・フランスで女性神学者の大司教”立候補”に続き、女性7人が司祭職などバチカン大使に請願(LaCroix)

(2020.7.22 La Croix France Héloïse de Neuville and Xavier Le Normand)

 

French women challenge Catholic hierarchy to open up male-only ministries

神学者のアンヌ・スーパ氏(ピンク色のベストの女性)とバチカン大使に請願書を出した “All Apostles” の7人の女性たち (Photo by CORINNE SIMON/CIRIC)

 「私たちは”違反行為”をせざるを得なくさせられているのです」ーこれは、今年5月、フランスのリヨン大司教候補に手を挙げたカトリック神学者のアンヌ・スーパ氏の言葉。

  そして7月22日、さらに7人の”All Apostles”の女性たちが、現在は男性しか認められない、叙階を必要とする教会での職務に就くことを求める請願書を、フランス駐在のバチカン大使に提出した。

  彼女たちの 思い切った行動は、様々な背景を持つ女性たちの象徴的な、強い意思表示であり、ハチの巣をつつくような行為だった。7人のうち何人かは、女性司祭を認めるよう積極的な運動をしており、その他の人は、今回の誓願で教会における女性の役割に関する議論を加速させることを目的にしている。

  スーパ氏は「これまでの歴史で、女性は、何よりも男性に与えられているのと同じ権利を要求するで、自分たちの場を得るのを常としてきました。そうして、自分たち自身のスキームを創出してきたのです… それは長い目で見て、男性と同じ役職を手にしたい、という事を意味しません」と語る。

  7人のうちの1人、女性助祭になることを希望したマリー=オートン・テポ氏は「私は自分が最適の”候補者”でないことを知っています。それでも、『自分たちには、失うものが多すぎて(注:手を上げることが)できません』と私に訴えた女性たちすべてのために、思い切ったのです」と理由を説明した。

  「女性を(注:司牧者として)聖別すべきではない、と言われていますが、これは非常におかしな主張です… そのようにして、教会によって脇に置かれ、一生を”補佐役”に甘んじさせられてきた女性たちのために、私たちは何をしたらいいのですか」と問いかける。

*「私たちは教会で自己表現できる手段が欲しい!」

 こうした女性たちの主張、行動について、イエズス会士の神学者、フランソワ・ユーヴェ師はこう評価する。「スーパ氏は、女性を司祭にすることが正しい答えではない、ということをよく知っています。こうした行動に出ることで、(注:教会における女性の役割の抜本的向上についての)議論を公けにすることに貢献しています」。そして「教会における女性の役割を些細な問題として扱うことはできません。多くの人が関わるべき問題です。たとえ、それが最初は苛立ちを起こすことがあるとしても、です」と強調した。

 いずれにしても、今回のようなやり方は、教会における女性の役割の問題が前進することを希望する女性たちの間でさえも、疑問の声が出てはいる。

 フランス西部にある教会に所属する一般信徒、アドリエンヌ・ドゥ・バルモン氏は「このようなやり方に完全に同意はしていませんが、歓迎しています… でも、長い間、教会で活動している経験からしても、女性の役割について議論を始めるための他の方法を、教会が提供するかどうか、定かではありません」とし、「あまり挑発的な態度をとると、逆効果になる」ことを畏れている。教会に対する彼女の願いは「私たちが別のやり方で自分を表現する方法」を示すことだ。

 これに近い意見を持つのは、4人の子どもを持つ未亡人のブリジット・ジャンジャン氏だ。聖イグナチオ・ロヨラの霊性に基づく世界的ない一般信徒のの組織、 Christian Life Communityのフランス支部長を務めている。「私は今回の女性たちの行動にまったく反対しませんが、これが教会の関係者に聞く耳を持たせる最善の方法がどうか、分からない」と言う。

 例えば、昨年、ドイツの信徒たちが、「小教区でストライキ」をすることで、自分たちの要求に関心を引こうとしたことがあったが、「そうやって対立を引き起こすよりも、ほかに主張を通す方法があるのではないか」とし、「逆ピラミッドに従った、下から上に向かう一般信徒の実際の表現」を提案している。

 

*内側から変えていく

 これは、8月1日にスイス・フライブルク州のドイツ語圏の教会代表となることが予定されているマリアンヌ・ポール=ヘンゼンがたどっている道だ。「私は女性として、教会にとどまり、内側から変えていく道を選びました… 忍耐が必要です。途中経過があって、徐々に変えていくのです」。それでも、スーパ氏のとった行動は、「教会の位階制構造に揺さぶりをかける、素晴らしいことだと思います」と評価している。

 一方で、スーパ氏や7人の女性のやり方に批判的な女性もいる。

 「あの人たちは、真実よりも論争に関心があるに違いありません。そして、キリスト教的な行動様式をほんのわずかしか持っていない」とリヨン大司教区から終生独身として教会奉仕する聖別を受けているサンドラ・ビュロー氏は言う。フランスの日刊紙 Le Figaroにスーパ氏のリヨン大司教への”立候補”を受けて投稿し、「教区の多くの女性は、テクニックだけでなく、聖霊に満たされた生活を求める責任を果たすように求められています。彼女たちを二流の協力者にすることではありません」と反対の立場を明確にした。

 だが、いずれにしても、”すべての使徒たち”の活動がメディアの注目を引いたことは、形式と実体の両面での議論を前に進めるに違いない。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2020年7月25日