・年間死者5600人と治安悪化のハイチ、武装集団が修道女2人を殺害(La Croix)

(2025.4.4 La Croix International sataff)

 (In late February last year, gangs launched an offensive on Port-au-Prince, seizing control of 80% of the country and worsening the already critical security situation. (Illustration photo)=Photo by U.S. Marine Corps /CC0 1.0)

In late February last year, gangs launched an offensive on Port-au-Prince, seizing control of 80% o

 

 ハイチ中部ミレバレスで3月31日、2人のカトリック修道女が殺害された。武装集団が市を制圧し、地元の刑務所から500人以上の受刑

者が脱獄した一連の暴力事件の中で起きた。

 現地の報道によると、修道女たちはミレバレスの学校で働いていたが、武装集団の襲撃から逃れて民家に避難したものの、その建物も襲われ、二人や少女を含む建物内にいた全員が殺害された。2022年にシスター・ルイザ・デルオルトが暗殺された事件や、昨年年1月に修道女6人が誘拐された事件(後に解放された)など、宗教関係者に対する攻撃の悲惨なリストに、今回の事件による犠牲者が加わった。

 被害者のシスター・エヴァネット・オネザイアとシスター・ジャン・ヴォルテールは、修道女の団体「幼きイエス修道会」の会員。首都 ポルトープランスのマックス・リロイ・メシドール大司教は、2人の死を確認し、「地域社会にとって大きな損失」と述べた。

 31日の襲撃は、「ヴィヴ・アンサンム」武装集団連合によるより広範な攻撃の一部であり、警察署、企業、ミレバレ刑務所が標的となった。  武装集団はミレバレ大学病院も襲撃し、医療スタッフと患者を脅迫した。 ハイチで最も近代的な病院のひとつであるこの施設は、毎日数百人の患者を治療している。 警察は、公式な死者数や被害状況の全容を

まだ発表していない。

 首都ポルトープランスでは、4月1日に治安悪化に抗議する数千人がデモを行った。武装集団の抗争が続く地区から避難した住民を含むデモ参加者は、早急な対応を求めたたが、。ハイチ警察は、大統領移行評議会本部前に集まった群衆を解散させるために催涙ガスを発射した。

 ハイチにおける武装集団の抗争による死者は、2023年には少なくとも5600人に達し、前年度から急増した。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のフォルカー・テュルク所長によると、2024年の最初の8か月間だけで、4200人以上が死亡し、1300人以上が負傷している。武器禁輸にもかかわらず、違法に輸入された武器が同国に流入し続けている。「この数字だけではハイチで引き起こされている絶対的な恐怖を捉えることはできないが、人々が絶え間なく暴力にさらされていることは示している」とテュルク氏は述べた。

 武装集団の残虐行為に加え、OHCHRは、警察が加担している場合もある、という。ギャング容疑者315人のリンチと、2024年に警察特殊部隊による281件の即決処刑の疑いがある事例を記録した。この暴力により、ハイチ国内で70万人以上が避難を余儀なくされ、その半数は子供である。

 ミレバレは、首都ポルトープランスから北東に約64キロの距離にある人口約20万人の都市で、主要な貿易ルートの交差点に位置している。月曜日の刑務所脱走事件は、2024年3月に首都の刑務所からギャング集団が約4000人の受刑者を”解放”した事件に続くものだ。

 昨年6月に国連支援の多国籍治安支援部隊が展開されたにもかかわらず、ハイチの治安危機は悪化の一途をたどっている。「我々は戦争状態にある」と、暫定評議会の議長であるフリッツ・アルフォンセ・ジャン氏は述べた。同氏のこの発言は、武装集団が国内を掌握するにつれ、絶望感が募っていることを浮き彫りにしている。

 最も衝撃的な事件のひとつは、12月初旬にジェレミー埠頭の武装集団が、ポルトープランスにあるシテ・ソレイユ地区で少なくとも207人を虐殺した事件だ。被害者たちは、ブードゥー教の儀式によって、ある武装集団のリーダーの息子が死亡したと非難された。国連人権高等弁務官事務所によると、犯罪を隠蔽するために、ギャングのメンバーは遺体を損壊し、焼却し、一部は海に投げ捨てたという。

 ハイチで暴力が拡大し続けている中、同国の復興と再建を支援するという世界の決意が試されることになる。即時かつ持続的な行動がなければ、今後数年間で、人命と生活基盤に壊滅的な打撃がさらに悪化するだろうと、関係者は語っている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2025年4月6日