・欧州議会、中国の新疆ウイグル自治区の”再教育キャンプ”を糾弾(BW)

 中国・新疆ウイグル自治区の反体制派イルハム・トーティが2019年のサハロフ賞を受賞した翌日の19日、欧州議会は、同自治区のウイグル族イスラム教徒の収容所を閉鎖すべきだと中国政府に伝えることを決議した。

 中国政府・共産党は、同自治区で悪名高いウイグル族イスラム教徒の”思想改造”のための収容所を、「職業訓練センター」あるいは「専門学校」だと説明して来た。だが、欧州議会などの重要な国際機関はこの嘘を信じない。中国共産党によって投獄され、思想改造する「再教育キャンプ」と呼んでいる。収容所の目的は、彼らの人生とアイデンティティを改めさせ、「中国化」すること、つまり、「良い共産主義者」にすることだ。

 同自治区の現状を知りたい人には、漏えい文書、当事者の証言、証拠の写真、ビデオなど、大量の資料を利用することができる。学者たちは現在、同自治区の収容所には最大で300万人が拘束されている、と見ている。収容されている人の大半は、イスラム教を信じ、漢民族以外の民族に属している人だ。多くはウイグル族であり、独自の言語、文化、伝統を持っています。ウイグル族以外にも、イスラム教徒が大半のトルコ人も数千人が収容されている。他にも、「全能の神の教会」など、他の宗教的少数派もいる。

 残念ながらこれまでのところ、世界の多くの人々は、中国政府・共産党が作った偽情報ー収容されているのはテロリストだ、という話ーを信じてきたが、19日にフランスのストラスブールで開かれた欧州議会の議員たちは「中国のウイグル族抑圧に対する深刻な懸念」を表明し、中国政府に対し、新疆ウイグル自治区の「再教育キャンプ」を直ちに閉鎖し、「すべての拘留者を無条件で釈放する」よう求める決議案を採択した。

 この決議さらに、中国の「予防的公安システム」、「刑事犯罪に対する告発、裁判または有罪判決なし拘禁」、ならびに「拷問、宗教的実践に対する強い制限および広範なデジタル化された監視システム」を糾弾し、中国当局に対し、「独立ジャーナリストと国際的なオブザーバーに新居ウイグル自治区への自由な立ち入り権を与え、現地の状況を調査させるよう求めている。

 深刻な懸念の別の理由を、欧州議会は「海外のウイグル人が中国当局から脅されていることによる」という-他のウイグル人についての情報を提供したり、新疆ウイグル自治区に帰還したり、あるいは、国内の家族を拘束することで、沈黙させたりするーことだ。

 欧州議会は、「EUがこれまで使用してきた方策が、中国の『人権擁護の記録』に目に見える進展をもたらさなかったことを認識しており、「新疆ウイグル自治区における基本的人権に対する弾圧に責任を負う中国」に対して、適切かつ効果的であると判断された場合、対象を絞ったEU域内の中国資産の凍結を含む制裁を実施するよう、執行機関である欧州理事会に求めている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日7言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

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2019年12月20日