトの措置を覆し、このことが教会内の分裂の原因となっている、と主張した。
レオは、この緊張関係を認め、対話への開放的姿勢を表明し、教皇フランシスコの措置に対する例外を認めることで、議論を鎮めようとした。しかし、SSPX は2日の声明で、団体の将来を守るためには、「7 月 1 日に新しい司教を叙階するしか選択肢がない」と述べた。
SSPXのダヴィデ・パリアラーニ総長は、教皇に書簡を送り、「教会の伝統を堅持しようとする多くの信徒に応えるため、40年近く世界中を巡ってきた司教たちの職務継続を保証するのに新たな司教が必要だ」と説明した。SSPXによると、バチカンからは「自分たちの要求に全く応えていない返答を受けた」とし、「魂が置かれている『客観的に深刻な必要性の状態』を踏まえ、計画通り叙階を進める準備を進める」と述べた。
バチカンのマッテオ・ブルーニ報道官は3日の声明で、「聖ピオ十世会と聖座との接触は継続中であり、生じた問題に対する分裂や一方的な解決を避けようとしている」と述べ、バチカンが依然として交渉の余地を残していることを示唆した。
旧ラテン語ミサ典礼では、第二バチカン公会議で定めた司祭は祭壇をはさんで信徒と向き合うのでなく、信徒の席に背を向けて祭壇に向かい、ラテン語による祈りと歌を唱える。公会議では、司祭が信徒が向き合うなどより積極的な参加を伴う、現地語によるミサを公式なものとして認めた。旧ラテン語典礼の愛好者たちは、「公会議前のこの典礼の方がより祈りに満ち、敬虔な礼拝の形だ」と主張している。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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A Ukrainian mother
(2026.1.21 Vatican News Svitlana Dukhovych & Benedetta Capelli)
ロシアによる武力侵略が間もなく5年目を迎える厳冬のウクライナで人道危機が悪化する中、バチカン支援援助省のコンラッド・クラジェフスキ枢機卿が21日、ローマの聖ソフィア大聖堂による募金活動への支援を強く訴えた。毛布、防寒着をはじめ物資の支援も求めている。
蝋燭の灯りが、赤ちゃんを抱く母親の顔を浮かび上がらせる。何枚もの毛布に包まれた赤ちゃんの姿は見えなかった。優しい光景に見えるかもしれないが、この4年間、平和を知らないウクライナ国民の悲劇を物語っている… ウクライナ国民は今、暗闇の中で暮らしている。気温は氷点を大きく下回り、暖房も電気もない。ロシア軍による首都キエフへの激しい空爆で、電気・ガスなどエネルギー供給が至る所で断たれている。空爆は昨夜も行われた。
クラジェフスキ枢機卿は、戦争によって「殉教」したこの国への心からの支援を訴えた。バチカンを代表して、少なくとも10回はウクライナの現地を訪れている。食糧や発電機、さらには救急車を届けるため繰り返し現地を訪れ、具体的な行動と祈りの支援を通じて教会のウクライナの人々に寄り添ってきた。
「痛みや苦しみに無関心ではいられない。行動しなければなりません。教皇が言われるように、世界は、『無関心のグローバル化』よりもっと深刻な『無力感のグローバル化』の危険に直面しています。キリスト者として行動せねば」と訴える。具体的には、ローマのウクライナ教会、聖ソフィア大聖堂からの要請に応え、カイロ、保温下着、保温ソックス、緊急用保温ブランケット、保温マグカップ、キャンプ用ガスコンロ・ガスボンベ、固形燃料用アルコール、ドライシャワーから、食料、お菓子まで、あらゆる支援物資を集め、トラックで現地に運ぶ。「困窮する人々にとって、これらの支援は、生存の機会を意味する」。
*日中でもマイナス10度から12度の極寒、ロシアの空爆でキエフでは住宅の半分が暖房を失っている
カトリックの支援組織、カリタス・スペス・ウクライナの執行責任者、ヴィャチェスラフ・グリネヴィチ神父は、「ウクライナで起きている事態から目を背けてはなりません。遠くの戦争や、欧州の国境で起きている他国同士の紛争だと思ってはいけない。私たちは困窮する人々に、わずかでも普通の生活がおくりたい、未来に希望を持ちたい、と願う人々に寄り添わねばならないのです」と述べ、ロシアによるインフラ攻撃で、人々の困窮がさらに多様化する中で、あらゆるニーズへの迅速な対応の必要を訴えた。
