*アフリカの子供たちの45%が飢餓で死亡、早急な対策実施を-国際NGOが訴え

(2019.6.22 Crux Staff )

ヤウンデ(カメルーン)発ー 国際NGOのAfrican Child Policy Forum(ACPF・アフリカ子供政策フォーラム)は、このほど発表したアフリカの子供たちの食糧事情に関する報告で、アフリカの子供たちの45%が飢餓によって死亡しており、さらなる状況の悪化が危惧されている、と警告。「飢餓は子供たちの健康を害し、学ぶ意欲を奪い、社会に出ても、健康な同年代の子供たちと同等の収入を得ることが困難になる」として、各国政府など関係者に具体的対応を訴えた。

 報告によると、最近のアフリカ大陸の経済成長にもかかわらず、約6000万人の子供たちに十分な食料が与えられずにいる。 アッセファ・ベケレACPF常任理事は「これには、『政治的な無関心』『無責任なガバナンス』『経済的管理の不備』が密接に関係している。現状は全く改善されていない。調査結果は、子供たちの飢餓は、『極度の貧困』『経済成長の不均衡』『性差別』『破壊された食糧システム』によるもの、と明確に結論付けています。アフリカは従来以上に食糧生産をしていますが、事態は改善されていません」と述べた。

 報告では国名を明記していないが、マラウイの子供たちの栄養状態は非常に悪く、子供たちの死因の半分が飢餓。ザンビアでは子供の40%が発育不全で苦しんでいる、という。両国で活動しているカトリックの国際支援組織、カリタスの関係者たちは、こうした現状を「『貧しい人の問題』ということで、無視され黙認され、悲劇が続いているのです… 21世紀の今日、アフリカで今なおこどもたちが飢餓に直面している。その状況は悪化しています」とCruxに訴えている。

 カリタス・マラウイのマーシー・チランボ 氏は「報告は、飢餓と政策課題と政治との関連を示している…飢餓は劣悪な公衆衛生にも関係があります」と語り、「妊娠中あるいは育児中の母親が十分な支援を得られないことは、特に彼女たちの多くが住む地方で重要な問題です。食物の栄養に関する正しい知識の不足、穀物生産の多様化が進まないことが、問題を悪化させています」と指摘。「栄養不良は、最後発途上国、後発途上国の地方の子供たちに偏在しています」と話した。

 カリタス・ザンビアのムサンバ・ムバンガ氏は「子供の栄養不良は、主に特に地方の家庭への食糧供給が不安定なことに原因があります」「大部分の家庭が一日一食で、しかも食事の内容は貧弱」と指摘し、「ザンビアでは、栄養的に偏りのない食事をどうやって実現するかが、大きな課題です。子供たちは栄養的にバランスの取れた食事をしていません。乳幼児と児童の食料ガイドラインによると、生後6か月から23か月の幼児でバランスの取れた食事をしているのは全体の二割、に過ぎず、「女性と幼児、特に授乳期の乳児に対する対応が不十分」だという。また、慢性栄養不良が続く主な原因は「きれいな水が手に入らないこと」にもある、と説明した。

 今回の報告は「紛争地帯と気候変動に関連した問題が、アフリカの飢餓の危機の核心になっている」ことも指摘している。アフリカの5歳以下の栄養不良の子供たちの75%が「紛争で荒廃した地帯」に住み、子供の栄養不良の割合は「紛争が長期化している地域が、そうでない地域の2、3倍」に上っているとし、2年前にエチオピアで800万人、マラウイで500万人、ジンバブエで400万人、ケニアで300万人が深刻な食糧危機に見舞われたが、その原因は「危機的な気候変動に関係する問題」にある、としている。

 チランボ氏は「アフリカに、さらなる貧困削減と女性支援の政策を導入する必要」があり、単に政策を立てるだけではなく、実行しなければならない。大部分の国で、政策は良くても、なかなか実行されないところに問題があります」と言った。そして、こうした問題を克服するため、カリタス・マラウイは「農業に焦点をあて、地方の家庭が十分な食料を確保できるように、現地の共同体で継続可能な農業多角化を進める支援プロジェクトを実施しています」と説明。

 「家族が自分たちの収穫では足りない食料を市場を通して補うことが確実にできるように、『農村貯蓄・融資』制度も含めた支援を実施。栄養不良を無くすために、栄養のバランスの取れた食事をどのようにしたら作ることができるか、多くの人に知ってもらおうと、男女を対象とした料理の講習にも取り組んできました」と、多様な対応を、関係者たちが見習うよう求めている。

(翻訳「カトリック・あい」田中典子)

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2019年6月24日