・「戦争とコロナ大感染の封じ込めに、指導者たちも、善意の全ての人も力を合わせよう」ー「ローマ2020平和アピール」に教皇たち署名

(2020.10.20  Vatican News staff writer)

 教皇フランシスコは20日午後、世界の主な宗教指導者たちとともに、ローマのカピトリーノの丘で開かれた聖エギディオ共同体が主催する宗教間平和会議「誰も一人では救われないー平和と友愛」に出席。共に平和への祈りを捧げるとともに、世界に平和を訴える「ローマ2020平和アピール」に署名した。

 内容は以下の通り。

 私たちは、「アッシジの精神」をもってこのローマに集まり、世界中の宗教を信じる人たち、すべての善意の男女と精神的に一つの体となり、私たちの世界に平和の賜物がもたらされるように、互いに共に祈りました。人類の傷を思い起こすように呼びかけました。私たちは苦しんでいる多くの兄弟姉妹の静かな祈りと共にあります。私たちは今、厳粛に誓いますーこの平和を、私たち自身で作り上げ、各国の指導者たちや世界の人々に求めることを。

 このカピトリーノの丘では、史上最大の戦いとなった第二次世界大戦を教訓に、関係国が欧州統一の夢の実現を目指してローマ条約(1957年)を結びました。この不確実な時代に、今、不平等と恐怖を悪化させることで平和を脅かす新型コロナウイルスの世界的大感染の影響を感じる時、私たちは誰も一人で救われることはできないと断言します。

 戦争と平和、大感染と健康管理、飢餓と食糧供給、地球温暖化と持続可能な開発、人口の移動、核の脅威の排除、不平等の削減ーこれらは個々の国だけに関係する問題ではありません。私たちは、密接につながっていますが、友愛の感覚をしばしば欠いている世界で、私たちはこのことを、もっとはっきりと理解します。

 私たち皆が兄弟姉妹なのです!この試練の時を経て、もはや「他者」ではなく、多様性に富んだ偉大な「私たち」が存在する可能性があることを、至高の方に祈りましょう。平和が可能であり、必要であり、戦争のない世界がユートピアではないことを、改めて大胆に、理想として掲げる時が来ました。それが、私たちがもう一度、このように言いたい理由ですー「No more war(戦争をこれ以上繰り返すな)」!

 誠に嘆かわしいことですが、多くの人にとって、戦争はいまだに「国際紛争を解決するための、一つの可能​​な手段」であるように思われています。そうではありません。手遅れになる前に、「戦争はいつも、世界を以前よりも悪くさせる」ということを、皆に思い起こさせましょう。戦争は政治の失敗、人類の失敗です。

 私たちは各国政府の指導者たちに、しばしば、恐れと不信に基づいて発せられる分裂の言葉を拒絶するように、そして、戻ることのできない道に踏み出さないように、強く訴えます。一緒に犠牲になっている人々に目を向けましょう。あまりにも多くの紛争が現在も進行中です。

 国の指導者たちに私たちは呼びかけますー平和の新しい建築物を作り上げるために協力しましょう。力を合わせて、生命、健康、教育、平和を推進しましょう。破壊的で致命的な武器を生産するの使われてきた資源を、生命を選び、人類と私たちの共通の家をケアすることに転用する時が来ているのです。時間を無駄にしないでください!達成可能な目標から始めましょう。すべての人に適切で、利用可能なワクチンが完成するまで、ウイルスの拡散を封じ込める努力を今すぐ、一致して進めてください。大感染は、私たちが血を分けた兄弟姉妹であることを、思い起こさせています。

 すべての宗教を信じる人たち、そして善意の男性と女性に、私たちは呼びかけますー平和の創造的な職人になり、社会的友愛を築き、私たち自身の対話の文化を作りましょう。正直で、粘り強く、勇気ある対話は、不信、分裂、暴力の解毒剤です。対話は、まず手始めとして、私たちの人間の家族が求められている友愛を破壊する戦争への論争を取り壊します。

 誰もこの努力を免除されていると感じることはできません。私たち全員が責任を共有しています。私たち全員が赦し、許される必要があります。世界と歴史の不正は、憎しみと復讐によって癒されるのではなく、対話と許しによって癒されるのです。

 神が、私たちに、このような理想と、皆が共にする旅への決意を励ましてくださいますように。神が、すべての人の心に触れ、私たちを平和の先駆者としてくださいますように。

         ローマ、カピトリーノの丘にて、2020年10月20日

 

 

 

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2020年10月21日