・国連が宗教への暴力排除を訴え-「宗教・信条を根拠にした暴力の犠牲者追悼の日」に(VaticanNews)

(2019.8.23 VaticanNews Robin Gomes)

 国連総会は今年5月に、8月22日を、世界で続いている宗教・信条を根拠にした暴力の犠牲者追悼の日、とする決議をしていたが、22日はその初めての日となり、国連は宗教団体に対する迫害を終わらせることを強く訴えた。

 国連のアントニオ・グティエレス事務総長は22日に発表した声明で、「犠牲者追悼の日に当たり、宗教と信条を根拠にした暴力の犠牲者たちに揺るぐことのない支援を確認します。そして、そのような暴力を阻止することに全力を挙げ、この問題に責任を持つ人々が説明責任を果たすことを強く求めることで、支援の姿勢を明確にします」と述べ、追悼の日は「犠牲者たちへの支援を確認する機会ともなる」とその意義を強調した。

 さらに、事務総長は、「ユダヤ人たちはシナゴーグで殺害され、墓石はナチの印で汚された。イスラム教徒たちはモスクの中で射殺され、施設は破壊された。キリスト教徒たちは祈りの最中に殺され、教会は燃やされた」と実例を挙げ、「ニュージーランド、スリランカ、そして米国などで起きた多くの襲撃は、信仰の場を標的にして行われています。シリアから中央アフリカ共和国に至る世界中でいくつもの争いが続く中で、彼らの信仰ゆえに、共同体全体が襲撃されています」と指摘。「世界は、反ユダヤ主義、反イスラム主義的運動やキリスト教徒やその他の宗教団体の迫害、あらゆる形の人種差別主義、外国人排斥、差別、暴力行為の煽動を廃絶することに努めねばなりません」と訴えた。

 また、「世界の主要宗教は、人類共通の精神をもって、忍耐と平和的共存を支持しています… 私たちは、錯誤と悪意によって宗教に誤解を生じさせ、対立に火を注ぎ、恐怖と嫌悪を広げる人々に抵抗し、拒絶せねばなりません」としたうえで、「(注:諸宗教の)多様性の中に豊かさと力強さがある。それは脅威ではない」と強調した。

 そして、宗教と信条に基礎を置く暴力の脅威の打ち勝つ最善の方法は、「善意の声を一致させ、嫌悪のメッセージには平和のメッセージで対抗し、多様性を包含し、人権を守ること」と述べ、人間家族の一員として、全ての人が相互理解を育てていくように強く求めて、「私たち全員に、互いを見つめ、相違を尊重し、平和的な共存を作り出していく責任があります」と力説した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2019年8月25日