状況をさらに悪化させているのは極寒だ。夜間は摂氏マイナス15度まで下がり、日中もマイナス10度から12度の間を推移する。ロシアによる1月19日から20日にかけての首都への攻撃後、5635棟の建物が暖房を失った。このうち約80%は、サービスが復旧したばかりの建物だった。「多くの人々が避難を余儀なくされています。爆撃から逃れるためだけでなく、寒さから逃れるためにも一時的に家を離れざるを得ないのです」とグリネヴィチ神父は語る。
日常生活は一段と困難を極めている。例えば通勤は容易ではない。道路の除雪・凍結対策が必要で、地下鉄や路面電車は電力不足のためダイヤ通りの運行ができなくなっている。そうした中でも、「「爆撃や長時間の停電の最中でさえ、人々が集い、分かち合う瞬間を求める姿を見ると、ウクライナの人々が真に回復力のある民族だということが分かります。人々は分かち合う術を知り、互いを支え合っている」ことが、支援する側にも大きな励ましになっている。
*家庭で調理ができず、商店も閉まり、炊き出しを求める人々も急増
キエフでは、「毎回、約200人が食事を受け取りに来る。時が経つにつれ、ニーズは拡大しています。当初は最も脆弱な人々が炊き出しに頼っていたが、今では利用する人々の数が増加している。人々を支援し、たとえ数時間でも温かな場所を提供し、寒さに耐えられるようにするための支援がますます必要になっているのです」と神父は語り、支援体制強化のため、キエフには、発電機を備えた『レジリエンス・ポイント』も設置、人々はそこで電子機器を充電し、体を温め、温かい飲み物を摂取できるようにした。
こうした取り組みはハルキウにも拡大された。カリタス・スペスは、就労再統合や住宅再建プロジェクトと並行して、温かい食事の配布を組織し、物資支援を受けられ、体を温められるセンターを設置した。「毎日100人から150人が受け入れられている」とヴィャチェスラフ神父は述べた。「状況は依然として極めて厳しい。キエフには300万から400万の住民がおり、首都の建物の約50%が暖房を失っている。空襲は施設にも被害を与え、寒さが事態を悪化させている。完全な機能停止の危険性がある」という。
各教区は組織化を図っており、キエフ=ジトミル教区のラテン系司教ヴィタリー・クリヴィツキー司教の主導で、各教区が管轄区域内に避難所を開設しようとしている。「暖房付きテントの設置可能性も検討中。ある教区では公共の洗濯施設を設け、人々が衣服を洗えるようにしています」。
連帯と親密さから生まれる温もりについて、ウクライナ・ギリシャカトリック教会広報部副部長のタラス・ジェプリンスキー神父も語っている。Vatican Newsに送られた動画で、彼は「火力発電所やエネルギーインフラ」への頻繁なロシア攻撃に疲弊したキエフ住民の日常的な苦難を語りつつ、「見捨てられていない」と感じる人々の慰めについても言及した。
「国連のデータによれば、昨年の犠牲者数は2024年比で30%以上増加しています。近年で最も厳しい冬になっている。気温はマイナス16度を下回り、停電状態。約6000棟の建物が暖房を失い、首都の一部地区では水道すら止まっている。キリスト復活大聖堂は車のヘッドライトだけが頼り。発電機が機能しなくなったため、商店もショッピングモールも閉まっています」と窮状を説明する。
*それでも闇を克服する希望を失わない人々を助けねば
このような困難な状況の中でも、タラス神父はまた、小さなことから大きなことまで、神に仕える者として生きる喜びにも目を向けている。
「この暗く危険な日々の中、私たちの司祭の一人の家族に三番目の子ども、男の子が生まれました。真の幸福であり、同時に使命でもある。この子の命を、他の何百万ものウクライナの子どもたちと同じように、全力を尽くして守る義務を感じています。そしてこの使命において、ウクライナの教会は独りではない。世界カトリック教会の近さ、教皇の連帯、そして我々を思いやる人々の温もりを感じています」。
そして、こう語った。「私たちウクライナ人は確信しています。この冬と攻撃を乗り越え、戦争がもたらす闇を全て克服できる、と。『見捨てられてはいない』と知っているからです。降誕された救い主を迎え、預言者イザヤが言うように『闇の中を歩む民は大きな光を見た。深い闇の地に住む者たちに光が輝いた』のです。私たちは闇と死の影の中にいるが、私たちの上に、キリストの光と、世界中からの連帯の光が輝いています」。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
