(評論)モザンビークの司教殺害事件は、教皇スペイン訪問中にキリスト教徒への迫害を浮き彫りにした

(2026.6.7  Crux  Editor-in-Chief  Charles Collins)

   モザンビークのケリマネでオソリオ・シトーラ・アフォンソ司教が6日殺害されたことについて、 教皇レオ14世は「悲しみをもって知った」と語られた。バチカン報道局の声明によると、教皇は「この途方に暮れる時、教区民およびモザンビークの人々と共に祈りを捧げ、主が彼らに慰めを与え、その愛をもってすべての男女を守り、暴力の手を止められるように」と願われた。

 54歳のシトーラ・アフォンソ司教は、司教公邸で銃撃され死亡した。ケリマネの司教に任命されたのは昨年7月。ベイラ大司教区の使徒座代理も務めていた。

 司教殺害は、モザンビークのカトリック教会にとって衝撃だ。モザンビークはかつてポルトガルの植民地であり、ケリマネの北に位置するカボ・デルガド州ではイスラム過激派による反乱が続いている。シトーラ・アフォンソ司教は、同教区への任命前は同国司教協議会の事務総長を務めており、国内北部の紛争について頻繁に報道陣に語っていた。故国に戻る前、彼は長年イタリアに滞在し、コンソラータ宣教会の様々な役職に就き、バチカンの福音宣教省でも職務に就いていた。

 

 

*世界中で起きているキリスト教徒迫害について、教皇は今のところ言及せず

 

 司教の殺害は、世界中で起きているキリスト教徒への迫害に注目を集めることになる。現時点では、教皇はスペインにおいて、この問題について言及することを避けている(とはいえ、彼のスペイン訪問はまだ始まったばかりではあるが)。

 1930年代のスペイン内戦中、西欧におけるカトリック教徒への最大の迫害とされる事件が起きた。13人の司教を含む6800人以上の聖職者をはじめ数万人のキリスト教徒が信仰のために殺害された。これらの殉教者のうち2200人以上が列福され、そのうち11人が列聖されている。

 教皇レオ14世も、昨年12月に120人以上のスペイン人殉教者を列福しており、4月27日には、今週首都バルセロナを訪問する予定のカタルーニャ地方で殉教した47人の将来の列福を承認した。これらの殉教者の多くは、主に反宗教的であった共和派によって殺害された。フランコ将軍率いる国民派はカトリック教会の支持を受けており、教会は国民派を「キリスト教徒を守る唯一の存在」と見なしていた。フランコは勝利し、1975年に他界するまで独裁者として国を統治。スペインの政党は、今もなおこれら二つの派閥と結びついている。

 スペイン訪問中の教皇はスペイン内戦についてまだ直接言及していないが、6日の講話で、現在も続く緊張関係に暗に言及。「真理への愛ゆえに、私は皆に、社会の現実や歴史に関する分裂や対立を招く物語を脇に置き、複雑さを実りあるものとして受け入れることで、実りのない単純化を乗り越えるように」と呼びかけ、「複雑さを理解し研究し、それを否定するのではなく祝福として受け入れることを学び、すべてを説明しているように見えながら実際には世界を『亡霊』や敵で満たすだけの、アイデンティティに基づくアプローチから逃れること。これこそが、偉大な歴史の継承者たちの課題だ」と言明した。

 

 

*司教殺害は、キリスト教徒への迫害が単なる「歴史」でないことを示している

 

 モザンビークで起きた最新の殺人事件は、キリスト教徒への迫害が単なる歴史ではないことを示している。スイスのクルト・コッホ枢機卿は昨年、教皇から教皇庁財団「教会援助協会(ACN)」の会長に任命された。今月初め、彼はACNに対し、「教会史の最初の数世紀よりも、今、多くの殉教者がいる。独裁者たちは、カトリック、正教会、ルーテル派、英国国教会、あるいはプロテスタントといった区別をしない。そして、流された血は、分裂を超えてキリスト教徒を結びつける」と述べている。

 慈善団体Open Doorsによると、世界中で3億8800万人以上のキリスト教徒が、信仰ゆえに深刻な迫害や差別に苦しんでいる。その多くはアジアやアフリカだが、中南米の一部でも同様の状況が見られる。

 だが、欧米諸国で長年勢力を伸ばしてきた「ポスト・キリスト教的進歩主義」は、結婚、性、性自認、安楽死、その他の医療問題について、これとは相反する見解を掲げてきた。それによって、スペインを含む多くの欧米諸国で、伝統的なキリスト教的見解を持つ人々に対する社会的、司法的な弾圧が生じている。

 この問題が提起する課題は、欧米諸国にとどまらず、南半球や東アジアにも及んでいる。そこでは、西側による搾取が日常的であり、西側からの援助が21世紀の進歩的な道徳観を受け入れる意思があるかどうかに左右されることが多い。教皇フランシスコは、このような現状を「イデオロギー的植民地化」と呼んだ。この言葉は、強制的かつ文化・社会的な再構築に帰着する「社会的、地政学的な現象の複雑な網の目」を形容する痛烈な表現である。

 教皇レオ14世は、現在の”危機の火種”の一つであるスペインで、慎重に歩みを進め、社会の様々な要素の間で、より深い和解と協力を模索している。

 彼は6日、スペイン国民に向けて、「現実には、平和のメッセージは、現在残念ながら一部の人にはナイーブに、また他の人には対立的だと受け取られているが、先入観に囚われず、むしろ真理に開かれた人々には歓迎されている」と語った。教皇は、スペイン国内だけでなく、21世紀の世界中の各地において、スペイン内戦の「亡霊」と戦わねばならないかもしれない。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2026年6月8日