・イタリア全土の教会で規制を残しつつ公開ミサなど典礼行事再開(Crux)

(2020.5.20 Crux Senior Correspondent  Elise Ann AllenMasses in Italy are a go, but other sacraments still suffer restrictions

 Father Jose Maria Galvan, wearing a sanitary mask to prevent the spread of COVID-19 opens the door for the morning mass at St. Eugenio Church, in Rome, Monday, May 18, 2020. Italy partially lifted sanitary restrictions Monday after a two-month coronavirus lockdown. (Credit: Alessandra Tarantino/AP.)

 ローマ発ーイタリア全土のカトリック教会では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため2か月にわたって停止していた公開ミサを18日から再開したが、ミサを含めて一般信徒参加の典礼行事には規制が続いている。

 イタリア司教協議会会長のグアルティエロ・バセッティ枢機卿は16日の声明で、信徒たちが強く望んでいた公開ミサの再開は、イタリアの全教会にとって「重要なイベント」であり、「恵みの瞬間」と喜びを表現。

 「それは単に、これまでずっと開かれていた聖なる場所、私たちの教会の再開というだけではありません。私たちの生きた共同体、家族に戻るということです」と述べ、イタリア全土の信徒たちに「生きた神の大きな家族に戻ることができる恵み」を祈るように求めた。

 そして、「たとえ、私たちが、(注:公開ミサが中止されている間に)それぞれの家庭で、小さな家族の間で生きた教会を経験し、互いが密に接することで多くの価値を生かせたとしても… 今は、大きな家族に戻る時です」と強調した。

 だが、信徒たちが18日から開かれた教会でミサに参加できるようにはなったものの、教会の外の社会と同じように、教会での活動が常態に戻るのはまだ先だ。

 多くの教会では、聖堂入り口の聖水は手指消毒剤に置き換えられ、ミサ参加者はマスクを着用、場合によっては手袋をはめ、互いに少なくとも3フィートの間隔を空ける必要がある。聖体拝領は手で受け取るのに限られている。公開ミサ中止中も認められていた洗礼と結婚式も、引き続き厳しい条件つきだ。

 イタリア司教協議会の公式新聞 Avvenireによれば、具体的な対応は個々の教区あるいは小教区によって異なるが、結婚式と洗礼式では、参加者は互いに”社会的距離”を保つなどのルールを守り、マスクや手袋など適切な”保護具”をつけねばならない。洗礼を授ける場合、司教団は、全身を水につけず、額に水を注ぐことを司祭たちに勧めている。また塗油をする際は、使い捨ての手袋を使い、一回ごとに廃棄する必要がある。

 司教あるいは司祭は、必要に応じて他の条件や制限を追加できる。パドヴァ教区では、司祭が、乳幼児や子供たち数人に同時に洗礼を授けないようにしている。アンドリア教区では、週日は洗礼が優先されており、マザーラ・デル・ヴァッロ教区では、司祭が子供の耳と口に触れる儀式が止められている。

 結婚式については、5月18日の公開ミサ再開に伴って若干のルールの手直しがされた。全面封鎖措置がとられている間は、配偶者とその証人だけに式への参加が限られていたが、一般参加者も、”社会的距離”を置くという条件で認められた。アグリジェント大司教区では、式典の最後に新婚夫婦に米を投げるという伝統行事は禁止されている。そして司教団によると、多くの結婚式が新型コロナウイルス感染のために延期されている、という。

 また司祭には、結婚式の前に、式を遅らせた未来の配偶者たちの側に行くことが勧められている。それは一つには、式の延期で心変わりをしなかったかどうか、確かめるためだ。

 葬儀のミサは、家族の住まいの近くで小規模に行う場合を除き、ほとんどが禁じられていたが、14日から15人までなら親族や友人なども参加できるようになった。結婚式と同じように、出席できる人数は、教会のスペースと参加者相互の”社会的距離”によって異なる。いくつかの教区では、通常のミサが予定されていない午後に行うように求めており、また他の教区は、式を祭壇での棺の祝福で終わらせ、出棺に付き添うことはなしとしている。

 また病者の塗油は必要に応じて行われるが、司祭には、マスクと使い捨て手袋の着用が求められる。

 告解については、イタリア全土で共通のルールが適用され、告解室は使用せず、広い空間の中で行うこと、司祭と信徒が適当な距離を保てるようにすることなどが必要だ。

 堅信と初聖体はイタリアでは通常、5月か6月に式が行われているが、保留となり、秋まで延期されることになりそうだ。

 バセッティ枢機卿は声明で、しばらくの間、典礼祭儀でのマスク着用や接触機会を制限することは「熟視することの強さを再発見することへの誘い」と説明。全面封鎖中の日々のミサで、教皇はいつも、参加者に、うなずいたり、他の動作をしたりすることで、平和のあいさつをするように勧められたが、「それは、個々の教会でもできることです」とし、「互いに近寄り、手を差し伸べることで平和のあいさつを交わすを交換することはできませんが、笑顔や優しい視線の交換で、平和、喜び、愛を互いに伝えられます。離れていても、私たちは平和のあいさつをかわせるのです」と強調した。

 また枢機卿は、2か月ぶりの主日の公開ミサとなる24日、主の昇天の祝日のミサで、自分は、伝統的な神への賛歌「テ・デウム」を歌うが、この歌は「私たちの聖なる三位一体への非の打ちどころのない賛美です。全ては神の御心から来るものですから」と述べ、各教会もそれに倣うように勧めている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年5月20日