・宗教の自由、スーダンは改善、インド急激に悪化-宗教の自由・国際委員会報告

 

Sudanese Christians during one of the protests that led to the fall of general mar al-BashirSudanese Christians during one of the protests that led to the fall of general mar al-Bashir  (AFP or licensors)

 報告は、インドを「Countries of Particular Concern(特別に懸念すべき国)」に格下げしたが、その理由として、現在のインド人民党(BJP)政権の下で、「宗教的自由の最も急で最も憂慮すべき悪化」が引き起こされている、ことを挙げ、昨年のイスラム教徒に対する政策と扱いに言及している。

 一方で、キリスト教徒を迫害し、教会を破壊したとして、これまで懸念国としてきたスーダンについては、迫害を推進してきた独裁者Omar al-Basharが設置していた、いわゆる「教会評議会」が、移行政権によって解散させられたことなどから、評価を引き上げた。宗教団体に自由を与えることを約束したウズベキスタンについても、その履行を評価している。

 

*特別懸念国(CPC)

 報告では、宗教の自由を損なう行為を組織的、継続的に極めて悪質になされることを容認している国を「特別に懸念すべき国」と定義し、米国務省に通報しているが、具体的には、インドの他、ミャンマー、中国、エリトリア、イラン、北朝鮮、パキスタン、サウジアラビア、タジキスタン、トルクメニスタン、ナイジェリア、ロシア、シリア、ベトナムの計14か国。

 2020年次報告書には、6つの非国家主体が体系的かつ継続的な宗教の自由の侵害を行なっている、として「特別の懸念事項」に指定している。具体的には、ソマリアのアル・シャバーブ、ナイジェリアのボコ・ハラム、イエメンのフーシス、アフガニスタンのイスラム国家とタリバン、シリアのハイアット・タハリル・アルシャムだ。

 

*特別監視リスト(SWL)

 米国務省は、宗教の自由への深刻な違反について「特別監視リスト」(SWL)に載せている。報告の新しい章では、CPCやSWLに指定されていない国における目立った動きが指摘されており、例として、ブルネイとシンガポールでの新しい「神への冒とく法」の導入、欧州での反ユダヤ主義の興隆、礼拝所や聖所への攻撃の急増などが挙げられている。

 

*米政府への評価と意見

 最後に、報告は、米政府が世界における宗教の自由の実現に向けて努力し、礼拝の場所と宗教的行事のための場を保護するために、多大な資金を投入していることを高く評価する一方、特別懸念国に実施ている制裁措置などを中止し、代わりに、そうした国々に対して、宗教の自由の侵害について説明責任を果たさせるような行動を起こすことを、米政府に求めている。

 

(USCIRF=世界の宗教の自由に対する脅威を監視、分析、報告するために米国議会によって設立された、超党派の独立機関。国際レベルでの宗教や信仰の自由を促進する米政府の取り組みを強化するための勧告を行っている)

(翻訳「カトリック・あい」)

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2020年5月1日