(2026.1.17 カトリック・あい)
米National Catholic Register(14日付け)やCollege of Cardinals Report (15日付け)が、先の臨時枢機卿会議で「典礼」に関する討議用として用意されながら時間的制約から発表されなかったバチカン 典礼秘跡省のアーサー・ローチ長官・枢機卿の発言予定原稿を明らかにした。この文書は、バチカン・ジャーナリストのDiane Montagna が入手し、自身の13日付けのブログで全文を公開していたもの。
それによると、ローチ長官は、教皇フランシスコが2021年に発布した、公会議以前の伝統的典礼を制限する教令『Traditionis Custodes 』(伝統の守護者)を引用する形で、「典礼における正当な進歩がなければ、伝統は『死んだものの集まり』に貶められ、必ずしも健全とは限らなくなる」と主張。
教会史から様々な例を挙げ、典礼は「それ自体が時代や場所によって変化する文化的要素によって特徴づけられる」ものであり、その歴史は「有機的発展の過程における継続的な改革」である、と述べ、論拠として、同枢機卿は2006年の一般謁見 におけるベネディクト16世の言葉、「伝統とは死んだ事物の集合体の伝承ではなく、起源へと繋がる生ける川、すなわち起源が常に存在する生ける川である」と引用した。
そのうえで、「第二バチカン公会議が求めた典礼は、伝統の真の意味と完全に調和しているだけでなく、伝統に奉仕する特異な方法そのものを構成している」とし、教会は常に「確固たる伝統を維持する」ことと「正当な進歩への道を開く」という「動的なビジョン」を持っており、これらは「分離可能な二つの行為」として理解されるべきではない、と主張。
「教会の第一の善は、分裂を凍結することで達成されるのではなく、共有せざるを得ないものの共有の中に自らを見出すことによって達成される」と述べ、教皇フランシスコの文書『 Desiderio Desideravi (神の民の典礼的形成について)』から引用して、 「公会議の父たちが、聖ペトロと共に、聖ペトロの下で、改革の必要性を感じた以前の儀式形式に戻ることはできない。彼らは聖霊の導きのもと、牧者としての良心に従い、改革を生み出した原則を承認したのだ」と言明した。
さらに、教皇フランシスコの言葉を引用し、「一致はローマ典礼の単一形式、すなわち第二バチカン公会議から生まれた形式によってのみ達成される」と強調。パウロ六世とヨハネ・パウロ二世の在位中に改革前の典礼を認めたのは、単なる「譲歩」であって、推進を意図したものではない、と指摘し、『(公会議によって)改革された典礼がローマ典礼の「唯一の表現」となるべきだ』という教皇フランシスコの願いを改めて強調した。
発言予定文書の最後に、長官は、教皇フランシスコが『 Desiderio Desideravi 』で語られた言葉を再び引用しながら、典礼をめぐる問題は「主に教会論的」であり、教皇は、公会議の正当性を認めながら、公会議から「生まれた」典礼改革を受け入れない人がいることに驚いておられた、と述べている。
昨年秋の世界代表司教会議総会でバチカンのシノドス事務局の協力者だったカトリック評論家オースティン・アイヴリー氏によれば、教皇レオ14世は、ロッシュ枢機卿にこの原稿の準備を依頼した といい、「彼は、教皇が臨時枢機卿会議で話し合うべきテーマとして選んだ四つのについて基調報告の資料を準備するよう依頼された四人の枢機卿の一人だった」と自身のXに書いている。
典礼問題は6月末に予定する次回枢機卿会議で議論される見込みだ。
ロッシュ枢機卿への反論
米National Catholic Registerによると、典礼学者ジョン・ズールスドルフ神父は長官の主張に反論。「枢機卿は、改革された典礼が『有機的発展』を表している」と誤った主張をしている。ヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿(後の教皇ベネディクト16世)は典礼改革を『作り物、その場の安っぽい産物』と評した」と述べ、公会議によって生み出された現在の典礼は、「歴史や司牧的必要性への訴えによって事後的に正当化された儀式だ。このような過程は、典礼の伝統が『作り出されたものではなく受け継がれたもの』という教会の従来の理解と容易に整合しない」と主張。
