(2021.1.13 Vatican News Linda Bordoni)
世界中で迫害されているキリスト教徒を支援する国際NGO「OpenDoors」が13日、自己の信仰ゆえにキリスト教徒が最も迫害されている50か国についてまとめた2021年版World Watch List年次報告を発表した。
それによると、世界中で一日当たり13人のキリスト教徒が信仰のために殺され、12の教会あるいはキリスト教系の建物が攻撃され、12人のキリスト教徒が不当に逮捕または投獄され、さらに5人が誘拐されている。
*迫害されるキリスト教徒が増えている
報告書は、迫害が最もひどく行われている50か国で、「極めて高い」あるいは「極度に高い」レベルの迫害がされている地域に住んでいるキリスト教徒は、昨年の年次報告の2億6000万人から、今回は3億900万人に増加した、としている。さらに、50か国以外にも、キューバ、スリランカ、アラブ首長国連邦など24か国で、3,100万人が同様の状態に置かれている可能性があり、これらの数字は、世界中のキリスト教徒の8人に1人が迫害に直面していることを意味する。
*背景にコロナ感染、サハラ以南アフリカでのイスラム原理主義過激派
こうした迫害増大の背景にあるのは、新型コロナウイルスの世界的感染で、報告書によると、救護措置における差別、改宗の強制などを通しての宗教的迫害の促進手段として、あるいは信徒たちの活動の監視、検閲強化の正当化の手段として働いている。そして、迫害増大させるもう1つの要因は、ナイジェリアやカメルーン、ブルキナファソ、マリなどサハラ砂漠以南のアフリカにおける過激派の活動の活発化だ。
また、50か国のうち、迫害が最もひどく起きている”トップ10”に大きな変化はなく、筆頭が北朝鮮、これにアフガニスタンが次ぎ、以下、ソマリア、リビア、パキスタン、エリトリア、イエメン、イラン、ナイジェリア、インドの順だ。インドでは、「政府公認のヒンズー教過激派による宗教的少数派に対する暴力が増加し続けている」ため、3年連続でトップ10にとどまった。
注目されるのは、スーダンが今回、”トップ10”から外れたこと。30年間にわたるイスラム法に代わる新憲法の施行で、イスラム教に背く行為に対する死刑判決が廃止され、信教の自由が保証されるようになったためだ。それでも、50か国中では13位にランクされており、その理由を報告書は、イスラム教の背景の中でキリスト教徒は依然として、攻撃されたり、家族や共同体社会から追放されたり、差別されたりし、女性は性的暴力を受けている、と指摘している。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)