・カナダの暗黒の歴史ー先住民の子どもたち強制収容のカトリック教会運営の寄宿学校跡地から215人の遺体ー教皇が哀悼

(2021.6.6 バチカン放送)

 カナダのブリティッシュ・コロンビア州カムループスの先住民の子どもたちの寄宿学校の跡地にある墓地から、215人の遺体が発見され、現地で大きな衝撃が広がり、その背景にある先住民同化政策を推進した当時の政府、学校運営に関わったカトリック教会の責任を問う声も高まっている。

 教皇フランシスコは6日日曜の正午の祈りで、「この悲しい発見は過去の苦しみを知ることでいっそう大きくなりました」とし、カナダ全土にあった先住民寄宿学校で亡くなったすべての子どもたちの魂を主に委ねるとともに、深い哀悼の意を示された。

 そして、カナダの政府、カトリック教会、国民に向けて、「この試練の時は、植民地主義的モデルから脱皮して、あらゆる国民が対話と相互尊重のうちに共に歩み、すべての人々の権利と文化的価値を認めるように、改めて強く求められている」と述べ、カナダの政治指導者やカトリック教会の指導者たちに対して、悲劇の解明に力を合わせ、和解といやしの道と歩む努力を強く求められた。

 カナダ政府は先住民同化政策のもとに、1863年から1998年に至るまでの間に約15万人の先住民の子どもたちを家族から引き離され、全土に設けた139の寄宿学校での生活を強制した。子どもたちは民族固有の言語を話すことを禁じられ、虐待されることもしばしばあった。カムループスの先住民の子どもたちの寄宿学校は、そのひとつで、1890年に開校し、カトリック教会によって運営され、80年以上にわたって活動を続け、1978年に閉校、墓地も放置されていたとみられる。

 「先住民寄宿学校制度に関する真実と和解​委員会」が5年前に発表した約4000ページにわたる報告書には、先住民の子どもたちに対する寄宿学校などでの虐待の詳細や、その虐待や子どもたちに適切なケアをしなかったために死亡した子供たちが少なくとも3200人に上ることが明らかにされている。

 カナダ司教協議会は5月31日に、この出来事に「大きな苦しみ」を表明。同国の先住民族共同体に対する寄り添いと努力を約束した。

 (編集「カトリック・あい」)

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2021年6月9日