・新型コロナウイルス感染で米ミズーリ州が中国政府・共産党などに損害賠償求める訴え(BW)

(2020.4.22 BitteerWinter 

 米ミズーリ州政府は21日、中国政府、中国共産党、中国国家保健委員会などに対して損害賠償を求める訴えを、ミズーリ東部地区連邦地方裁判所に起こした。被告として、他に、湖北省人民政府、武漢市人民政府、武漢ウイルス学研究所、中国科学院も加えている。

 同州政府が出した訴状によると、「新型コロナウイルスの発生、感染拡大に関する中国当局による欺瞞、隠蔽などの不正行為が米国を含む世界的な大流行を引き起こした。感染が始まった最初の重要な期間に、中国当局は一般大衆を欺き、重要な情報を隠蔽し、内部告発者を逮捕し、人から人への感染の事実を否定し、重要な医学研究を妨げ、防ぐことのできた世界的大感染をもたらした」と批判。

 被告は「ミズーリ州民を含む、世界の人々に与えた数多くの死、苦しみ、および経済的損失の責任を負うべきであり、説明責任を果たすべき」であり、その被害額は金額で表せない者を除いても、ミズーリ州だけで数百億ドルにもぼる、として、責任に見合う損害賠償の支払いを命じるよう、裁判所に求めている。

 中国政府と地方政府は、原則として主権国家の免責条項の対象とみなされるが、米国の法令では、例外もある。それは外国主権免責法の商業活動に関する例外規定で、その対象を、米連邦法28条§1605a2に「他の地域での外国の商業活動に関連して米国の領土外の行為があり、その行為が米国に直接的な影響を与えるもの、と規定している。

 ミズーリ州政府は訴状で、中国における保健衛生制度の運用は、中国国民がその対価を支払うことから、「商業活動」であり、フェイク・ニュースをソーシャルメディアを使って流し、マスクや他の感染拡大を防ぐ器具の国際市場を操作するためにエージェントを雇用したことも、「商業活動」であり、免責条項の例外扱いとすべき、と主張している。

 法律の専門家によると、裁判所が主権国家である中国に管轄権を主張するのは困難だが、中国共産党や武漢ウイルス研究所などは主権国家の範疇外との見方が可能だ。ミズーリ州政府はまた訴状で、武漢ウイルス学研究所と同研究所を運営する中国科学院へも損害賠償を求めており、「武漢研究所は2019年11月以降、コロナウイルスに関する研究を行なっており、米国務省は武漢研究所の安全性についてかねてから懸念を表明していた… 米国は現在、武漢研究所を発生源として世界的な大感染をもたらし、経済的に甚大な被害を与えている新型コロナウイルスの感染経路などについて本格的な調査を行っている」としている。

 武漢ウイルス学研究所と中国科学院はこうした見方を否定し、逆に同研究所を発生源とする証拠を示すように米国に要求している。

 一方、ミズーリ州選出のジョシュ・ホーリー共和党上院議員は、中国を主権免除の対象から外し、米国の法人、個人の私的権利を定める連邦法案を議会に提出した。また、 ホーリー上院議員は、今月初め、共和党のトム・コットン上院議員(アーカンソー州)と、ジョン・カーティス(ユタ州)、マイク・ギャラガー(ウィスコンシン州)、テッド・ヨーホー(フロリダ州)、ジム・バンクス(インディアナ州)、リズ・チェイニー(ワイオミング州)の5人の共和党下院議員とともに、公衆衛生に関する地球的責任法( Li Wenliang Global Public Health Accountability Act)案を議会に提出した。

 これは、”武漢コロナウイルス”を含む国際的な公衆衛生の危機に関して情報を抑圧、あるいは歪曲した外国の当局者を制裁する権限を大統領に付与するもの。具体的には、新型ウイルスの米国の被害者が、中国政府を米国内の裁判所に訴え、裁判所が米国内の中国資産を差し押さえることを、大統領命令できるようにする、ということだ。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日5言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

 

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2020年4月24日