さらに、この発言予定文書は、「改革、伝統、一致、正当性といった重要用語を、結果を予め決定づける形で再定義している」と批判。「改革の範囲、方法、前提条件」をまず検討しなければならず、さもなければ権威や一致への訴えは、交わりの手段となるどころか議論を閉ざす結果となる」と述べた。
カトリック評論家ギャビン・アシェンデン氏も、この文書は、「真剣な神学的分析の 痕跡ではなく、むしろプロパガンダの痕跡を帯びている… 真実の一側面を提示しようとする党派的な文書」であり、歴史的文脈に位置づけ、「公会議後の改革に関する修正主義的な歴史観を提示することで、枢機卿たちを伝統的典礼へのさらなる制限へと導こうとする試みだ」と結論づけた。
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他の枢機卿の臨時枢機卿会議での発言
・バチカン教理省長官のフェルナンデス枢機卿の発言
教理省長官のビクトル・フェルナンデス枢機卿 は、枢密会議で議論された二つのテーマのうちの一つ、すなわち教皇フランシスコの2013年の使徒的勧告『福音の喜び』 について発言。「この文書が教会のためのプログラム的文書であり、前教皇の在位期間で”期限切れ”になることはない、と言明。その理由として、「単なる教義や道徳規範の羅列ではなく、神の救いの愛を美しく魅力的なものとして宣言することに焦点を当てていること』を挙げた。
「私たちはしばしば、同じ教義的・道徳的・生命倫理的・政治的問題について語り続ける。こうした議論にはリスクが伴う」と指摘。福音のメッセージが「響かなくなる」か、あるいは「教会の精神的・社会的教えという広い文脈から切り離され、特定のテーマだけが前面に出される」危険性がある、と警告した。
フェルナンデス枢機卿は、教皇フランシスコのこの文書から教会への二つの具体的な要求-第一に、神の無限の愛の真理が最優先されるよう、説教の継続的な改革と浄化を続けること。第二に、特に教会の道徳的教えにおいて、「兄弟愛という第一の戒めを生きる呼びかけ」が何よりも響き渡ること―を強調した。
第二のテーマ「シノドス(世界代表司教会議)とシノダリティ(共働性)」について発言したシノドス事務局長のマリオ・グレック枢機卿 は、「シノダル(共働的)なプロセスが、教皇の首位権を制限したり相対化したりすることなく、ペトロの務めにおける識別を助ける効果的な手段として、よりシノダルな教会生活の様式が如何に役立つかを示した」と述べ、「シノダリティは首位権に対する対抗手段ではなく、神の民の預言的機能と司教団の識別が融合し、教皇が教会全体のための決定を行う際に、より確かな助けを提供する様式だ」と主張した。
*人間総合開発省次官のファビオ・バッジョ枢機卿の発言予定
時間制約から実際に発言されることはなかったが、メディアで報じられた4番目の発言予定文書は、人間総合開発省次官のファビオ・バッジョ枢機卿 によるもの。このテーマは、バチカン改革に関する教皇フランシスコの2021年の文書『Praedicate Evangelium 福音宣教の促進 』 についてで、次官は「福音宣教を教会統治の中心に据えることの重要性、一部の意思決定をローマから地方司教へ分散させた点、そして聴取と識別を重視することで教皇庁をより共同体的なものにした点」を強調している。
(2025.12.31 Vatican News Isabella H. de Carvalho)
バチカンのFides通信が30日、2025年に殺害された宣教師と司牧従事者に関する年次報告書を発表した。それによると、世界中で17名の宣教師が殺害され、そのうち10人がアフリカで、10人のうち半数、5人がナイジェリアで殺されている。
Fidesは毎年、暴力や貧困、不正が蔓延する環境下でキリストと教会に生涯を捧げる司祭、修道者、神学生、信徒たちの物語を伝えている。2025年報告書によれば、世界で10人の司祭、2人の神学生、2人のカテキスタ、2人の修道女、1人の信徒が命を落とした。前年2024年の14人よりも3人増えている。2000年から2025年にかけて、フィデスは626人の宣教師または司牧者の死を記録している。
