・「新型ウイルス危機が、人身売買の増大を招いている」とカリタスが声明

Protest against human trafficking in NigeriaProtest against human trafficking in Nigeria 

(2020.7.29 Vatican News  Sr Bernadette Mary Reis, fsp)

 カトリックの人道援助機関、カリタス・インターナショナルと人身売買犯罪と戦うキリスト教系46団体の国際ネットワークCoatnetが、30日の国連「人身取引反対の日」を前に、声明を発表。

 「新型コロナウイルスの世界的大感染による各国での”封鎖措置”が、人身売買の犠牲者の数をさらに増加させている」として、各国政府や国際機関に対して、人身売買に関わる組織などの取り締まりを強化し、被害者の増大を阻止するための、真剣な努力を訴えた。

 国際労働機関(ILO)によると、現在、世界中で4000万人が人身売買組織の罠にかかっている、という。カリタス・インターナショナルのアロイシウス・ジョン事務局長は、新型コロナが悪化させている人身売買の悲劇に国際社会がもっと注目するよう訴え、次のように語った。

 「私たちは、抵抗力の無い弱い人々が置かれた現実と人身売買の危機増大を糾弾します。新型ウイルスの感染防止に注目が集まることで、拉致され搾取される弱い人々への対応が弱められることがあってはなりません。新型ウイルス大感染の最中であっても、拉致、虐待の被害者が切望するセーフティーネットを提供すること、困難の中にある彼らに寄り添い、物資や医療、精神的な助けを提供することーそれが私たちカリタスとCOATNETがとの民間団体を進めていることなのです」。

 そして各国政府は、新型コロナウイルスの大感染に力を集中させてきたが、その大感染の”副次的な被害”が人身売買の被害増大の形で起き、移民・難民と非正規労働者という最も弱い人々に降りかかっている、各国政府が感染防止の一環として実施した都市封鎖などが、拉致被害者たちが声を上げ、助けを求めることを困難にしている、と指摘。一方で、人身売買を防ぎ、犠牲者を助ける支援組織が(注:官民の資金が新型ウイルス対策に集中する反動で)資金支援を得にくなり、思うような活動ができにくくなってきている、という現状を説明した。

 具体例として、声明では、最近11日間で9万2000件の児童虐待が報告されているインドの場合、それが”児童労働”や”児童婚”などの増加という形でも起きており、”避難所”となっていた学校の新型ウイルス感染防止のために閉鎖され、路上に出るのを余儀なくされる事態も出ている、と指摘している。

 以上のような問題を指摘したうえで、声明は各国政府や関係の国際組織がとるべき施策として以下の4点を挙げている。

 ①人身売買の犠牲者に対して、避難所の提供、訴え窓口の開設、法的支援措置の提供

 ②インターネットを悪用した虐待や搾取から子供たちを守る措置の実施

 ③非正規労働者を支援する具体的措置、労働の現場の厳格な監督により、人身売買され、搾取されている被害者を確認する取り組みの強化

 ④人身売買、搾取を警戒し、糾弾する姿勢を持つように、全ての人に強く求める

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2020年7月30日