・未成年性的虐待で有罪の司祭が、判決後に中央アフリカでカリタスの責任者に(LaCroix)

(2019.11.21 LaCroix Laurent Larcher Central African Republic)

 カトリックの修道会、サレジオ会の司祭が、母国ベルギーで未成年性的虐待と児童ポルノ所持で2012年に有罪判決を受けたにもかかわらず、2015年から中央アフリカの首都バンギにあるカトリックの援助団体、カリタス中央アフリカの事務局長を務め、しかも、同国で同様の罪で訴訟が起きていることが明らかになった。中央アフリカとベルギーの裁判所が調査を始めた。

 この司祭は、ベルギー・サレジオ会のルーク・デルフト神父。米大手ニュースネットワーク CNNがこの問題を報じたのを受ける形で、カリタス中央アフリカのアラン・ビエンベヌ・バンバンジ神父は声明を出し、デルフト神父について同国の裁判所に伝えたことを確認した。

 また、国際カリタスのアロイシウス・ジョン事務局長は「6月16日に、デルフト神父は私に、CNNと話したことについて語り、自分がベルギーで未成年者に対して性的虐待を行った訴えられ、2012年に有罪判決を受けたことを告白した。それを受けて内部調査を行い、私たちが知らなかった事実を確認したので、6月29日に彼を解任し、ベルギーに戻しました」と説明した。

 ベルギーのカトリック司教協議会も6月23日に、デルフト神父の件を弱者の権利保護団体、Dignity Foundationに伝え、同団体がサレジオ会の幹部に電話で、彼を軟禁状態に置き、職務を全てはく奪するよう,要請したことを明らかにした。

 デルフト神父は、ベルギーのゲント市の刑事裁判所で2012年11月に、同市のドンボスコ寄宿学校で2001年に2人の少年を性的に虐待したとして懲役1年半、5年間の公民権はく奪、10年間の職務禁止の有罪判決を受けていた。

 だが、彼は2013年に中央アフリカ共和国に入り、同じサレジオ会員のアルバート・ヴァンブエル司教によってカガ・バンドロ教区に迎えられた。そして、国際カリタスの事務局長によると、ヴァンブエル司教は彼にカガ・ボンドロ教区のカリタスの責任者となるよう求め、2015年からカリタス中央アフリカの事務局長になった、という。

 カガ・バンドロのシェリフ・アベル市長は2013年から2015年まで、デルフト神父と付き合いがあり、「彼は避難民への支援を担当していた。当時犯したかもしれない虐待については何も聞いていなかった。11月17日にラジオでニュースを聞いて初めて知りました」と語った。

 また、ベルギーのサレジオ会のカルロ・ルーツ神父は「私たちは、彼のために未成年と離れたところで活動する仕事を探しました。当時、中央アフリカの人道支援活動は大変困難な状況にあり、避難民のために食料を調達する担当者が必要でした。デルフト神父はその責任を果たすために、ベルギーを出ました」と述べ、他の神父は「これは、ベルギーの司法保護観察委員会とサレジオ会の承認を受けたうえで行われた」と語っている。

 デルフト神父は、2013年に中央アフリカ入りした際、現地のカリタスの事務局長になることを希望していたが、有罪判決を受けていた彼の立場を中央アフリカの教会に知らせてあった、というが、この説明は、「司教協議会が彼の過去について知ったのはごく最近」というカリタス中央アフリカ会長の証言と食い違っている。

 「カリタス中央アフリカ会長もバンギの大司教も、デルフト神父の司法上の過去について知らされていなかった。知らされていたら、彼はカリタスのために働いていなかっただろう。私たちが、知ったのは今年の6月だ」というのが、国際カリタス事務局長の言い分だ。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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(2019.11.21 カトリック・あい)

 米大手ニュースネットワーク CNNは21日、ルーク・デルフト神父が二人の児童に対する性的虐待と児童ポルノを所持していた罪でベルギーの裁判所で有罪判決を受けたことも含めて、カリタスの現地事務局長を務めていた中央アフリカで新たな未成年性的虐待の訴えを起こされていることを報道したが、ローマの国際カリタス本部は21日、声明を発表。

 今回の事態について深く遺憾の意を示すとともに、実態調査と再発防止策の強化、被害者とされている人々とその家族のケアに当たっている現地のカリタス中央アフリカへの支援を表明。また世界各国のカリタスに対して、職員、ボランティアなどの人事管理について精査するよう求め、「カリタスは、自己の安全を守ろうとする人々が進んで現地警察に訴えを出すことを勧める。国際カリタスも受け付ける」と説明している。

 

 

 

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2019年11月22日