・エルサレムの教会指導者たち、苦難の中でも、キリストの誕生をしっかりと祝うよう呼びかけ

(2024.11.29 Vatican News   Lisa Zengarini)

 ガザ地区で戦争の被害に苦しむ人々との連帯を示すため、昨年のクリスマスにイルミネーションや装飾を一般公開しないという決定に続き、エルサレムの教会の総主教や指導者たちは、現在も続く戦争のさなかではあるが、「キリスト教の希望を公に示す」ことでキリストの誕生をしっかりと記念しよう、と呼びかけている。

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 ガザ地区での停戦の兆しが見られないままクリスマスが近づく中、エルサレムの教会の総主教や司教たちは、キリスト教の希望を表現しながらも、現在も続く戦争下でガザ地区の住民が耐えている苦難を尊重する形で祝うよう、それぞれのコミュニティに呼びかけている。

 2023年、エルサレムの教会指導者たちは、新たに勃発したハマスとイスラエルの間の戦争で苦しむ多くの人々と連帯する手段として、聖地に住むキリスト教徒に公共の場でのクリスマス装飾やイルミネーションの使用を控えるよう求める共同決定を下した。

 だが、この発表により多くの人々が聖地でのクリスマス祝賀会が中止されたと誤解し、その結果「闇から浮かび上がる光のクリスマス・メッセージの独特な証しが弱められた」と述べ、信者たちに「キリストの誕生を完全に記念する」よう呼びかけ、「キリスト教の希望を公に示す」ように、そして「この地域で数百万人が今も耐え続けている厳しい苦難に配慮したやり方」でそうするよう促した。声明文には、「祝祭には、彼らを絶えず祈りの中で支え、親切や慈善の行いをもって手を差し伸べ、キリストが私たち一人一人を迎え入れてくださったように彼らを迎え入れることが確実に含まれていなければならない」と書かれている。

 このようにして、エルサレムのキリスト教各派の指導者たちは「私たちは、天使たちが同じように暗い時代であったこの地域で羊飼いたちに、『キリストの誕生』という喜ばしい知らせを告げたクリスマス物語そのものを再現することになるだろう。そして、彼らと全世界に神聖な希望と平和のメッセージを届けるのだ」と言明した。

 

*パレスチナ自治政府のアッバス議長、ベツレヘムのクリスマス・イブミサに出席

 一方、パレスチナ自治政府のアッバス議長は今週行われた聖地管理者のフランシスコ・パットン神父と副管理者のイブラヒム・ファルタス神父との会談で、「パレスチナの人々の苦難を考慮し、聖地におけるクリスマスの祝いは宗教儀式に限定すべきだ」と述べた。議長は慣例に従い、12月24日にベツレヘムの聖カタリナ教会で行われるクリスマスイブのミサへの正式招待を受けた。会談で、議長は、パレスチナのキリスト教徒にクリスマスの挨拶を述べ、平和への希望を繰り返し述べた。

* エルサレム・ラテン総大司教、ピッツァバラ枢機卿は英国を訪問

 また、エルサレムのラテン総大司教であるピエールバティスタ・ピッツァバラ枢機卿は、イングランドおよびウェールズにおけるエルサレムの聖墳墓騎士団の設立70周年を祝うために、1週間の英国訪問のためロンドンを訪れた。12月1日には、司教協議会議長のビンセント・ニコルズ枢機卿が司式するウェストミンスター大聖堂での待降節第1主日の厳粛なミサで説教を行い、その後スコットランドのエディンバラへと向かう。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年11月30日