・「リーダーシップを取りたいなら、性的虐待で汚れた家をきれいにして」-汎アフリカ会議でシスターが警告

(2019.12.7 Crux  national correspondent Christopher White)

Nun warns African Catholics, ‘If you want to lead, clean house on abuse’

Sister Mumbi Kigutha presents at the Pan-African Congress in Nigeria. (Credit: Crux / Christopher White.)

 ナイジェリア、エヌグ発-「神学、社会、司牧生活」をテーマにした汎アフリカ・カトリック関係者会議が6日から4日間の予定で、ナイジェリア南東部のエヌグで始まった。ケニアから会議に参加した the Sisters of the Precious Bloodのシスター・ムンビ・キグサは7日の会合で講演し、アフリカでカトリック信徒が増加を続け、世界をリードする立場に立とうとしているが、「そのまえに、まず、聖職者による性的虐待問題を一掃する必要があります」と参加した指導的立場にある聖職者たちに訴えた。

 「アフリカは世界で最もカトリック人口が増え続けている地域であり、信徒数は2050年までに3億5,000万人に達すると予想されています… それはすでに世界中の教会で実感されています。教会の信徒席に座っている信徒を見ても、司祭を見ても、どこでもです」と彼女は述べたうえで、「しかし、教会でリーダーになろうとするなら、まずその前に、家を掃除する必要があります」と強調。

 「私たちは傷つき、キリストの体は病んでおり、聖職者、一般の信徒、そして加害者も被害者も、皆、癒しを切望しています… 聖職者による性的虐待は未成年者に焦点が当てられ、修道女に対する性的虐待はほとんどが伏せられたままです」と指摘し、マリアの医療修道会の会員であり医師のシスター・マウラ・オドノヒューの被害報告がバチカンから無視された1994年の ことを例に挙げた。

 25年後、教皇フランシスコは聖職者による性的虐待への対応に関する全世界司教協議会会長会議を招集し、参考人として呼ばれたナイジェリアのシスター・ベロニカ・オプニボは「聖職者の性的虐待は、欧米だけの問題ではありません。世界的な問題です」と訴え、教皇は記者会見で、聖職者たちによる修道女への性的虐待を認め、防止のための努力が教会に必要であることを強調していた。

 キグサ女史は、講演で、教会で聖職者による性的虐待が絶えない根本的な原因として、権力と”境”、隠ぺいと支配の文化、文化的規範と女性の役割への認識の欠落などを指摘し、「司祭に与えられた権限はしばしば他の修道者との”境界”を曖昧にし、特にそれが女性だった場合、権限行使の対象の一部にされてしまう… そうした権力は個人的に財務、不動産、車両、その他教会関係の支配を通して振るわれます。教会の秘密主義は、しばしば被害者を犠牲にしても自分を守ろうとします」と批判。

 「こうした状況は、家庭内暴力と同じように虐待する側が我が物顔に振る舞うのを可能にし、被害者に家庭の中で問題を治めるようにさせる… 虐待をする者はこれらの現実をよく知っており、他者を傷つける時に、すべてがうまくいくことを知っているのです」と訴えた。性による差別に関しても、「教会は性による差別を強め、女性を男性が利用できるようにし、それは修道女が司祭の仕事を容易にするために果たしている役割でさらに強化されています」と述べた。

 さらに彼女は、最近ローマで開かれた2つのシノドス(全世界代表司教会議)に、修道会からも参加者があったが、男子修道者には決議案への投票が認められたのに、女子修道者には認められなかったことを指摘。「以前は、性による差別の理由が『ミサ典礼を主宰できない』ことでしたが、今回は何が理由にされるのでしょうか。男女の性で残された識別可能な唯一の違いは、純粋に生物学的、解剖学的な差でしょう」と改めて教会の後進性を批判した。

 そして、教会が今後取るべき対応として、虐待に関して、被害者と加害者が共に癒しと審判を受けられるような、正義が力を取り戻すモデルを受け入れるよう、教会に促し、「正義の回復モデルは、自分の行動に結果があるのを否定しませんが、正義は常に真実、慈悲、愛によって鍛えられます… 正義は、神と自分自身、そして他者との正しい関係のすべてを取り戻そうと努めます。慈善と社会正義は家庭で始まり、兄弟姉妹を助けるより良い方法を確立する必要があります。当然ながら、それは性的虐待の被害者から始めて、加害者にも手を差し伸べるものです」と続けた。そして、「個人的な精神的障害は、制度的な精神的障害を引き起こします。”虐待のサイクル”が続かないように、”自傷行為”を認識せねばなりません」と付け加えた。

 最後にシスター・キグサは、二つのアフリカ的な概念を示した。一つは「Sankofa」-過去から学ぶことを象徴する言葉ー、もう一つは「 ubuntu」-思いやりと人間性を意味する言葉だ。「これらの言葉は、世界中のカトリック信徒にとって最も苦痛で不和を引き起こす懸案の一つを潜り抜け、世界の教会が未来図を描くのに役立つでしょう」と説明した。

 「私たちが生まれ、形成され、繁栄するのは共同体においてであり、私たちが癒され、和解し、神、自分自身と互いの正しい関係を回復するのは共同体ー一人一人に席があり声を上げる、全てを包含する教会ーにおいてなのです」と締めくくった。

 講演の後で、彼女と一緒に写真を撮ろうと神学生の一団が集まった。彼女は彼らに感謝しつつ、こう警告した。「あなた方は私の話を聞きました。だから、私に説明する責任がありますーあなた方が誰かを虐待しているという話は聞きたくありません!」

 

 

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2019年12月7日