2025年報告書は「宣教師」の定義を広く解釈している点を強調している。すなわち、殉教の厳格な基準を満たすか否かにかかわらず、何らかの形で牧会活動に関与し、暴力的な状況下で殺害された全てのカトリック信徒を含むとしている。
*アフリカが最も危険な地域、10人が殺害、その半数がナイジェリア
アフリカ大陸は依然として宣教活動にとって最も危険な地域の一つだ。2025年には10名が死亡した。
犠牲者のうち6名は司祭、2名は神学生、2名はカテキスタ。被害国はナイジェリアがうち半数を占めて最も多く、ブルキナファソ、ケニア、シエラレオネ、スーダンでも死者が出ている。
Fidesの取材に対し、バチカン福音宣教省初期宣教部門の次官でナイジェリア出身のフォルトゥナトゥス・ヌワチュクウ大司教は「彼らは、英雄になろうとして死んだのではなく、神学校や学校など日常生活の中で暴力に襲われたのです」とし、「ナイジェリアは世界で最も宗教的な人口を抱える国の一つ。キリスト教徒、イスラム教徒の国です。私たちは皆、平和の人間であると訴えている。イスラム教徒の人々に、自らの宗教を暴力行為に利用することを非難し拒絶することを望みます。宗教を利用して暴力行為を犯すこと、さらには人命を奪うことへのいかなる正当化も、私たちは皆で拒絶せねばなりません」と言明。「ナイジェリア政府は無実の人々を守り、国内の治安状況を改善するため、より多くの努力をすべきです」と訴えた。
米国とメキシコで4人、ミャンマー、フィリピン、ポーランドで各1一人が殺害
Fidesの報告によれば、過去この「悲劇的な順位」で常に上位を占めてきたもう一つの大陸がアメリカ大陸だ。アフリカに次いで今年最も影響を受けた地域であり、2025年には宣教師4名(メキシコと米国で司祭2名、ハイチで修道女2名)が殺害された。
アジアではミャンマーで司祭1名、フィリピンで教師の信徒1名が命を落とした。最後にヨーロッパではポーランドで司祭1名が殺害された。
*教会奉仕中に殺害
Fidesが特に取り上げた事例は、まず、ナイジェリアの若い神学生エマニュエル・アラビの死だ。彼は7月、イビアノクポディの小神学校を襲撃した誘拐犯に行進を強要され、その途中で殺害された。
また、3月にハイチで武装集団に修道女が殺害された。幼いイエスの聖テレジア修道会の2人のシスター、エヴァネット・オネザイアとジャンヌ・ヴォルテールについても言及している。
ミャンマーを苦しめている紛争で殺害された、最初のビルマ人カトリック司祭、ドナルド・マーティン神父についても取り上げている。彼の遺体は、昨年2月、教会の敷地内で、数人の教区民によって発見された。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
Humanitarian sent to Ukraine
(2025.12.27 Vatican News)
ロシアのウクライナ攻撃は激しさを増し、27日にも首都キーウがミサイルとドローンによる爆撃を受け、多くの死傷者を出している。そうしたウクライナへ教皇レオ14世が、人道支援物資を3台分のトラックで送られた。
バチカンのウクライナ支援担当のコンラート・クラジェフスキ枢機卿によれば、これは「ささやかな善意」であり、聖家族のように「避難を求めて亡命の苦難の道を進む」家族を支援する目的だ。
少量の水を加えるだけで鶏肉と野菜入りの高栄養スープになる食糧10万食分を積んだ3台のトラックによって、28日の「聖家族の主日」に合わせ、バチカンからウクライナの家族へ届けられた。
クラジェフスキ枢機卿は、教皇の贈り物は、ナザレの家族のように「避難を求めて亡命という『苦難の道』を歩み」、「恐怖、苦難、不確実性に満ちた難民の悲惨な状況」を経験している家族に対する意思表示であり、「神が、このような家族として生まれ落ちることで、人間が危険に晒され、苦しみ、逃亡し、拒絶と見捨てられを経験する場所に常にいようと望まれていることを示すもの」と述べた。
枢機卿はまた、クリスマス前にもバチカンの支援援助省と大使館を通じて、教皇が様々な国々に資金援助をされたとし、ウクライナ向けには、クリスマスイブ前に韓国企業サムヤンフーズが寄贈した人道支援物資を積んだ大型トラック3台がバチカンに到着し、爆撃の影響が最も深刻な地域へ転送された。そこでは「電気も水も暖房もない」状態だという。