(2020.8.28 カトリック・あい)
ドイツのカトリック系通信社 KNAが26日報じたところによると、同国の392のカトリックの男女修道会を対象とした調査で、ここ数十年の間に少なくとも654人の修道士が性的虐待で訴えられていることが明らかになった。
調査結果では、性的虐待の被害者は、児童、青少年、成年の被後見人など少なくとも1412人に上っており、うち約8割は男性で、残り2割が女性で占められている。
この結果について、ドイツ修道会長協議会の会長であるシスター・カタリナ・クルイトマンは「これ以外にも報告されない被害者が存在します」としたうえで、「被害者たちは、性的虐待を聖職者から受けたのに加えて、彼らの属する修道会の指導者や修道士の心無い対応によって、さらに傷を深くしている」と指摘。「このことを深く悲しみ、改めて私たちの過ちを認めます」と、被害者、その家族など関係者に謝罪した。
調査は、昨年、同国の392の修道会全てを対象にし、各修道会の総長、会長、あるいは管区長にアンケートを送付し、回答を求める方式で実施、全修道会の4分の3の当たる291の修道会から回答を得た。
回答した修道会のうち、100の修道会は、様々な形の虐待で訴えられた、とし、修道会当たりの訴えの件数は、大半が10件未満だったが、中には100件を超える修道会もあった。虐待の訴えがあったのは回答した77の男子修道会のうち53、214の女子修道会のうち47。虐待で訴えられた聖職者の8割がすでに亡くなっている、という。また、虐待したと訴えられたのは修道士654人のほかに、58人の職員がいた。
シスター・クルイトマンは、今回調査について「修道会における性的虐待についての調査のさらなる一歩」とする一方、「修道会会長協議会には、この問題の調査・研究を進めるための予算も人員も不足しており、我が国の司教協議会の性的虐待被害調査に匹敵する内容には至らなかった」とも述べた。
一昨年に公表されたドイツ司教協議会の性的虐待調査では、全27教区で3万8000件を超える事案について分析し、1946年から2014年までの間に、性的虐待の被害者は3600人以上に上り、虐待を訴えられた聖職者は1670人に達している、などの結果を出している。
被害が認定された人々への補償について、修道会は、司教協議会の規定に倣うとしているものの、実施には財政支援が必要、ともしている。司教協議会の基準では虐待1件当たりの補償額は、5000(約60万円)ユーロから最高5万ユーロ(約600万円)とされている。
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ドイツの聖職者性的被害者の団体「Eckiger Tisch」は、今回の調査結果と修道会の対応に対して批判的だ。
広報担当のマチアス・カッシュ氏「大半の修道会は、性的虐待に対して責任をとることを、長い間ずっと拒否してきました… そして、自分たちの暴力と性的虐待の過去をどのように調べたいのか、調べるべきなのか、について話をする十分な時間がある、と、いまだに考えているのです」と語り、「各修道会の全ての記録は厳重に保管され、児童性的虐待の疑いが持たれた場合、検察当局に開示できるようにすべきです… どのような状況でも、修道会が”貧しい”ことを理由に、被害者に対する適切な補償を拒むことはできない」と注文を付けている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)