・オプス・デイ、所属司祭のバチカンから性的虐待”有罪判決”認める

(2o2o.7.16 Crux  ROME BUREAU CHIEF Inés San Martín)

   ローマに本部を置く属人区「オプス・デイ」が16日、声明を発表し、所属司祭1名が性的虐待でバチカンから有罪判決を言い渡されたことを認め、「『オプス・ディ』スペインの高位聖職者は、性的虐待被害者たちに赦しを願い、その苦しみに深い遺憾の意を表明する」と謝罪。「私たちは、被害を受けた方々に、安らぎと癒しをもたらしてくださるよう、神に願います」と述べた。

 有罪判決を受けたのは、マニュエル・コルチナ神父(72)で、2002年からスペインで当時18歳の男性に痴漢行為の罪を犯し続けたことで、バチカンの教理省から6月30日に有罪の判断が出された。この後、15日の控訴期間を与えられていたが、その期間が15日深夜に切れたため、有罪が確定した。神父の性的虐待行為については、2018年8月に現在被害者が住むチリから報告があり、オプス・デイは、神父の聖職者としての活動を当時住んでいたセンターに限定、30歳以下の人々との会話を禁じる措置を取った。このことは昨年になって、スペインのインターネット・メディアReligion Digitalで公けにされていた。

 16日の「オプス・デイ」の声明では、神父は「誘惑」-告解を利用して性的な偏愛を要求するーの罪、教会法1387条の定めに対する重大な違反、と判断された、と説明。この定めに違反した場合、最も重い処分は司祭職のはく奪だが、神父については、5年間の司祭職の差し止め、個人的にミサを捧げることは認められる、としている。5年の司祭職差し止めの後は、さらに5年、本人が生活するセンターに限定された制限付きの司祭職を務めることになる、という。

 性的虐待の犠牲になったのは、当時、オプス・デイの会員で、現在は結婚してチリに住み、教会のミサに出る信徒としての生活を送っている。16日のオプス・デイの声明が出される前にCruxのインタビューに答えた男性は、オプス・デイに判決について公けに認めることを求めるとともに、スペインのカトリック教会に対して、聖職者による性的虐待を防止し、性的虐待について透明性を高めることに、努めることを希望する、と語った。

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 オプス・デイは、スペイン人司祭で聖人のホセマリア・エスクリバー師がスペイン・マドリードで1928年に創設した組織。世界中のどこの教区にも属さず、修道会でもない、教皇ヨハネ・パウロ2世が認めた属人区という特異な形態をとり、司教、司祭団、信徒で構成し、会員数は全世界に約10万人。信徒たちが世俗社会での自らの職業生活を通して、自己完成と聖性を追求し、仕事や家庭生活など、日常生活のあらゆる場面において、キリストと出会うように援助するのを目的とする。男性優位の厳格な組織との見方もある。

 

 

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2020年7月17日