・アルゼンチンで聖職者2人が未成年聴覚障碍者への性的虐待で懲役40年以上の実刑判決

(2019.11.28 カトリック・あい)

 教皇フランシスコの故郷、アルゼンチンで複数の聖職者が自身が責任者を務める聴覚障碍者の学校で卑劣な未成年性的虐待をはたらいたとして現地の裁判所から有罪判決を受けたことが明らかになった。

 AP通信がアルゼンチンのメンドーザ市発で伝えたもので、同市の裁判所は25日、同市郊外のルハン・デ・クージョにあるアントニオ・プロヴォロ聴覚障害児研究所で同所に収容されていた犯行当時未成年だった男女の聴覚障碍者10人に性的虐待したとして、責任者のニコラ・コラディ神父(83)に懲役42年、オラシオ・コルバチョ神父(59)に懲役45年の、それぞれ実刑判決を下した。同所の庭師をしていた庭師のアルマンド・ゴメスにも同様の罪で懲役18年の判決が言い渡された。

 3人を起訴した検察当局の調べでは、男女の児童たち(当時)は神父たちから施設の寮や学校のトイレで触れられ、強姦され、ポルノ画像を見ることを強いられた、と証言。コルバチョ神父のパソコンには裸の少女の写真が入っており、少女をおとなしくさせるために使ったとみられる鎖も見つかった、という。

  コラディ神父は、以前イタリアにいた約10年前にも、ヴェローナにある姉妹施設で同様の犯罪行為をはたらいたとして告発されていた。この時は、24人の司祭、修道士、信徒が67人の児童たちを性的に虐待したとして告発され、カトリック教会のヴェローナ教区は被害者に謝罪し、24人を処分していたにもかかわらず、コラディ神父は処分対象に入っていなかった、という。

 司教を含む聖職者による性的虐待を追及しているオンライン・データベースBishopAccountability.orgの共同設立者、アン・バレット・ドイル氏はAP通信の取材に対して、「アルゼンチンの裁判所は、プロヴォロに心身友の虐待された子供たちに、カトリック教会が与えなかった正義の尺度を与えました」と今回の判決を評価。

 「”プロヴォロに関する問題”は二つあります。彼が子どもたちを拷問したこと、そして、それを教会が防げなかったこと、です。この犯罪を知っていたはずの現地の大司教はじめ教会指導者たちに対しても捜査を始めるべきです」と主張し、さらに、「教皇ご自身も、これらの子供たちの想像を絶する苦しみに対する責任を受け入れなければならりません」と述べている。

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2019年11月28日