・米連邦議会議事堂乱入、死傷者発生の事態にキリスト教関係者も憂慮

Supporters of President Trump climb on walls at the US Capitol on 6 January 2021Supporters of President Trump climb on walls at the US Capitol on 6 January 2021 

(2021.1.7 Vatican News staff writer)

 米国ワシントンで次期大統領を選出する上下両院合同会議が開かれていた連邦議会議事堂に6日、トランプ大統領の支持者が乱入、死者4人、負傷者13人と大量の逮捕者が出た事件に対し、世界中から批判があがっているが、カトリックなどキリスト教関係者も、米国社会の分断と嫌悪、暴力の高まりに強い懸念を示すとともに、民主主義の価値と共通善に重きを置いた平和なアメリカの回復を訴え、祈った。

 全米カトリック司教協議会のホセ・オラシオ・ゴメス会長は声明を発表し、「これは私たちアメリカ人の姿ではない。平和的な権力の移譲はわが国の特徴の一つであるはずだ」と言明。人々が賢明さと健全な真の愛国精神の道を歩めるよう祈った。ワシントン大司教のウィルトン・グレゴリー枢機卿も「この危機の中、私たちは歩を止めて、平和のために祈らなくてはならない。私たちの中にある分裂の雰囲気は変わらねばならない」とし、平和的な政権移行への国民の一致した協力と民主主義の価値と共通善の尊重を呼びかけた。

 カトリック系の国際平和運動組織Pax Christi の米国本部は、今回の事件を極めて遺憾とし、「今日の出来事が一部の人々にとって回心の機会となる」ように希望を表明した。

 ジュネーブに本拠を置き、120か国以上の340を超える会員団体を持つ世界教会協議会は、今回の事件を極めて深刻な事態と受け止め、事務局のイオアン・サウカ牧師は「このところの米国社会の分裂を加速させたポピュリスト政治の結果であり、米国の民主主義の基盤を脅かすもの。米国に留まらず、国を超えた影響を世界に及ぼす懸念をもたらしている」とし、関係者すべてに対して、「目先の政治的利益にとらわれず、他者と、より広い社会に責任を負うやりかたで行動するように」と訴えている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2021年1月8日