・イタリア政府と教会が「公開ミサなど典礼祭儀の5月18日再開」で合意

Faithful in a church in Torino, ItalyFaithful in a church in Torino, Italy  (ANSA)

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため公開ミサなどを中止していたイタリアで、18日から一般信徒が参加しての公開ミサ、結婚式、葬式、洗礼などの典礼祭儀が約2か月ぶりに再開されることになった。

 イタリアのカトリック司教協議会のグアルティエロ・バセッティ会長(枢機卿)がジュゼッペ・コンテ首相、ルチアナラ・モルゲーゼ内相が7日合意、議定書の署名したもの。

 一連の典礼祭儀参加者にマスク着用の厳守、聖堂内などで互いに一㍍以上の社会的距離を保つ、手や接触部分の消毒など、公衆衛生上のの測定基準に従うことを、再開の条件としている。

 8日付けのVatican Newsによれば、バセッティ会長は、現在の危機克服への教会の責任を強調し、「議定書は政府と…そして全員が責任ある行動をとる司教協議会の徹底した協力と共同作業の結果だ」と述べた。また、コンテ首相は、署名で司教協議会が明確にした、公開ミサ再開にあたっての感染防止策は「可能な限りの安全を確保する一般信徒参加の典礼祭儀再開を確実にする適切な方法」と支持を表明している。

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(解説)

 感染拡大の終息がいまだに確認されないイタリアでは、景気悪化や長期の規制、ミサなど典礼行事への参加を禁じられた国民や教会の保守派関係者などから、規制緩和の圧力が高まっており、感染差の増加ペースの低下を理由に、政府が段階的な緩和策に転じている。

 新型コロナウイルスの大感染国となっているイタリアは世界で米国、スペインに次ぐ21万5858人の感染者、米国、英国に次ぐ2万9958人の死者(いずれも5月8日正午現在)を出している。増加のペースが落ちてきているとはいえ、近隣の英国やロシアでは急激な増加が起きている。感染拡大が遅れて始まった中南米やアフリカでは爆発的感染の懸念が強まり、一日1万人のペースでの増加が始まっているブラジルでは現在感染者が13万人を超え、死者も1万人に達しようとしている。隣国のペルーも感染者が6万人に迫っている。

 このような状況での公開ミサの再開は、よほどの厳密な規制がされない限り、イタリア国内での”第二波”発生の原因になりかねないばかりか、ブラジル、ペルーなど、同じカトリック国の教会への”緩和圧力”になる可能性もある。

 日本でも、こうした西側先進国での規制緩和の動きを背景に、今月中旬以降の段階緩和に進む可能性が強まっているが、日本の政府も教会も、国民、信徒の安全を第一に、こうした世界の動きに流されることなく、的確な情勢分析をもとに、適切な対応をしていくことを、強く希望したい。

 

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2020年5月9日